機動戦士ガンダムSEED ザフトの名参謀? その名はキラ・ヤマト   作:幻龍

5 / 40
筆が思った以上進んだので更新します。

それとアラスカ戦はどうしようかな……。


第4話

 国防委員会から割り当てられた仕事部屋で、キラは久し振りに親友アスランと会っていた。

 

「久しぶりアスラン。元気にしてた? それとラクスとの仲は進展した?」

「いきなり何を言うんだお前は……。お前の方こそ彼女と婚約でもしたらどうだ?」

「今はそんな暇ないよ。戦争が終わったら考えてみるけど」

「お前は相変わらず忙しいらしいな。それで俺を呼び出した理由はなんだ? お前のことだ。ただ親友と話したいだけじゃないんだろう?」

 

 アスランは自分を呼びだした理由を訊ねた。

 低軌道会戦で足付きは逃したものの、数で勝る第八艦隊を全滅させることに成功したザフトは意気軒昂になった。

 だが、プラント上層部にとってこの会戦は次の大作戦の前哨戦に過ぎないと考えており、スピット・ブレイクの準備に取り掛かった。

 キラも自社の新型MSの開発と増産、兵器の更新等で忙しく、漸く一旦帰還したアスランと話ができる時間が取れたのだ(アスランが帰還して一週間後だった)。

 

「最新鋭の新型MSの開発が進んでいることは知っている?」

「ああ。父は俺をそれのパイロットにするつもりらしいからなのか、父からその話は聞いたことがある。何でも奪取したG兵器の技術を取り入れた画期的なMSらしいな」

「そのパイロットの選出結果が出たんだけどその内の一機は君に与えられることになりそうなんだ」

「俺が? ……父上の御意向か?」

 

 最高評議会議長就任を白紙に戻されていたパトリック・ザラの焦りは、息子であるアスランにも伝わってきている。その為彼は自分の中で計画していたナチュラル殲滅をする為の権力を逃してしまったことに歯ぎしりしていた。それが逆にプラント独立の為の行動に傾きかけていたのだが、根っからのナチュラル嫌いである彼は殲滅を諦めてはいなかった。

 そのことを知っているキラは、裏で彼を如何に権力の座から引きずり降ろすことを考えており、それをアスランが今後も知ることがないのは不幸中の幸いといえるだろう。

 

「それもあるけど新型のMSの戦闘スタイルが君に合っていることがわかったんだよ。貴重な超ハイエンドMSだからパイロットは厳選するみたい」

「そうか。上の決定なら文句を言っても無駄だな。わかった。その件は引き受けよう」

「機体の最終調整が終わってないから受け取るのはしばらく後になるから、しばらくは奪取した機体で頑張ってもらうけど」

「了解だ。お前も精々身体を壊さないようにな」

 

 アスランはそう言って参謀室を後にした。

 

「さてと。僕も自分が希望していた面会に行かないとね」

 

 キラも用事を済ませるべく外出準備をして、部屋に扉にロックをかけて出かけるのであった。

 

 

 

 

 

(一体どうするべきか)

 

 パトリック・ザラは国防委員長に割り当てられる部屋で頭を抱えて悩んでいた。それは今度行われる大作戦『スピット・ブレイク』の攻撃目標をどこにするかだ。

 パトリックは攻撃目標をパナマだと思っている連合の裏をかく為アラスカに攻撃目標を変更することにしていたが、クルーゼの裏切りにより予定が狂ってしまう。

 

(クルーゼめ……あれほど重用してやったにも関わらず恩を仇で返しおって!)

 

 クルーゼの裏切りが発覚したせいでパトリックの予定は何もかも狂いだしてしまった。

 最高評議会議長就任は白紙になり、穏健派であるカナーバが議長になるべきだという雰囲気が最高評議会に生まれたのを端に発して、自分の支持基盤である強硬派に対する民衆の支持も現在進行形で落ちている。そして、戦争を終わらせる切り札であったジェネシス建造に大幅な修正を加えられ、自分の真の目的であるナチュラル殲滅が不可能になってしまい歯を食い縛って耐えることになった。

 

(極め付けはスピット・ブレイクの攻撃目標が敵方へ漏洩した可能性があることだ。これでは迂闊に独断で変更できなくなってしまった)

 

 万が一クルーゼが攻撃目標を漏らしていた場合、アラスカに侵攻するにはリスクが高すぎる。奇襲したと思い込んでアラスカに向かった結果、鉄壁の布陣を持って待ち構えている圧倒的な物量軍団を前にザフト侵攻軍は全滅するしかない。

 

(そんなことになれば議長就任は愚かこの国防委員長の立場さえ失いかねない。今でもその動きがあるのだ、何としてでもこの作戦を成功させねばならん)

 

 それも大成功でなければならない。例え攻略に成功しても被害が大きければクルーゼが漏らしていたことになり、その責任は必然的に上司であり彼を重用していたパトリックになるのだ。

 

「やむを得ん。穏健派の活躍になるかもしれんが失敗は許されない以上、彼を使うしかあるまい」

 

 パトリックはそうおもむろに呟いた後、人事部に連絡を入れるのであった。

 

 

 

 

 

「早期講和の方はどうなっていますか?」

「一応スカンジナビア王国の人物を使い大西洋連邦に和平交渉を持ちかけているが反応はいまいちだ」

「(今の時点ではやっぱり難しいか)そうですか……」

 

 本日の仕事を終えたキラは自分の財閥が経営している料亭で、アイリン・カナーバ(以後カナーバ)議員を中心とした穏健派と会合を行っていた。

 キラはカナーバから和平交渉がうまくいっているのかどうか尋ねるが、カナーバは首を横に振り少し落胆した声で質問に答えた。

 

「やはり連合を交渉の席に就けるには大戦果が必要になる。これ以上戦争すれば利益にならないと思わせるぐらいのな」

「それは難しいのでは? 連合の回復力はこちらを凌駕しているのだぞ? 野蛮なナチュラル等敵ではないと一部の過激派は騒いでいるが妄想の類の考えに過ぎないのだからな」

 

 穏健派よりの中立派であるメンバーの1人がやれやれと言った感じで、過激派の誇大妄想な発言を思いだし溜息をつく。

 ここに集まったメンバーは、現実を見据えることができる人物で構成されているので、誰も強硬派や過激派の言葉に踊らされている世論に振り回されることはない。

 

「しかし、連合はNジャマーを撃ちこんだ我らを容易に許すわけがない。私もカナーバ議員やキラ会長の仰った通り戦果が必要だという考えに賛成だ」

「だが、戦局は膠着状態だ。幸い軍は連合のマスドライバー施設に大規模な軍事作戦をするという噂があるが、それを行って果たして和平を引き出せるのですか?」

 

 ザフト軍の内情に何故か詳しいキラに会合のメンバーが顔を向ける。

 キラは少し考えた後、軍機に触れない情報だけならいいかと結論して口を開く。幸いここにいるメンバーは政治や軍に関わっている者が多いので漏らす心配はないし、攻撃目標を喋るつもりはないので問題ない。

 

「噂はすでにそこまで広まっていますか。攻撃目標はパナマになるでしょう。ここさえ潰せば月基地を干上がらせることができます。自分としては弱体化した月基地を占領してこれを交渉材料にして和平に繋げるつもりでいます」

「私もキラの考えに賛成している。そろそろ戦争を終わらせないと経済破綻が起きる恐れが出てきた。プラント内の厭戦気分も出始めている」

 

 この会合で力を持っているカナーバがキラの意見に賛成したことにより、会合では月基地を占領して周辺をザフトの庭にすることで何とか和平を実現するということになった。

 

「第一段階は全てのマスドライバーを制圧。第二段階は先程説明した月基地占領で講和まで持っていきます。それが無理なら第三段階まで戦略をカナーバ氏と用意しています。だから、勝手な行動は慎んでください。何かするときは必ず会合で審議します」

 

 会合全体で戦争終結までのプロセスを認識させ、キラは個人が勝手な行動を取らないように釘を刺す。それを聞いてキラの副官であるジークリンデの父で国防委員会の武官でもあり、参謀次長に就任しているアウグスト・フォン・ブランデンブルクや他のメンバーは「わかっている」という態度で応じる。

 

「ただでさえ強硬派と穏健派に別れている。ここで我らが結束せねば戦争終結は遠のくからみんな一層努力してくれ」

「カナーバ議員。その第三段階というのは? キラ会長の言葉のニュアンスではあまり使いたくなさそうですが、それは連合が和平に乗ってこない場合使う策だということでよろしいのですか?」

「ああ。その案は最高評議会で用意されていた策だ。だが、今は話せない。軍機に触れてしまうからな」

 

 カナーバとキラが提案する対連合戦略に、連合(特に大西洋連邦と東アジア共和国の一部の国)の強欲さを知る一部のメンバーから疑問の声が上がっていたが、カナーバに何か策があるらしいのでその様な声は止んだ。

 

「目下の問題は新型兵器の開発とパトリック・ザラの洗脳教育だな。特に後者は何とかやめさせないと和平交渉が実現したら、その結果に不満を持つ過激派がテロリストになりかねない」

「それは確かに問題だな。連合が憎いのはわかるが、関係ない者達まで悪意を向けるような大人にするのはまずい。ただでさえ、出生率が低下しているプラントの人口を維持するには融和は必須だ」

「だが、教育関係はパトリックが抑えている。奴が失脚でもしない限り改めるのは不可能だ」

 

 ここにいるメンバーはパトリック・ザラの性格と強引な手腕を知っているだけに、この件を解決するには彼が失脚して、プラント・ザフト内での影響力を完全に排除するしか方法がないのだ。それがわかっているだけに一同は顔を暗くする。

 

「教育を見直すのは戦後になるだろうね。それまでに何とか手を考えてみるからみんなは強硬派や過激派の動きに注意を払ってほしい」

「我々の道は正直茨の道だろう。しかし、プラントの未来の為には今頑張らなければならない。それを肝に銘じてくれ」

 

 キラとカナーバの言った台詞に全員が頷き、彼らはプラントの未来の為に奮闘することを改めて誓うのであった。この会合の後和平推進派は動きを本格化させることになる。

 

「和平交渉の道筋はある程度目星がつきましたが、肝心のそれを成す為の戦果を得る準備はどうなのですか?」

 

 ある者がそう言い他のメンバーは、MS開発等兵器開発に深く関わっているアウグストとキラを見る。

 

「連合のG兵器から得た新技術を盛り込んだ新型MSZGMF-1017M2ジンハイマニューバ2型と、ZGMF-600ゲイツはロールアウトした。ゲイツは宇宙軍の一部には試験運用を兼ねて配置してある。機種転換は順調に行えているが、本格的な配備には少し時間がかかる」

 

 アウグストは現在配備されているザフトの兵器事情について軍機に触れない程度に説明した。最もこの会合のメンバーは政府関係者か軍人なので多少言っても特に問題ないのだが。

 

 アウグストの説明が終わり、キラが次に新型の簡単な説明を始める。

 

「ZGMF-1017MジンハイマニューバM型はジンとの共用パーツを多くして整備性とパーツ流用によるコスト削減を実現しました」

 

 当初は原作通りのZGMF-1017Mジンハイマニューバを生産する計画が上がっていたが、キラの「最初からZGMF-1017M2ジンハイマニューバ2型にした方が効率がいい」という一声で生産計画を大幅に見直した結果、原作のZGMF-1017MジンハイマニューバとZGMF-1017M2ジンハイマニューバ2型を足して2で割った性能になった。

 武装はゲイツと共通にしたJDP2-MMX22 試製27mm機甲突撃銃のビームライフルバージョンともいえるMG-M21Gビーム突撃銃を採用し、防御面では対ビームシールドを搭載しており、連合のMSがビーム兵器を標準装備してきても対抗できるようにしている。スラスターもZGMF-1017Mのスラスターを改造した物を採用して、機動性と運動性を加速性能を強化している。

 

「ZGMF-600ゲイツは当初搭載する予定だった武装を一部排して両腰にレールガンを加えました。それに加えてスラスターの配置変えと増設を行いました(これは原作のゲイツRそのままだけど)」

 

 ZGMF-600ゲイツはキラが原作知識からパイロットから不評が出る、エクステンショナル・アレスターを最初から採用しない方針を取り、武装はZGMF-1017M2ジンハイマニューバ2型と共通のビーム突撃銃を採用。更に原作のゲイツRのように側面スラスターの撤去と腰部背面へ増設を行うことで機動性と運動性能を上げる案を採用して新兵でも扱いやすい機体に仕上げることに成功した。

 

「今の所発表できるのはここまでです。更に新型の開発をしていますので、兵器の性能で遅れを取ることは当分はありません」

 

 キラの説明が終わり、集まった面々はほっとする。

 MSの性能で敵を上回らなければ数に勝る連合には勝てないからだ。特に連合のG兵器の性能に驚愕していた面々は、いずれ連合にも優れたMSが大量配備されるのは時間の問題だと考えていただけに。

 

 「今日の会合はここまでとする。次回の会合は追って連絡する。以上だ。全員一層の努力を期待する」

 

 会合の最後はカナーバの言葉で締めくくられることになり、会合のメンバーは帰路についた。

 




一応原作のMSでも主人公の原作知識によって性能が違ったり、見た目が違う物があります。最初はこの後書きに性能を書こうかと思ったのですが、何か原作の説明をそのまま書いているみたいだったのでやめにしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。