ソードアート・オンラインってなんですか?   作:低音狂

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今回からどんどん話が加速していきます。飛ばしていくともいいます。
また、一部アルゴの台詞にカタカナを使っていないのは仕様です。
それと、今回の話は閑話のような番外編のような本編です。
ようは本編(のはず)ですが、正直作者も書いていてわけがわからなくなってきました。

で、では、どうぞm(_ _)m


鼠と獅子が手を組む時

 2022年の11月6日、13:00丁度に開始した、世界初のVRMMO《ソードアート・オンライン》。

 しかしその実態は、HPを全損してしまうと現実世界でも死んでしまうというデスゲームに他ならなかった。

 誰もが口を揃えて攻略不可能だと言われたこのゲームだが、2週間ほどして一人のプレイヤーによって、第一層のフロアボス「イルファング・ザ・コボルトロード」が撃破された。

 プレイヤーの名前はアルトリア、美しい容姿とどこか浮世離れした魅力を持つ少女。

 しかしそんな彼女でも第二層のボスは一人で撃破するに至らなかった。だが、私という情報屋を使ってレベルの高いプレイヤーを集め、そしてついに一月と少しが経過した頃には、第二層さえも突破するに至った。

 彼女、アルトリアのもとに集ったプレイヤーたちは、始めの頃がまるで嘘であったかのように階層を進めていき、ついに本日、第六層にまで到達した。このまま順調に行けば、攻略することだって不可能ではない、そう思っていた矢先、ある事件が起きる。

 第三層の迷宮区にて、この世界で初めてのPKが確認されたのだ。

 不謹慎な言い方になってしまうが、殺されたプレイヤーは幸いにも攻略組の者ではなかったため、戦力が大きく落ちることはなかった。しかしそれでも、この世界に居る全てのプレイヤーを震撼させるには十分な出来事に違いない。

 偶然その現場を目撃したパーティの証言によると、PKを犯したプレイヤーは全部で4人。全員顔を覆い隠すような服装でだったがために顔まで確認することは出来なかったが、少なくともその実力は攻略組に匹敵するものだとか。

 勿論しっかりと確認したわけではないそうだが、最前線で活躍するプレイヤーではない一般プレイヤーが、まるで子供のようにあしらわれていたのは見たそうだ。攻略組レベルかどうかはともかく、並のプレイヤー、中途半端に強いプレイヤーでは太刀打ち出来ない可能性もある。

 

「おい、お前ソレ本気で言ってんのカ?」

「えぇ、勿論です」

 

 今回のこの事件、SAOで初のPK事件は、当然の事ながらアルトリアの耳にも届いていた。

 そんな彼女が私に言ってきたのは、思わず聞き返してしまうような内容だった。オブラートに包んで言うと、清掃のボランティアを始めると言う。

 勿論従来の意味での清掃のはずがない。彼女の言う清掃業とは、犯罪プレイヤーの数を少しでも減らすため、PKを犯したプレイヤーを中心とし、今後増えるであろうオレンジプレイヤーを監獄へと放り込むというもの。

 そんなことをすれば、当然彼女を恨むものが続出する。最悪の場合、フィールドでいきなり背中を刺されるなんてこともあり得るのだ。

 

「お前サンは、正義の味方に憧れるようなタイプじゃないと思ってたんだがナ」

 

 事実、彼女は英雄になりたくないがためにディアベルというプレイヤーをリーダーに推薦し、自分は一兵士として戦っている。

 そんな彼女が、まるで正義のヒーローであるかのようなことをすると言う。一体何故そのようなことをすると言い出したのだろうか。

 

「アルゴ、人間の死と言うのは突然です。今こうして話をしている間にも、誰かが死んでいるかもしれませんし、何より私達だって死ぬ可能性はあります。なんせ、生きている限り死亡率100%ですから」

 

 そう思って問いかけたのだが、先のようにどうにも要領を得ない答えが返ってきた。それが一体何なのだと思ったが、話はまだ続くらしい。話の腰を折るわけにも行かず、そのまま黙って聞き続ける。

 

「病死、事故死、自殺、他殺。死ぬ原因なんて色々あります。ですが、殺人者の自己満足のために殺されて人生が終わるだなんて、そんなの寂しいではありませんか」

 

 今まで見てきたアルトリアという少女は、兎に角大食いで、そして真面目なようで居てどこか抜けている様な少女だった。

 だからこそ、初めて見る影の刺した表情は、まるで目の前に居る少女が、あのアルトリアではないかのような錯覚さえ覚えたほど。

 そしてもう一つ気になったのが、彼女の言葉が、まるでそれを経験したかのように聞こえたことだ。

 今こうして私の目の前に居る以上、彼女が死んでいるはずなんてありえない。だからきっと、彼女は自分の大切な人を奪われた経験があるのだろう。そう考えれば、彼女がわざわざ清掃のボランティアを始めると言い出したことも理解できる。

 

「それで、わざわざオレっちにそれを言うってことは、何か協力しろってんだロ?」

 

 話の核は恐らくここ、情報屋である私に話をしたということは、何かしら助力が必要だということ。

 考えられるのは、殺人者に関する情報の収集、そしてアルトリアが清掃を始めるという情報を全ての層のプレイヤーに流布するということ。

 幸いにして彼女の二つ名は、この世界で知らない者は居ないと言っても過言ではないほど、その名を轟かせている。最強のプレイヤーとして。

 そんな最強のプレイヤーが殺人者に対して粛清を行うということを知れば、被害者となるプレイヤーには安心を、そして殺人に対する抑止力となる寸法だ。

 

「話が速くて助かります。私がアルゴにお願いしたいのは、情報収集、情報の流布、そして情報の規制です」

 

 前二つは私の考えていた通りのこと。情報屋を生業とする私にとって、特に問題でもなんでもない。だが、問題は情報の規制だった。

 問題はそれが出来るか出来ないかではなく、それをする必要性があるのか、ということだ。

 わざわざ情報を規制したいということは、彼女の名前が、二つ名が傷つかないために、なにか後ろめたいことをするつもりなのだろう。

 そして、それはすぐに理解できた。

 

「お前、まさか……」

「えぇ、そのまさかです」

 

 彼女がやろうとしていること、それは如何なる理由を持ってしても、決して許されることではない。誰かを守るために、というお題目を付けようが、それは悪であることに変わりはない。

 だがそれでも、彼女はやるのだろう。

 

「勿論、無闇矢鱈にするつもりはありません。手に負えない時、救いようのない時以外は、ちゃんと監獄へと入れるつもりです」

「……本当に神にでもなったつもりか?」

 

 人を裁くことが出来るのは人のみ。だが、彼女の言い方はまるで神として人間を選定すると言っているようにしか聞こえなかった。

 大半の犯罪者は監獄へ、そして彼女が生かす価値が無いと判断した者は地獄へ。

 

「まさか……ただの八つ当たりですよ」

 

 そう言った彼女は、やはり今まで見たことのないもの。

 まるで今にも消えてしまいそうな儚さがある。今ここで手を伸ばさなければ、きっと後悔する、そう思ってしまうなにかがあった。

 

 ―――八つ当たり、か。

 

 正義心からくるものでも、誰かを守りたいという想いからくるものでもない、正しく八つ当たりそのものなのだろう。

 過去に大事な人を奪われた、だから同じことをする者への八つ当たりで自分の感情を誤魔化す。

 

「……情報屋ってのは、案外知らない内に誰かの恨みを買ってたりするもんダ」

 

 第二層での決闘騒ぎの後、私は彼女の近くでその歩みを見続けようと決めた。ならば、今こうして彼女の求めに答えてるべきではないのだろうか。

 そうすれば、特等席にて彼女を見続けることが出来るのだから。

 だから、私は彼女の提案を受け入れることにする。

 

「その上、犯罪者を粛清するために情報を集めるとなっちゃあ、そっち方面の奴らから恨まれるのは必至。だからアルトリア、お前が私を守レ」

 

 お前ならソレくらい出来るだロ?と少々挑発的に言うと、先程までの儚さがまるで嘘であったかのように、自信満々に頷いてみせた。

 それに、もし仮に私がここで断っていたとしても、どうやら彼女は独力で決行していたという。

 第二層の時点から、既にPKの存在を懸念していた彼女は、表側の、攻略の中心となるより、裏側の、今回のような事件に対しては積極に関わっていこうと考えていたらしい。

 彼女が皆の中心となることを断ったのは、どうやらこれも理由の一つらしい。てっきり、ただの好き嫌いが理由の大半を占めると思っていたのだが。

 

「では、一緒にギルドを作りませんか?私としても、その方が貴女を護りやすい」

 

 本来であれば、情報屋を営む私はどこか特定の人物とパーティを組み続けたり、ギルドに入るのはよろしくない。パーティメンバー、若しくはギルドメンバーは無償で情報提供してもらっていると思われかねないからだ。

 最悪ソレで、信頼を失ってしまう可能性だってある。

 だが、彼女と一緒に犯罪プレイヤーを掃除するとなった以上、私の身は今まで以上に危険に晒されることになる。オレンジ達にとって、コソコソと嗅ぎまわる私という存在が面白く無いからだ。

 そうなっては掃除どころではないため、私の身を守ってくれる存在が必要だ。

 

「構わないゾ」

 

 だから、彼女の誘いに乗ることにした。

 アインクラッドの中で最強と言われるプレイヤーが護衛してくれるのだ、普通の情報屋としての仕事も、少しは楽になるかもしれない。

 

「ところでヨ、ギルド名は決めてんのカ?」

 

 こうして対談の席を設けてまで今回の話を持ちだしたのだ、予めギルドを組みたいという思いがあったのだろう。

 つまり、多少なりともギルド名の候補があるに違いない。そう思って問いかけたのだが、確かに候補は挙がった。予想の斜め上を行くものが。

 

「"LEON"なんてどうですか?私達の大きな目的は、今後出てくる犯罪者の掃除です。光の当たらないところで行うこともあるでしょうし」

 

 レオン、今からもう30年近く前に公開された映画で、イタリア系移民の掃除(・・)屋のお話だ。

 私は勿論アルトリアも生まれる前の映画なため、この世代では知っている事自体が珍しい。

 

「確かに、オレっち達のやろうとしてる事にはピッタリな名前だナ。と言うか、よく知ってんナ」

 

 自分も知っているくせに、という無粋なことは言うものではない。私の場合は親の影響だ。

 少なくとも、現実世界での友人の中にレオンを知っている奴は居なかった様に思う。

 話の内容は面白く、レオンの最後のシーンなどはずっと心に残っている。だが如何せんものが古い。

 

「昔、親と一緒に見ましたので。そういうアルゴこそ、よく知っていましたね」

「アルトリアと一緒だヨ」

 

 その後、私とアルトリアは趣味の話に花を咲かせた。

 私達がこれからやろうとしていることは、酷く傲慢で、そして犯罪行為だ。

 お互いそれを知っているからこそ、ちゃんと理解しているからこそ、今こうして出来るときに、気を紛らわせる。

 一歩間違えれば殺される可能性もあるし、逆に殺してしまう可能性もある。

 無様に女としての尊厳を傷つけられ、このゲームがクリアされる、若しくはプレイヤーが全滅するまでの間、生き地獄を味わうことになる可能性だってある。

 

「さて、それじゃあギルド結成クエストでも受けに行こうカ」

「えぇ」

 

 お互い死地へと赴くために、そして、この世界の必要悪となるために動き始める。

 そして翌日、この世界に初めての抑止力が誕生した。

 これにより犯罪発生件数が減少するかどうかは、まだわからない。

 ただわかることは、私達の進む道が茨の道であるということのみ。

 

 




「作者の好きな作品やキャラ」

※たくさんのお気に入り登録数や投票数で思いっきり調子に乗った作者が、自分の好きな作品やキャラを晒すこちらのコーナー。
今後、そんなキャラたちがパロキャラ?としてちらっとだけでも登場するかもしれませんし、展開や台詞等で作品の影響を受ける(参考にするとも言う)かもしれません。
どうでも良いという方は飛ばして下さい。
気になるキャラや作品などがあれば、是非見てみてください!


湊斗景明『装甲悪鬼村正』
宇佐美ハル『G線上の魔王』
法月将臣『車輪の国、向日葵の少女』
オーグメント『追奏のオーグメント』
雪ノ下陽乃『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』


P.S.
今回のお話では、白道八宵さん『惑星のさみだれ』の台詞をお借りしました。
また、今回ご紹介したキャラの内上4人の作品に関しては、良い子の皆はググってはいけません。
悪い子の皆も18歳以上になってから検索しましょう。
それと、アルトリアのこっ恥ずかしい二つ名は次回ご紹介いたします。
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