中二とシスコンの魔法少女戦記   作:ゆーま@疲れたよ…

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シスコンのプロローグ

 

 

 白く眩い(まばゆい)、どこを見回しても何もない、白い、ただ白いだけの空間。

 気づくと篠崎(しのざき)想馬(そうま)はそこにいた。

 

「ここは……?」

 

 想馬はなぜ自分がこんな空間にいるのか思い返す。

 最後に見たのは街のショーケースに映る自分と猛スピードで突っ込んでくる大型トラックの姿。

 

「俺は……そうか死んだのか」

「そう、君は死んだんだ」

 

 想馬の目の前から声がする。

 狡猾な老婆のような知性があり、どこか大人の女性の豊応力が感じられる、だがまだ幼い可愛らしい少女のような声。

 そんな矛盾しているような不思議な声が目の前から聞こえる。

 だが想馬の目には眩いくらいの白しか映ることはない。

 

「誰だ?」

「……」

 

 声は何も言わず、代わりにパチン、と指を鳴らす乾いた音がなった。

 すると何も見えない真っ白な色が急に反転し黒く塗りつぶされる。

 そこには黒しかなく境界すらもわからないが、なぜか想馬にはそこが黒い部屋だとわかった。

 部屋のちょうど真ん中、想馬の目の前には黒い部屋ではかなり目立つ白い椅子がひとつ。

 その椅子に片足を抱えるようにしてセーラー服を着た少女が座っていた。

 歳は想馬と同じくらい、17、8歳程だろう。

 女性は腰まで届く長く綺麗な銀髪、気の強そうな紅の瞳、そして整った顔立ち、誰もが見蕩れてしまいそうな美貌を持っている。

 

「これで見えるようになったかい?」

「ああ、だが俺は誰だと問いたはずだが?」

 

 しかし想馬はそんな美しい女性を見ても不愉快そうに腕を組み、その女性を見下していた。

 

「これはこれは申し遅れたね。私は君ら、人に一般的に神と定義されるものだよ」

「それで? 俺に何の用だ?」

「驚かないのかい? 私が名乗ると大抵の人は驚くか疑うかするのだけど」

「なぜ驚く必要がある? その顔を見る限り別にお前は驚いて欲しかったわけじゃないんだろう? それともう一度だけ聞く、俺に何の用だ」

「ふむ、話が早いのはいいが君は遊び心がないね。もっと他人と話そうとは思わないのかい?」

「……」

 

 想馬は目的をなかなか話さない自称神の女性を苛立った目で睨む。

 

「おっと、怖い怖い。仕方ないな、そろそろ真面目に話そうか」

 

 女性は白く細い足を組み、さらさらとした髪をかきあげる仕草をする。それだけで一般的な男性は彼女に釘付けになりそうなものだが、想馬は相変わらず仏頂面で女性を睨み続ける。

 

「君は既に自分が死んだことはわかっているだろう? そこでだ、君には転生というものをしてもらう。『魔法少女リリカルなのは』の元になった世界だ」

「名前的に漫画やアニメか? で? 俺にどんなメリットがある? デメリットもだ」

「どちらかといえばアニメかな?」

「そんなことはどうでもいい、メリット、デメリットを話せ」

「はぁー、君はとてもせっかちだね。じゃあデメリットから話そうか、その方が話しやすい」

 

 女性はため息をつくが、想馬は気にも止めずやっとかと言いたげな顔で腕を組みながら耳を傾ける。

 

「デメリットは君が転生する世界に混入した『異物』を退治してもらうことだ。……そうだな、一般的なデメリットはこれだけかな」

「一般的なとはどう言う意味だ?」

 

 想馬がそう言うと女性はからかうようにクスクスと笑う。

 

「君の場合妹の事を大切に思っているだろう? だから、ね、妹ちゃんとしばらく会えないのはデメリットだと思ったんだよ」

「その口ぶりからすると『異物』とやらを退治すれば生き返られるということか?」

「……やはり君は頭の回転が速いね。しばらく会えないという情報を与えただけでそこまで行き着いてしまう。そうだね、それがメリットの一つだ」

「ほかのメリットは?」

 

 女性はふふっ、と微笑み嬉しそうにしている。

 

「やはり君を選んだのは正解だったようだ。うん、もちろんメリットは他にもある。君が『異物』を見事退治してくれたら元の世界に生き返らせるとは別に願いをもう1つ叶えてあげよう」

「なんでもか?」

「ああ、なんでもだよ」

 

 想馬はふむ、と手を顎に置き、考える仕草をした後、

 

「じゃあ、なぜなんでも願いを叶えることのできるお前が直接『異物』とやらを倒そうとしない?」

 

 想馬は疑心を孕んだ目を女性に向けた。

しかし女性はその目を気にせず相変わらず涼しげな顔で答える。

 

「私は人の可能性というものが見てみたいから、これで頭のいい君ならわかるんじゃないかい?」

「人のあがく姿が見たいということか。それで死んだ人間にチャンスを与える……か。悪趣味だな」

「おっと、綺麗事で言ってみたつもりが悪い意味に捉えられてしまったか。でも、あながち間違ってもないけどね」

「で、これで話は終わりか?」

「いやいや、まだメリットはあるよ? 転生させる上で3つ願いを聞いてあげる。『異物』は強いからね、能力を高める願いを勧めるよ」

「戦う上での願い、か。ならば戦うだけの力と武器だ」

「あれ? その2つだけでいいの? あと1つ叶えらるよ?」

「いらん。ただでさえこの俺が相手なんだこれ以上強くなっては『異物』とやらが不憫だろ?」

 

 想馬は自分が負ける姿を微塵も想像してないというような、絶対の自信にあふれたニヒルな笑みで答える。

 

「君がそういうのならそれでいいけど。まぁ、とりあえず保留ということにしておこうか。うん、これで私からの話は終わりだ、最後に何か質問とかあるかい?」

「ない。さっさと転生させろ」

「本当に君はせっかちだなぁ」

 

 そう言いながら女性は想馬の後ろを指差す。

 すると何もなかったはずの黒い壁に白い切れ目が入り真っ白な扉が現れた。

 

「その扉をくぐれば転生先だよ」

 

 女性がそう言い終わった時には想馬は扉をくぐり終え、既に部屋にはいなかった。

 

「全く、お礼もなしでそれも黙っていくとはね。放置プレイでもされてる気分だよ。……だけど今回はなかなか楽しめそうなのが来たね」

 

 女性は誰もいなくなった部屋で口をつり上がらせ、一人不気味な笑顔を浮かべた。

 

 

 




女性がそう言い終わった時には想馬は扉をぐぐり既に検索サイトを開いていた。
検索エンジンGoogleをよろしく!


ちなみにデメリットの話の時の想馬の脳内↓

『ふむ、『異物』とやらの退治としばらく妹と会えないのがデメリットでこれからメリットの話をするということは、恐らく『異物』退治が終われば何らかの方法で妹と会えることになるということだろう。そして妹と再会できることがメリットとなり得るのは俺が生き返ることだろう。妹が俺の行く世界に来るとも考えられるがそれは考え方によってはデメリットだからな。ていうか妹分が減ってきたやばい補給したい』

以上。だいたいこんな感じ。
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