「では、第14回定期愚痴会を始めるわ」
黒髪の少女は、自分の前に座っている2人の男にそう言った。
テーブルにはコーヒー二つに紅茶が一つ。ケーキが三つ。
黒髪の少女が着席すると白衣の男、岡部倫太郎は……否、鳳凰院凶真”会長”は、もう片方の顔を仮面で覆った男の様子をチラ見して
「では今回の議題はっ!”タイムループあるある”とする!」
高らかに割とどうでも良い話題を提示した。
「……店長、何だ彼らは」
「えっとね、'タイムループの会'。何度も時間逆行してきた人達の交流会かな」
「……最早何でもアリだな」
「だってココ次元の狭間だし」
割と冷ややかな視線も気にせず話し合いをするタイムループの会のメンバー。
『……余計な事をして最悪の結末になる』
「あるある、だな」
「私はそればかりだったわ。巴マミが心中したりまどかが最悪の魔女になったり……」
「……紅莉栖がCERNに殺されたりまゆりが事故死したり」
『それは世界線の影響だろう、そもそも貴様のループ法は我々と根底が違うじゃないか』
「…………まあ貴方の場合、その牧瀬さんを諦めた世界が新作に使われる訳だし」
「そう言う意味では不幸指数は貴様らとは別だがな!暁美ほむら!≪仮面≫!」
『それを言って悲しくないのか貴様?』
黒髪の少女の名は、暁美ほむら。親友、鹿目まどかを救うために繰り返した果てに、彼女に救われた魔法少女。
顔を仮面で覆った男の名は、ダークファルス≪仮面≫。自分を信じてくれた少女、マトイを救うため、敢えて悪しき道にその身を堕としたアークス。
白衣の男は毎度お馴染み、2人を救う為に世界線をも越えた男、岡部倫太郎。
彼らはこの喫茶店で、今日もまた自分の過去の話を肴にして、紅茶と、コーヒーを啜るのだった。
『次は私から。……助けたい人達の元気な姿を見ると目にくる。』
「……うっわー、マジであるあるじゃないか」
「私なんて何度泣きそうになった事か……じゃあ私からも一つ。……たまに、とんでもないイレギュラーが紛れ込む」
「俺はそんな経験無いが……≪仮面≫はどうだ?」
『私の場合イレギュラーだらけに近かったんだが』
「……どうして?」
『いや。過去の私にあたる奴が、決して私と同じ武器が得意な訳ではなかったし、まぁでも警告が無駄になるのはある意味予測通りだったな』
「ふーむ……確かに自分の事は自分がよく分かると言うしな!」
「……その言葉、使い所が微妙にズレてる気がするのだけれど」
他人が干渉できない会話を繰り広げる3人。
そんな彼らを見て一言、エミヤは呟く。
「彼らは一体、何度繰り返したんだろうな」
自分の想像の及ばない彼らの苦難、そしてその苦難に折れなかった彼らの信念、否、心の強さ。
自分が持ち得なかった、その強さを持つ彼らに敬意を感じていた。
……うわあ、みじけえ。