東方混沌記   作:ヤマタケる

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紫の策略によりパンドラの箱の中身を開けて過去の記憶を取り戻した百々こと苗沙麗夜はエリュシオンと互角の戦いに持ち込む。


第185話 消えない余裕

左腕を折られたエリュシオン、顔を斬られた百々は闘気を緩めることなく対峙する。

 

「ケチケチしないで私との戦いをもっと楽しみましょう!!」

 

そう言いながらエリュシオンは剣を持って勢いよく百々の元へ走っていく。それを見て百々も刀を構えて迎撃する。そのまま2人は再び斬り合いに持っていく。と、エリュシオンが狂気的な笑みを浮かべて口を開いた。

 

「あら百々、あなたは一体いつから斬り合いが好きになったの?でも片腕が使えない私よりまだまだ遅い!!」

 

「チクショウ!本来有利な展開な筈なのにこんな押されるなんて!」

 

エリュシオンによる斬撃の勢いは治ることを知らず、それどころか加速していき、どんどん百々の体から血飛沫が舞う。それを見たユニが不安の表情を浮かべる。

 

「百々君・・・。」

 

「安心しなユニ。あいつなら大丈夫さ。」

 

そう言って彼女の肩を軽く叩いたのは九十九だった。そして話を続ける。

 

「あいつはな、奴を倒すためのジョーカーなんだ。あいつしかエリュシオンを倒せない。」

 

「でも・・・でもここで百々君が負けちゃったらどうなるの?もうどうしようも・・・。」

 

「九十九がそう言ってるんだ、信じるしかない。」

 

不安になるユニに声をかけたのは楓だった。そんな中、エリュシオンと百々は斬り合いながら声を上げていた。

 

「もっとよ百々!もっと私を楽しませて!」

 

「俺は楽しくねぇよ!」

 

次の瞬間、エリュシオンの剣の一撃が突如として重くなり、そのまま百々の刀を勢いよく弾いたのだ。

 

「ぬおっ!?」

 

そのまま百々は声を上げて刀を手放してしまう。そんな彼にエリュシオンが剣を振り上げて口を開いた。

 

「おしまいね。」

 

「そうはいかねぇ!!」

 

そう言いながら百々は勢いよく転がりながらエリュシオンの斬撃を躱したのだ。そのまま転がった百々はちょうど背後に腰を下ろしていた篁に声をかける。

 

「なぁ篁。その鎖鎌、貸してくれねぇか?」

 

「お前に扱えるか分からんがやってみな。」

 

そう言うと彼は鎖鎌を百々に投げて渡した。

 

「おっと!相変わらず重いなこれ。片手で扱う篁マジでバケモンかよ。」

 

鎖鎌を受け取った百々は両手に持ってエリュシオンと対峙する。それを見た彼女は目を細めて言う。

 

「百々、そんなので私を倒せると思ってる?」

 

「やるんだよ。」

 

そう言うと彼は勢いよくエリュシオンに突っ込んでいく。そのまま鎖鎌と剣が弾く音が辺りに響く。だが体を斬られ続けられるのは鎖鎌を振るう百々だった。

 

「くっそー、こんなんじゃ一生当たらない気がする。」

 

ちらりを目線をどこかに動かしながら百々が口を開く。そんな彼にエリュシオンが目を細めて言う。

 

「当たり前よ百々。そんな大振りな武器で私にダメージを与えられるわけないでしょ?(一瞬目を逸らした。誰かに合図を送った?)」

 

彼の一瞬の行動を見逃さなかったエリュシオンは周囲を警戒する。その瞬間、百々が再び鎖鎌を振り上げて口を開いた。

 

「何をそんなビビってんだよ義母さん!!」

 

「別に、私は・・・!?」

 

冷静に言おうとした瞬間、エリュシオンは右足に違和感を感じて思わず見る。彼女の足には鎖鎌の鎖がぐるぐるに巻きつかれていた。

 

「なにっ!?(いつの間に拘束していた!?でも問題ない。)」

 

そのまま彼女は迫り来る百々を激撃しようとした時だった。突如エリュシオンの背後に1人の影が姿を現した。それにいち早く気づいたエリュシオンは咄嗟に目だけ後ろに向ける。そこには悠岐がおり、彼女に斬りかかろうとしていた。

 

「死に損ないが!!私と百々との楽しい時間を邪魔するんじゃ、!?」

 

声を上げたエリュシオンだが途中で言葉を失う。なんと彼の手元にはあるはずの漆黒の刃が握られていなかった。

 

(刀がない!?まさか、フェイク!!?)

 

彼女がそう思う束の間、既に百々が彼女の間合いに侵入していた。

 

「なっ!!(ヤッバ、この間合いは避けられない!!)」

 

「完全に意識が悠岐に行っちまったな義母さん!これでも食らっとけぇ!!!」

 

「ぐぅぅぅ!!!」

 

そのまま百々は勢いよく鎖鎌を振り下ろした。その重い一撃はエリュシオンの胸部及び腹部を捉えていた。

 

「ゴホッ、やるじゃない、の。」

 

吐血しながらエリュシオンは後退する。後退している瞬間、彼女の背後から漆黒の刃を持った霊夢と九十九がおり既に攻撃する体勢に入っていた。

 

「なにっ!?」

 

「随分といい表情してるじゃない。これでも喰らいなさい!」

 

「無惨に殺されたみんなの分の恨み、全部じゃないがぶつけてやる!!」

 

後退しているエリュシオンは体勢が悪く瞬時に立て直せない。そのまま霊夢はエリュシオンの右足を斬り裂き、九十九は左足を勢いよく蹴り抜いた。

 

「ぐあっ!!」

 

2人の攻撃によりエリュシオンは右足の腱が斬られ、更に左足は膝が反対方向へと曲がっていた。だが、その状態でもエリュシオンは痛みをものともせず目に殺意を宿らせて2人に向けて剣を振り上げる。

 

「文字よ。」

 

その声が聞こえたと同時にエリュシオンの剣を振り上げる右腕に『止』の文字が浮かび上がった。その瞬間、剣を振り下ろそうとする彼女の右腕が止まった。霊夢達の背後には琥珀が文字を浮かべて彼女の動きを止めていた。

 

「チッ、邪魔をするな!!」

 

怒りを現したエリュシオンが大声を上げる。次の瞬間、彼女が無理矢理右腕を彼の拘束を外そうとする。その瞬間、影裏がエリュシオンの背後にやってきてそのまま剣を振り上げる彼女の手首を掴む。そして口を開く。

 

「やれユニ。」

 

そう一言呟いた。その瞬間、エリュシオンの正面にユニが現れたが現れた。そんな彼女の右手には拳銃が握られており銃口がエリュシオンに向けられていた。そしてユニが口を開いた。

 

「私は守護者として、あなたを止める。やり方はどうあろうがあなたに色々言われても何も思わないわ。だってあなたも散々色んな人達を虐げてきたんだもの。文句は言わせない!!」

 

そう言って彼女は1発銃弾を放った。

 

「ぐっ!」

 

その1発は彼女の右肩を撃ち抜いていた。そのまま影裏が口を開いた。

 

「うちのクソ上司もあんたが目障りで仕方ないらしいからな。俺もやらせてもらうぜ。」

 

そう言った瞬間、影裏はエリュシオンの右腕を膝から反対方向に折り曲げた。ゴキッという鈍い音と共にエリュシオンの右腕が反対方向に折れ曲がった。その瞬間、近くにいた霊夢、九十九、影裏、ユニ、琥珀が後退したかと思うと楓が彼女の前に現れ、刀を構えていた。

 

「ヴァンとピンの恨みだ!!」

 

そう言うと彼女は氷龍の剣を横薙ぎに払う。その一撃を躱せないエリュシオンはその一撃を食う。

 

「ぐぅぅぅ!!」

 

その横薙ぎは彼女の両目を捉えており、血涙が流れはじめる。その状態の彼女に百々が鎖鎌を手放し、握り拳を使って勢いよく突っ込みながら口を開いた。

 

「散々俺達の仲間を酷い目に遭わせてくれたな義母さん。いくら義母さんでもそれは許せない。これでも食らっとけぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「ぐはぁぁぁぁ!!!」

 

その場から動けないエリュシオンに百々は渾身の一撃を顔面に喰らわした。拳を喰らったエリュシオンはそのまま勢いよく吹っ飛ばされる。

 

「やった!!」

 

「ありがとなみんな。正直勝てる気がしなかった。」

 

「奴に勘づかれた時は少し焦ったけどね。上手くいって良かったわ。」

 

「私は何もしていんですが・・・。」

 

「私も何も出来なかったぜ・・・。」

 

喜ぶユニと霊夢。仲間に感謝する百々。そして何も出来なかった暁と魔理沙。10人は色々と笑顔で話する。と、百々がある方向を見てそこへ向かう。そこは地面を転がったエリュシオンの元であり彼女はその場で座り込んでいた。何も見えず、動けない状態のエリュシオンはその場に座ったままだった。その瞬間、多くの足音が彼女の耳に響き渡る。それを聞いた彼女は心の中で語る。

 

(何も見えないけどおそらく全員私を囲んでいる。逃げられないようにさるためね。そして・・・。)

 

「終わりだ、義母さん。」

 

その声を聞いたエリュシオンはその主が百々であるのことを瞬時に理解する。そのまま百々は再び言う。

 

「幻獣達はオッサン達の特殊部隊によって殲滅、あんたが雇ったモンスターやナイトメア達もほぼ戦力が絶たれた。そして闘神達もいないしテルヒ、オスカーもいない。」

 

「・・・。」

 

「それに義母さんは両腕骨折、右足靱帯断裂、左足骨折で両目斬られて何も見えない。もう義母さんに勝ち目はない。諦めるんだ、義母さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフ、ククク、ククククク、アーッハハハハハハッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

百々が言った瞬間、突如として大きな声で笑い声を上げるエリュシオン。その表情は目を閉じていても狂気を感じ、その場にいるもの全員が戦慄した。そんな中、百々が汗を流しながら口を開いた。

 

「な、何言ってんだよ義母さん。もうどう見ても勝てる要素ないじゃねぇか。そんな状況で・・・。」

 

「アハハハハハハ、これで勝ったつもりなの?百々。」

 

「・・・さっきも言ったがテルヒもオスカーも居なければ頼れる闘神達も居ない。もう義母さんに勝ち目は━━。」

 

「これで勝ったつもりなのか、と聞いているのよ百々。何故私がこんな状況になってでもこんなにしていられるか分かる?まだ私には切り札があるってことよ。」

 

「なっ、まさか!?」

 

何かを思い出した百々が目を見開いて声を上げる。と、エリュシオンが折られている筈の左腕を強引に動かして服の胸元に手を入れる。そしてそこから怪しげに光る林檎のような果実を取り出した。そしてなんと腱を斬られ、膝を逆に折られている筈の両足で立ち上がり、大きな声を上げた。

 

「そうよ!!私には全てを闇に飲み込むこの『禁断の果実』の力がある!これを使って世界を永遠に光のない闇で覆い尽くしてやるのよ!!」

 

「やめるんだエリュ!!!」

 

咄嗟に反応して勢いよく走る百々。だが反応するのが遅く、エリュシオンはあっという間に果実を食べ尽くしていた。

 

「しまった!!」

 

思わず声を漏らす百々。その瞬間、エリュシオンの周りに紫色の渦が漂い始める。それは勢いを増していく。

 

「マズイ。皆の者、直ちにここから離れるのだ!!」

 

セコンドの一声と共にその場にいる者達全員が一斉にエリュシオンの元から離れる。

 

「百々!危険だ、離れるぞ!!」

 

「バカ兄貴早く!!」

 

咄嗟に篁と九十九が百々の元へ行き、彼を引っ張って走り出した。

 

「チッ、エリュ・・・。」

 

「私達も急がないと!」

 

「影裏乗れ!」

 

「私達は飛んで逃げるわよ暁、琥珀!」

 

「楓!ケイに乗って離れよう!」

 

舌打ちをする百々。ユニ、霊夢、暁、琥珀は宙に飛び上がってその場から離れる。魔理沙は影裏を箒に乗せてその場から離脱する。悠岐と楓は馬のケイに乗ってその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マテ。ゼンインニガシハシナチワ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃げるユニ達へ向けて突如不気味な声が辺りに響き渡った。その瞬間、紫色の渦がどんどん大きくなったかと思うと鋼鉄城と親父くらいの大きさの蜘蛛のような姿に変貌した。

 

「な、何よあれ・・・。」

 




禁断の果実の力により変貌を遂げるエリュシオン。だがこの後更なる絶望が襲いかかる・・・。
次作もお楽しみに!
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