六畳一間に魔王と勇者   作:ゲキガンガー

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第三章「魔王城現る」③

「レヴィアタン様」

 そこは魔王城の中核だった。真っ黒な空間だ。その中、王座に座っているのはレヴィアタンだった。体が小さい為、えらく不釣り合いな様子だった。

「……どうした? ベルゼブブ」

 かしづいたような格好になるベルゼブブ。

「はい。実は一応でありますが、連中に使い魔を放っておきました」

「ほう。それで?」

「何やらよからぬ事を考えている様子。かつて勇者だったものはこことは異なる場所へ向かっています。そして、あの魔王、いえ、元魔王ルシファーはこちらに、魔王城へ向かっています」

「そうか……全く馬鹿な姉ですね」

 くすくすと微笑すら浮かべるレヴィアタン。

「何か策があるのかもしれません」

「まあ、そう考えるのが打倒なところでしょうね。無策で突っ込んでくるとは考えづらいです。ベルゼブブ、策を打ちなさい」

「はい、了解しました。魔王レヴィアタン様」

 そういって、ベルゼブブはどこかに姿を消した。

 

「はぁ……はぁ……」

 勇者は駆け上がる。そう、美咲に教えてもらった神社の方へ。

「後もう少しだ……」

 そう、後もう少しで神社へたどり着く。その神社にはかつて勇者が愛用していた聖剣エクスカリバーがある。

 それを手に入れられれば、勇者はかつての力を取り戻す事ができるはずだ。

「はぁ、はぁ」

 なんとか頂上までたどり着いた。

 ーーと。

 突如、空間のねじれのようなものを感じた。今の世界と異なる世界が繋がる。

「まっ、まさか!」

 唐突にそいつは姿を現す。

 ライオンのような頭。ドラゴンのような頭。

 キメラだ。

 何度となく闘った、勇者にとっては馴染みのあるモンスターだ。

「偶然か! ……いや、偶然というにはタイミングが良すぎる」

 作為のようなものを感じる。明らかに作為的なタイミングだった。

「そうだ! その通りだ!」

 どこからか声が聞こえる。

「き、貴様は!」

 声は聞こえる。あのベルゼブブとかいう男の声だ。

 しかし、声だけだ。どうやらその場には居合わせていない様子だ。

「私達はお前達の事を見逃したわけではない。力を失っているとはいえ、危険人物には違いないからな。使い魔を放っておいたんだよ。お前たちに気づかれないようにな」

 見ると、鳥が一匹空を待っていた。仕込んでおいたのだろう、使い魔として。

「どうやらよからぬ事を考えていると思ってな。このキメラを召喚しておいたんだよ。どうだ? 勇者よ。かつての力を失った貴様には十分すぎる程の脅威であろう。もはやお前の相手になど、この私が出向く必要などない」

「くそっ」

 勇者は吐き捨てる。

「グガアアアアアアアアアアアアア!」

 キメラが奇声をあげてこちらに飛びかかってきた。

 絶体絶命のピンチだった。

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