転生伝記   作:斎藤 恋

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第二話 力(チカラ)

コツ…………コツ…………コツ…………コツ…………コツ…………コツ………………

 

 

あれからずっと階段を上り続けている

 

 

ただただ、"生きる"という意思だけを抱いて

 

 

あぁ、俺は、・ ・ ・ ・ ・生きていかなきゃならない・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・。

 

 

こんなところでは死ねない。

 

 

やりたいことやらなきゃいけないことやり残したこと

 

 

全てがある。

 

 

 

 

何を喰らってでも、生きなきゃならない。

 

 

 

例え、砂や霞を喰らってでも

 

例え、瓦礫やかつての仲間を喰らってでも

 

 

 

 

「……あぁ、どうか、俺の道がまだ続いていますように・ ・ ・ ・ ・」

 

 

 

 

ーーーーーーそれだけを、切に願う。ただ、願うのだーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

・ ・ ・ ・ ぐちゃぐちゃ・ ・ ・ ・ ・ぐちゃぐちゃ・ ・ ・ ・ ・ぐちゃぐちゃ・ ・ ・ ・ ・・ ・ 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・ガキッバキッ・ ・ ・ ・ ・ブチッグチッ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

階段を登り切った後、俺は、空腹に任せてありとあらゆるものを喰っている。

 

 

マーズサイトのもともとの力のおかげか、階段を登ったせいかは分からない。

 

 

ただ、登り切ってこちら側に帰ってきた時

 

 

食えるような気がした。

 

 

目の前にある瓦礫が、目の前にある砂や岩が、そして、

 

 

 

仲間だったモノが

 

 

 

極限状態だからこその思考なのだろう。

 

 

普通なら絶対にこんなことは考えないだろうと断言できる。

 

 

今まで生きてきた数百年でもカニバリズムの経験は、無い。

 

 

そもそもここまで追い詰められる前に、対策だけはしてきた。

 

 

最悪を想定し、バックアップの用意だけは怠らなかった

 

 

だが、

 

 

 

それが、この大地では通用しない。

 

 

 

 

 

 

この火星の大地に残ったのは、私がこの大地に適応できるか否かのその2つの選択肢のみだ。

 

 

 

 

だからこそ

 

 

 

生きてやる。

 

 

 

生き抜いてやろう。

 

 

 

俺をこの大地へと追いやった奴に

 

 

 

俺を、ドミトリを操作し、全てを更地に変えやがった奴に

 

 

 

全ての奴に思い知らせてやる。

 

 

 

俺という存在が

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ドウイッタモノナノカヲ、オモイダサセテヤロウ・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

<数年後>

 

 

 

この火星の大地に立って、どれくらい経ったろうか?

 

 

俺はこの大地に適応し始めている。

 

 

今ではもう食事をすることもなく、瞑想を行うのみで日々を過ごしている。

 

 

あの日から1年ほど経ったとき、俺は、力に目覚めた。

 

 

いや、本当なら、マーズサイト装着の時に目覚めていたのだろう。

 

 

あの時、俺にはよく分からないものが見えていた。

 

 

未だにあれがなんなのかの確信は無い。

 

 

しかし、想定はできる。

 

 

 

まず第一に、俺の能力についてだ。

 

 

どうやらだが、マーズサイトとはエネルギーの塊らしい。

 

 

これは、開拓団の全員が共有していた情報だ。

 

 

かつてのただの人間だった時の俺たちには、コレが何か凄まじいモノに感じていた。

 

 

 

 

直感で分かった、コレは力の塊だと

 

 

 

 

 

故に、マーズサイト装着時の身体能力の増加には驚きはしても、納得はいった。

 

 

だが、疑問にも思った。

 

 

・ ・ ・ ・ ・それだけか?

 

と。

 

 

 

実際、それだけでは無かったわけだが。

 

 

 

 

 

『マーズサイトを装着すると、超能力が使える。』

 

 

なんとも、この歳になって超能力などと、ちょっと笑ってしまった。

 

 

超能力があることは知っていた。

 

 

人間という種のパラメータを偏らせると、まさしく超常的な特殊な才能を得る場合があることは、

 

知っていた。

 

 

 

しかし、あの時のドミトリのように溶岩、マグマを生み出すなど……

 

 

流石にあり得ない。

 

 

 

マーズサイトの力は、それだけ絶大なのだろう。

 

 

一個で、世界と戦えるほどに。

 

 

 

 

 

まさに

 

 

 

まさしく、災害(カラミティ)

 

 

 

俺たちこそが、災害の猿達(カラミティモンキーズ)と成り果てた。

 

 

 

 

本末転倒にも程がある。

 

 

 

 

ーーーーー・・・本当に・ ・ ・ ・ ・どうして、こうなったのだろうか・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

ーーーーー・ ・ ・ ・ ・シャノン、何故、ドミトリを操作した・ ・ ・ 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

そして、肝心の俺の能力についてだ。

 

 

正直、自分語りで忘れていた。

 

 

私の能力は、原子操作(アトミックコントローラ)といったものだ。

 

 

全ての原子を俺の思うがままに見て、聞いて、組み上げる。

 

 

素晴らしいだろう?

 

 

 

感動するだろう!

 

 

 

まさしくチートだと思うだろう?

 

 

 

私も最初はそう思ったさ!

 

 

 

だがね、よく考えろ。

 

 

よく考えてみろ。

 

 

 

君たちは、今までの人生の中で、原子などを見たことがあるのかね?

 

 

私は無い。

 

 

・ ・ ・ ・ ・水素原子がこれで、酸素分子がこれ

 

 

などというふうに、そんな簡単に分かるわけないだろうが!!

 

 

 

お手上げだった。

 

 

 

俺が装着の時に見たヴィジョンは、まさしく混沌。

 

 

宇宙科学で言われる、原子のスープなのだろう。

 

 

ただの気持ち悪いドロドロしただけのものだったように思うが・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

そう、俺の原子操作能力には問題があった。

 

 

ーーー視界を切り替えることで見えるこの原子は、いったい何の原子なのか?

 

 

ということが、問題だった。

 

 

 

 

 

 

この歳になって、原子周期表を一から思い出し、

 

 

この歳になって、それぞれの原子がどんな物資に多かったのかを考え、

 

 

この歳でありながら、それをこの足で探し続ける。

 

 

 

 

 

 

ーー正直、苦痛だよ?

 

 

 

でも、仕様がないだろう。

 

 

やらなきゃ死ぬ。

 

 

 

 

砂ばかりでは生きていけないんだよ。やっぱりね。

 

 

 

火星の大気組成には、酸素より二酸化炭素が多かったことは知っていた。

 

 

窒素の割合は、地球とさほど変わりなかったはずだ。

 

 

故に、今も見えている空気中の分子の中で、最も多いのが窒素

 

 

次が酸素、水素 ・ ・ ・ ・etc・ ・ ・ 

 

といったふうに、探し、それらを操作した上で、原子特性の確認なども行った。

 

 

酸素らしきモノの近くに火を近づけてみたりね。

 

ケイ素やら、ナトリウムなんかの操作では死にかけたね。

 

 

吹き飛んだからね。

 

 

 

おかげでコントロールも学べたが。

 

 

 

だが、正味のところ、この方法では限界がある。

 

 

今の火星にないもの、はっきりと分からないものの確認は困難だからね。

 

 

だからこそ、俺は瞑想とともに、自身の身体の組成についての検証を行っていた。

 

 

 

医療人として働いた経験もあったから、一月程で全て解析はできた。

 

 

マーズサイトさまさまだよ。

 

 

なんせ、本当の意味で人間とは乖離してしまっている。

 

 

今の俺の知覚範囲は、二〇kmに及ぶし、周囲に砦を瞬時に建てることさえ可能だ。

 

 

分割並列思考を、装着前の100倍近い数、速度で行える。

 

 

今なら、世界の頂点にも立てるだろう。

 

 

楽勝で。

 

 

 

まぁ、現状、地球に戻る手立ては無いわけだが。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

<7年後>

 

開拓団の壊滅より7年の時が経った。

 

 

最近、この砂と山と"機械"しか無い、この火星の大地に変化があった。

 

 

 

 

そう、"第二火星開拓団"のご到着である。

 

 

久々の人間だ!

 

 

・ ・ ・ ・ ・どこの化け物の感想だろうか・・・

 

 

人間は餌じゃない。

 

 

 

ちょっと、今の感想は、自分でもショックだった。

 

 

そんなつもりじゃ無かったとはいえ、だ。

 

 

 

 

 

 

ともあれ、第二開拓団だが。

 

 

 

今の俺が会いに行って、大丈夫か?

 

 

いや、大丈夫じゃねぇだろう。

 

 

 

普通に化け物扱いだ。

 

 

マーズサイトが発見されるまでは、出るわけにはいかないだろう。

 

 

 

 

だが、

 

 

マーズサイトの発見も、今の地球にとって望ましいモノじゃねぇ……

 

 

だからこそ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「放置ですね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、俺は自分のことだけ考えてやっていこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次話も早めに仕上げたいと思います。
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