東方混沌記   作:ヤマタケる

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エリュシオンとの世界の存続をかけた戦いに勝利したユニ達。敗北したエリュシオンは溶けて消滅してしまう。


第195話 脱出

エリュシオンの姿が完全に溶けていき、何もなくなってしまったのを見届けたガイルゴールは目を細めて言う。

 

「これが表を滅ぼさんとした凶神の末路か・・・。」

 

「神様・・・。」

 

ガイルゴールに近寄るウリエルとガブリエル。と、ガイルゴールが再び言う。

 

「いや、何も言うまい。もうここにいる必要はない、行くぞ。」

 

そう言うとガイルゴールはマスターハンドとクレイジーハンドに目を向ける。その瞬間、マスターハンドとクレイジーハンドが宙に飛び上がったかと思うと白い光を発して巨大な右手と左手の姿へと変身した。そのまま指を鳴らす。その瞬間、巨大な空間が現れた。その空間にガイルゴールが中へと入っていった。ガイルゴールに続いて天使達も後を追うようにその中へと入っていく。と、最後ルシファーが入ろうとした瞬間にユニ達を見て笑みを浮かべて言う。

 

「また会おう。」

 

そう言って背を向けたままルシファーは手を上げ、そのまま空間の奥へと入っていった。それを見たユニは笑みを浮かべて一言言う。

 

「ありがとう、ルシファー。」

 

そう言った時だった。エリュシオンのいたところで1人泣く百々の元へ1匹の青い大きな狼が近寄ってきたのだ。それを見た剛岐が戦闘体制に入る。だがそんな彼を紫が止め、言う。

 

「待って、あれは凶神の犬っころよ。多分百々に用事があるんだわ。」

 

そんな中、テルヒが泣き続ける百々の元へ行くと彼の様子を見始めた。テルヒに気づいた百々はゆっくりと顔を上げ、

 

「テルヒ・・・!!」

 

彼の名を言った。だがテルヒは無言で彼のいた場所をただ見つめる。と、テルヒが目を閉じたかと思うと一息ついて口を開いた。

 

「そうか・・・。自分の役目を終えたのだな、エリュよ。」

 

「・・・?」

 

困惑するユニ達とは別にテルヒは再び言う。

 

「今まで辛かったろう、苦しかったろう。もう大丈夫、君が苦しむ必要はないのだ。ゆっくりと、お休み。」

 

そう言い終えるとテルヒはゆっくりと百々やその周りの人達を再び言う。

 

「エリュはな、この戦争に至るまで苦しい思いをしてきた。家族の死、自身へのプレッシャー。まぁ、お前達表の者達には関係のない話であろう。」

 

「テルヒ、とか言ったな?お前は何を企んでいる?主人が消えていったと言うのに何故そんな冷静でいられる?」

 

思わず剛岐がテルヒに聞いていた。それを聞いたテルヒは優しく微笑んで口を開いた。

 

「私は、最もエリュと共に過ごしてきた。何千年?何万年?もはや数えることを忘れた。私はいつか来ると思っていたのだ、エリュが敗北する時を。エリュは私にこう言っていた、『私が負ける時があっても、テルヒは泣かないで』とな。私はただ、エリュとの約束を守っただけに過ぎん。」

 

「・・・。」

 

「五大王、信じられぬかもしれないが私は人間が好きだ。私は何度もエリュに人間と共生しようと提案していた。だがエリュと出会ってきた人間達が悪だったが故、エリュはあのような道に進んでしまった。もしお前達のような人間に会えていたならば、こんなことにはならなかっただろう。」

 

「んじゃ何故お前は奴を止めなかった?」

 

「それが彼女の運命だからだ。彼女の運命に私が首を突っ込む必要などないのだから。」

 

「・・・随分と奴に忠誠なんだな。」

 

「彼女は私の恩人だからだ。」

 

そう言った時だった。突如テルヒの表情が真剣な表情に変わったかと思うと辺りの匂いを嗅ぎ始めた。そして再び口を開く。

 

「エリュに恨みのある者達がこちらへ来ているか・・・。フン、舐められたものよ。」

 

そう言うとテルヒは百々達のいる方向とは別の方向を見る。そして再び言う。

 

「帰るといい、表の世界の者達よ。奴らは私が引き受ける。」

 

「テルヒ!?」

 

その言葉に思わず声を上げる九十九。そんな彼女を気にせずテルヒが再び口を開いた。

 

「鋼鉄城の入り口にパンドラが表の世界の現世へのゲートを開いている。そこから表の世界へ帰れ。ここはお前達のいるべき場所ではない!」

 

彼の言葉を聞いた紫とセコンドは深く頷いた。2人の後にメルト・グランチが彼に言う。

 

「恩にきるよ、テルヒとやら。いつか卿と茶を交わし、物語りたいものだ。」

 

「互いに生きていればな。さぁ行くといい。」

 

そう言った瞬間、剛岐が兵士達に鋼鉄城の入り口へ誘導するよう指示していた。彼に続いて依姫、豊姫は月の都の兵士達を。萃香は鬼や妖怪達を率いて入り口へと向かっていった。それを見た悠岐は楓を見て言う。

 

「俺達も行こう。」

 

「あぁ、急ごう。」

 

そう言うと楓は指笛を鳴らした。その瞬間、楓の元に一頭の馬が駆け寄る。そのまま楓は馬に跨ると悠岐の手をとって彼を馬に乗せる。そのまま2人は兵士達の後を追う。そんな中、1人帰ろうとせずその場に残ろうとする人物がいた。その人物を見たテルヒが口を開く。

 

「行け百々。私のことは気にするな。」

 

「そんなことできるわけねぇだろ!!エリュに続いてテルヒ、お前まで・・・。」

 

「なんだ百々、私はお前の妹の友人を殺せる力を持っているのだぞ?」

 

「で、でも・・・。」

 

「行くよ、バカ兄貴。」

 

そんな彼を引き止めたのは九十九だった。彼女に続いて暁も彼の側に寄り添って腕を掴んで無理矢理動かす。

 

「おい暁!何してんだよ!!」

 

「だめです百々君!!あれを見てください!!」

 

そう言うと暁はある方向を指差す。そこには大量のモンスターとナイトメア達がこちらへ迫ってきていたのだ。と、ユニが3人の元へ来て口を開いた。

 

「もう残ってるのは私達だけよ!!急がないとゲートが!!!」

 

その言葉を聞いた暁と九十九は全力で百々の体を引っ張る。

 

「テルヒ!!」

 

声を上げる百々。そんな彼にテルヒが口を開いた。

 

「私は後悔していない。エリュと共に歩めたこの人生を胸に秘めていこうと思う。頼んだぞ、博麗の弟に九十九、そして幻想郷の守護者よ。」

 

そう言うとテルヒは雄叫びを上げたかと思うとそのままモンスター達の方は走っていった。

 

「テルヒ!!!」

 

叫ぶ百々。だがもうテルヒの耳に彼の声は聞こえていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなーっ!急ぐドラ!」

 

そう言いながらユニ達をパンドラが鋼鉄城の入り口にできるゲートホールへと誘導していた。と、ゲートの中に入ろうとした楓、悠岐、霊夢、魔理沙、影裏、琥珀がその場で止まる。そんな彼らを見たパンドラが口を開く。

 

「どうしたドラか!?早くしないとゲートが閉じちゃうドラ!」

 

「いや、そうしたい気持ちは山々なんだがまだユニ、暁、百々、九十九が戻ってきてない。」

 

「私達は仲間を見捨てることなんて出来ないわ。」

 

楓と霊夢が言った時、百々を連れて九十九、暁、ユニが勢いよく走ってきているのが見えた。それをまた悠岐が大きな声を上げる。

 

「急げ!もう俺達しかいないぞ!!」

 

「俺は先に行くぞ!!」

 

影裏はそう一言叫ぶとそのままゲートの中へと入っていった。彼に続いて悠岐、楓、霊夢、魔理沙、琥珀も中へと入っていった。

 

「私達も急ぎましょう。」

 

「うん、行こう。」

 

霊夢達に続いて暁、ユニもゲートの中へと入っていった。2人に続いて百々と九十九がゲートの中へと入ろうとした時、パンドラが百々に言う。

 

「ねぇ、百々。お母さんは、少し遠くに出掛けたドラよね?」

 

「え、何言って・・・!!」

 

本当のことを言おうとした瞬間、百々は言葉を詰まらせてしまう。そう言うパンドラの目には大量の涙が溢れているのを見たからだ。

 

「だって・・・だってテルヒがそう言ってたんだドラ!!!お母さんは必ず帰ってくるって!」

 

「・・・あぁ、そうさ。エリュは帰ってくるよ。」

 

泣きながら叫ぶパンドラに百々は震える声で言うしかなかった。そんな2人に九十九が言う。

 

「パンドラ、また会った時にはたくさん百々とアタシでたくさん遊んでやるから。それまでいい子にしてるんだぞ。」

 

「・・・うん、ありがとう九十九。さぁ、行くドラ!」

 

涙を拭ったパンドラはそのまま2人がゲートの中へと入っていくのを見届けた。その瞬間、ゲートが閉じていき、その場に何もなくなった。そのままパンドラは涙を溢しながら鋼鉄城の中へと入っていった。




テルヒ、パンドラの協力により裏の世界から脱出したユニ達。
次作、東方混沌記最終回!!
お楽しみに!
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