「な、何だよあれ・・・。」
「奴の翼に、目が・・・。」
異様な状況にユニ達は戦慄する。そんな中、地上に降りたテルヒが百々、九十九を下ろしてその様子を見ていた。と、百々が声を上げる。
「どんな姿になろうが関係ねぇ!!ぶっ飛ばしてやるぞエリュ!!」
そう言うと百々は勢いよく飛び上がり、エリュシオンの元へ向かう。
「ちょっとお兄さん!?」
彼に続いて九十九も勢いよくエリュシオンの元へ向かう。そのままエリュシオンの顔の近くまできた百々はスペルカードを発動していた。
「力借りるぜ悠岐に霊夢!漆黒転生・極!!!」
素手で黒い光を溜めると百々はそのまま彼女の顔に向かって攻撃を放った。だが彼の攻撃はすぐに消えてしまい、エリュシオンは何食わぬ顔で彼を見つめる。
「お兄さん!技能:夢見100。」
スマホを取り出した彼女は6人の爆絶級の高校生の幻影を生み出したかと思うとそのままエリュシオンに向かって幻影と共に攻撃を放った。だが百々同様顔に当たった瞬間にすぐに消えてしまう。その瞬間、エリュシオンの目から無数の光が現れたかとそのまま弾幕と化して2人に襲いかかる。
「ぐあっ!!」
「ぐぅ!避けられない!!」
無数の弾幕を喰らった2人はそのまま勢いよく地面に落ちていく。そんな2人を見たテルヒはすぐに駆け寄って背中に乗せる。その瞬間、エリュシオンは翼の目から大量の光を溜め始める。それを見た紫が目を見開いて口を開く。
「ち、ちょっとまさか・・・。」
何か嫌な予感を感じた瞬間、目から超大量の弾幕が辺りに雨のように降り注ぎ始めた。その弾幕一つ一つは地面に落ちる度に強い衝撃波を放ち、避けた人達を襲う。
「ぐわぁぁ!!」
「うわぁぁ!!」
これにより月人の兵士や戦車に乗る五大王の兵士達、更には鬼や妖怪達、龍神とバベルにも襲いかかる。そんな中、剛岐が辺りに大きな声を上げる。
「皆撤収しろ!!」
そう言った瞬間、エリュシオンが口に紫色の光を溜めたかと思うとそれを空に放った。その光は超上空で無数の光に分裂したかと思うと隕石のようにユニ達へ向かって降り注いでいく。
「ぐっ、強!?」
防ごうとした加奈子だが辺りの強い衝撃に吹き飛ばされてしまう。
「燃えぬ!?ぐあっ!」
火薬を撒き、爆発の衝撃で防ごうと試みるメルト・グランチだが光の強さが勝り、そのまま勢いよく吹き飛ばされる。その一方で無数の攻撃を受けた龍神とバベルはそのままゆっくりと地面に崩れ落ちてしまう。その瞬間にエリュシオンは両手に光を溜めてそれをビームの形状にして誰もいない場所に放った。その瞬間、辺りに凄まじい衝撃が襲いかかる。
「ぐぁぁぁぁ!!!」
「きゃぁぁぁあ!!」
その場にいた兵士達や妖怪はおろか、鋼鉄城周辺の建物をも次々と吹き飛ばしてしまう。無論、ユニ達も同じだった・・・。
「う、うぅ・・・。」
衝撃が収まった場所でユニが1人、ゆっくりを体を起こす。
「ぐっ!?」
その瞬間、ユニの体に吹き飛ばされた影響により痛みが襲う。
「ぐぅぅ、これくらい・・・。」
そう言うとユニは辺りを見回し始める。そこには先程のエリュシオンの一撃によって荒野と化した城下町。そして倒れる兵士や妖怪達、月人達の姿だった。それを見たユニはカタカタと体を震わせる。
「ユニ!」
その声が聞こえた方向を見るとそこには悠岐に肩を借りて歩く楓の姿があった。と、悠岐が彼女に言う。
「大丈夫かユニ。さっきのは一体・・・。」
「分からない。けどみんなが・・・。」
「・・・さっきの衝撃はデカかった。戦車のみならず、街も吹っ飛んでる。」
「みんな!!」
再び声が聞こえたかと思うと霊夢を背負う暁、九十九を抱える百々、そして魔理沙、いつの間にか復活した琥珀、影裏の3人が歩み寄る。百々の腕の中で目を閉じている九十九を見たユニは震える声で声を出す。
「つ、九十九、ちゃん・・・?」
「安心しろ、死んでねぇ。気を失ってるだけだ。それよりみんなは!?」
「・・・微かに霊力は感じる、けど動ける霊力ではなさそうだね。」
そう琥珀が言った瞬間、辺りにがズシンと急に揺れ始めた。それを感じたユニ達はある方向を見る。そこにはエリュシオンがじっとユニ達のことを見ていた。まるで、後はお前達だけだ、と言わんばかりに。それを見た影裏が歯を食い縛りながら口を開いた。
「クソがぁ、俺達で奴をなんとかしなきゃいけないのか!」
「残されてるのは俺たちだけだ。やるしかない。」
そう言うと悠岐は楓をそっと座らせると漆黒の刃を取り出して刃を向ける。
「・・・無理だよ。」
突如ユニが一言呟く。それを聞いた魔理沙が思わず彼女に怒鳴る。
「あ?何言ってんだよユニ。さっき百々に言われたこと忘れたのか?」
「だって・・・。」
「またなんか言うつもり?そう言うのは・・・。」
「だって周りを見てよ!!!」
霊夢が言おうとしたのをユニは大きく怒鳴って止める。そんな彼女は絶望の表情を浮かべ、息を荒くしながら再び口を開いた。
「もう・・・戦えるの、私達しかいないんだよ?色んな人達が色んな方法で攻撃を試みた。でも、何も通じてないんだもん。傷一つ与えられてないんだもん。こんなの、勝てる訳ないじゃない!!!」
そう叫んだユニの顔には大量の涙が溢れていた。それを聞いた魔理沙は辺りを見回す。そう、もうユニ達以外に戦える者が誰1人としていないのだ。その瞬間、魔理沙は膝を着き、頭を抱えて呟く。
「終わりだ・・・。私達の世界は、幻想郷は、現世は、奴によって破壊されちまう・・・。」
絶望する魔理沙とは別に楓がヨロヨロになりながら立ち上がり、氷の剣を手にとって口を開いた。
「何言ってるんだ、ユニに魔理沙。今までの戦いを忘れたか?私達は今までどんな状況だろうと諦めたことはあったか?カオスが多くの軍勢を率いて幻想郷を侵略しようとしてきた時も、千年殃禍でガイルゴールが攻めてきた時も、一度でも諦めようって思った時はあったか?」
「・・・楓、ちゃん?」
「少なくとも私は一度も思わなかった。相手がどんなに力を倍増させる冥界神だろうと、破壊の化身だろうと、魂の牢獄を愛でる闘神だろうと、圧倒的な強さを誇る凶神だろうと、私は諦めようって思ったことはない。」
「俺も同じだ。」
彼女に続いて悠岐が口を開いた。そして言う。
「俺もセコンドや大魔王が幻想郷に攻めてきた時、一度たりとも降参しようと思ったことはねぇ。今の世界が崩壊寸前まで来てようが関係ねぇ。諦めたらよ、死んでいった仲間達に合わせる顔がねぇんだ。」
「・・・ありがとう悠岐、少し希望をもらった気がするわ。」
そう言うと霊夢は楓の隣に立つ。彼女に続いて暁が悠岐の隣に立って口を開いた。
「私も、ガイアの守護者を名乗っている以上、白旗を上げるという行為はしません。姉さんを、姉さんが愛した仲間や世界を守り抜きます。それがこの、魄麗暁なんです。」
「かっこいいこと言うな、魄麗暁。俺もお前と同じだ、ここで諦めたらあのクソ上司に会えねぇっての。必ず成果を持って帰らねぇとな。」
彼に続いて影裏が隣に立って口を開いた。
「アタシも、同じさ。」
そう言ったのは百々に担がれている元の鬼の姿に戻った九十九だった。彼女は百々から降りると霊夢の隣に立って言う。
「アタシは、友達の想いを胸にこの戦いに挑んでいる。楽じゃないのは分かってるし、誰かが死ぬかもしれないのは分かってる。けど、諦めちゃダメなんだ。アタシはもう、逃げないって決めたんだ。」
「俺も。世話になったんだ、俺がやらなきゃ誰がやるんだってな。」
「・・・ごめん、私感傷的になっちまってた。」
そう言うと魔理沙は箒を手に取り、霊夢の隣に立つ。
「僕もこの戦いには全力だよ。だって世界が滅んでしまったら新たな知識を得る方が出来なくなっちゃうからね。」
そう言いながら琥珀は本の翼をいじりながら影裏の隣に立つ。それを見たユニは涙を拭き、ゆっくりと立ち上がって口を開く。
「ごめん、ずっとマイナス思考だったわね。そうよね、残ってる私達でなんとかしないといけないんだから!!」
ユニがそう言った瞬間、霊夢達は同時に戦闘態勢に入る。それを見たエリュシオンはただじっと見つめていた。
「さぁ、行くわよ!!」
ユニがそう言った瞬間、10人は叫び声を上げながらエリュシオンへと向かっていく。それを見たエリュシオンは口に紫色の光を溜め始める。それはみるみる巨大化していき、先程とは比べ物にならないほど巨大な大きさになった。
(みんな、ごめんね・・・。)
そう心の中で呟いたユニは一粒の涙を溢し、そのままエリュシオンへと向かっていった。
プップクプップ〜 プップクプップップ〜♩
その時、突如辺りにラッパの音が響き渡った。その音を聞いたユニ達は思わず足を止める。
「この音・・・一体なんだ?」
「まさか、エリュシオンの増援って言わないよなぁ。」
思わず声を出す楓と影裏。ラッパの音を聞いていたエリュシオンは光を溜めるのをやめて辺りを見回していた。
「祝福の、お知らせに参りました〜♪」
その声が聞こえた瞬間、緑色の髪に6つの白い翼を生やして誰が見ても天使と言うべき少女がラッパを持って降りてきたのだ。彼女を見た暁が口を開いた。
「あれは、ガブリエル!?」
「ガブリエル?あの天使のことか?敵なのか?」
「いえ、敵ではありません。ですが何故ここへ?」
影裏と暁が話している中、ガブリエルがユニ達の前へゆっくりと降り立った。そした口を開く。
「よいしょっと。初めまして、私はガブリエルって言います。神様からのお手伝いでここへ来ました♪」
「神様ってのは?」
「あ!あなたが噂の幻想郷の守護者のユニさんですね?お会いできて光栄です!」
そう言うとガブリエルは聞き耳を持たずにユニの手を取り、満面の笑みを見せる。そんな彼女に魔理沙が言った。
「なぁガブリエル、神様ってのは誰なんだ?」
「神様ですか?ガイルゴール様ですよ。ガイルゴール様の使いのお二人からお手伝いを依頼されましてそれをしに来たんです。」
「お手伝いって言っても、あのどうやっても傷一つつけられない最悪の化け物に対抗できるの?」
「えぇ、勿論ですよ。ほら!」
ガブリエルがそう言って空を指差した。その瞬間、紫色の靄が晴れたかと思うとそこから黄色い光が降り注ぎ始めたのだ。
突如現れたガブリエル。そして靄を晴れさせる光の正体は!?
次作もお楽しみに!