アクシズを出発してから数時間…そろそろ地球圏に着きそうな時、後ろから物音が聞こえた。
「誰だ!?」
しばらくして顔を出して来たのは、なんとアクシズで別れたはずのプルだった。
「プル!?こんな所でなにしてんだ!」
「お兄ちゃんと一緒に居たくて乗っちゃった!」
「乗っちゃった!じゃないだろ…ハマーン様はこの事は知ってるのか?」
「んー多分知らない、こっそり乗ったから」
「参ったな…」
シャトルはもう大気圏に突入の体制が整っており、今更アクシズに引き返す事が出来なかった。
「全く困ったお嬢さんだ。仕方ないから一緒に行くよ、後でハマーン様に連絡するから」
「やったぁぁぁ!!」
ハマーン様に怒られるかも知れないのに喜ぶプルってどんだけ俺と居たいんだ!?いや、慕われる事は嬉しいから良いんだけどさ
「ほら、いつまでも立ってないで座って座席ロックしなさい」
「はーい!!」
こうして、プルと言う名のお荷物?が増えシュウはこの後の任務に支障を来たすのではないかと思いながら地球に降りたのだった。
シュウとプルを乗せたシャトルは南アフリカに降下しシャア大佐の行方を捜索して居ると一つの放送が入った。
《議会の方と、このテレビを見ている連邦国国民の方には、突然の無礼を許していただきたい。私はエゥーゴのクワトロ・バジーナ大尉であります。話の前に、もう一つ知っておいて貰いたいことがあります。私はかつて、シャア・アズナブルという名で、呼ばれたこともある男だ。》
「大佐!?なぜこんな所に!?」
《私はこの場を借りて、ジオンの遺志を継ぐ者として語りたい。もちろん、ジオン公国のシャアとしてではなく、ジオン・ダイクンの子としてである。ジオン・ダイクンの遺志はザビ家のような欲望に根ざしたものではない。ジオン・ダイクンがジオン公国をつくったのではない。現在、ティターンズが地球連邦軍を我が物にしている事実は、ザビ家のやり方より悪質であると気付く。
人が宇宙に出たのは、地球が人間の重みで沈むのを避けるためだ。そして、宇宙に出た人類は、その生活圏を拡大したことによって、人類そのものの力を身につけたと誤解をして、ザビ家のような勢力をのさばらせてしまった歴史を持つ。それは不幸だ。もう、その歴史を繰り返してはならない。
宇宙に出ることによって、人間はその能力を拡げることができると、何故信じられないのか。我々は地球を人の手で汚すなと言っている。ティターンズは、地球に魂を引かれた人々の集まりで、地球を食い潰そうとしているのだ。
人は、長い間、この地球という揺りかごの中で戯れてきた。しかし、時はすでに、人類を地球から巣立たせる時が来たのだ。その期に至って、何故、人類同士が戦い、地球を汚染しなければならないのだ。地球を自然の揺りかごの中に戻し、人間は宇宙で自立しなければ、地球は、水の惑星ではなくなるのだ。
このダカールさえ、砂漠に飲み込まれようとしている。それほどに地球は疲れ切っている。
今、誰もがこの美しい地球を残したいと考えている。ならば、自分の欲求を果たすためだけに、地球に寄生虫のようにへばりついていて良いわけがない。
現にティターンズは、このような時に戦闘を仕掛けてくる。見るがいい、この暴虐な行為を! 彼らはかつての地球連邦軍から膨れ上がり、逆らう者は全てを悪と称しているが、それこそが悪であり、人類を衰退させていると言い切れる。
テレビをご覧の方々は、お判りになるはずだ。これがティターンズのやり方なのです。我々が、議会を武力で制圧したのも悪いのです。しかし、ティターンズは、この議会に自分たちの味方となる議員がいるにもかかわらず、破壊しようとしている。》
これは驚いたな…シャア大佐は地球圏の偵察ではなく、エゥーゴに入っていたとは…しかもティターンズと戦争か
「プル、着陸するよ」
「はーい!!」
ダカールの街に近づき過ぎないように着陸した俺たちはシャア大佐の今後の行動を探る為、ダカールの議事堂を目指すことにした。
「いいかいプル、これから街に向かうけど危険な事が多いかもしれない…だから俺から絶対に離れちゃダメだからね」
「うん、分かった!!」
返事したのと同時にプルは俺の左腕に絡みついて来た。
「で、何でこうなる!?」
「だって、お兄ちゃんが離れるなって言ったじゃん!」
「言ったけど…手をつなぐなら良いよ」
「えー、やだやだ!!あたしは腕を組みたいの!!」
「歩きづらいからダメ」
俺はプルの扱い方を心得ていた。今回は『プルと手をつなぐ』を例に挙げよう。
①最初に俺は腕を組む事に拒否反応を示す
②プルは駄々をこねる
③理由をつけて更に断る
④プルは俺の事を嫌いだと叫ぶ
⑤俺はプルを放置する
⑥プルは渋々俺の言う通りにする
今は段階的に言うと④ぐらいかな?プルは思った通り俺の事を嫌いだと叫び始めた。
「嫌いだ嫌いだ!!お兄ちゃんなんて居なくなっちゃえ!!」
「そうか、嫌いになっちゃったか…じゃあプルはここで待っててね」
プルをシャトルに残し、1人で歩いて行くと後ろからプルが駆け寄ってきた。
「あーん!!待ってよ!!手で我慢するから待ってよ〜!!」
「はいはい」
俺とプルは手を繋ぎながら街に向かって歩き始めた。
――ダカール市街
シャア大佐の演説後のダカールは騒がしかった。俺はこちらに走ってきた人に騒動の原因を聞いてみた。
「騒がしいですが、一体何があったんですか?」
「ダカールの街にティターンズのMSが襲ってきたんだ!君達も早く逃げた方が良いぞ!」
「なんてことだ…プル、急ごう!」
プルを抱きかかえ議事堂に走って向かった。
向かっている間もティターンズのMSは街中を暴れ回っている。
「あれをなんとかしないと被害が増えてしまうぞ」
「お兄ちゃん!エゥーゴが来たよ!」
プルが指を指した方向からはエゥーゴの支援組織″カラバ″の機体であるネモが3機とネモとは形状が異なる1機のMSが飛んで来た。
「なんだ?あのMSは…」
そのMSからは強いプレッシャーを感じとる事が出来た。
「プル、ここも危ないから行こう」
だが何処に逃げても火災や瓦礫などにより退路がなく諦め掛けていた時、空から1機のMSが墜落して来た。
「この機体はジム・クゥエルか」
ジム・クゥエルとはジオン公国軍残党の掃討やスペースコロニー内での治安維持任務用に配備された、ティターンズ初期の主力機であった。
空間認識能力をフルに活用し墜落して来たMSのパイロットの生命状態を確認してみた。
「生命反応は無い…プルと逃げるにはこれしかない…」
パイロットは墜落した衝撃で即死したみたいだった俺はプルを引っ張り墜落したMSに駆け寄りハッチを抉じ開けた。
「プル、目を瞑ってなさい」
「分かった!!」
コックピットからパイロットを降ろした後、ジム・クゥエルに乗り込んだ。
「お兄ちゃん、操縦出来るの?」
「なんとなく分かる…掴まってろ」
俺は起動させる事が出来たがコックピット内に警戒アラームが鳴り響く
「このMS、左腕が吹き飛ばされ、墜落時の衝撃で右腕が可動範囲が狭くなっているのか…」
警戒アラームを消し、改めてモニターを通じ外の様子を伺う。
「エゥーゴのMSなら助けてもらえるかもしれない」
なんとか立ち上がりエゥーゴの部隊に近付いた。
「僕は民間人です。助けて下さい」
「俺はカラバ所属のアムロ・レイだ。顔を見してくれ」
「はい」
俺とプルは一年戦争で白い悪魔と恐れられたエースパイロット『アムロ・レイ』と今はクワトロ・バジーナと呼ばれている『シャア・アズナブル大佐』に会った。
「大佐、ハマーン様がお探しです。アクシズにお戻り頂けませんか?」
「私は、この者達を導いていかなければならない。ハマーンにはそう伝えといてくれ」
「ですが…」
その言葉を最後にシャア大佐は立ち去ってしまった。
「プル…宇宙に帰ろうか」
「えー!!もっと遊んで行こうよ!!」
「良かったら街を見ていかないか?」
プルが駄々こねているとアムロさんが後ろから声をかけてきた
「あ、はい」
アムロさんの誘いを断る事が出来なくて結局街に行く事になった。
その後はダカールの街を観光して地球滞在期間は過ぎていった。
「宇宙に上がっても元気でな。クワトロ大尉にあったらよろしく頼む」
「はい…アムロさんもお元気で」
俺とプルは宇宙に上がりアクシズに戻った俺等はまたニュータイプ研究所に入る事になった…
エゥーゴとティターンズそして途中から介入したアクシズの三つ巴の戦い…通称『グリプス戦役』はティターンズは壊滅、エゥーゴの勝利で終わったが、エゥーゴの戦力は著しく消耗した。だがアクシズの戦力は衰えてはなく、第一次ネオジオン抗争の幕を開ける事になる事にシュウは知る由もない。
更新致しました!
時系列がちょっとズレてますがオリ展なので(^◇^;)
さて!やっと目的のシャア大佐に会うことが出来ましたが、またシャア大佐は何処かに行ってしまいました。
連れ戻すという命令は下されてないので主人公はどうしようも出来ない…
しかも13歳の主人公が27歳のシャアの相手が務まるか?と言われれば厳しくないかなと思わせる場面でもありました。
次回は一気に第一次ネオジオン抗争と第二次ネオジオン抗争を書きたいと思います。
これからもよろしくお願いします!