視点移動? やってられるかボケェ! それよりフェイトタソペロペロさせろやゴルァ!
という方はバックトゥザフューチャーしてください。
それと行き過ぎた能力、チート、ハーレム、努力(笑)とかはありません。いや、ないと思います。ないと思いたい。
あくまで原作に則った能力値で行こうと思います。
「ここは……どこだろ?」
周りを見渡すが彼の目には瞳の色と同じ、黒一色以外映ることはない。
「え~と、僕何してたんだっけ?」
一人呟きながらここに至るまでの経緯、記憶をうまく回らない頭から掘り起こそうとする。
しかし、それは突然彼の目の前から発せられた声に遮られた。
「やあ、少年、死んだというのにずいぶんのんきじゃないか」
その声は赤子の純粋さが感じられるが、少年のような生意気さもあり、さらに言えば年を重ねた老人の威厳のある不思議な声だった。
だが、目の前から声が聞こえるが肝心の声の持ち主はどこにも見当たらない。
手を伸ばしても何も掴むことはできず、目に映るのはやはりただ暗闇だけだ。
「ああ悪い、忘れていたよ」
声の主がそう言いうと、パチン、と指をならす音が聞こえた。
それと同時に景色が反転し、黒から白に変わる。
優斗のいたそこは眩しいくらい真っ白な部屋だった。
目の前に現れたのは60歳程度の、どこかで見覚えのあるような老人が一人、机をはさんで向かい側の椅子に腰掛けている。
「ん~、どこかで見たことあるんだけど、誰だっけ? まあいいや、ここどこですか? ハッ、も、もしや僕の隠れた力を危惧して拉致を」
「いや違うわ、阿呆ぅが」
「阿呆って言われた……じゃあなんで僕こんなブリーフみたいな真っ白なところにいるんですか?」
優斗は首を回して部屋を見回してみるが家具という家具はなく、あるのは真っ白な机と老人が座っているこれまた白い椅子くらいのものだ。
更に言えば必ず部屋にはあるはずの出入り口、扉も見当たらない。
老人は戸惑う優斗を楽しげに観察しながら答える。
「ふふっ、まさか私の部屋がよもや下着に例えられるとは思いもしなかったよ。もっと他の物で例えて欲しかったね。白いものといえばユリやボタンなんかあっただろう?」
「いや、そこに食いつかれても困るんだけど」
「ん? ああ、すまなかった。しかし君は察しが悪いな。最初に言っただろう? 君は死んだんだ」
「え? なにそれこわい」
「現実逃避しても変わらないさ。何があったか思い出してみるといい」
優斗はあんたが邪魔したんだろうと悪態を心の中でつきながら、ここに来るまでの経緯をもう一度思い返すことにした。
その日が特別何かあったというわけでもなく、ただいつも通りの退屈な日常だったはず。
いつも通り欠伸を噛み殺しながら登校、教師の話を聞き流しながら授業を受け、昼食を友人達と駄弁りながら食べ、午後の授業は睡眠学習、放課後部活へ向う。
へとへとになりながらも部活を終え、友人達ともうすぐ夏休みだ、海にナンパしに行こうぜ、とか空元気ではしゃぎながら下校していた。
そして歩道橋の前で友人達と別れ、晩御飯はなんだろうと考えながら歩道橋を渡っていたはずだ。
そして階段を降りようとした……ところから記憶がない。
「……階段降りるところから記憶がないんですけど。ハッ! ま、まさかそこで正義の味方と悪の組織の戦いに巻き込」
「はっはっは、君は恐ろしく馬鹿だな」
「せめて最後まで言いたかった……じゃあなんで記憶がないんですか?」
「ふむ、資料によるとだな」
老人はいつの間にか机の上に置いてあった一枚の紙を手にとる。
「黒野優斗、13歳、7月18日午後6時33分、○○市の△△近くの歩道橋で缶を踏み、足を滑らせ階段から転がり落ち、死亡。と、なっているな」
「Oh……まじかよ。死ぬんなら親友をかばって格好良く死ぬとかそんな感じが良かったぁ! ……痛ってぇ!!」
優斗は頭を抱え仰け反りながら思いっきり叫ぶ。
そして勢い余り後頭部を床に打ち付け、その痛みに悶えて白い床をゴロゴロと転がった。
「叫んだところで何も変わらないさ。記憶がないのは頭の打ちどころが悪かったんだろう(今みたいに)。だが喜べ君は運がいい」
「え? なに? 階段から転がり落ちて記憶なくすのって運がいいの?」
「違うわ馬鹿が、最後まで話を聞け」
「馬鹿っていう方が馬鹿なんですぅ!」
「話を続けていいかい?」
「スルーされた……あ、どうぞ」
「では」
老人はコホン、とひとつ咳払いをつき、立ち上がりながら手を大げさに広げ、仰々しく声を張り上げた。
「喜べ少年、君は神に選ばれた! そう、君は転生して世界を救うんだ!」
「あ、宗教とか間に合ってるんで遠慮しときます」
「……なんで君は隠れた力や正義の味方とか変な妄想するのにここでまともな反応するかな。せっかく信じやすいようにわざわざ君の死んだおじいさんの姿で現れたというのに」
老人は勢いを削がれたのか力を抜きどかっ、と椅子に座り直し、疲れたと言わんばかりに眉間を指でつまむ仕草をした。
「おお、言われてみれば爺ちゃんだ。爺ちゃん久しぶり元気にしてた?」
「はぁ、君と話しているととても疲れるな。一回死んだほうが……いや、死んでいたな。とにかく今までの話は全て本当のことだ。君は死んだ、そして転生する。わかったか?」
「んー、実感がないけどわかった事にしとく。見た目まんま死んだ爺ちゃんだし」
「そこで納得するのもおかしい気がするが……わかったならばそれでいい。それで、転生する上で君の願いを3つだけ叶えてやることになった」
老人がそう言った瞬間、優斗は目を輝かせ勢いよく老人に近づき机に身を乗り出す。
「ね、願いってなんでもいいの!?」
「あ、ああ。あまりに行き過ぎたものは無理だが大抵のものは叶えられるぞ」
老人は優斗の切り替えの速さに驚き、やや引き気味に答える。
「じゃあさ! じゃあさ! 魔法を使いたい!」
「ふむ、元々魔法という概念がある世界だ、魔法の才能ということでいいかい?」
「うんうん! それでいい! やたー!!」
優斗は両手を上げ飛び跳ねたり踊ったりと体全体で喜びを表現し、老人もその様子に思わず少しばかり頬を緩ませた。
「そう喜ばれるとこちらまで嬉しくなってくるね。ではあと2つはどうする?」
「うーん、普通に魔法があるってことは多分、結構危ないんだよね、じゃあ戦いの才能がほしいかな」
「そんなものでいいのかい? なんなら生まれた時から世界最強とかあるが?」
「そこまでいくとなんか転生先の人に申し訳ないというか、努力する人に申し訳ないというか……っていうより転生先ってどんなとこなの?」
「ふむ、それが3つ目の願いか」
「え、ちょ」
「君の転生先は『魔法少女リリカルなのは』という世界だ。ここで君にはこの世界に入り込んだ『異物』を退治してもらう」
「うぅ、それなんか聞いたことあるような……というか『異物』?」
大切な3つ目の願いを変なところで使ったことに落胆しながらも聞き返す。
「そう、この『異物』を退治してくれれば君を元の世界に生き返らせるし、ご褒美としてあとひとつだけ君の願いを叶えようじゃないか」
「え、マジで!? よしっ、頑張る! 超頑張る!」
先程までの落ち込みようはどこかに吹き飛んでいったというように拳をにぎりガッツポーズ。
「ふふっ、張り切ってるね。じゃあやる気があるうちに転生させようか。向こうの扉をくぐるといい、そこから文字通り君の第二の人生の始まりだ」
老人が指を指すと何もなかったはずの白い壁に切れ目が入り、黒い扉が現れた。
「それと流石にかわいそうだから3つ目の願いは違うものをこちらで用意しておこう」
「ありがと、爺ちゃん。じゃ、行ってきます!」
優斗は老人に満点の笑顔でサムズアップをしながら扉をくぐっていった。
「ふう、行ったか。さて3つ目は何にしようか。これなんてどうだろう? 『自販機から小銭が見つかりやすくなる程度の運の上昇』ふふっ、これでいいか。……今回は楽しめるかな?」
そして老人は、誰もいなくなった部屋でひとり不気味な笑みを浮かべた。
在り来りなプロローグ。
ていうかこの作品自体在り来り。
現時点では主要人物の容姿は記述しません。
転生前の容姿とか誰得なので。いや、でも……まあいいや。