東方混沌記   作:ヤマタケる

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パンドラとの再会を果たした百々、そしてユニ達はエリュシオンのいる部屋へ。


第167話 凶神との戦い

部屋に入るとそこは薄暗く、部屋の周りにはモニターが並んでいてそこには緑色の文字が流れるように打ち込まれている。それを見た楓、百々、魔理沙、琥珀、暁が口を開いた。

 

「なんだこの部屋は・・・。」

 

「監視室・・・か?」

 

「ここがエリュシオンの部屋らしいから奴がどこかにいるはずだぜ。」

 

「アレがそんなに簡単に出てくるといいけども。」

 

「開幕即死は勘弁です。」

 

その瞬間、モニターの画面が消え、パッという音と共に部屋に明かりがついた。部屋はアカシャが容易く入れるような広さをしており、その奥には1人の女性が椅子に腰を下ろしてユニ達を見ていた。女性を見た瞬間、ユニと九十九が声を上げる。

 

「あれは!!」

 

「エリュシオン!!」

 

ユニ達を見たエリュシオンはクスクスと笑い、口を開いた。

 

「ごきげんよう、表の者達。そしてようこそ私の城へ、よく私の仕掛けた試練を乗り越えた。その努力だけは褒めてあげるわ。」

 

「手厚い歓迎、感謝しますよ。そのままついでに歓迎会でも開いてくれないかな?」

 

琥珀の言葉を聞いてもなお笑みを浮かべたままのエリュシオンは再び口を開く。

 

「歓迎会を開くつもりは一切ございません。さて、ここでクエスチョン。」

 

「?」

 

「アンタ達の身の回りに起こった異変は何故起こったのでしょうか?」

 

「・・・どういうことだ?」

 

彼女の唐突の問題に首を傾げる影裏。そんな中、九十九が琥珀に言う。

 

「琥珀知ってる?」

 

「・・・僕からは何も。」

 

そんな中、何かを察した霊夢がエリュシオンに言った。

 

「・・・一体いつから?」

 

「地王セコンドと帝王メルト・グランチの起こした異変から飽星寶の人里異変まで、ね。」

 

その言葉を聞いた瞬間、百々がゆっくりと口を開く。

 

「・・・幻想郷の、侵略か?」

 

「ご明察!・・・と言いたいところだけれど少し違うわ。あの子達の目的は侵略ではなく破壊。私の手によっての異変よ。」

 

「何っ!?」

 

「なんでそんなことを・・・なんて、聞く理由も無駄かしら。」

 

驚く悠岐とは別に九十九は落ち着いた様子で言う。と、エリュシオンが悠岐、霊夢、魔理沙を順に指差して言う。

 

「そして西田悠岐、博麗霊夢、霧雨魔理沙。アンタ達は百々に会った瞬間、あることを思ったはずよ。」

 

「あること?何も思わなかったけれど?」

 

苗沙麗夜(みょうずやれいや)、この名前に覚えは?」

 

「!!?」

 

その名前を聞いた瞬間、3人の表情が変わった。そんな中、楓と百々、ユニが首を傾げながら言う。

 

「・・・誰だ苗沙夜って。」

 

「誰だ?その、苗沙ってのは。」

 

「聞いたことないわ・・・。」

 

と、琥珀が少し引いた様子で口を開いた。

 

「あー・・・うん。なるほど。今そのことを話題に出すなんて、性格が悪いね。」

 

「ただ言ってみただけよ、詳しくは言わない。」

 

そう言うとエリュシオンは暁と影裏の方は顔を向け、笑みを浮かべて言う。

 

「それに、アラヤの守護者とガイア守護者が揃うなんて光栄じゃない?魄霊暁に理の破壊者。」

 

「お前が俺をどう思おうが俺にとってお前は排除の対象だ。」

 

「この星からしたら貴方はただの害虫ですけどね。」

 

「ククク、まぁそんなことどうでもいいのよ。アンタ達がここへ来た理由、それは私をいち早く倒すためでしょ?なら、こちらへ来なさい。」

 

そう言うと彼女は立ち上がり、ベランダへと歩み始めた。そんな中、暁が皆に向かって言う。

 

「最終決戦ですね。皆さん、獲物の様子をチェックしておけよ、です。」

 

「あぁ、分かってる。」

 

「相手は今まで戦ってきた中で1番ヤバいかもしれないわ。気を引き締めないと。」

 

「呪いは解いてほしいからね。そこそこに頑張るさ。」

 

楓、ユニ、琥珀が話している中、エリュシオンが口を開いた。

 

「フィールドはこっちよ。」

 

そう言うと彼女はベランダから飛び降りた。

 

「え、飛び降りんの?まじ?」

 

彼女の行動に驚きを隠せない百々。そんな彼に影裏が言う。

 

「お前は飛べるだろ。」

 

「飛べっけど、あんまり消費したくねぇんだよ。」

 

2人が話す中、ベランダの下を覗いた悠岐があることに気づき、言う。

 

「降りられる足場があるな。俺と楓と影裏はそこから行こう。」

 

「私達は飛んで降りるぜ!」

 

「おう、ならタダ乗りさせてくれよ魔理沙。」

 

「チッ、仕方ないな!」

 

百々の言葉に舌打ちするも了承する魔理沙。そんな2人とは別に悠岐、楓、影裏は足場を使って降り始めた。

 

「私達も行くわよ。」

 

「うん、分かってるわ。」

 

3人に続いて霊夢、ユニも飛んでゆっくりと下に降りていく。

 

「私達も急がなきゃ。」

 

「私は足場を使うとしましょう。」

 

「僕はフワフワ浮いていくよ。」

 

残った九十九、暁、琥珀もそれぞれの行き方で霊夢達の後を追って降り始める。3人に続いて魔理沙は百々を箒に乗せてゆっくりと降り始める。

 

「うわっ、百々が乗ると落ちるのが早くなるぜ!」

 

「重くて悪かったな!」

 

全員が降り終わると一同はあることに気がついた。城の上では雲一つとしてない空から雨が降っているかのように水が降っているのだ。

 

「これは・・・?」

 

「天気雨ってやつですかね・・・。」

 

ユニと暁が話す中、エリュシオンがユニ達に背を向け、空を見上げながら口を開いた。

 

「・・・私の生まれは空の上にある楽園だった。」

 

「・・・?」

 

唐突に落ち着いた口調で話すエリュシオンにユニ達は首を傾げる。そんな彼女達とは別にエリュシオンは話し続ける。

 

「白い大地と神殿が広がるだけの世界。そこで私は口にすることも近付くことも禁じられている禁断の果実を食べ、追放された。そしてこの世界へと流れ着いた。ここはあの腐った楽園とは打って変わって緑が広がっていて心地よい風が吹いてくれる。私は・・・こういう世界が欲しかったのかもしれない。」

 

「でも、人は要らないんだろう?」

 

琥珀が彼女に一言言った。それを聞いてエリュシオンは再び口を開く。

 

「勿論、私の望む世界に人間など必要ない。私に必要なのは私という存在を構成する家族、それさえいればいいのよ。」

 

「僕らの、表の世界に空の楽園を再び作ろうとしている。それを享受できるのは家族のみ。ただの自己満足じゃないか。」

 

「そうよ、これは私のただの自己満足。私の満足を阻止する者は誰であろうと殺す。だからアンタ達も対象の一つ。そしてアンタ達は何かの手違いなのか知らないけど選ばれた。そんなアンタ達に私が滅多に使わない言葉を送ってあげる。正々堂々と勝負してあげる。少しは私を楽しませなさいよ?」

 

エリュシオンがそう言った瞬間、九十九、楓が戦闘態勢に入り、口を開いた。

 

「私の幻想郷のようにはさせないわ。ここで止めてみせる!」

 

「上等、必ずお前を止める!」

 

「フフッ、覚悟は出来ているようね。ならば始めましょうか。」

 

そう言った瞬間、彼女の服の中から紫色のスライムが現れ、2つに割れたかと思うと彼女の手元までいき、そのまま拳銃と赤紫色の刀に変化した。

 

「スライム・・・・服・・・・うっ、頭が。」

 

「・・・暁?」

 

「はい、なんでもありません姉さん。」

 

「なら、さっさとやるわよ!」

 

霊夢と暁が話している中、百々と九十九が自分の姿を変化させていた。

 

「再現『鴉天狗の翼』!」

 

「力を貸して、アルカディア!」

 

「おらっ!」

 

「くらえ!」

 

始めに悠岐と楓が刀を抜き出し、エリュシオンに斬りかかる。

 

「フフッ。」

 

そう笑ったエリュシオンは刀を持つ右手の甲で悠岐の刀を振りかざすタイミングに合わせて弾き、楓の刀を避けて後ろへ受け流した。

 

「チッ!」

 

攻撃をかわされた2人は思わず舌打ちをする。

 

「そこです!『我は雷切の持ち主神威なり』。いでよ、雷切!」

 

雷切を手に暁は背を向けるエリュシオンに斬りかかる。だが彼女は暁の方に顔を振り向くことなく彼の攻撃を防ぐ。

 

「なにっ!?」

 

そのまま彼の攻撃を弾く。

 

「後ろがガラ空き!」

 

その一言と同時に琥珀は弾幕をエリュシオンの背に向けて放った。彼の言葉を聞いたエリュシオンは一枚のスペルカードを取り出し、発動した。

 

「スペルカード、完防イージス。」

 

彼女がスペルカードを発動した瞬間、彼女の周りに紫色の結界が現れた。

 

「やっば。忘れてた!みんな気をつけて!!」

 

琥珀の攻撃が結界に触れた瞬間、辺りに爆発の衝撃が襲った。

 

「うおっ!」

 

「きゃぁ!!」

 

爆発の衝撃を喰らった悠岐とユニは勢いよく吹っ飛ばされる。

 

「大丈夫かユニ!!」

 

鴉天狗の翼により得た素早さを最大限に活かし、百々は爆風に飛ばされたユニを受け止めた。

 

「あ、ありがとう百々君。」

 

「俺はぁぁぁぁぁ!!?」

 

そう叫びながら悠岐な誰にも受け止めてもらうことなく数十メートル吹っ飛び、数メートル転がった。

 

「わりぃ悠岐。ユニくらいなら大丈夫だがお前だとちょっと・・・。」

 

そう話している内にエリュシオンは目を青く光らせてユニ達を見ていた。そんな彼女に九十九が口を開いた。

 

「よそ見を、するな!『エト・イン・アルカディア・エゴ』!!」

 

4人に分裂した九十九が、それぞれ別方向からエリュシオンへ襲いかかる。

 

「よそ見?してないけれど?」

 

そう言った瞬間、エリュシオンの背後から薄暗い赤いモヤのようなものがユニ達を包み始めたかと思うと周りの風景がまるで苦しんでいる人達がこちらを見ているかのような感覚に包まれた空間へと変化した。

 

「な、なんだこれは!?」

 

「結界?幻術?どちらにしても、良いものではありません。」

 

魔理沙、暁が話している中、悠岐が辺りを見回しながら口を開いた。

 

「この空間・・・見覚えがあるぞ!確かゲームにあった気がするような・・・。」

 

悠岐が続きを言おうとした瞬間、エリュシオンの背後から大量の謎のロボットと大量のコブラ、そして青い鳥が姿を現した。

 

「まさかのモンストかぁ・・・。」

 

「となるとこれはドゥームの空間か!!」

 

「闘神の生みの親だから息子達の力を使えるのは当たり前って感じなのかなぁ。」

 

暁、楓、ユニが話している中、青い鳥やロボット達が一斉に攻撃を仕掛けてくる。

 

「雷切よ!」

 

暁が雷切へ霊力を送ることで、その刀身が電気を迸始める。

 

「くらえ、雷撃!」

 

「はあっ!」

 

暁に続いて楓が地雷ロボットを確実に倒していく。

 

「封魔針!!」

 

霊夢は1匹ずつコブラを倒していく。

 

「次はあなたよ!!」

 

そう言うとユニはエリュシオンに向かって至近距離で弾幕を放とうとする。その瞬間、エリュシオンはユニの目の前で紫色の渦巻くものを出した。その瞬間、ユニは渦巻く紫色のモノの中に入っていったかと思うと琥珀の背後まで移動された。

 

「な、何よこれ!!」

 

「ワープゲートみたいなものです!」

 

「気をつけないと変な場所に飛ばされるよ。」

 

「ワープですって!?めんどくさいわね。」

 

暁、琥珀がユニに言う中、影裏が刀を持ってエリュシオンに向かっていき、打ち合いを始めた。そんな彼にエリュシオンが笑みを浮かべながら言う。

 

「なるほど、アンタはワープに対抗できる力があるのね?面白い。」

 

そう言うと彼女は一瞬の隙を狙って影裏を蹴り飛ばした。

 

「グッ・・・。」

 

影裏が吹っ飛ばされたのと同時にエリュシオンの目が紫色に光り始める。その瞬間、空間がまた変わり、惑星のような丸いものが宙に浮かんでいる空間に変化した。それを見た暁が咄嗟に口を開く。

 

「この感覚は・・・アカシャです!!」

 

「クソッ、これじゃあ私や悠岐は思うように攻撃ができない!!」

 

歯を食いしばり、口を開く楓に霊夢が言う。

 

「ここは私達に任せて悠岐、楓、影裏は援護攻撃をやって!」

 

「任せろ!」

 

「あぁいいぜ。」

 

悠岐と影裏が言った瞬間、ユニ、霊夢、魔理沙は浮かぶ球体を避けながらエリュシオンに向かっていく。向かっている途中、床の針のようなものを見つける。そんな彼女達に琥珀が口を開いた。

 

「床の魔法陣にはふれないように!じゃないとーーー」

 

それに触れた琥珀は人からヒヨコへと姿が変わってしまった。

 

「こうなっちゃうよ!!」

 

ピヨピヨと本人は発していないのにも関わらずヒヨコの声を上げた琥珀がそう言った。それを見たユニが口を開く。

 

「琥珀君がヒヨコになっちゃった!?」

 

「魔法陣か?とりあえず触れなきゃいいって話だぜ!」

 

そう言うと魔理沙は浮くエリュシオンにミニ八卦路を向けてスペルカードを発動する。

 

「くらえ!マスタースパーク!!」

 

「ちょっ、いきなり!?」

 

驚く霊夢とは別に魔理沙はマスタースパークをエリュシオン向けて放った。そんな中、九十九が口を開く。

 

「カナン、借りるよ!」

 

紫のスマホを掲げ、Gペンを握った九十九は魔法陣へと向かって走り出した。それを見た影裏が言った。

 

「九十九のやつ、なんで自分から魔法陣に?」

 

「アイツの力だからだ。」

 

そう言った瞬間、魔法陣を通った九十九はヒヨコにはならずにコッコーという声を上げてニワトリへと姿を変えた。それを見た楓が言う。

 

「魔法陣ブースト。必殺技が使えなくなる代わりに自身の攻撃力が上がる能力だ。」

 

「そんな能力があったとはな・・・。」

 

楓と影裏が話している中、エリュシオンは魔理沙から放たれたマスタースパークを容易く避けていた。と、百々が魔理沙に言った。

 

「助太刀するぞ魔理沙!鬼の怪力を、受けてみろ!」

 

そう声をあげるがエリュシオンの目線は魔理沙に向いたままだった。しかし、彼女の持つ銃の銃口は百々へと向けられていた。それを見た彼は心の中で言う。

 

(この前、暁が言ってた。『銃弾は食べてしまえばノーダメージ』と!)

 

「銃から放たれるのは銃弾だけと誰が錯覚したのかしら?」

 

彼の心を読み取ったエリュシオンは銃口から銃弾ではなく紫色のレーザーを放った。

 

「俺が錯覚した!」

 

レーザーをその身に受けてもなお、百々はその足を止めなかった。

 

「へぇ。」

 

それを見たエリュシオンはただ感心してレーザーを放つのをやめ、彼の様子を伺う。

 

「なめんなよ。こちとらビームなんざ魔理沙から何度もくらってんだよ!」

 

「へぇ、なら。」

 

そう言った瞬間、エリュシオンの姿が一瞬にして消えたかと思うと百々の背後に移動した。

 

「はや・・・。」

 

後ろへ振り向く瞬間を狙ってエリュシオンは百々の首元を勢いよく掴む。

 

「ぐ、が・・・。」

 

そのままエリュシオンは彼を九十九の方へと勢いよく投げた。

 

「ちょ、待って。こっち今ニワトリ・・・。」

 

力はあれども、その圧倒的なサイズ差によって飛ばされた百々を受け止めることができなかった九十九はそのまま巻き込まれて吹っ飛んだ。

 

「百々君!九十九ちゃん!!」

 

二人に声をかけるユニとは別にエリュシオンはスペルカードを指の上で回しながら口を開いた。

 

「うーん、やっぱりあの子の力は飽きるわねぇ。だったらこれにしようかしらね。」

 

そう言った瞬間、エリュシオンの目が緑色に光り始めた。その瞬間、辺りが彼岸花が咲き乱れる赤い空間へと変化した。それを見た霊夢が言う。

 

「今度はメメントモリってやつね!」

 

「そうよ。さぁ、どんどん私を楽しませなさい。まだ戦いは序章に過ぎないんだから。」

 

そう言うエリュシオンの顔には不気味な笑みが浮かんでいた。




遂に始まるエリュシオンとの決戦。彼女が仕掛ける猛攻にユニ達は耐えることが出来るのか!?
次作もお楽しみに!
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