GODEATER-RESURRECTION AnotherBrave 作:Vekterアイギス
この小説は「GODEATER2AnotherBlood」と関連がある内容があります。
事前にこちらもご覧いただけると幸いです。
冷たい雨が頬に強く当たってくる。
天井の穴からどんよりとした曇り空が少年を見下ろしている。
ボロボロの家屋の中には簡素なベットとわずかな食糧。
カビの生えたパンを投げ捨て、少年はバタッと埃臭いベットに横たわる。
舞い上がる埃に喉の奥が苦しくなる。
目を閉じると、思い出すのは同じ光景。
涙を浮かべ許しを請う母の顔、そして母を抱きしめる自分の手には真っ赤な血がこびり付いていた。
『ごめんね...ごめんね...』
暗い意識の底で母の声が何度も反復する。
たった一人この場所に残されてからどれくらいの時が経ったのだろうか。
一年か、それともあれは昨日の出来事だったかもしれない。
遠くでまた声が響いた。
野蛮な人間の声、狂気を孕んだ人の声、そして銃声。
足早に砂利を踏みしめる音が近づいてきた。
ギリッと歯を噛みしめ、少年は起き上がる。
傍らの銃を手に取り少年は灰色の世界に歩き出した。
+++++
無駄に広い無機質な部屋。
その中央にあるのは今回の適合試験で使う装置。
文字通り一生付き合っていくことになる神機が装置のケースの中に眠っている。
「待たせてしまってすまない。
さて、ようこそ。人類最後の砦"フェンリル"へ...」
威厳のある声が部屋に響く。
居住区のモニターで何度も聞いた声だった。
「今から、対アラガミ討伐部隊"ゴッドイーター"としての適性試験を始める。
...少しリラックスしたまえ、その方が良い結果が出る。」
あちらからは自分の様子が良く見えるらしい。
どうやら肩に力が入りすぎていたようだ。
すぅっと深呼吸して中央のケースへ歩みを進める。
近くに来るとより一層心臓の鼓動が早まった。
腕輪の部分にゆっくりと腕を乗せる。
「準備は良いな。」
装置が稼働し腕輪が腕に装着される。
「ぐっ...!」
何とも言えない痛みが腕を支配する。
腕輪が完全に融合し装置から腕が解放される。
さっきまでの痛みが嘘だったかのように腕が軽かった。
神機を掲げまじまじと見つめる。
視線に呼応するようにコアが鈍く光る。
「おめでとう。君がこの支部初の"新型"ゴッドイーターだ。」
(新型...)
事前に説明は受けていた。が、これといって変わり映えはないように思える。
「これで適正試験は終了だ。
次は適合後のメディカルチェックが予定されている。始まるまで、その扉の向こうで待機してくれたまえ。
気分が悪いなどの症状が出た場合は、すぐに申し出るように。」
まだゆっくり出来そうにないなと、若干うんざりしながら部屋を出ようとする。
「期待しているよ。」
その声に背筋がゾクッとした。
立ち止まりバッと振り返る。
こっちから向こうは見えないが、あそこの居る人物からそこしれない何かを感じた。
(関わらない方が身の為かな...)
何事も無かったかのように振る舞い少年は部屋を出ていった。
「結局、今回の適合者は一人か...」
部屋を出ていった少年を見送り、シックザールは部屋に居る男に視線を向ける。
「例の彼女はどうなっている?」
「ええ、問題ありません。もうすぐ実戦にも配備できると思います。」
シックザールは満足気にうなずく。
「一刻も早くアーク計画を進行させる為には、強力なアラガミのコアを採取できる戦力が必要不可欠だ。
たとえ、どのような犠牲が出ようとも...」
+++++
(誰か居る...)
メディカルチェックを待つ為、ロビーに戻ってきた。
おそらく自分と同じく適合試験を受けたであろう少年がロビーで寛いでた。
見た目だけだと自分と同じぐらいの年齢に見える。
「ねぇ、ガム食う?」
隣に座ったとたんその少年が話しかけてきた。
「あ、切れてた。今のが最後だったみたい、ごめんごめん。」
からかうつもりではなかったらしい。
「ああ、別に良いよ。」
なんとなく接しやすい雰囲気が話し方から感じ取れた。
もっとも、今まであった奴らが酷過ぎたせいで感覚がマヒしているのかもしれないが。
「もしかして、アンタも適合者なの?
俺より年上か...同じくらいに見えるけど。まっ、一瞬だけでも俺が先輩ってことで!」
前言撤回。若干ウザい。
「...」
「ああ、冗談だって!俺、藤木コウタ。よろしく。」
そう言ってコウタは屈託のない笑顔を見せる。
人が良さそうなのは間違いないらしい。
「アイギスだ。....アイギス・ノーブルーシュ。」
一瞬ためらったが、俺はフルネームを名乗った。
「アイギスか。とりあえずこれからよろしくな!」
「ああ。よろしく。」
俺がコウタに握手のつもりで手を差し出した時だった。
「立て。」
いつの間にか、目の前に人影があった。
スラッとした出で立ちの女性がこちらを睨み付けている。
「立てと言っている!立たんか!」
彼女の鋭い口調に俺はコウタと共にスッと立ち上がる。
あまりの剣幕にコウタは顔が引きつっている。
「これから予定が詰まっているので、簡潔に済ますぞ。
私の名前は雨宮ツバキ。お前達の教練担当者だ。」
ツバキは淡々とこの後の予定を述べていく。
メディカルチェック、戦術基礎などのカリキュラム、やることは盛り沢山らしい。
「今までは守られる側だったかもしれんが、これからは守る側だ。
つまらないことで死にたくなければ、私の命令には全てYESで答えろ。良いな?」
(守る側か...)
今、自分がこうして誰かを守るためにこの場に立っている。
少し前の自分に今の姿を見せたらどう思われるだろうか?
(唖然とされるだろうな...ていうか信じすらしないか)
「分かったら返事をしろ!」
「って!?」
持っていたファイルで思いっきり叩かれた。
文字通りの鬼教官である。
「「はい!」」
「それではメディカルチェックを始めるぞ。まずはお前だ。
ペイラー・サカキ博士の部屋に十五〇〇まで向かうように、それまではこの施設を見回っておけ。
今日からお前らが世話になるフェンリル極東支部 通称"アナグラ"だ。
メンバーに挨拶の一つでもしておくように。」
極東支部。
アラガミの活動が最も活発な地域の一つ。
トップクラスの神機使いが数多く所属するこの地域は、いわばアラガミの激戦区だ。
データの無い新種、共食いの果てに進化した変異種。
そのバラエティの豊かさに、極東ではアラガミを造っているなんて噂も立っているらしい。
それだけアラガミの出現率も危険度も高いのだ。
「望むところだ。」
「ん?どうかしたか?」
「あ、いや。これから大変だなぁと思って...あ、そうだ。
コウタはまだ時間あるだろ?一緒に施設内見て回ろうぜ。」
「おう!」
そんな二人の様子をツバキは見送る。
自分の入隊当時はどんなだっただろうか?
(神機使いとしての厳しさを実感するのはこれからだ。)
口には出さずツバキはその場を後にした。
はい、お久しぶりです。
またこりずに帰って来てしまいました。
今回の主人公はクロサキの師匠、アリサの旦那アイギスです。
もともと書きたいなと思っていたのもあり、しかも10/29に新作が出ると。
これは書かないといけないでしょ!
なんて言ってますが、もしかしたら途中で気力がなくなるかもしれません...
それまでお付き合い頂けたら嬉しいです。
今まで通り、ご意見ご感想はお待ちしております。
皆さんの力で私の気力を持続させてください。
それではこの辺でサラダバー!