転生伝記   作:斎藤 恋

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こんにちわ、斎藤 恋です。
EVOLIMIT、原作直前話、始まります。


第十二話 百年の月日……、近く嵐

「ふっ!ふっ!はっ!せやっ!!………ふー。」

 

 

 

 

私が火星に来て、あと数年で100年にもなる。

 

この100年間、私は多くの活動を行ってきた。

 学園都市の設計から、新たな街の構築、食料供給を上げるための農地の開拓改良なんてのもやった。

新規に取り組んだのは、大掛かりなものではそれくらいだ。

細々としたものでは色々とあるが、また今度にでも語る機会があるだろう。

 

 

そして、今の私はフォーサイスの学校長。

教頭は、ポール・チネチッタ・Jr.。

通称ポチ。……………犬だ。

 

 

驚いたか?驚いたろう。

 

この火星では、犬だけじゃない、馬やモグラ、その他の動物たちもがパッチの力により人間社会同様の生活を手に入れている。

本来なら使役され、飼育される対象の彼らと共に、私たちは生きている。

 

まさしく、彼らは人類の友だ。

 

 

 

かつて、開拓団の一人だったタイロン・ビストワークは言った。

「犬は人類最古の友である」と。

 

そのあとには必ず、ロボットもそうなれる、との夢を語っていた……。

 

その夢も、現時点では叶いそうもない、、、

だが、いずれ本当にそうなった世界もみてみたいな、と感傷ではあるが、思う。

 

 

 

そういえば、私も世界もこの学園を作った当初より成長できたんだ。

あー、要はつまりまた一歩、階段を登れたわけだ。

 

 

 

ここの生徒たちのおかげでな。

 

鈍足極まりない一歩だったが、それでも、このために学園を作った私としては大きな一歩だ。

いずれ、私に匹敵できる程の者が現れてくれれば、とそう思うが。

 

 

あぁ、説明が抜けたな。

 

簡潔に言うと、だ。

私が階段を登れたのは、一部の生徒が、僅かにだが階段を上ったから、だ。

 

階段を上った者を仮に、"到達者"とでもしておこうか。

現在この学園には、私を含めて、27人の到達者が存在する。

 

何人か紹介させてもらうと、まずは自分。

次に教頭のポチ君。

生徒会長の鷹星カズナ

諜報部部長、風魔環太郎

軍部部長、リーティア・フォン・エアハルト

その他だ。

 

これ以上は数が多く、色々と面倒くさいので省略させてもらう。

だが、大体が各部の部長を担っている為、分かり易いといえば分かり易いだろう。

 

 

 

 

この50年、60年間は、ずっと街々の開発に勤しんできた。

若い世代からは特に、火星の探索を進めるべきだ、との声も大きかった。

 

しかし、古い年代は火星探索など行わずとも、街の開拓を進めていけば、いずれ火星全体に広がるだろうなどという意見ええ占められている。

まぁ、古い年代は機械兵、バルバロイとの戦争の中でも、過酷な時代を知っている者が多いから、そう思ってしまうのも分からないではない。

私が、自領以外の街の防衛には消極的であることも、理由の一つだろうと思っている。

彼らは、火星の奥地にあると思っている、バルバロイの本拠地にたどり着こうとも、彼らだけでは勝てないと恐怖しているのだ。

 

 

今でこそ、バルバロイの襲撃にもある程度、容易く対応できるようになったが、そうなったのもここ5、6年のことだ。

 

 

 

だが、若い世代にとっては、バルバロイは容易く倒せてしまう相手である。

だから、そこに認識の乖離が生まれ、

探索に積極的な若者世代と、

探索に消極的な年配の世代とに、意見が分かれてしまっているのだ。

 

聞いていること、見ていることが違っているのだから、意見が変わってくるのも当然だろう。

 

 

 

 

私個人としては、正直なところどちらでもいい。

開拓にのみ力を振ろうが、探索にも力を入れて取り組もうが、どちらにしても変わりない。

 

必要なのは、彼らが力を得、階段を上ることだ。

だから、街増築が階段を登ることに繋がるならそうするし、

逆に、探索が階段を登ることに繋がるなら、そちらを優先させる。

 

現時点では、まだまだ国力も小さく、全体でも10万程度でしかないから、増築を優先させようと圧力を掛けているだけだ。

内心としては、本当にどうでもいいのだ。

 

 

しかし、火星連合政府代表の意見は大きく異なるようだ。

 

火星連合政府 大統領:夢月 サテラ。

 

彼女はウチの生徒会長、鷹星カズナの母だが、幼いころからの教育のせいか、思考がかなり保守的であり、改革と名のつくものすべてに反発しようとする傾向がある。

彼女の養育は、私がフォーサイスの運営に専念しているうちに行われた、というか、私自身にも興味がなかったからなのだが……。

 

到達者が多数出現してしまうことを恐れた保守派が、アリスの血族を確保し育てたのが、彼女、夢月 サテラだ。

 

 

彼女は真の意味での保守であり、江戸時代も真っ青なほど、新奇なモノを毛嫌いしている。

私自身が、大統領になることを拒否したために、彼女が大統領へとくり上がり当選することとなったのだが。

 

彼女が当選して以降、新規の都市建設は行われなくなり、それ以前には僅かながら行われていた火星探索も、フォーサイスを除き、それ以外の都市では行われなくなった。

彼女が当選して、10年が経つ。

 

しかしそれ以降、フォーサイス出身者で他都市の運営に関わる者は消えてしまった。

どうやら、数十年の間に私は、他都市の連中に相当嫌われるようになったらしい。

 

まぁ、彼女が大統領として名を知らしめることになった、8年前のバルバロイとの大規模紛争に、私は一切関わらなかったのだから、当然といえば当然なのかもしれないが。

 

「可愛さ余って憎さ100倍か……」

 

 

かつては、英雄と持てはやしたにも関わらず、自分たちの利にならないとなれば瞬時に手のひらを返すのが人間だ。

そのことは重々承知していたし、だからこそ、彼女、かつての代表であったリエナと、"そういう契約"を交わしたのだから。

 

 

"私の様な者に、いつまでも頼ってはいられない"といっていた彼女も、二男三女を残して逝ってしまった。

それから、もう20年は経つが、結局今も、彼らは"私のような者に"頼りきっている。

 

 

彼女のもたらした決意も、意思も、何一つ紡がれないまま、火星の社会は広がってしまった。

こうなることを予測した上で、"あちら側"は見捨てたが、彼女の意思を実際に間近に聞いていただけに、失望もまた大きい。

 

 

今となっては、フォーサイスとその他の都市は別方針で動いている。

僅かながら、動物都市のライアルシティと協力関係にあるくらいなものだ。

 

 

その他の都市とは、ほぼ交流がない。

 

10年より前はまだ少ないながら交流があったが、

不知火美空の息子、勝俊を中心とした集団が排斥されてからは、各都市と一斉に交流を絶っている。

 

 

あの時の暴動で、勝俊やその仲間の数十人が死んでいる。

勝俊は、火星で忌み嫌われる"機械"に、最後まで可能性を見ていた奴だった。

会うたびあいつの顔が、かつての仲間 タイロンに被って見えるほどの機械オタクだった。

 

あいつは最期を迎えるまでに、反逆を起こす機械を、パッチを使いコントロールする技術を確立している。

 

そしてその技術によって、パッチ適合障害やバルバロイによって肉体を半壊させられ、パッチの力でも再生できなくなった者など、それまで救えなかった者達が生きられるようになった。

 

しかし、この功績は、反機械の保守派によって潰された。

 

「機械は敵である。」

 

というたった一言で。

 

その数週間後に、機械と最期まで向き合った彼らは、その都市で起きた暴動のなかで死んでいった。

暴徒達は、執拗に勝俊達を狙い、彼とその仲間数十人の殺害に成功している。

 

勝俊自身は、早い段階で暴徒の目標が自分たちだと気付いたらしく、仲間や彼らの治療を受けた患者達をフォーサイスに向けて逃がしている。

 

しかし、彼自身と仲間の一部は、囮として残ったようだ。

 

 

 

 

 

そこで何があったかは分からない。

分からないが、最期に、彼とその仲間達は火に巻かれ、死体すら残らなかった。

 

すべて、その都市の人間達が行ったことだが、それらはすべて隠匿され、公式には暴動下で起きた事故として片付けられた。

 

 

 

パッチを手にし、機械がなくなったことで事故などというものは姿を消したはずだが、この件には適応されず、今も公式には事故のままだ。

私自身、これには流石に抗議したが、証拠は全て焼き払われ、暴動に参加した者の内、殺害に関わったらしき者達は姿を消している為、事後では証拠を集めることができなかった。

 

 

 

この事件以後、私は火星全土にこの事件についての公開を行い、これに反感を抱く者達を各都市から受け入れることになった。

ライアルシティとよく関わるようになったのもこの時で、その後、火星政府に強い不信感を抱くようになった彼らと裏で同盟を組むことになったのも、これがきっかけだ。

 

 

この事件後、受け入れることになったのが勝俊達の患者の一人だった"リーティア・フォン・エアハルト"であり、

ライアルシティとの親善の為、ウチに来たのが"ポチ教頭先生"である。

 

リーティアは、バルバロイに肉体を半壊させられたことで治療を受けたらしいが、勝俊達に助けを求めた彼女の両親は、治療後、全身の6割を機械で維持されるようになった彼女に恐怖し、リーティアを捨てたそうだ。

彼女は、不知火勝俊を「じいじ」とよんで慕っていたそうだが、その"じいじ"も、自分の両親だった者達とその仲間に殺されるとになり、今も彼らを憎んでいる。

 

その憎悪のせいか、彼女の成長は著しく、すでにいくらか階段を上り始めている。

 

 

 

ポチ教頭、正式には、ポール・チネチッタ・Jr.教頭先生だが。

彼は、親善として、8年前にライアルシティから訪れた。

ライアルシティとの同盟を結んでからは、教頭 兼 大使として、その任に当たっている。

犬ではあるが、本当に知的な人格者で、フォーサイスの実力者達にも劣らない力量もある賢人ならぬ、賢犬である。

 

最近では、「教頭」ではなく、プロフェッサー・ポチとも呼ばれている。

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

「鍛錬も終わりですか?校長。」

 

噂をすれば影、と言わんばかりのタイミングでポチ教頭が訪れた。

 

 

「えぇそうです。いくらパッチがあるとはいえ、長く動かなければ鈍りますしね。」

 

「確かに、そうですね。私も最近は書類仕事ばかりであまり運動もしませんし、もしかすると全盛期よりは劣ってしまいましたかね。」

 

「ははは、まぁ、子どもたちの為、自分の為、です。それさえも受け入れねば。」

 

「そうですな。しかし、どうせならこの後一緒にやりませんか?組手でも。」

 

「教頭と、ですか………?・・・そうですね……、そういえば教頭とは手合わせしたことはありませんでしたな。」

 

ふと、思い返してみるが、実力者と噂されている彼とは、一度もやりあったことはない。

 

「まぁ、私自身が同盟の為の人質のような者ですからな、気を使っていただいたのでしょう。」

 

「いえいえ……、不自由なさらぬよう、多少下の者に声をかけたにすぎませんよ。それ以外には何も。ここに馴染めているのは、あなたの人柄によるものでしょう。」

 

「いえいえ………。」

 

お互いに謙遜を続けつつも、組み手を行う為に外へと足を進める。

 

 

 

・・・・・

しかし、我々はパッチユーザー。

"足を進める"などと、ゆっくり歩いているような表現ではあるが、実際には100メートル3秒前後の速度で走っている、もとい、足を進めている。

 

 

ザッ…………

 

 

 

外壁を超えた、街の外でポチ教頭と向かい合う。

 

「この辺りでよろしいですかね?ポチ教頭。」

 

「えぇ、この辺りであれば、街への被害もないでしょう。」

 

 

そう、街の外へ出たのはその為。

街中での被害を少しでも減らす為である。

 

我々のような力の持ち主が、訓練であったっとしてもやり合う場合には、街外へ出る必要があるのだ。

それほどパッチの力というモノは、強い。

 

 

 

 

「では……」「いざ………」

 

 

 

「「勝負!」」

 

 

 

 

 

 

 

そうして始まった我々の"訓練"は、一撃ごとに周辺の地形を変えていき、それを見てバルバロイの侵攻と勘違いした軍部が、部長のリーティアとともに突貫してくるまで続くこととなった。

 

 

 

「先生方?ほんっとーーに、こんなのはこれっきりにして下さいねっ!!」

 

額に青筋を浮かべて、我々に怒っているのは、生徒会長の鷹星カズナだ。

 

「いや、すまないね。久々に組み手をしたものだから、どうにも加減が効かなくてね。」

 

「あぁ、本当にすまないな。ここまで大事になるとは考えてなかったんだよ。」

 

 

いや、本当久々に我を忘れて楽しんだように思う。

ポチ教頭は、なかなかに楽しめる相手だった。

やはり、ライアルシティ最強の名は伊達ではないらしい。

 

「なるに決まってます!!ご両人がどれほどの実力者なのかは、都市の全員が身を以て知っています!だからこそ、今度からはキチンと、行政部に書面で申請を行ってから、訓練なりなんなりやってください!」

 

「…いや、そこまで大事にするのも……、ねぇ?」

 

「……もう少し離れれば大丈夫では………」

 

「い、い、で、す、ね?」

 

「「…………はい」」

 

 

 

ポチ教頭とともにカズナ君から説教されつつ、つい、やりすぎてしまったことを後悔する。

 

 

 

最初にリーティアが止めに入ってきたときなど、涙を浮かべ号泣していたし、私たちの手合わせは彼らには単なる手合わせとは写らなかったらしい。

他の軍部の者も、私たちが単なる手合わせだと告げると、一斉に脱力し、しばらく立てなかったようだし、副部長のアクア君も「喧嘩であれば、命をかけてでも止めなければ」などと、覚悟を決めていたそうだ。

 

 

私たちとしては、なぜそんな結論に至るのかすら、良く分からないのだが……。

まぁ、彼らにとって、先ほどの手合わせは緊張の時間だったようだ。

 

しかし、この程度で騒ぎ立てるとは…………。

彼らももう少し成長してもらいたいものだが……

 

「………まぁ、仕方ないか………。」

 

人が育つには時間が掛かるもので、集団の意識を変えるには、さらに時間が掛かるとも知っている。

だからこそ、一歩ずつ。

 

一段ずつでも、登らせていこう、とそう決心しつつ。

私とポチ教頭は、日々の仕事へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私も経験したことのない嵐(テンペスト)が、すぐそこに近づいているとも知らずに………。

 

 

 

 

 




一気に書き上げて、消耗…………
マジに疲れました………

いい加減、報酬でもないとやってられない気が………
ぃゃまぁ、楽しいから、書いてんですけどね………。

まぁ、こんかいの話も楽しんでいただければ幸いですばい。


ではでは、また次話でお会いいたしましょう。
See you.
By 斎藤 恋
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