六畳一間に魔王と勇者   作:ゲキガンガー

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第一章「勇者、六畳一間から旅立つ」④

「勇者よ。余は腹が減った。早く馳走を用意せい」

「勇者よ。余は退屈じゃ。早く雑誌を買ってこい」

「勇者よ。余はお風呂に入りたい。早く用意せい」

 なし崩し的に六畳一間のボロアパートに住み始めた魔王。今日一日ごろごろして漫画を読み、テレビをぼーっと見ている。たまに立ち上がる時など用を足す時くらいのものだ。要求は全て勇者に押しつけている。

「・・・・・・・・・・」

「なんじゃ。無言で余をにらみおって。不服そうだな。余に使えるという名誉ある役職を与えてやってるというのに」

「なにが栄誉ある役職だ! 少しは身の回りの事くらいしろ!」

「な、なぜ魔王である余がそのような事をしなければならない」

「今のお前なんて魔王でも何でもない。ニートだ! ニート!」

「なんじゃ、そのニートとは」

「働きもせず、ふらふらしてる奴の事だ」

「つまりは怠け者のろくでなしの事じゃな。なんとふがいない。そんなずくのない愚か者はこの世界にも存在するのか」

「お前の事だ! お前の!」

「なに? 余の事じゃと? た、確かに余は今日一日、暇をもてあそんでいたが、いつもこんな感じで過ごしてたぞ? 身の回りの事は全て家臣が行ってたし、仕方なかろう」

「仕方ないわけないだろうがこの居候! 仕方なく匿ってやってるんだから自分の事くらい自分でやれ!」

「なっ、それぐらい当たり前だろうが。余もそれくらいできる」

「じゃあ、俺に頼るな。後、住ませてやるんだから少しは生活費を入れろ。①身の回りの事は自分でやる②最低限稼ぐ、それがここに住まわせる最低限のルールだ」

「ーーしかし、どうやって稼ぐのだ?」

「そんなの知るか。自分で考えろ。俺は夕刊のアルバイトがあるんだ。そういうわけでお前につきあってる暇ない」

「ぐっ、わかった。余も働けばいいのだろう! それくらいできるわ。ぷんすか」

 魔王はそういいつつ、起こった様子で部屋を出ていった。勇者もまたしばらくしてアルバイトに出向く事になる。

 

「あっ。菊池さん」

 その時、大家の娘、田村美咲とはちあう。学校の帰りなのだろう。今は制服を着ている。どこかすまなそうな顔をしているのはなぜだろうか。

「よ、余計な事言ってるかもしれないですけどい、今部屋から出てきたのは彼女さんですか?」

「え? いやーー」

 そうか。世間一般からすればそういう判断をされるのだろう。それが普通なのかもしれない。

「き、綺麗な人ですね。お人形さんみたい」

 そうか。以前とは異なり、風呂にも入り身なりも整えたのだから、そういう認識をされるのだろう。以前は完全な浮浪者か、家出少女であったのだが。

「あ、あの・・・・・・・その、うちってアパートの壁が凄い薄いんで」

「ああ、そうだけど」

 隣の物音がやたら聞こえてくる。流石は激安物件だ。敷金礼金なしで三万円はここら辺いったいではここくらいである。その分悪条件も多く、防音性もお察しだ。

「よ、夜とか、気をつけてくださいね」

 そう、頬を赤くして言われる。

「い、いや待て。俺とあいつはそういう関係じゃない」

「え? じゃあ、どういう関係なんですか?」

「い、妹だ」

 とりあえず適当に嘘をついておいた。肉親であるという設定にしておけば、特別男女関係を疑われないだろう。

「へ、へー。菊池さん妹さんいたんですか。名前はなんていうんですか?」

「え?」

「え、名前です。私変な事言いました?」

 妹の名前を言えないなんていう事は普通はありえない。

 あいつはルシファーとかいったな。

 る、る、る。

「瑠璃亜だ」

「へ、へー。おしゃれな名前ですね」

「あ、ああ」

 今思いついたとは流石に言えない。

「ーーところで、なんかこの近くで行方不明者が出たみたいなんだけど」

 これ以上つつかれてボロが出てもあれなので話題を返る。

「は、はい。物騒ですよね。私の学校からも何人かでていて、学校からも気をつけるように言われてるんです」

「そ、そうか。美咲ちゃんも気をつけてね」

「は、はい。ありがとうございます。気をつけます」

「じゃあ、俺は仕事いくから」

「がんばってくださいね」

 そういって、誠司は家を出た。




オリジナル作品の執筆結構ブランクがあったんですが、やっと感覚戻ってきたのでこれからは安定して書けると思います。
たぶん、できるだけ毎日更新します。
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