転生伝記   作:斎藤 恋

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第九話 訓練とパッチ信仰

ーー訓練所消失事件より、3日後ーーーー

 

 

「あーー?何があったんだ?」

 

俺はこの日、庁舎へと呼び出され、国家代表直々の話し合いへと参加させられた。

 

「・・・・・・何があった?何があった、ですか……。簡単ですよ。軍の訓練所が消失しました。えぇ、とても簡単な事です。誰の目にも明確に分かるほど簡単なこと。貴方も当然、ご存知ですわよね?」

 

「それなら、とっくに直したぞ?何の問題がある。」

 

「・・・・・おお有りです…………。あれだけの轟音と騒ぎ。いくら郊外で行われたからといって、看過できるものではありません。それに、市民……んっ、国民からの問い合わせも多く出ています。曰く、「またバルバロイの襲来か」と。それだけでも十分な問題だと思いますが?」

 

憮然とした表情を浮かべつつ、大統領たるリエナ=スミスはそう語る。

 

 

 

このくらいは受けてやるべきか………

 

「分かった分かった。郊外に適当な訓練施設でも作らせてもらうことにする。そこでなら問題ないだろう。ついでに、外壁もちゃんとしたものを建てておいてやる。

 

だから、それ以上はそっちで処理してくれ。戦力の増強は、そちらに取っても利になることだろう。流石にそれ以上は看過できんし、訓練を止めるわけにもいかん。抑えることもな。」

 

 

「・・・・・仕方ありません。そこらが妥協点ですね。」

 

本当に仕方なさそうな表情を浮かべつつ、リエナはこの話を切り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・と、いうわけで( ̄Д ̄)ノ

 

 

いきなりですが、街壁建築のお時間です。。

 

 

まず、街から少し出たところに立ちます。

 

次に、壁のデザインを練り、練り終わったら縄張りを決めます。

 

最後に、能力を使って火星の大地から岩や砂をかき集めて、鋼製の壁を作って終了。

 

 

 

以上で、街壁作りの完成です。

 

 

 

「・・・パッチって便利すぎるよな………………」

 

つくづくそう思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

・・・・・・・ドガーーーーーン・・・・ゴーーーーーーッーー・・・・・・

 

 

「「「・・・っぎぃーーーーゃーーーーーーー・・・・・!!!!」」」

 

 

・・・ドーーーーーン……………ドカッバキッ・・・・グチャ……………

 

 

「た、助けて………もう………もう、いやだーーーーー!!た、助け……く………!……………………………。」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・

 

・・・

・・

 

「・・・・ふむ・・、こんなものか………。」

 

 

・・・・目の前にはまさしく死屍累々の情景が転がっている。

 

まぁ、誰も死んではいないが。

 

 

同盟者として着任してから、右に左に奔走ならぬ、うろつき回っているだけの私だが。

 

その能力と経験を生かして、軍の指導を行っている。

 

・・・・・・・指導と言っても、現時点ではどうしようもない。

 

軍部には200人強の軍人がいて、そのほとんど(士官も含め)が、訓練に参加してはいるが…………。

 

やはり、あまりにも弱すぎ、訓練以前の問題となっている。

本来なら、地球圏での訓練のごとく、延々と走らせるなどするところだが、、、

 

正直、銃器もなく、服や食料以外の装備のない上に、地球人より遥かに身体能力のある彼らに対して、それが効果のある訓練方法だとはとてもじゃないが思えない。

 

 

 

だからこそ今までは、個々で模擬戦などを行うことで訓練としてきたようだ。

 

しかし、それだけではーーーー

 

 

 

「劇的な成長が見込めない…………かね。」

 

 

「・・・その通りです。我々は、パッチによって身体能力的にも似通ったものになってしまっている。確かに、技術等での差はありますし、鍛えれば伸びることに変わりありません。ですが、ーーーー」

 

「・・・・・パッチを付けている割には、以前の地球人であった頃と変わりない伸び率だ、ということだな?」

 

「・・・・・その通りです。」

 

 

 

 

パッチは偉大だ。

その力は、人類を天使や神の領域にまで引き上げてしまった。

 

しかし、ーーーー

 

「・・・・使う側の人間そのものが変わったわけじゃない。」

 

そう、人間、人類の思考形態そのものはほぼ変わっていない。

そして、それがどんな弊害をもたらすのか………?

 

「人類はパッチによって進化しました。しかし、・・・発展はしていません。」

 

 

発展、発想、想像、創造。

火星人たちには地球人類の根幹とも言えるこれらが抜けている。

 

唯一、火星人類の発展に寄与したのは"アリス=ロックスミス"ただ一人だ。

もしか彼女が、あのような死に方をしなければ、もっと違う未来があったのかもしれない。

 

だが、死人を叩き起こすことは流石にできないし、他人の男に横恋慕したっていう事実を変えることもできない。

 

 

だが、この火星の連中は、少々過敏にすぎる。

アリスの問題ばかりをあげつらい、彼女の功績を貶めている。

どうにもこの辺り、欧米的なものでなく、アジア的な気質が強いようにも感じる。

 

 

 

しかしどうあれ、アリスの功績は目に見えるものだけじゃない。

 

パッチという新物質に対する開発に改良。

パッチの新たなる可能性の開拓に彼女は大きく貢献している。

 

そして、火星人類もその恩恵を多大に受けている。

 

 

 

 

にも関わらず。

 

 

彼女の功績は、黒いパッチに代表されるその力を忌むあまりに封印され、彼女の名は忌み名にすらなり果てている。

本当に、愚かしいにもほどがある。

 

まぁ……、彼女がもたらした災惡も、功績と同じほどに酷いものだったからなのだろうが……。

 

 

 

 

 

 

長々とアリスについて語ったが、大事なのは一つ。

 

""アリスのように、パッチに対する禁忌感を捨てられるようになることだ。""

 

 

火星には、パッチに対する信仰のようなものが存在する。

具体的な形にはなっておらずとも、機械を悪魔とし、パッチを天使か神の恩恵の品であるかの如く崇めている。

 

 

まるで原始信仰だ。

 

 

 

だからこそ、パッチに対する心構えを変えさせるには、…………まさしく、大きな手術を要するだろう。

 

 

 

 

 

俺は、それを悟られぬよう始める

まずはそこからだ。

 

 

 

 

 

 

 

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