唐突に自分の名前を呼ばれたことと同時に自分を探していたということに驚くユニ。と、百々が男を見て言う。
「なんでユニを探していたんだ?」
「俺がソイツを探していた理由?決まってんだろ、お前の存在が気にくわないからだ。」
「気に、くわない?一体どういうことなの?私はあなたに何かした覚えはないんだけれど・・・。」
「そうだろうな。お前は俺に何もしていない。」
「じゃあどうして?」
ユニの言葉を聞いて男は大きく息を吸い込み、ニヤッと笑みを浮かべる。その瞬間に悠岐が彼の腹にドスッとパンチをぶち込んだ。
「ゴブァ!?」
唐突にパンチを食らった彼は地面に座り込んで咳き込む。そして悠岐を見て言う。
「何しやがる!!俺が今から話そうとしたときに!!」
「いや、ちょうど腹膨らませたしウザい顔してたからパンチしたらふっ飛ぶのかと思って・・・。」
「飛ぶわけないだろ!!俺は風船か!!しかもウザいって何だよ!俺の笑みに一体何の恨みがあるんだよ!」
そう叫ぶと彼はユニを見て口を開く。
「気を改めて言う、俺は影裏破紡、アラヤの守護者だ。そしてお前は幻想郷?とかいう世界の守護者。そんな訳で同じ守護者同士、どちらが上なのかを確かめたくてな。俺が皆に知られていないのに対してお前はどうだ?世界を救った守護者とか皆ほざいていやがる。俺はそれがどうも気にくわねぇ!!」
「・・・。」
ユニは何も言わなかった。何も言う気がなかったのだ。と、悠岐がユニの前に出て刀を構えて言う。
「テメェがユニと戦うのならばまずこの俺と戦ってもらおうか。」
彼に続いて百々、九十九、魔理沙、霊夢も戦闘の体制に入る。
「待って。」
そう言ってユニは唐突に五人の前に出た。そして口を開いた。
「彼は私でなんとかするわ。みんなは先にエリュシオンの元へ向かってて。」
「何言ってんだよユニ。こういうのは大人数で戦ったほうがすぐに終わるだろ?」
「いや、私一人でやりたいの。あんなこと言われてじっとなんかしてられないよ。」
「・・・確かにあんなこと言われたら私でもじっとしていられないな。」
百々、九十九、悠岐、楓は納得するように武器を下ろした。同時に霊夢と魔理沙も下がる。と、ユニは悠岐を見て言う。
「悠岐君、ここは私に任せてくれないかしら?私の力で彼と真正面から向き合いたいの。」
「俺に言う必要はないと思うが・・・。お前がそう言うのなら仕方ない。みんな、ユニに任せて大丈夫か?」
「えぇ、分かったわ。」
「任せるぜ!」
「気をつけるんだぞ。」
「無理すんなよ。」
「頑張れよ。」
「信じてるよ、ユニちゃん。」
悠岐の言葉を聞いて霊夢、魔理沙、楓、百々、九十九、琥珀がそれぞれの言葉を言う。と、霊夢がただ影裏をじっと見つめる暁に気づき、声をかける。
「・・・暁?」
「・・・はっ、すいません姉さん。私今何してました?」
「
「もしかしたら私と何かあるのかも・・・。」
二人が話している中、ユニが影裏に言う。
「私は自分の持つ全ての力をエリュシオンとの戦いで使いたいの。だからあなたとの戦いは5割くらいで行かせてもらうわ。」
「5割だと?ほぉ、随分と舐めた口じゃねぇか。その口、益々塞ぎたくなるぜ!!」
そう言うと彼は腰にかけていた銃を取り出し、銃口をユニに向けた。しかしユニは1歩も引くことなく影裏と睨み合う。と、影裏が口を開いた。
「お前、武器何も持ってないじゃねぇか。そんなんで俺に勝てると思ってるのか?」
「勝とうだなんて思ってないわ。あなたのその間違った思考を正しくしたいだけよ。」
そう言うと彼女はスペルカードを取り出し、発動する。
「剣符アームストライク!」
そう言った瞬間、彼女の右側に紫色のワープが出てきたかと思うと中から黒い刀が出てきてユニはそれを手に取る。それを見た楓が口を開く。
「漆黒の刃・・・。お前の刀も出せるとは驚きだな、悠岐。」
「あぁ、その通りだ。まさか俺のこの刀をも出せるとはな。」
2人が話している中、ユニは刀を構えて口を開いた。
「行くわよ、影裏君!!」
「望むところだ、アイアルト・ユニ!!」
そう言った瞬間、二人は同時に走り出した。影裏は最初にユニに向かって発砲する。それを防ぐためにユニは発砲された弾を弾いていく。と、魔理沙が悠岐達に言う。
「エリュシオンのところに行かないのか?ユニがここで時間を稼いでくれてるんだぞ。」
「・・・いや、先に行くわけにはいかない。ユニも一緒に連れて行く。万が一私達が先に行ってユニがアイツに負けてしまったらどうする?」
楓の言葉を聞いて魔理沙は黙り込んでしまった。何か言おうとも楓の言うことは間違っていない。と、暁が口を開いた。
「私達はユニさんがアイツに勝つことを一番に望んでいます。ですが彼女が勝てる保証はないので残っています。」
「そう言うことだ魔理沙、俺達は残る。」
「・・・みんなが残るなら私だって残るぜ。」
百々の言葉を聞いて魔理沙はユニと影裏の戦いを見る。そんな中、二人は一歩も引かずに戦っていた。
「ケッ、中々やるじゃねぇか。流石は幻想郷の守護者だ。」
「あなたもアラヤの守護者と言われるだけあるわね、中々手強い。」
「だが、こんなのはまだウォーミングアップ。俺をもっと楽しませてくれよな!」
そう言う彼の顔には楽しそうな笑みが浮かんでいた。
「・・・仲間割れか?」
その頃、鋼鉄城内ではテルヒがモニターでユニと影裏の戦いを見ていた。
「随分と呑気だな、エリュとの決戦の日だというのに。だがあれは仲間割れではないか。
そう言いながら彼は別の方向に顔を向けて口を開いた。
「エリュ、お前の計画は成功へと行きそうだ。あの様子だと百々達はお前を超えることは出来ぬ。全てはエリュの手の中だ。」
そう言うと彼はゆっくりと立ち上がり、モニターの電源を切り、扉に向かいながら口を開いた。
「私も行くとしよう。これ以上エリュの計画を邪魔させるわけにはいかない。必ずや成功させよう。」
勃発するユニと影裏の戦い、エリュシオンとの決戦の前に起こってしまった2人の戦いはどうなるのか!?
次作もお楽しみに!