舞い戻りし悪魔   作:小林輝昭

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こんばんは。
早速ですが本編をどうぞ。


NO.4

あくる日の夜部室へ行くと兵藤が説教中だった。

「二度と教会に近づいちゃダメよ!」

どうやら教会に近づいたみたいだ。

悪魔が教会関係者に関わるなど自殺行為だ。

彼らは、悪魔を殲滅することを至上としているからだ。

まぁ、悪魔になって最近だから仕方ないといえば仕方ない。いまいち実感がわかないのだろう。本能的には忌避感を覚えているだろうが。

「教会の関係者にも関わってはダメよ。特に悪魔祓い(エクソシスト)は我々の仇敵。神の祝福を受けた彼らの力は私たちを滅せるほどよ。神器(セイクリッド・ギア)所有者が悪魔祓いなら尚更。もう、それは死と隣り合わせるのと同義だわ。イッセー」

何時にも無く真剣な表情だ。

流石、情愛の深いグレモリー家の御息女だ。眷属を大切にしているのが良くわかる。

全ての悪魔がこうであれば、と思わずにはいられない。

だが、希望的観測だ。

上級悪魔は、下級悪魔や転生悪魔を自分がのし上がるための道具としか考えていない方が圧倒的に多い。

『駒集め』と称して、優秀な人間を自分の手駒にするのも流行っている。優秀な下僕はステータスになるからだ。

下級悪魔や転生悪魔の立場改善は幾度となく考えられていたが過去、現在、そして未来永劫そんな日はないし、来ないだろう。

成り上りも増加しているが、それは圧倒的な力を持つごく少数だけだ。

成り上った者もその立場は不安定なものだ。

血筋という後ろ盾が存在しないためによる弊害だ。

協力な力を持つ転生悪魔が主の不当な扱いに業を燃やし殺すことも少なくない。下級悪魔の中では常に上級悪魔に対する不満が渦巻いている。

そのような不安定なコミュニティを維持できたのかは(ひとえ)に栄華を誇った魔王と七十二家の存在だ。彼らのおかげで上級悪魔や純血悪魔の立場は保証されていた。彼らは、強大な力を持っていたため他の神話勢力より勝っていたのは強ち間違いではない。だが、大戦を機に繁栄は終わりを告げた。魔王が死に多数の七十二家が、断絶したからだ。

現在は、魔王が四人選出され統治しているが上手くいっているとは言いがたい。

彼らは、力もしくは知性は優秀であるが若い。

若いがゆえに、統治に関しては他の悪魔とさほど変わらない。

したがって、彼らより何倍も生きている名家産まれの最上級悪魔の意見を無下にすることはできない。魔王の意見が否定されることも多々あり、老君が政治をしていると言っても過言ではない。ここでも、血筋が影を落とす。

悪魔社会の中枢が大戦以前の思想を反映しているのだから方向性はもちろんそちら側になる。だが当然、現在の悪魔社会には当てはまらないことは明白だろう。この状態が続いているのだから綻びが生じていてもおかしくない。その綻びが自らを脅かしているとしてもそれほど気にも留めない。彼らの中には、上級悪魔、純血悪魔は絶対的な存在だという確固とした思いがあるのだから。

 

どうやら考えごとをしている間に終わったようだ。

姫島先輩が部長に何やら耳打ちした。その直後に、部長の顔が曇る。

「討伐の依頼が大公からきたわ。はぐれ悪魔の討伐は、私達の義務だから玲は今回遠慮してもらうわ。いいわね」

「わかりました。お気をつけて」

今以上に興味を持たれると困るので、部長が言い出さなければ俺から言っていたのでこの申し出は好都合だった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「ただいま〜」

俺は、部長達に別れを告げ一足先に帰宅した。

リビングに入ると黒歌が雑誌を読んでいた。

「おかえりにゃ〜。頼まれていたお使い済ませておいたにゃ」

黒歌には、家事を任せている。料理は、俺担当だが。

「ありがとう。今から作るから少し待ってて」

「今日は、手伝いにゃ」

「OK。じゃあ、肉の下ごしらえをしてもらおうか。まず、筋を切って.....」

「ごちそうさまでした。美味しかったにゃ」

「お粗末さま。黒歌今日何してたんだ」

黒歌には、隠蔽効果のあるペンダントを上げているからそう簡単には妖怪だとわからない。

「今日は、ウィンドウショッピングを楽しんだにゃ。掘り出し物の着物を見つけたから今度買ってにゃ」

住み始めた頃は遠慮していたのだが、今は遠慮することはなくなった。その事がなんだが受け入れてもらった様に思えて嬉しかった。

「あぁ、いいぞ。因みにいくら位するんだ?」

「四十万くらいだったかにゃ?でも、本当は二倍くらいついてもおかしくないものだったにゃ。お買い得にゃ」

俺には、着物の価値がいまいちわからないが着物愛好家の黒歌が言うのだから間違いないだろう。

「了解。今度デートする時に買いに行こう!」

黒歌は、満面の笑みになり抱きついてきた。

「楽しみにゃ。今日の夜はサービスしちゃうにゃ」

耳元で色っぽく囁かれた。気を抜くと理性が飛びそうだったが何とか我慢できた。

「そ、そうか。でも、まず風呂へ入らないと」

「私も一緒に入るにゃ」

今日の風呂は、とんでもない事になりそうだ。

 

ーーーーーーーーーー

 

 

黒歌との熱い夜を過ごして幾日か経った。

俺は、相変わらず本を読んでいた。

兵藤の悪魔稼業は前途多難のようだ。転移失敗事件以降、一つも契約を取れていないようだ。でも、評価は悪くないみたいだ。依頼者が満足しているため部長も怒るに怒れないようだ。単純だが真っ直ぐな人間性に惚れる人が多いのだろう。

流石にこの現状に見かねた部長が俺に「イッセーについていってほしい」と言ってきた。特に断る理由もなかったので二つ返事で返した。

そして今依頼者宅に来ているわけだが、どうやら殺されている。無惨な姿で壁に貼り付けられている。兵藤は、死体を見たのが初めてだったのだろう。隣で吐いている

此れをした犯人は

「おい、いるんだろう?さっさと出てこい、悪魔祓い(エクソシスト)

「あららー、バレちゃいましたかー。お兄さんただの人間っぽいのにすごーい。そっちの悪魔はぁ、ゲボゲボしているだけなのにぃ」

悪魔祓い(エクソシスト)だ。

「この人を殺したのはお前か」

兵藤が、吐き終えたのか何とか立ち上がった。

「イエスイエス。俺が殺っちゃいました。だってー、悪魔を呼び出す常習犯だったみたいだしぃ、殺すしかないっしょ」

「それで、俺たちのことはどうするつもりだ?」

「そりゃあ、もちろん。し・け・いでしょ。悪魔と悪魔に絡んでる奴なんてクズですヨォ」

想定通りの結果だった。やはり、交渉の余地は無さそうだ。兵藤は完全に足がすくんでいる。初めて自分に向けられる殺気を感じているのだろう。

奴は、懐から刀身のない剣の柄と、拳銃を取り出した。

ブィン。

空気を振動させる音。

柄だけの剣が、光の刀身を作りだす。

「もう、俺っちはガマンできませーん。じゃあ、死刑しっこーう。ぶちこんでやりますヨ〜」

ダッ!

光の刀身が俺に向かって横薙ぎに放たれる。

〔武装色硬化〕

ガギィィン!

手刀で弾き返す。

まさか弾かれると思ってなかったのか余裕の表情が消えていた。完全な無表情だ。

「何すかそれ?ありえんでしょ、手刀とか。しかも真っ黒になってるし。お兄さん何者ですかぁ?人造人間?まぁ、誰でもいいけどぉ、死んで下さ〜い」

「やめてください!」

金髪のシスターらしき少女が割り込んできた。

「アーシア」

兵藤と知り合いなのか、兵藤がその少女の名前を呟いた。

「おんや、助手のアーシアちゃんじゃあーりませんか。どうしたの?結界は張り終わったのかな?」

「!い、いやぁぁぁぁぁぁっ!」

シスターの少女は、壁に打ちつけられているこの家の者の遺体を見て、悲鳴をあげた。

「かわいい悲鳴ありがとうございます。そっか、アーシアちゃんはこの手の死体は初めてですかねぇ。ならなら、よーく、とくとご覧なさいな。悪魔くんに魅入られたダメ人間さんはそうやって死んでもらうのですよぉ」

「・・・・そ、そんな・・・」

不意に少女の目線がこちらに向く。目を見開いて驚く彼女。

「・・・フリード神父・・・その人達は・・・」

少女の視線が俺達を捉えている。

「人?違う違う。こいつらはクソの悪魔とカスの人間だよ。ハハハ、何を勘違いしているのかな」

「ーーつ。イッセーさんが・・・悪魔・・・・?」

その事実がショックだったのか、言葉を詰まらせていた。

「なになに?キミら知り合い?わーお。これは驚き大革命。悪魔とシスターの許されざる恋とかそういうの?マジ?マジ?」

面白おかしくフリードと呼ばれる神父は、はやしたてる。

少女は、兵藤が悪魔であることがよっぽどショックだったのか固まっている。

それはそうだろう。教会関係者にとって悪魔は何者より嫌悪される存在だ。それが、自分といたなんて知ったら憤りを感じるだろう。

「あははは!悪魔と人間は相容れません!特に教会関係者と悪魔ってのは天敵さ!それに俺らは神にすら見放された異端の集まりですぜ?俺もアーシアたんも堕天使さまからのご加護がないと生きていけないハンパもののですぞぉ?」

堕天使?

なるほどこいつら『はぐれ』だな。シスターは置いておいても神父のこの残虐性は、行き過ぎているからな。教会としても扱いきれなかったんだろう。

それにしても部長は、何をしていたんだ?自分の治めている地域に堕天使入りこまれているぞ。何か考えあってそのままにしているかもしれないが。

それよりもこっちが先決か・・・

さて、どうしようか。

 

 




いかがだったでしょうか。

もう朝方はかなり冷え込んできているので皆様お体にはお気をつけください。
では次回もお楽しみに。
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