「か、義母さん・・・?」
百々の発した言葉に思わず声を上げるユニ。そんな彼女とは別に百々(?)がエリュシオンを見ながら言う。
「百々?・・・オレの名前は?アンタが与えたんだぜ、義母さん。」
「ちょ、ちょっと待て。麗夜だと?まさかテメェ苗沙麗夜なのか!?」
突如声を上げる悠岐。そんな彼を見て首を傾げるユニ、楓、暁、影裏、九十九。と、麗夜が悠岐に言う。
「よぉ黒き刀。いや、今は悠岐って呼ぶべきか。あの時は悪かったな。」
「・・・?」
そう言う麗夜の顔には反省の表情が浮かんでいた。苗沙麗夜、かつて先代復活異変にて悠岐達を苦しめ、そして共に異変解決までした男である。彼の表情を見て悠岐は心の中で語る。
(なんだ、あいつは表情。あの時と比べると悪意も何も感じない。それどころかこいつは本当に苗沙麗夜なのか?どっちかって言うと百々にしか感じない。)
「おいおい悠岐、お前俺のこと百々にしか見えないって表情してんな?一応俺は百々ではあるが百々ではないってことだけ言っておく。」
自分の心理を言い当てられた悠岐は内心驚きを隠さなかった。と、エリュシオンが話す麗夜に口を開く。
「・・・えぇ、そうね。久しぶり麗夜。」
「おおっと、逸れちまったな。あぁ、久しぶりだな義母さん。」
「どれだけあなたに会いたかったことか・・・。」
そう言うエリュシオンの表情は今まで見たどんな表情よりも優しさに溢れていた。そんな彼女に百々改め麗夜がいう。
「オレも会いたかったよ。」
「でも、今は再開を喜ぶ暇なんてないわ。周りを見れば分かるし、私がしたことを考えれば。」
「だな。さっき精神の奥底から助け出してもらった妖怪の賢者に免じて今回限りはアンタの敵だ、義母さん。」
「・・・そんなことしてたの?紫。」
麗夜とエリュシオンが話している中、霊夢が紫に問う。そんな彼女に紫は口を開く。
「えぇそうよ。いくら全能神であるガイルゴールとはいえ、禁断の果実を口にし、尚且つ千年殃禍で完全に癒えきってない状態で勝てるとは思ってなかったの。だから2人が戦ってる間に箱を盗んで記憶を取り戻させたのよ。」
紫が話している中、エリュシオンが剣を麗夜に向けて口を開く。
「私だからと言って手加減なんてダメよ?本気でかかってきなさい!」
「・・・んじゃあまぁ、胸を借りるつもりで挑ませてもらうぞ義母さん!」
その瞬間、2人は同時にスペルカードを発動していた。
「「倍速『クロックアップ』!!」」
次の瞬間、2人は目にも止まらぬ速さで空中を移動しながら斬り合いを始める。
「すげぇな、まじで斬撃しか見えねーよ。」
そう言いながら影裏は悠岐の肩を組んで言う。それをあまりに気にせず悠岐が口を開く。
「俺達の出番はなさそうだな。」
「えぇ、なんか邪魔したら私達まで危ない気がするわ。」
ユニがそう言うと麗夜とエリュシオンが互いに距離を取って静止する。お互い息を切らしており体には剣と刀で切った切り傷が刻まれていた。と、エリュシオンが目を細めて言う。
「百々、一つ聞きたいんだけれど。」
「だから今の俺は麗夜だっつの。まぁいいや、何の用だ義母さん。」
「あなた、どうしてわざと攻撃を外してるの?」
「・・・なんのことだ?」
「惚けないで、あなたが私と斬り合ってる中で一部確実に当たるであろう斬撃はあなたはわざと外して防御に徹していた。一体何のつもりなの?」
「そういう義母さんこそ、俺への斬撃の中で急所に当たるようなのは避けてるじゃねぇか。義母さんこそこの戦闘に手を抜いてるんじゃないのか?」
「・・・別に、久しぶりにあなたを剣を交えるから様子を見ながらやってるだけよ。さぁ続けるわよ。」
そう言ってエリュシオンは剣を構えて百々に向ける。それを見た百々も刀を向けて口を開く。
「あぁ、そうだな。今は世界の命運が掛かってるからな。ここで手を止めるわけにはいかない。」
そう言って2人は再び斬り合いに発展する。2人の戦いを見ていた紫が突然口を開く。
「変ね・・・。さっきの奴とは思えないほど戦いに乗ってる気がしない。まるで戦うことを拒んでいるようだわ。」
「それはきっと、百々のことじゃない?」
そう言って幽香が彼女の隣に立って言う。そんな彼女を見て紫が再び口を開く。
「あなた、傷は大丈夫なの?」
「さっき知識の妖精に『癒』の文字を傷に当ててもらったからさっきよりは幾分マシになったわ。それより、エリュシオンが戦いを拒んでるようって言ったけど、多分あれは私達ではなく百々のことを言っていると思うわ。」
「えぇ、そうね。さっきから百々に対してだけ確実に急所を狙える攻撃を避けている。本当に彼のことを思っていたのね。」
「そうだよ、アイツはこの戦いのジョーカーだからな。」
そう言いながら九十九が2人に歩み寄る。そんな中、エリュシオンと百々が斬り合いながら叫んでいた。
「いいわねぇ百々!!この感覚懐かしいわ!」
「そりゃどうも義母さん!!」
2人は攻撃の手を一切緩めることなく斬り合いを続ける。と、ユニが突然口を開く。
「ね、ねぇ。なんで百々君ってあんなにエリュシオンを真正面から斬りあえるの?実力差は明白な筈なのに・・・。」
「きっと勘だよ。」
ユニの問いに答えたのは琥珀だった。彼に続いて悠岐が口を開く。
「確かに俺もそれは少し思ってた。あのガイルゴールですら勝てなかった相手に互角の勝負してるんだからな。」
「過去奴と共に生きてきた経験でしょうか、しっかりと対応できてる。」
「傷は覆ってるが致命的な攻撃は全部避けてやがる。本当に経験なんだな、あいつは。」
彼に続いて暁、影裏が言った。そんな中、エリュシオンが百々と斬り合いをしながら口を開く。
「さぁ百々、どんどんあなたの体が削られていくわ。もう余裕なんてないんじゃない?」
そう言いながらなんとエリュシオンは斬り合いながら左手に握り拳を作ってそれを百々に向けて放とうとする。
「んなモン分かってんだよ義母さん!!」
そう言いながら百々はエリュシオンの拳による一撃を躱すとそのまま伸び切った彼女の左腕を掴む。そして刀を振り上げた。
「無駄よ百々!!そんなことしたら・・・。」
「オイオイ霊夢、まさかこの俺が分かってないとでも?」
そう言うと百々は振り払おうと左足を上げて蹴りを入れようとするエリュシオンを冷静に見てその蹴りをなんと伸び切って掴んでいる彼女の左腕に当たるように位置をずらしたのだ。
「ぐぅ!!?」
思わず目を見開き声を上げるエリュシオン。その一撃によりエリュシオンの左腕が折れ曲がった。
「こんなので喜んでるんじゃないわよ!!!」
そう言いながらエリュシオンは剣を百々に向かって振り下ろした。
「うぉっと!危ねぇ!!」
そう言いながら彼は咄嗟に彼女の腕を放し、攻撃を回避する。
「いってぇな義母さん。あんな近距離で振られたら避けらんねぇって。」
そう言う百々はエリュシオンの攻撃を避けきれず、顔をバッサリ斬られてしまう。と、2人の戦いを見ていたセコンドが口を開いた。
「成程、奴は体の一部を切り落としたり引き千切ったりでもすれば再生して更に他の傷も癒えてしまう。そうならぬよう骨を折って動きを封じようとする策か!」
「これが奴の攻略法って訳ね。」
彼に続いて紫も言葉を漏らす。と、エリュシオンが息を荒げながら折れた左腕を剣を持ちながら抑えて言う。
「フン、たかが腕を折ったからって調子に乗るんじゃないわよ百々。まだ終わった訳じゃないんだからね。」
「分かってるよ義母さん、顔切られたの結構いてぇよ。」
「お互い痛み分けってことで。さぁ、まだまだ楽しむわよ百々!!」
「俺はさっさと終わらせてぇよ。」
エリュシオンと互角に渡り合う百々こと苗沙麗夜。この2人の戦いの結末は!?
次作もお楽しみに!