機動戦士ガンダムSEED ザフトの名参謀? その名はキラ・ヤマト   作:幻龍

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続編は希望する人もいるので書きたいのですが、この様子だと難しい……。いっそのこと第二次スパロボZの世界にでも飛ばす等別世界へ転移させるような荒業をしなければ続編は難しいな……。


第21話

 アフリカでの決戦で連合軍が敗北し、ザフトが勝利を治めたとの報は中立のジャーナリスト等を通じて各国を駆け巡った。

 連合各国では慌てて報道管制が敷かれたがこれだけの敗北はさすがに隠しきれず、各地で厭戦気分が一気に高まり、反戦デモと講和を求める声が朝野に満ち始めるのであった。

 

「アズラエルは戦死か」

「はい。旗艦が敵機に沈められてしまい一緒に海に沈んだかと」

「我が軍も大敗。これ以上の戦争継続は無理だな」

「ああ。さっそく停戦を行い和平交渉を行うとしよう」

 

 連合上層部は決戦で敗北した結果、世論が無様に敗北した政府を責めており、大半の民衆が和平を求めていることもあって、プラントとの和平交渉に入ることを決定した。

 

「どの様な講和条約になると思う?」

「最低でもプラントの独立と不平等な貿易体制の是正、カーペンタリア、ジブラルタルを含むザフトが占領している地域は割譲する必要があるでしょう。それと多額の賠償金も払わなければいけないかもしれません」

「つまり、ザフト側が現在占領している地域は全て譲る必要があると?」

「こちらとしては賠償金とスエズに関しては何とかしたいな。さすがに全地域を譲る渡す等無理だ。何とか対等な講和に持っていきたい」

「だが、こっちは連戦連敗状態だ。ザフトがこちらの要求を簡単に飲むか?」

「それはこれからの交渉と講和の内容しだいになると思います。取り敢えずプラントが持参してくる和平案がどの様な物が見なければなりません」

 

 戦争継続派の筆頭だったアズラエルが消えたことにより、連合政府上層部は一気に講和に傾き、停戦を行うと同時に、プラントとの交渉に入るのであった。

 

 

 

 

 プラント側では今回の勝利を機会に一気に和平に持っていくべく、連合から打診があった停戦に合意して、和平案の作成と講和条約締結に向けた交渉に取り掛かった。

 

 講和内容を審議すべくキラは戦後処理をそこそこ行った後、残りをジークリンデに任せて急いでプラントへ舞い戻るのであった。

 

「それで講和内容を話し合う会議はどのようになりましたか?」

「今回の戦いに勝ったことで強硬な意見が出ていた議論にならないときもある。「ここで一気にナチュラルを殲滅するべきだ!」とか言ったり、「今こそ攻め時だ!」と強硬論を唱える者が多い」

「そんな輩は無視しておけばいいのです。それより講和内容は完成したのですか?」

「ああ。プラントの独立承認、不公平な貿易体制の改善、カーペンタリア、ジブラルタル等の現占領地域の割譲に宇宙に軍事基地建設禁止、ユニウスセブンに核を撃ったことの謝罪に加えて多額の賠償金を叫ぶ者もいる」

 

 カナーバは一旦色んな議員等の意見を聞き、それを元に作成した講和案を纏めた物を会合に提示した。

 キラはそれを一通り読んで発言する。

 

「多額の賠償金は難しいかと思います。連合は確かに今回負けましたが兵力はまだありますし、連合の中心である大西洋連邦は無傷です。その気になれば局地戦争に負けただけだと彼らは言い張れますから」

「確かにそうだな。私も賠償金は難しいと考えている。賠償金と一部の地域は返却せねばならんだろう」

「あんまり欲張るのはよくないですからね。第一次世界大戦の失敗した戦後処理みたいになって無駄な恨みを連合各国から買いますので、匙加減は必要かと思います」

 

 キラは多少は譲歩すべきだと言い、カナーバやアウグストもその意見に頷く。ここで戦後処理を失敗すれば、次の大戦の引き金になることは歴史が証明している。

 

 だが、出席者の1人がある心配事を口にする。

 

「あまり譲歩すると強硬派や過激派がうるさくなるかもしれないぞ? いや最悪の場合脱走してテロリストになりかねないのでは?」

 

 その意見にこの場にいる全員が心配していたことだ。参謀本部は過激派や強硬派の兵を牢屋にぶち込んだりして綱紀粛正を図っていたが、それでも表面に出ていない潜在的な過激派や強硬派は存在する。その者達が講和内容に不満を持って、能力の高いコーディネイターの脱走兵にでもなったら非常に厄介なことになる。

 

「その様な思想を持つ者は分かる限り情報局に監視させています。何か不穏な行動を取った場合即座に確保するように命じています」

「兵器も勝手に持ち出せないように細工してあります。万が一脱走した場合でも対処できます」

 

 情報局局長とキラの言葉にカナーバは一応安堵した。脱走してテロリストになってしまったら、連合に無駄に攻撃材料を与えかねないからだ。

 

「わかった。講和は何としてでも成立させる。連合も今回は乗り気のようだし、このチャンスを逃す手はないからな」

「もう少し細かい修正を行いましょう。特に戦後のエネルギー問題をどうするかです。講和を結ぶ以上各国の復興という名目で、Nジャマーキャンセラーの提供も議論されるでしょうし、実際連合はそれを求めてくるでしょう」

「あれを渡すわけにはいかんだろう。民間用と嘘をついて軍事利用されるのが見えているしな」

「だが、連合もNジャマーキャンセラーの研究は続けているだろう。実用化されるのも時間の問題なのでは?」

「民間用に提供するのなら最低でも、宇宙に連合各国が軍事基地等の施設を造ることを禁止させなければならん。それをしなければプラントはまた危機に陥るだろうからな」

「そうですね……。それでしたらNジャマーキャンセラーを提供する場合は、パテント料の支払いと宇宙における施設等の建造禁止と引き換えに妥協するのはどうですか?」

 

 Nジャマーキャンセラーの扱いに悩む面々に、キラは譲歩案を皆の前で提示する。

 その案に一部の者は驚いた。キラなら安全保障上の切り札になるNジャマーキャンセラー提供に、断固反対すると思っていたからだ。

 

「みなさんが考えて要ることはわかります。しかし、和平を結ぶ過程で地球の復興は今後必須です。地球各国の反プラント感情を少しでも和らげないといけません」

「確かに今後プラントが生産する商品を売り込むには必要なことだな。しかし、Nジャマーキャンセラーの提供は、いくら軍事利用禁止するという条項を盛り込んでも危険過ぎるのではないですか?」

「連合がいずれ自力で開発すれば意味を成しません。幸い核融合炉開発は順調ですし、宇宙の拠点建造を禁止すれば直接攻撃のリスクは減ります。だから、ここは思い切ってこの札を使い、連中から金を取って戦後の資金に充てる方が賢明です」

 

 キラは連合がいずれNジャマーキャンセラーを製造する可能性があることと、地球に存在する各国のプラント感情の改善、戦後の復興資金の確保等を行った方がいいと意見した。

 

「確かに今回の戦争は賠償金が取れる戦争ではない。だが、復興のための元手は必要だ。我らもかなりの被害が出たからな。しかし、それでもNジャマーキャンセラーに関してはリスクが大きいような気がします」

「ふむ。それなら、Nジャマーキャンセラーに関しては、あくまで向こうが議題に上げてきたら検討することにしましょう。なるべく渡さないことに越したことはありませんからね。僕が言った案はあくまで連合がNジャマーキャンセラーを要求してきて、講和の為に渡さざるを得ない状況になった時の妥協案にしましょう」

「それが一番無難だな。その妥協案を使わざるを得ないことになったら、また、会合を開いて対策を練るしかないな」

 

 一番の扱いに困るNジャマーキャンセラーについては、万が一渡さなければいけなくなった時、キラが言った妥協案を採用することに決定した。

 

 次の議題に入ろうとしたその時、会合メンバーの一人で情報局に所属する人物が遅れて入ってきて、自分の上官である情報局局長に耳打ちして、それを聞いた局長は顔を顰める。

 

「何かあったのですか?」

 

 メンバーの1人の問いかけに局長は表情を戻して答える。

 

「南アメリカで独立戦争が勃発しました。その中心的人物は連合の脱走兵で切り裂きエドの異名を持つエドワード・ハレルソンという名の人物です」

 

 連合とプラントの停戦はなったが、地球では新たな戦争が勃発するのであった。

 

 

 

 会合は新たな情報が入りしだいまた開くことになり、一旦解散となったのでキラは自宅に帰還していた。

 シャワーを浴びた後、仮眠でも取ろうかと思ったその時秘匿回線で連絡が入った。

 

『お疲れの所すみません。キラ会長』

「どうした? 何かあったのか?」

『はっ。わが社の工作艦が木星から帰還しました』

 

 キラはその報告を聞き、喜びの表情を浮かべる。

 

「帰還したということはあれを持ってきたということ?」

『はい。小型化した物や予備も含めて無事に完成したとのことです』

「そうか。では、そのままそれを例の場所へ運びこめ。あれの完成に取り掛かるぞ」

『わかりました。機密保持の為に技術者や科学者たちには記憶消去の処置を施します』

「念入りに行ってね」

 

 キラはそう言って連絡を切ると、仮眠を取るべくベッドに潜るのであった。




最後のキラの自室のやり取りは、もし続編を書くことになったら、たぶん必要な描写なので書きましたので、続編が始まらなければあまり意味を成さないので、あまり気にする必要はありません。あくまで続編を書いた時の保険として必要だと思い書いた物です。

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