機動戦士ガンダムSEED ザフトの名参謀? その名はキラ・ヤマト   作:幻龍

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本編の話は一応完結ですが、戦後の話を番外編として投稿するつもりでいます。
また、一応続編を検討していますが、本来この作品は息抜きに書いた作品なので、種運命に続くようにプロットを作ってないので、種運命として続編が書かれることはありません。
また、詳しいことは一応活動報告に書いていますが、今の所活動報告でスパロボZでif続編を読みたいという要望が多いので、そちらも検討しています。それ以外に意見のある方は御意見を送ってくださって構いませんが、作者が知らない作品は採用されることはありませんので、ご了承ください。そして、その続編を書いた場合、正式な続編という扱いにするかは読んでくださる方の反応しだいにするつもりです。


第23話

 南アメリカ独立戦争は参謀本部の予測通り、南アメリカ合衆国が大西洋連邦に敗北してしまい、現政権は降伏した。その結果、南米ではザフトの勢力範囲以外の占領地で連合軍が駐屯し、反連合勢力を狩りだしを現在進行形で行っている。

 南米の政府の要人は軍事裁判で、敵国に利する動きをしたとして処刑台の露と消えることになった。そして、独立戦争の中心的人物だった南米の英雄エドワード・ハレルソンは、愛機ソードカラミティと共に地方へ潜伏して、ゲリラ活動を行っており連合軍を未だに苦しめているという情報がプラントに入ったが、プラントは連合との和平交渉に忙しい為あまり気にしなかった。

 

 そんな南米情勢が不安定の中でユニウスセブンに置いて講和条約が結ばれることになった。プラント理事国とプラントの約一年間の戦いに終止符が打たれた。

 

 ユニウス条約と呼ばれるようになるこの講和条約の内容以下の通りである。

 

 1,プラントの独立を認める。

 2,不平等な貿易体制を撤廃する。

 3,カーペンタリア、ジブラルタル、カオシュン、南洋諸島の島々、マムハール基地、ディオキア基地等をプラントに割譲する。

 4,賠償金は互いに請求しない。

 5,連合各国は宇宙に軍事基地等の施設建造を禁止する。

 6,軍事力制限を行う。MS・MAの数は双方の話し合いで決める。

 7,オーブ連合首長国の独立を回復して、オーブ臨時政府の帰還を許可する。オーブ臨時政府はその代償に保護したり、プラントに受け入れた流民や難民の返還をプラントに求めないこととする。

 8,プラントは連合各国に電力等インフラ整備等に必要な物を適正価格で提供する

 9,NジャマーキャンセラーのMSや兵器等への搭載を禁止。ミラージュ・コロイドの軍事利用禁止。ただし、戦時中に開発・生産された物は除外する。

 10,双方条約の遵守。また、中立機関による査察を受け入れる。

 

 最後の決戦で負けた連合が大幅な譲歩を行い、条約締結は核が撃ちこまれた悲劇の地、ユニウスセブンで行われることになった。

 これにより連合各国は民衆の不満を宥めることに、戦後しばらく終始することになり、いくつかの国では現政権が総辞職するなど混乱が起きることになった。

 それに対してプラント側はかなり有利な条約を結べたことで、カナーバの名声が高まり引き続き議長職を続けることになった。それに加えてオーブからの流れてきたコーディネイターの流民や難民を、主権回復と引き換えにそっくり貰い受けることに成功した。

 

「条約を遵守しつつ新たな戦力の再編、新型MS等の新兵器開発や新たなドクトリンの作成を急ぎましょう」

 

 キラは会合に集まった出席者達の前でそう言い、新たな戦力再編プランを発表する。

 

「すでに新たな核動力に変わる動力源は開発済みです。量産機もザクウォーリアとグフを随時開発中です。1年後には量産態勢も整えられるかと思います。最も条約の批准で新規製造している核動力型搭載機は解体するしかありませんが……」

「条約を批准した以上は止むを得まい。連合軍も表だって使用できんのだ。まあ、連合がどこまで守るか不明だがな」

「その通りだ。連中が素直に遵守するとは思えん。寧ろ裏で私兵部隊を作って条約をすり抜ける可能性も高い」

 

 出席者達はこの条約を素直に連合が守るとは思っていなかった。連合の身勝手さはこの大戦で充分に身に染みたからだ。

 

「そうですね。お互いが守るとは思っていないでしょう。こちらも密かに研究だけは続けるつもりです。無論条約に触れない様に表向きは民間用と偽って行いますが」

「やむを得ないか……。技術研究を怠ることは将来の敗北につながるからな……」

 

 キラもこの条約を素直に守る気などさらさらない。何せ相手が守る気がないのだ。こっちがバカ正直に遵守してしまえば、それは将来同胞の血を大量に流させる事態になる。

 

「次の戦いまでのどれだけ牙を砥げるかがプラントの課題だ。そちらは頼んだぞ。アウグスト参謀総長、キラ参謀長」

「わかりました。全力を尽くします」

「僕も技術研究所の連中に発破をかけてきますので、予算の方はお願いしますよ」

 

 カナーバの言葉にアウグストとキラが頷き、キラはカナーバに必要な予算を出すように頼み、カナーバはそれに頷く。

 

 会合は次の戦に備えることと、これからも何かあれば会合での話し合いを行うことが方針に決定するのであった。

 

 

 会合での話し合いが終わり、カナーバとアウグスト、キラの3人だけが残り話し合いを続ける。

 

「参謀本部としては次の開戦は何年後になると思う?」

「現在互いに消耗した国力回復を優先すると思いますので、新型兵器の開発期間と配備の時間等を考えると、大規模な戦争となれば早くて2年、遅くて10年以内と考えています」

「2年か……。短いな。やはり、連合側の内政事情のせいか?」

「はい。今回の条約により連合各国はかなりの痛手を負いました。恐らく地上では戦前に強引に併合した地域の独立運動が盛んになるでしょう。そして、世情が不安定になりそれを解消する為に外に敵を求めます」

 

 外敵を作って内部に結束を促す。古来から為政者が追い詰められたら使う常とう手段。連合各国は必ずプラントに戦争を仕掛けてくるとキラは考えていた。

 

「楽観的に物事を判断するのはよくありません。だから、早期再戦に備える必要があります。そこで、L4にあるグラム社が所有するコロニーの数を増やすつもりです。特に軍港等の施設を今急ピッチで建設しています」

「軍の方も正式にザフトを国防軍に変えます。国防軍の名称はザフト軍かプラント軍を検討しています」

「わかった。議会の方に根回しは私がしておこう。それと自前のマスドライバー建設について大洋州連合と正式な協議を行うつもりだ。プラントを守る為にできることはやっておくべきだからな」

 

 3人は色々とこれからのプラントのことを話し合う。

 

「それと月面に都市機能を兼ねた基地を建設することや、地球-月-プラント間ルートの安全確保の為にもボアズ以外にも中継施設を建造する必要があります。連合軍にもMSが配備された以上、これからはMAメビウス等は民間に売り出される可能性が高いので、それを使って海賊行為をする連中が増えるでしょうから」

「特別艦隊を編成して航路の安全を確保するしかないな。それと政府で注意喚起の方もお願いします」

「わかった。そちらも手を回しておこう。……話は変わるが評議会も戦時体制を解除発表した以上、動員令も解除される。軍の方で脱走兵が出そうな雰囲気を確認しているか?」

 

 カナーバの質問にアウグストは難しい表情して答える。

 

「今の所、何とも言えません。ただ、今回の講和に不満を持つ者は存在します。だから、わかっている者には監視を付けていますが、全てを把握しているわけではないので少数は出ると覚悟しておいた方がいいかと」

「やはりそうか……」

 

 カナーバはアウグストの見解を聞いて顔を顰めた。彼女自身はある程度覚悟はしていたが、実際にそういう輩がいることに肩を落とさずにはいられなかったのだ。

 

「脱走が避けられないのなら、彼等の中にこちらの手の者を潜ませ情報を流させましょう。そして、いざ彼らが不味い行動を取る事態になったら、宇宙で我らが拿捕するか撃滅すれば問題ありません。彼らが連合圏内で行動を起こしそうになったら連合に情報を流して彼等に殲滅してもらいましょう」

「それしかないか……」

 

 キラが対策案を提示し、アウグストは顔を顰めながらもその策に賛成の意を示す。

 

「テロリストになる連中は精々利用して、都合が悪くなったら排除すればいいのです。彼等に情けを懸ける必要はありませんよ」

「そうだな。その様な連中は断固として排除するしかないだろう」

 

 カナーバとアウグストは肘を机の上に立てながら、キラの意見に頷くのであった。

 

 

 

 

 

 

「戦争は終わった。でも、平和を維持し続けるにはある程度の軍事力は必須だ。これからも気は抜けないな」

「そうだな。だが、久しぶりに取れた休みなのだぞ。もっと恋人に構え」

 

 ジークリンデがプライベートの時間なのに、仕事の話を持ち出したキラに対して頬を膨らまして文句を言う。

 

「ごめん、ジーク。でも、僕達まだ恋人だからね? 僕の婚約は今揉めている最中だから」

 

 プラントで兵器会社を経営して莫大な資産を持ち、ザフト軍(独立の後正式に国防軍になったため改名した)MSパイロット最強のエースであり、若くして参謀長にまで出世したキラには、山ほどの縁談話が持ち込まれていた。最もプラントは婚姻統制を強いているので、相性がよくなければ婚約は成立しないので態々遺伝子検査の結果まで送ってくる者もいた。

 

「私は今日付けでお前の婚約者になった。それではさっそく結婚式の日時を決めようではないか」

「僕達は色々と忙しくなるから難しいんじゃないかな?」

「何を言うか! 早く上げないとお前を狙っている者共が大人しくならないだろう。まあ、愛人でもいいから関係を迫る輩は出てくるだろうからな」

「ははは……」

 

 キラはジークリンデにジト目で見られ何も言い返せず、乾いた笑い声を上げるしかなかっった。

 

「何せ、あのラクスからも見合いがしたいという要請があったくらいだ。他の女なら愛人としてまだ許せるが、あいつはだめだ」

 

 ジークリンデはラクスに対して女性としての魅力に劣っていると考えていない。寧ろ自分の方が男受けするスタイルをしていると思ってる。だが、ラクスは歌手としての美声と清楚系らしい魅力があり、自分からキラを奪うとしたら彼女であると考えていた。それ故に彼女だけは近づけさせるわけにはいかないと心の底で決意を固めている。

 

「あいつのことはともかく、お前の立場上言い寄ってくる女は後を絶たないだろうからな。精々騙されないように気をつけるのだぞ」

「そこまでまぬけじゃないよ。それよりも、これから何をするの?」

「取り敢えず二人で一緒にいる。その後ことはこれから考えるとしよう」

「わかったよ。取り敢えず何か飲み物を持ってくるよ」

 

 キラとジークリンデの2人は平和な世になった休日を2人で楽しく過ごすのであった。

 


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