東方混沌記   作:ヤマタケる

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第193話 

───しい。

 

───みしい。

 

───寂しい。

 

あの日から私は、ずっと1人だった。多くの人間達と何度も共生しようとしていた。でも所詮は人間、自分のエゴしか考えられない、クソッタレな生き物だった。何度も裏切られ、何度も殺された。もう、信用出来なくなった。私に必要なのは家族だった───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリュ!」

 

「エリュ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───なんでそんな馴れ馴れしく呼ぶの?私を助けてくれなかったくせに!!!私が禁断の果実に手を染めたから?それでも助けるのが友達なんじゃないの?どうなのよ?アダム、イヴ!!────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───いつからだったかしらね?あぁ、あの時か。私が、あの子と初めて会った日。そう、その日は腹ごしらえに捨て子を喰おうと思ってた時だった。

 

「やめて!やめてよ!ぎゃぁぁぁ痛い痛い痛いぃぃぃ!!」

 

鬼ヶ島周辺の人間の捨て子をいつものように喰っていた時だった。1人の捨て子を完食した時に、その子はいた。まだ生まれて1、2年しか経っていないであろう角の生えた赤子が誰もいない茂みの中にいたのだ。おそらく鬼の子だろう。気づけば私はその子の元へ歩み寄っていた。そう、喰うために。その子の元へ行き、顔を覗かせる。血に染まった顔を見てしまえば普通の赤子なら恐怖で泣き叫ぶ。だがその子は違った。

 

「だぁだぁ♪」

 

その子は、私を見て笑ったのだ。私はついその子に言葉をかけてしまった。

 

「アンタ、私のこと怖くないの?」

 

「マァマァ♪」

 

当然ちゃんとした答えが返ってくるわけがない。その子は私を見て、『ママ』と呼んだのだ。見ず知らずの私を・・・。気がつけば私は喰うのをやめてその子を抱き抱えていた。

 

「アンタ、名前なんて言うの?」

 

「ばう?」

 

「・・・って、そう言っても赤ん坊が言えるわけないわよね・・・。」

 

「も、も。」

 

「桃ねぇ・・・ってえ?」

 

「も、もぉ。」

 

私はその時衝撃を覚えた。赤子が言葉を理解し、そして話せている。その時私は、その子との運命を感じ、連れていっていた。誰の子なのかも知らずに────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気づけば私は、百々の世話をしていた。本当の親がいるはずなのに、私はまるで我が子のように彼を可愛がっていた。

 

「あ、百々!!石は食べない!!」

 

「だぁぶぅ!」

 

彼を育て続けて数百年、気がつけば彼は少年にまで成長していた。後に知った話だが、彼の名前は伊吹百々。人間と鬼の間に産まれた子だと言う。おそらく人間は桃太郎なのだろう、なんてイレギュラーなんでしょうね。鬼を退治するために鬼ヶ島に来た人間があろうことか鬼と人の子を産ませてしまうなんてね。しばらく彼を観察してみたけど、テルヒ、ドゥーム、ニルヴァーナ、パンドラとは仲良くやれているけどメメやカルマ、アカシャとはどうしても仲良くなれなかった。でも私は、これが家族なんだって思って幸せに感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、そんな幸せは永遠に続くことはない。それは、テルヒの一言で訪れたのだった。

 

「エリュ、鬼ヶ島の連中が百々を探している。潮時だな。」

 

「・・・えぇ、そうね。」

 

私も覚悟は決めていた。勿論、闘神達もパンドラもテルヒも。そして私は百々を連れて鬼ヶ島の周辺へやってきた。そして私は彼に真実を告げた。

 

「百々、落ち着いて聞いて欲しいんだけどね。」

 

「なんだい、母さん。」

 

「単刀直入に言うと、あなたは私の本当の子ではないの。あなたは鬼と人間の間に産まれた存在。本当の家族は、あの島にいるのよ。」

 

そう言うと百々は少しだけ驚いた表情をしていた。けどすぐに返事をした。

 

「分かってるよ、母さん。母さんが本当は俺の母さんじゃないってことくらい。あの時拾ってくれてありがとう。母さんのおかげで俺は強くなれたしそしてここまで生き延びれた。全ては母さんのおかげだよ。」

 

その言葉を聞いた瞬間、私は彼を抱きしめていた。そして泣いていた。

 

「なんだよ母さん、泣くなって。また会えるんだからさ。」

 

「グスッ、うん、また会いましょう百々。元気でね。」

 

そう言うと私は彼の背中を押し、そのついでに私達との記憶も奪った。心苦しいけれど、私にはこれしか選択肢はなかった。そのまま私は姿を消して百々の前から去った────

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