ぼくのかんがえた さいきょーの かんたい   作:変わり身

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山もなく谷もなくまったりと


万能艦&輸送艦

 

図鑑の話であるが、夜明けの船さんとナデシコBさん以外の全員は要約して色キチという扱いに落ち着いた。

 

まぁ、そうなるな。あれだけ天河くんの事を連呼し、ダナンさんに関しては実際カシム君を口説きまでしたのだ。これを色と呼ばずして何と言う。

とりあえず、彼女達の項は実際に建造を成した提督でない限り見えない仕様という事が救いなのだろうか。ようやく図鑑という言葉の意味を知った図鑑を閉じ、深く頷いた。

 

ま、それはそれとしてほっといて。

 

 

「提督、そういえば私達って遠征任務しなくて良いんですか?」

 

五月雨さんがそんな疑問を放ったのは、とある雨の日。

海域の安全性が云々と理屈を捏ね、鎮守府全体を休暇の日とし何時もの三人+一匹で執務室に集まりまったりと過ごしていた時の事だった。

 

一体どうした突然に。猫吊るしに自作の衣装を飾り付けつつそう問えば、五月雨さんは雨の落ちる窓の外を見つめつつ語る。

何でも演習先の娘さんからオリョクルがどうの八十時間がどうのと話を聞いてふと気になったらしい。何それ、そんな事してんの他所の家。

 

しかし確かに、この鎮守府では遠征任務をこなした事は無かったなぁ。忘れてたというか、人員不足で遠征まで気が回らなかっただけなんだけども。

今じゃ第一艦隊の枠が埋まるくらいの人員が集った事だし、そろそろ部隊を分けて一回くらいは遠征とやらをやってみようか。

巫女服姿でポーズを取らせた猫吊るしを脇にどけ、そこらにあったチラシの裏に我が部隊の艦娘達の名を連ねる。

 

「……あ、部隊をどう分けるか考えるんですね!」

 

肩口から顔を出す五月雨さんにウムと頷く。六人全員でカチ込むのも良いだろうが、それはそれで俺がぼっちになって寂しくなるからヤダもの。しょうがないね。

 

さて、にしてもどうするかな。猫吊るしが袖口を引いて自分の顔を指差しているのを無視しつつ、考える。

他所ではドラム缶持った潜水艦だけで回してるとか何とか聞いた気もするが、それ多分プロがやる事だよな。いや俺もプロだけどそういう意味じゃないっつーか、まぁいいや。

 

初心者がやるとなると……やっぱ3:3が基本かなぁ。とりあえずナデシコ級の三人を一組とし、五月雨さんと潜水艦二人で2チームとしてみる。

面白みは少ないかもしれんが、初めてに求めるもんでもないしね。これが鉄板でしょう、多分。

 

後はナデシコBさん、夜明けの船さん、ダナンさんで薄髪色チーム。夜明けの船さん、ユーチャリスちゃん、五月雨さんで母と子チーム。

ついでにナデシコさん、夜明けの船さんとそれ以外でバインバインチームとか考えたけど、それは顰蹙買うだろうから心の中に留めておいて。幾つか候補を書きつらう。

 

まぁ結局は始めに考えたナデシコチームで行くと決まった訳だが……うーむ、こう考えるとやっぱりもっと人員欲しくなるよなぁ。せめて第二艦隊を作ってコンスタントに遠征任せられるように出来るくらいには。

しかし建造するにしても、どうせまた結構な時間かかる事になるんだろうなぁ。一応ドックは全て解放済みであるが、一週間二週間、ヘタしたら一月単位になると考えると億劫になって建造ボタンを押し辛いのであるが――。

 

「そうですか? 私は新しい仲間が増えるの、楽しみですけど……」

 

あ、そう? じゃあやるかぁ。

俺の手首はモーター稼働。五月雨さんの要望にあっさりと意見を翻し、早速工廠へ向かったのだった。

 

……で、試しに新しいドック二つを使ってみたが、やっぱり数字は??:00:00。

どうやらドックの新旧は関係なかったようですね。分かってたけど何なんだよもー。

 

 

信じて遠征に送り出したナデシコさん達が僅か五分前後で任務終了してきた。どういう事だよ。

 

いや幾ら練習航海っていっても早過ぎるでしょう。ちゃんと燃料も集めてきている辺りサボりではないんだろうが、ちょっと意味が分からん。

出撃したと思ったら帰ってきた彼女達に驚くやら労るやら。まぁとりあえず何があったか聞いてみれば、どうやら彼女達にはワープ機能のようなものがあるらしい。以前天河くんを追い詰めるのに使っていたアレだろうか。

 

「ボソンジャンプ、と言います。スピン角運動量が整数倍を取るボース粒子を利用し、レトロスペクトの概念を用いた――」

 

成程、不思議ワープという事だな。淡々と注釈を垂れるナデシコBさんを遮りそう結論付ければ、溜息と共に呆れられた。仕方ないだろ分かんねぇんだから!

 

とりあえず掻い摘んだ所によると、そのワープ航法はイメージ出来る場所ならどこにでも跳べるとの事。そういや遠征先の海域は出撃で何度も行った場所だったっけか。

で、本来ならば遺跡?ってやつとか特殊なクリスタルが必要なのだが、艦娘となった事でそこら辺が適当になったそうな。そうして十分前の過去の海域に跳び、五分で帰って来れたという訳だ。うむ。

 

……いや、どういう訳だ?

十分前に跳ぶってあんた、それってタイムマシンじゃん? ワープ、関係なくね?

 

「えー……時間移動出来るなら場所移動もオッケー。という事でどうですか」

 

おお、それなら分かりやすい!

ナデシコBさんの簡潔な説明に眼から鱗。そりゃ時間をウロチョロできたら位置もウロチョロできるわな。なるほろなるほろ、またぞろ一個賢くなった。

「……てけとー提督」ぼそっと何か聞こえた気もするが、疑問が解けたことにスッキリしていたので聞こえなーい。

 

「速度なら私らも負けてないんだけどねぇ」

「流石にワープにはちょっと勝てませんねぇ」

 

すると夜明けの船さんら潜水艦組が何やらしみじみと零していたが、あなた達も大概バケモノだという事には変わりあるまい。

むしろナデシコさん達がイメージ出来ない場所においては、夜明けの船さんやダナンさん達の方が早く済むのではないだろうか。

 

しかしこうなると鎮守府運営の幅が広がるなぁ。久方ぶりのスケジュール管理にウキウキ気分、五月雨さんを巻き込んで遠征任務の振り分けを考える。

俺デリカシー欠如してるってよく言われるからね。女の子特有のアレコレとか知らんし、頼りにしてますお姉さん、なんつって。

 

「お、お姉さん……は、はいっ! 任せて下さいね、提督っ!」

 

そうして何故か張り切る彼女と共に、久方ぶりのお仕事タイムを過ごした俺達であった。

 

 

 

「――セレスティア七大秘宝のひとつ、万能艦バンエルティア号です。大海賊アイフリードの軌跡はここにあり、あなたに御せるでしょうかね」

 

「――輸送艦、イオニアです。ええと、艦娘って事で呼ばれたみたいだけど、僕……いや、何でもないです……」

 

 

11日後。建造が終わったのだが、何か変なのが来た。

いやこれまでの人達も大概変な人ではあるが、今回は何かこう、SFではなくファンタジーの匂いがするのだ。自分でも何言ってるか分からんけど。

 

バンエルティア号ちゃんは浅黒い肌と金のベリーショートが特徴的な、どこと無く海賊の雰囲気を持つ十代前半くらいの女の子。

額に大きな宝石のような物がひっついているのがものすごく目を引くが、艦艇時代の名残か何かだろうか。ともかく元気いっぱいのボーイッシュな子である。

 

対するイオニアちゃんも、バンエルティア号ちゃんと同い年くらいのボーイッシュな印象のある子だ。

しかしモジモジと何かを言い淀む仕草はとても可愛らしく、また艦装も殆ど持っていない為大人しめの性質である事は見て取れた。現代風の服装を纏っており、もしかしたら近代の艦艇だったのかもしれない。

 

何か静と動の違いはあれど共通点のある娘さんが出てきたなぁ。とりあえず俺も二人に一礼を返しつつ、五月雨さん達に紹介するべく執務室へと案内する。

 

「……あ、どもっす、提督。新しい艦娘っすか、そこの子ら」

 

すると、廊下を歩く途中に天河くんと行き会った。何やら大きなダンボールを持ち、食材の輸送中であるようだ。

どうやら忙しいようなので二人の紹介もそこそこに立ち去ろうとしたのだが、輸送艦の本能が騒いだのかイオニアちゃんが何やらおずおずと切り出した。

 

「あの……もし良かったら、それ運ぶの手伝いますか?」

「ん? ああいや、別に平気だよこれくらい。それに君これから顔合わせに行くんだろ。ナデシコはともかく、Bちゃんやダナンさんとか待たせるのは……」

「いえ、そういう事じゃなくて……実際に見せたほうが早いかな。それっ」

「うおっ」

 

ポン、と。イオニアちゃんが腕を翳した先に、突然一台の台車が現れた。思わぬ現象に皆驚き、思わずたじろぐ。

 

「僕、簡単な家具くらいなら自分で作り出せるんです。それ良かったら使ってください」

「……お、おおう。あ、ありがとうな、何か……?」

 

天河くんは混乱した様子で何度も礼を言うと、おっかなびっくりその台車を押して去っていった。「後で食堂に来たらラーメン奢るよー!」と遠くで聞こえたが、彼の腕は褒美になる程上がっているのだろうか。

 

まぁそれはともかく何とも特殊というか、凄い能力を持っているもんだ。輸送艦ってそういうもんなのかしら。

そう半ば感心していると、それに競争心が刺激されたのかバンエルティア号ちゃんが大きく身を乗り出して来た。負けず嫌いな一面があるようだ。順当。

 

「ボクだって負けてませんよ。艦首大晶霊砲の一撃に耐えられるものなんてありませんし、何よりインフェリアとセレスティア、他にも様々な世界や海を巡り――」

 

大海賊アイフリードがどうだとか、全長や航行速度がどうだとか。色々と自慢されたが、正直我が家の艦娘達の印象もありイマイチ驚くことが出来ない。

 

「……その顔、もしかして法螺話だと思ってますか? 嘘じゃないですよ、ボクの性能はホントにですね!」

 

そんな俺の空気を察したのかムッとした様子で言い重ねるが、別に信じてない訳じゃないんだって。

ただ主砲にしろ何にしろ、グラビティブラストやワープ、夜明けの船さん達の速度を知ってる身としては驚き辛い訳で。ねぇ?

 

「ボクにだってワープくらい出来ますよ。転送室という機関がありますからね、その程度造作もありません」

 

おお、それは素直に凄いし嬉しい。パチパチと手を叩けば気分を良くしたようで、得意げな表情で話を続ける。

 

彼女曰く、元の艦艇には医務室や遊戯室など様々な機能施設があったらしく、話を聞く限りでは正に万能艦の名に相応しい器用さを誇っていたとの事だ。戦闘より、それ以外の方面に特化している印象を受ける。

イオニアちゃんの能力と言い、今回の艦娘さんはちょっとトリッキーな娘達だな。とりあえず歩みが止まっていたので話を適当な所で切り上げさせようとすると――「あっ、提督っ!」執務室の方角から五月雨さんが走ってくるのが見えた。

 

どうも遅い事を心配して様子を見に来てくれたっぽい感じ。俺は彼女に軽く手を振り、バンエルティア号ちゃんの背を押そうとして。

 

「――それに、休憩所としても利用されていました。提督がボクと一緒に寝れば、色々元気になれますよ」

「…………えっ」

 

ぴたり。五月雨さんが固まった。

ああ、うん。何というか、ちょっとベタすぎやしないだろうか。俺今肩を抱くように背中に触れた姿勢だったし、古典的っつーか、タイミングがさぁ。

 

「あ、あのっ、おじゃましっ――」

 

しかしそう簡単には終わらんぞ。

俺は一瞬で顔を真っ赤にして逃げようとする五月雨さんに向かい猫吊るしをシュート。その顔面に張り付かせ目隠しをかけ、見事なコンビネーションで五月雨さんの逃亡を阻止したのであった。

 

当然ながら誤解を解くのに結構な苦労をした訳だが、それから何故か執務室に枕が置かれるようになった辺り微妙に解けていない気がしなくもない。

何だ。俺はこの何やらいい香りのする枕を使って何をすればいいんだ五月雨さん。いやお姉さん。ねぇちょっと。

 

 

「へぇ、アンタそんなナリしてご同輩かい。キュベルネスの奴に比べたら可愛いもんじゃないか、ハッハッハ」

「ちょっ……勝手に頭撫でないでください、まったくもう!」

 

以上、初顔合わせの際のバンエルティア号ちゃんと夜明けの船さんの会話である。

ご同輩、という事は夜明けの船さんは元は海賊船として運用されていたのだろうか。まぁそれっぽい雰囲気はあるけども。

 

それはさておき。少々毛色の違う新造艦の二人だが、皆にはそれなりに受け入れられたようである。

妹分、というより弟分のような空気であるが、最年少(見かけ)のユーチャリスちゃんと一緒に可愛がられているようだ。

天河くんやナデシコさんにべったりだった彼女も、徐々にバンエルティア号ちゃんたちと三人でつるむようになったりして、彼女達だけでチームを組ませるのも良いかなと思う今日此の頃。

 

「……あの、提督。少し良いでしょうか」

 

そう言って猫吊るしのほっぺたを弄る俺を訪ねてきたのはダナンさんであった。

彼女がわざわざ来るとは、はて一体何事か。カシム君に会う口実となるふみこ少佐との演習なら来週に組んであるけども。

 

「本当ですか? あ、いえ、今回はそのことでは無く」

 

一瞬喜色ばんだがすぐに平静を取り戻し、語り始めたのはイオニアちゃんの事。話を聞くと、どうもあの子に対し疑念を抱いているらしい。

 

……ついに女の子同士でギスる感じのアレがウチの鎮守府に? 思わず脂汗を垂らしたものの、そういう訳でも無いようで。

じゃあどういう事なのさ。そう問えば暫く言い辛そうにしていたダナンさんであったが――やがて意を決したように顔を上げた。

 

「――あの、イオニアさんって、本当に女の子なんですか……?」

 

――沈黙。

それはそれはずっしりとした空気が俺達の周囲に漂い、室内の空間を淀ませる。

 

「バンエルティア号ちゃんは、分かるんです。背伸びしてますけど、相応に女の子ですし……」

 

しかし、イオニアちゃんはそうで無いのだそうだ。

 

無論、とっても良い子である事は疑いないのだが、女の子としてみると違和感があるのだという。

ふとした仕草、ふとした言葉、ふとした表情――見かけは確かに女の子に見える。見えるが、しかし。

 

「――すいませーん。提督さん、居ますかー?」

 

「!」

 

噂をすれば影というべきか。ノックの後に扉を開けて入ってきたのは、噂のイオニアちゃんであった。

俺もダナンさんもビクリと肩を跳ねさせ、咳払い。

 

「い、イオニアさん。どうしたんですか、提督に何か御用でも……?」

「えっと、まぁ……ダナンさんも提督さんに用事あるんでしたら、僕待ちますけど」

 

おずおずとこちらを伺う様子たるや、まるで淑やかな女の子のようだ。思わずダナンさんと二人、マジマジと観察。

……いや、女の子だって。確かにボーイッシュではあるけども。あるけども……。

 

「……イオニアさん。前々から気になってたんですけど、女の子……ですよね?」

 

行きよった。思わずダナンさんを凝視しどういうつもりだよとメンチビーム。

おそらくいい機会だからとかそんな理由だろうが、だからって俺の居る所で聞くなよ。え、一人じゃ何か怖い? 知らんがな!

 

そんなギスる俺達の様子を他所に、イオニアちゃんは目を丸くして瞬き一つ。そしてポリポリと頬を書きつつ困ったような笑顔を浮かべ。

 

「……とりあえず艦娘だけど、お風呂と入渠は皆と別々でお願いします」

 

てれ、てれり。

気まずげに、それでいて恥ずかしそうに身を捩るその姿に俺達はあっけなく轟沈。

 

白だとか、黒だとか。アワビとかキノコとか。まぁ、可愛ければどっちでも良いよね。

俺は鼻血を出したダナンさんと大筋で合意し、抱く疑問を何時もの様に遠投したのであった。そら飛んでけー。

 

 

とりあえず海に出て幾戦か経てみたのだが、二人で組ませると割と安心して運用できる事に気がついた。

 

バンエルティア号さんは単独で攻撃・機動役がこなせるのであるが、バリア的な物が無い為やや安定性に欠ける。

対してイオニアちゃんは攻撃役としては削りとしてしか期待できないが航行速度に優れ、加えて守りの光とかいう謎バリアで守備役を担う事が出来る。うまい事噛み合っていた。

 

『イオ・キラ! イオ・キララ! 駄目だ、倒せない!』

『全くしょうがないですね、攻撃はボクに任せてください。その代わり防御は頼みましたよ!』

『う、うん、それは平気!』

 

うむ、仲睦まじくて何よりである。

 

後はこれに航空機を持つユーチャリスちゃんと、潜水艇のダナンさんか夜明けの船さんを入れれば遠征役も兼ねて一先ずいい感じになるかもしれない。取らぬ狸の皮を算用しつつ頷く。

……五月雨さんを入れても良いかもしれないけど、それやると秘書から外れちゃうからね。しょうがないね。

 

「……ユーチャリスちゃんと、部隊別れちゃうんですねー……」

 

その五月雨さんが組分け表を覗き、そう零す。

そういえばナデシコ級の三人とは早期……ではないが、長い事一緒に任務に当っていたっけ。それを思えば寂しい物もあるのだろう。

 

ちくちくと痛むものがあるが、幾ら俺でも感傷で部隊配置を行えという教育は受けてない。

ポンポンと五月雨さんの背を叩くに留め、気を紛らわせる為に旗艦を誰にしたら良いかなと話を振った。

 

「旗艦ですか……練度的にはユーチャリスちゃんが一番ですけど……」

 

しかし、あの無口無表情である。よーく見れば喜怒哀楽の表情も分かりコミュニケーションも取れるのだが……果たして本人がやりたがるかどうか。

無難に考えれば潜水艦組のどっちかになるのだが、さて。

 

「――話は聞きました。ならばボクに任せてください!」

 

バターン!

扉を開けて出てきたのは、まぁ話の流れからしてバンエルティア号ちゃんですよね。やっぱワープって便利ね。

 

ともかく何か旗艦やる気マンマンだけど、そんなやりたいの?

 

「ええ、ボクはこれでも大海賊アイフリードの、そしてその子孫の船ですからね。御旗の一つできないようじゃ、彼女達に顔向けできません」

 

アイフリードさんとかの事はよく知らないが、何だか凄い気迫だ。

とりあえず本人がやる気ならばそれで良し。俺は特に問答する事無く書類に判を押し、彼女を第二艦隊の旗艦にすると決める。しつこいようだが俺軍属です、頭良さそうでしょ?

 

「あ、艦隊の名前は海精の牙でお願いします」

 

おお、何か格好いいな。

気分を出してローマ字で艦隊名の欄を埋めていると、五月雨さんが何とも言えない表情でバンエルティア号ちゃんを見ている事に気がついた。

 

「……あの、これって秘書艦が増えるって事ですか?」

 

え? いや別に一人のまま変わんないよ。そう言えば彼女は気の抜けた顔に変わり、ほっこりと息をつく。

何か気になる事でもあったのだろうか。俺は同じく怪訝そうにするバンエルティア号ちゃんと顔を見合わせ、首を傾げ合い……。

 

…………。

 

……あれ、何時もは猫吊るしとやるべきオチなんだけど、奴の姿が見えないんだが。

 

気になってキョロキョロと辺りを見回すと、ゆっくりと蝶番を戻すドアの裏で壁にめり込む猫吊るしの後頭部を発見した。

どうやら先程の「バターン!」で潰されていたようだ。さもありなん。

 

……慌てて介抱する五月雨さんとバンエルティア号ちゃんだが、残念ながら手遅れであろう

俺はゆっくりと奴に向かって手を合わせた。途端復活した猫吊るしの妖精とは思えぬクソ重い爪先が顔にめり込んだ。

 

まぁとにかく、第一第二艦隊纏めて残りはあと4枠。

せっかくだから一気に建造してしまうか――そんな事を考える傍ら、妖怪との激闘が今ここに始まったのであった。ほっぺた引っ張るぞコラ。

 




宇宙戦艦的なのはもう波動砲持ち大和さんの作品があったので……

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