舞い戻りし悪魔   作:小林輝昭

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皆様お久しぶりです。更新が遅れて申し訳ありません。

変更した点があります。
主人公の出自をエフォンス家からリーベルタース家へ変更。
尾獣の数を9体から7体へ変更。
以上です。

それでは本編をどうぞ!


NO.3

万感に浸っていると不意に声をかけられた。

「シリウス」

八坂さんの声だった。後ろを振り返ろうとすると抱き締められた。

「えっ、八坂さん?」

彼女は、泣いていた。いつも、

「よかった・・・本当によかった。死んだらどうしようかと」

俺は、八坂さんを抱き締め返した。今の彼女は、いつもの京都の妖怪達を束ねている大妖怪ではなく守ってあげたくなるような存在だった。

「ありがとうございます、八坂さん。此処は、俺の居場所ですから。後、八坂さんもいますし」

そう言うと、顔を赤くして目を逸らした。

「からかうでない。ほんに口だけは、達者じゃな」

「からかってないんですけど。本心ですよ」

そんな感じで話していると

「母上〜。シリウス〜」

九重ちゃんが、走ってきた。

その後ろには、他の妖怪達もいる。みんな笑顔だ。

「帰ろうかの?」

「そうしますか」

俺達は、共に歩き出した。

夕陽が俺達を照らし、新たな門出を祝うかのように春の暖かな風が吹いていた。

 

 

その日の夜は宴が開かれ、てんやわんやの大騒ぎだった。俺は京都を救った英雄と担ぎあげられた。沢山の妖怪達が「ありがとう」と言ってくれて本当に嬉しかった。改めて此処が今の自分の帰るべき所なんだと実感した。

そろそろお開きにしようかとなり妖怪達が帰り始め俺も帰ろかと思った時だった。

「シリウス、ちょっといいかえ?」

八坂さんに呼ばれた。

「改めて、ありがとうシリウス。お主のおかげで此処は救われた。妾達の居場所を失わずにすんだ」

「面と向かって言われると恥ずかしいけど、そう言ってもらえると己の力を使ったかいがあります。ここは、俺にとっての居場所でもありますから」

八坂さんは、満足そうに頷いていた。

「これは、わらわからの褒美じゃ」

八坂さんは口づけをしてきた。唇はとても柔らかかった。

顔は真っ赤になっており、いつもの妖艶な姿からは絶対見られない初々しい反応に『ドキッ』としてしまった。

すると不意に

「母上〜、どこにいるの〜」

と九重ちゃんが半分寝ている状態でふらふら歩いていた。

「で、ではのシリウス」

八坂さんは、九重ちゃんを抱き抱え足ばやに去っていった。

その後は大きな出来事はなく平穏な日々を過ごした。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

オカルト研究部の部員であるが部長の眷属でない俺にこれといって仕事があるわけではない。何もしないのは退屈なので、夜中に兵藤と共にチラシ配りをしている。そして、今日はいよいよ兵藤の初仕事だ。もちろん悪魔としてだが。

部室の窓には暗幕がかけられていて、完全に光をシャットアウトしている。床に点々としているロウソクの灯りだけしかない。

「来たわね」

俺達を確認するなり部長が姫島先輩に指示を送る。

「はい、部長。イッセーくん、魔法陣の中央へ来てください」

そして兵藤が中央に立った。

「イッセー、あなたのチラシ配りも終わり。よく頑張ったわね。レイも手伝ってくれてありがとう」

俺は、部長の労いに会釈で返した。

「改めて、イッセーにも悪魔としての仕事を本格的に始動してもらうわ」

「おおっ!俺も契約取りですか!」

「ええ、そうよ。もちろん、初めてだから、レベルの低い契約内容からだけれど。小猫に予約契約が二件入ってしまったの。両方行くのは難しいから、片方はあなたに任せるわ。レイに関しては、あまり言うことがないわ。何かしたいことある?」

「うーん、自分も特にしたいことはないのですが・・

では、冥界の書物を読ませていただけないですか?」

「ええ、そんなことでいいなら。部室の本棚にあるのは構わないわ。全て読み終えたなら言ってちょうだい」

「わかりました。ありがとうございます」

部長と話している間に転移する準備が整ったみたいだ。

「朱乃、準備いい?」

「はい、部長」

兵藤が魔法陣の中央に立った。

すると、いっそう強く魔法陣が光り始めた。

「魔法陣が依頼者に反応しているわ。これからその場所へ飛ぶの。イッセー、到着後のマニュアルも大丈夫よね?」

「はい!」

「いい返事ね。じゃあ、行ってきなさい」

部長が言ったと同時にさらに魔法陣は光り始め兵藤の体を包んだ。

だんだんと光が収まり、兵藤は・・・・・まだいた。

部長は額に手をあて、困り顏をしていた。

姫島先輩は「あらあら」と残念そうな表情。

木馬はため息をついていた。

兵藤は何が起きたのかわからずオロオロしている。

「兵藤、お前は転移に失敗したんだ。恐らく魔力が足らなかったんだろう」

周りから失笑が漏れた。

「ちなみにどのくらいなんだ?」

「はっきり言うとわからん」

兵藤の顏には、困惑の表情が浮かんでいる。

「魔法陣を介して行う転移は、悪魔であるならば誰でも出来る。転生悪魔も例外ではないんだ。悪魔として生きているならば誰でも持っているであろう魔力で可能なんだ。もちろん、子供でも。つまり、お前は魔力が低すぎるんだ。魔法陣が反応しないくらいにな。

まぁ人間の場合としておきかえるなら、握力を測る時に握力計を握ったが握力が低すぎて測定不能の状態だな」

「な、なんじゃそりゃぁぁぁぁぁ⁉︎」

兵藤は、絶句していた。まぁ、自分が悪魔である事を否定されたわけだから仕方ない。

「・・・・・無様」

塔城は心底呆れたと言わんばかりの表情でぼそりと言った。塔城もあんな顔するんだな。いつも無表情だから新鮮な感じがする。

「あらあら。困りましたわねぇ。どうします、部長」

姫島先輩が困り顏で部長に尋ねている。

しばし考えこんだ部長はハッキリと兵藤に言い渡した。

「依頼者がいる以上、待たせるわけにはいかないわ。イッセー」

「はい!」

「前代未聞だけれど、足で直接現場へ行ってちょうだい」

「足⁉︎」

兵藤は、部長の言葉に驚愕している。

「ええ、チラシ配りと同様に移動して、依頼者宅へ赴くのよ。仕方ないわ。魔力がないんだもの。足りないものは他の部分で補いなさい」

チャリで依頼者へ行く悪魔ってなんだよ。

依頼者、信用してくれるのか?

まぁ、どうする事もできないから仕方ないか。

頑張れ、兵藤!!

 

 

兵藤が泣きながら部室を出ていった後、木場と塔城は契約を取りにいった。部長と姫島先輩は、何やら書類の整理があるらしく奥の部屋へ入っていった。

一人残された俺は早速、冥界の書物を読むことにした。

色々な本がある。

『転生悪魔のための悪魔の常識』『冥界の歴史』『元七十二柱の遺産』『初心者のためのレーティングゲーム』

『レーティングゲームが百倍楽しくなる本』『異性を落とすテクニック』『人気悪魔ランキング』 etc......

何冊か明らかに冥界と関係のない本もあったが気にしないでおこう。その中からふと目についた本を手に取った。

『冥界の生物について』

その本の目次には、かなり興味深い項目があった。

 

[尾獣について]

尾獣つまりその名の通り尾のついた獣の事だが厳密には獣ではない。それぞれが火・水・地・木・風・闇・光をつかさどっている。それぞれが膨大な魔力の塊であり、それがただ形を成しただけのようだ。しかもただ単なる魔力の塊に過ぎないため捕まえるのが非常に困難で、ある特定の方法でなければ捕らえることはできない。その魔力を手にした者は、山を吹き飛ばし海を切り裂く力を得るとされている。だが、かなりの危険を伴う。尾獣の力を使用するたびに、自分自身の魔力が尾獣に取り込まれ、自身の魔力がなくなった時に自我が崩壊してしまう。危険を回避する方法がないわけでは無い。だが、その方法が何なのかは分からない。

何故なら記録によれば尾獣の存在自体が確認されていたのは、古の大戦より遥か前だからだ。古の大戦以前には様々な資料も保存されていたようだが、殆ど消失してしまっている。そして、古の大戦以降も目撃情報が無いので今や尾獣はもう既に存在していないのでは無いかと思われている。

 

 

まぁ、違う所もあったが概ねあっていた。もし、俺が尾獣を持っていると公表すればどうなるだろうか。たぶん、提供しろだの何だの言われるんだろうな。いや、それ以前に尾獣の秘密を知っている俺を消すかもしれんな。今の魔王体制がひっくり返りかねない事だがらな。考えても仕方ないし違うのを読むとするか。

 

 




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次回もお楽しみに。
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