まだしばらくは続くとは思いますのでお付き合い頂ければ幸いです。
警察がたどり着いた時には、二人の魔族。レヴィアタンとベルゼバブは姿を消していた。嫌な事件ではあったが、ひとつだけ朗報があった。
行方不明になった生徒達は死んでいたわけではなかったという事だ。瀕死の状態ではあるが、古びた神社の中で生きていた。たった数日ではあるが、栄養失調とは思えない程の衰弱ぶりではあった。
警察には理由がわからなかったが、勇者と魔王の二人には理由がわかっていた。
ーーともかく。
舞台は六畳一間のボロアパートに移す事になる。
その場に言わせた美咲は極度の緊張からか、途中で意識を失っていた。二人は美咲を実家まで送り届ける。
二人きりになり、二人は本題に入る事となった。
「ーーさて。して、どうする? 勇者よ」
「どうするって何をだ?」
「あの二人の事に決まっているだろうが」
「わかってるーーけど、手段がないだろうが」
「いや、全くないわけではないぞ。レヴィアタンは面白い事を言っていた。この世界には魔素はない。だが、別の手段で魔素に近いものを入手する事ができる」
ーーそれはつまり、人間を襲う。奴らと同じ手段をとるという事だった。
「そんな事俺が許さない」
そう、勇者は言った。
「そう言うと思った・・・・・・・だが、どうする? 他に手段がないだろう」
「・・・・・・それもそうだが」
「いつ襲われるかもわからないんじゃ。手をこまねいている時間などあるはずもないじゃろう」
「・・・・・・・もう少し考えさせてくれ。きっと、まだ何か方法があるはずだ」
「・・・・・・・そうか。まあ、ゆっくり考えるがよい。さて、余はつかれた。しばらく忙しくてプレイできなかったネトゲをして寝るとするか」
「こんな時に緊張感がない奴だな」
「うるさい。ほうっておけ。余の勝手じゃ。それに無意味に緊張しても仕方なかろうが」
そういって、魔王はキーボードとディスプレイに向かった。
ーーしかし、思っていた襲撃は訪れなかった。
数日が経ち、何事もなかった。何もなかった事から、平和な日常が戻ってきたのかと思ってしまった。しかし、それからしばらくを経て気づく。
事態はより深刻な状況に陥ってしまっているという事に。
「ーーさて、これからどうするのです? ベウゼブブ」
魔王ルシファーの妹である、レヴィアタンはそう聞いた。誰もいない空間。深夜のビルの屋上だった。扉は施錠されている事だろうが、魔力を持って空を飛べるのであれば造作もない事だった。
「はい。レヴィアタン様。この世界というものは素晴らしいと思いませんか?」
「素晴らしい?」
「ええ。素晴らしい文明。そして多くの人間が存在します。このまま、先代魔王を亡き者にするだけで、満足していていいんのでしょうか?」
「つまり、いったいお前は何をいいたいんですの?」
「なに。簡単な事です。我々はこの世界もまた掌握し、支配してしまえばいいのです。そうすれば、二つの世界を同時に支配してしまえる」
「ふむ。しかし、この世界は我ら二人で支配するにはいささか広すぎるのではないか?」
「ええ。そうです。しかし、魔力を蓄積した私達によれば、次元に壁を開ける事は不可能ではありません。そして、かつての拠点を作る事ができるのです。この世界を駆逐し、蹂躙するための根城を」
ベルゼバブは愉悦したような表情をする。
「そう、魔王城を作り上げるのです」