その日もエミヤシロウは店に来ていた。
ゆったりと紅茶を飲みながらぼんやりとしてると、ついつい眠りそうになってしまいそうな日差しの午後。
マスターもカウンターの奥で、彼の世界の朝刊を流し読みしている。
「なんだかのんびりしてるね、エミヤくん」
「……そうだな。大した事件も無いし、抑止力からも呼びかけが無い。生前もこんなに心から休める日は無かったからな」
暫く談笑していると、店のドアが開く。
そこから入ってきたのは、
「アーチャー……⁈」
「うっそ、なんであんたがいんの⁈てかココ何処よ⁉︎」
エミヤは一言、ただ一言だけ口にする。
「……なんでさ」
想定外の来客に、エミヤは頭がフリーズした。
「……えっと、つまりココは平行世界の間にあるって言うの⁉︎」
「まあそちらの魔術の定義に当てはまらない所もあるけど、概ね間違ってないね」
衛宮士郎曰く、あの別れから2年たったらしく。
言われてみれば凛もツインテールに纏めてた髪を後ろで一気に纏めポニーテールにしているし、士郎は身長も筋肉量も増えた気がする。
「……まさか、まだ正義の味方を目指してるのか?」
アーチャーは士郎に問わずにいられなかった。2年だけで、自分が抑止力に契約を持ち込まれたあの時の姿にだいぶ似てきてしまっている。まさか……と思いながらも答えを待つ。
「そんな訳ないだろ、アーチャー。全部を救う『セイギノミカタ』なんて出来ないし、それに大を救って小を捨てちまう『セイギノミカタ』ってのも俺には無理だ。だから俺は……」
士郎はエミヤの方は見ず、注文した紅茶を一気に飲み干した後こう言った。
「俺は、俺の周りにいる人達と自分を救える『正義の味方』になれるように頑張ってる。」
決意の籠った声でこう言った。
「…………成る程な。貴様は、いやお前は絶対にオレにならないだろうな。その決意を忘れん限り」
「爺さんには申し訳無いけど、俺は俺の道を歩いて行くことにしたんだ。絶対にこの決意は忘れない」
「そう言って貰えると、妙な夢押し付けちゃった僕としても嬉しいな。士郎」
「ははっ。アーチャー、今の声マネか?」
「…………隣を見るといい。衛宮士郎」
「隣を見る?隣になに……が……」
皆さんは気付いただろうか?
なんの前触れもなく混じった
「じじじじじ爺さぁんっ⁉︎な、なななななんでさ⁉︎」
「落ち着け衛宮士郎。さっき店長も言っていたがここはいろんな世界の間にある。そう言う場所には死者の魂も集まりやすい傾向がある。だから爺さんはココになんの違和感もなく居るんだ」
「いやー久しぶり、だいたい7、8年ぶりかな?士郎」
「ほ、本当に爺さんなのか?」
「まあ、積もる話もあるだろう。2人で気兼ねなく話してくれ」
そう言うとエミヤは席を立って、凛のいる方へと向かった。
「凛」
「……あら。久し振り、アーチャー。当然かもしれないけどさ、あんた全然変わって無いわね」
「そう言う君は随分と変わったな。やはり人は恋をすると変わるものなんだな」
笑いながら、あの頃と似たやり取りをする2人。
「確かに、士郎と居て私は変わったかもね」
「ほう?」
「それに……士郎といるとなんか一緒にいると自然と安らぐっていうか、安心できるっていうか?」
「筋金入りのカップルだな」
「否定はしないわ」
「君もだいぶ毒されたな、前までこんな事”心の贅沢”とか言って忌避してたのが信じられんな」
「あれから2年よ2年、それに毎日一緒に時計塔の寮で暮らしてりゃこーなっちゃうわよ」
「……衛宮士郎も苦労してるな」
この一言が、このなんとなーく呟いた一言が、あかいあくまの耳に届いてしまった。
「……どういう意味かしら〜?」
「あ。……いや別に君が悪いとはひとこ……」
「問答無用」
「よせ、やめろ凛!こんな所でガント使ったら」
「大丈夫よ士郎、キッチリ全弾命中させるから、ね?」
「あっハイ」
士郎の仲裁虚しく、凛は魔力を腕に込めた
「この薄情者おお!」
「俺は悪くねぇ!」
その後、全身アザだらけになった弓兵を見て、衛宮士郎は両手を合わせたとかなんとか。
いかがでしたか?
あ、今後の話作りのために「こいつだしてー」とか「ウチの子だしてー」などの要望ありましたら是非メッセージで送っていだだけたら幸いです。