コツ…………コツ…………コツ…………コツ…………コツ…………コツ………………
あれからずっと階段を上り続けている
ただただ、"生きる"という意思だけを抱いて
あぁ、俺は、・ ・ ・ ・ ・生きていかなきゃならない・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・。
こんなところでは死ねない。
やりたいことやらなきゃいけないことやり残したこと
全てがある。
何を喰らってでも、生きなきゃならない。
例え、砂や霞を喰らってでも
例え、瓦礫やかつての仲間を喰らってでも
「……あぁ、どうか、俺の道がまだ続いていますように・ ・ ・ ・ ・」
ーーーーーーそれだけを、切に願う。ただ、願うのだーーーー
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・ ・ ・ ・ ぐちゃぐちゃ・ ・ ・ ・ ・ぐちゃぐちゃ・ ・ ・ ・ ・ぐちゃぐちゃ・ ・ ・ ・ ・・ ・
・ ・ ・ ・ ・ガキッバキッ・ ・ ・ ・ ・ブチッグチッ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
階段を登り切った後、俺は、空腹に任せてありとあらゆるものを喰っている。
マーズサイトのもともとの力のおかげか、階段を登ったせいかは分からない。
ただ、登り切ってこちら側に帰ってきた時
食えるような気がした。
目の前にある瓦礫が、目の前にある砂や岩が、そして、
仲間だったモノが
極限状態だからこその思考なのだろう。
普通なら絶対にこんなことは考えないだろうと断言できる。
今まで生きてきた数百年でもカニバリズムの経験は、無い。
そもそもここまで追い詰められる前に、対策だけはしてきた。
最悪を想定し、バックアップの用意だけは怠らなかった
だが、
それが、この大地では通用しない。
この火星の大地に残ったのは、私がこの大地に適応できるか否かのその2つの選択肢のみだ。
だからこそ
生きてやる。
生き抜いてやろう。
俺をこの大地へと追いやった奴に
俺を、ドミトリを操作し、全てを更地に変えやがった奴に
全ての奴に思い知らせてやる。
俺という存在が
・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ドウイッタモノナノカヲ、オモイダサセテヤロウ・ ・ ・ ・ ・
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<数年後>
この火星の大地に立って、どれくらい経ったろうか?
俺はこの大地に適応し始めている。
今ではもう食事をすることもなく、瞑想を行うのみで日々を過ごしている。
あの日から1年ほど経ったとき、俺は、力に目覚めた。
いや、本当なら、マーズサイト装着の時に目覚めていたのだろう。
あの時、俺にはよく分からないものが見えていた。
未だにあれがなんなのかの確信は無い。
しかし、想定はできる。
まず第一に、俺の能力についてだ。
どうやらだが、マーズサイトとはエネルギーの塊らしい。
これは、開拓団の全員が共有していた情報だ。
かつてのただの人間だった時の俺たちには、コレが何か凄まじいモノに感じていた。
直感で分かった、コレは力の塊だと
故に、マーズサイト装着時の身体能力の増加には驚きはしても、納得はいった。
だが、疑問にも思った。
・ ・ ・ ・ ・それだけか?
と。
実際、それだけでは無かったわけだが。
『マーズサイトを装着すると、超能力が使える。』
なんとも、この歳になって超能力などと、ちょっと笑ってしまった。
超能力があることは知っていた。
人間という種のパラメータを偏らせると、まさしく超常的な特殊な才能を得る場合があることは、
知っていた。
しかし、あの時のドミトリのように溶岩、マグマを生み出すなど……
流石にあり得ない。
マーズサイトの力は、それだけ絶大なのだろう。
一個で、世界と戦えるほどに。
まさに
まさしく、災害(カラミティ)
俺たちこそが、災害の猿達(カラミティモンキーズ)と成り果てた。
本末転倒にも程がある。
ーーーーー・・・本当に・ ・ ・ ・ ・どうして、こうなったのだろうか・ ・ ・ ・ ・
ーーーーー・ ・ ・ ・ ・シャノン、何故、ドミトリを操作した・ ・ ・
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そして、肝心の俺の能力についてだ。
正直、自分語りで忘れていた。
私の能力は、原子操作(アトミックコントローラ)といったものだ。
全ての原子を俺の思うがままに見て、聞いて、組み上げる。
素晴らしいだろう?
感動するだろう!
まさしくチートだと思うだろう?
私も最初はそう思ったさ!
だがね、よく考えろ。
よく考えてみろ。
君たちは、今までの人生の中で、原子などを見たことがあるのかね?
私は無い。
・ ・ ・ ・ ・水素原子がこれで、酸素分子がこれ
などというふうに、そんな簡単に分かるわけないだろうが!!
お手上げだった。
俺が装着の時に見たヴィジョンは、まさしく混沌。
宇宙科学で言われる、原子のスープなのだろう。
ただの気持ち悪いドロドロしただけのものだったように思うが・ ・ ・ ・ ・
そう、俺の原子操作能力には問題があった。
ーーー視界を切り替えることで見えるこの原子は、いったい何の原子なのか?
ということが、問題だった。
この歳になって、原子周期表を一から思い出し、
この歳になって、それぞれの原子がどんな物資に多かったのかを考え、
この歳でありながら、それをこの足で探し続ける。
ーー正直、苦痛だよ?
でも、仕様がないだろう。
やらなきゃ死ぬ。
砂ばかりでは生きていけないんだよ。やっぱりね。
火星の大気組成には、酸素より二酸化炭素が多かったことは知っていた。
窒素の割合は、地球とさほど変わりなかったはずだ。
故に、今も見えている空気中の分子の中で、最も多いのが窒素
次が酸素、水素 ・ ・ ・ ・etc・ ・ ・
といったふうに、探し、それらを操作した上で、原子特性の確認なども行った。
酸素らしきモノの近くに火を近づけてみたりね。
ケイ素やら、ナトリウムなんかの操作では死にかけたね。
吹き飛んだからね。
おかげでコントロールも学べたが。
だが、正味のところ、この方法では限界がある。
今の火星にないもの、はっきりと分からないものの確認は困難だからね。
だからこそ、俺は瞑想とともに、自身の身体の組成についての検証を行っていた。
医療人として働いた経験もあったから、一月程で全て解析はできた。
マーズサイトさまさまだよ。
なんせ、本当の意味で人間とは乖離してしまっている。
今の俺の知覚範囲は、二〇kmに及ぶし、周囲に砦を瞬時に建てることさえ可能だ。
分割並列思考を、装着前の100倍近い数、速度で行える。
今なら、世界の頂点にも立てるだろう。
楽勝で。
まぁ、現状、地球に戻る手立ては無いわけだが。
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<7年後>
開拓団の壊滅より7年の時が経った。
最近、この砂と山と"機械"しか無い、この火星の大地に変化があった。
そう、"第二火星開拓団"のご到着である。
久々の人間だ!
・ ・ ・ ・ ・どこの化け物の感想だろうか・・・
人間は餌じゃない。
ちょっと、今の感想は、自分でもショックだった。
そんなつもりじゃ無かったとはいえ、だ。
ともあれ、第二開拓団だが。
今の俺が会いに行って、大丈夫か?
いや、大丈夫じゃねぇだろう。
普通に化け物扱いだ。
マーズサイトが発見されるまでは、出るわけにはいかないだろう。
だが、
マーズサイトの発見も、今の地球にとって望ましいモノじゃねぇ……
だからこそ…………
「放置ですね。」
まぁ、俺は自分のことだけ考えてやっていこう。
次話も早めに仕上げたいと思います。