赤い薔薇は狂い嗤う 作:シルバー・ウィング
「参ったわね……頭が痛いわ」
赤の
空間に設置された円卓にはブラッド・レパードを始めとする≪
しばし唸っていたローズであったが、やがて口を開く。
「――一応、もう一度、確認しておくわ。まず、破壊されていたはずの≪災禍の鎧≫の復活。その持ち主がウチの
ローズの確認に頷いたのはスナイパーだった。
「ああ。≪情報屋≫にも確認したし、間違いねーだろ」
「やっぱり、そう……」
スナイパーの言葉にローズは疲れたかのように重くため息を吐く。
「色々突っ込みたい所は満載だけれど、まぁまずは置いといて、
「≪断罪≫か?」
「ええ……」
裏切りの黒を除く六王が結んだ≪相互不可侵条約≫。他の
目には目を、歯には歯をという考えの野蛮な復讐法であるが、その条項が適用されない場合が一つだけあった。
それはその加害者であるバーストリンカーを、その
レギオンマスターの持つ特権である≪
つまりローズは自分の
いくら条約とはいえ――いくら≪鎧≫によって理性を失い、狂ってしまっているとはいえ、自分に従い、今まで共に戦い抜いてきた仲間を断罪などしたくはない。だが、レギオンマスターとしてローズは私情を挟むわけにはいかない。
「……そろそろ狩場も
途中でローズの台詞に割り込んだのは、今までひたすら顔を俯け、沈黙を貫いていたレインだった。
「なにかしら、レイン?」
皆の視線が集まる中、立ち上がったレインは自らの胸に手を当てて告げる。
「チェリーの居場所の特定はあたし一人にやらせてくれませんか? もちろん、ちゃんとローズさんには報告しますから」
「でもレイン。たしかルークはアナタの……」
「だからこそです。アイツのことはあたしが一番知ってる。だからこそあたしがなんとかしなくちゃいけないんです……」
それに、とレインは言葉を続ける。
「やはり≪鎧≫を探すのは危険を伴います。下手に大人数を動かさないほうがいい」
「俺は反対だ」
「あ?」
言葉を発したのはスナイパーだった。スナイパーは
「ただでさえチェリー・ルークの処分は緊急を要するんだ。いくらお前がルークを知っているからと言ってもお前一人では時間がかかりすぎる。――他の
「そうかもしれねぇ――けど!!」
「それにレインはルークの≪子≫だ。下手に私情を挟まねぇ保障がどこにある?」
「ッ!」
沈黙。レインが鋭く息を呑み、その場の全員が言葉を失う。
そう。≪災禍の鎧≫に汚染されたバーストリンカー、チェリー・ルークはこのスカーレット・レインにブレイン・バーストをコピー・インストールした≪親≫なのである。先ほどローズがレインに告げようとした言葉もその事についてである。
ローズは原初にブレイン・バーストを配布されたいわゆる≪オリジネーター≫故、親がいない。しかし、己の半身を失う悲しみは知っている。
だからこそレインの気持ちはわかる。≪鎧≫の支配下からルークを救いたいのだろう。そのためにもまず自分一人でルークを探し出したい。他人に見つけられ、自分はなにもできないままローズに断罪されたくないのであろう。
だが、スナイパーの意見がもっともであることもわかる。他の
どうするか。頭を捻らせていると、不意にブラッド・レパードが口を開く。
「ローズ、お願いが」
「なに?」
「一週間だけ彼女に時間を与えてあげてほしい。一週間経ってもレインがルークの情報を入手できなければ他のメンバーも動かせばいい」
「パド……」
レインがレパードをじっと見つめる。
ローズはしばらく考えるそぶりを見せた後、やがてゆっくりと頷いた。
「――いいわ。一週間だけ時間をあげる。皆もそれでいい?」
「ローズの決定なら文句はねーよ」
反対していたスナイパーを始め、≪
「あ、ありがとうございます!」
行きつく先には絶望しかないのかもしれない。
それでも