中二とシスコンの魔法少女戦記   作:ゆーま@疲れたよ…

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7、8話を統合、7話分をなのは視点から秀也視点へ変更しました。



少佐、少佐ああああああ!

 

 これは僕が幽霊の女の子とお別れをしてから3年後のお話。

 

 

 

 ジリリリリ! ジリリリリ!

 枕元に置かれた目覚まし時計がけたたましく鳴る。

 目を覚ますとそこはゲーム機や、おもちゃで少し散らかった僕の部屋。

 ベットから這い出てあくびをしながら伸びを一つ。すると

 

『おはよう、秀也。よくねむれましたか?』

 

 勉強机の上から電子的な女性の声。

 

「うん、おはようクリム。ばっちりねむれたよ」

 

 喋っていたのは紅の色をしたビー玉のようなもの。

 お父さんが作ったデバイスという、人工知能を搭載した小さな機械だ。

 そして、彼女、人工知能の名前は『クリムゾン』、僕は呼びやすいように『クリム』と呼んでいる。

 小学校の入学祝いにお父さんがくれたもうひとりの家族、僕にとっての姉のような存在。

 暇な時に話したり、勉強を教えてもらったり、落ち込んだ時には励ましてもらったりと彼女はすごく頼りになる。

 

『ぼーっとしてどうしたのですか? そろそろ準備をしないと学校に遅れてしまいますよ?』

「あ、うん。いつもありがとね」

『いえ、これが私の役目ですから。それと……いえ、なんでもありません』

「うん? 変なクリム。じゃあ行ってくるね」

『はい、いってらっしゃい、秀也』

 

 

 ―――――

 

 

 家を出て近くのバス停まで歩いている途中、見慣れたイガグリ頭とその頭ひとつ分くらい小さい子を見つけた。

 

「おっはよー、タナッティー、ゴンちゃん」

「お、おっす、秀也」

「おはよう、秀也くん」

 

 イガグリ頭が田中太郎こと、タナッティー。基本テンションが高くてウザイけどノリがよくていい奴。

 そしてその隣を歩いていたのが五百旗頭ゴンザレス武蔵くん。やたらインパクトが強くて長い名前なので皆ゴンちゃんと呼んでいる。

 

「そういや秀也、ゴンちゃんとさっき話してたけど、昨日の雷の音聞いたか?」

「雷? 昨日晴れてたじゃん。雷なんて落ちるわけないでしょ」

 

 ここ一週間、雷おろか雨すら降ってないはずだけど。

 

「だよね、タロー君ったら寝ぼけてたか変なものでも拾い食いしたんじゃないの?」

「いやいやいや、ホントなんだって! 近くの林道でピカッと光ったと思ったらなんか『グオオオオオオ!』ってすげえうめき声みたいなのが聞こえたんだって! っていうかサラッと俺のことディスるのやめろよ!」

「『グオオオオオ!』ってどう考えても雷の音じゃないじゃん。やっぱり寝ぼけてたか自分の屁の音と勘違いしたんじゃない?」

「流石に雷の音と間違えるほどデカイ屁はしないっての!」

「「ハハッ、んなまさか」」

「ちくしょぉぉぉおおお!!」

 

 そんなやり取りをしているうちにバス停に。

 既にバスは到着していて、僕らの搭乗を待っていた。

 

「あ、おっれいっちばーん」

「あ、まてこの野郎」

「待ってよ二人ともー」

 

 タナッティー、僕、ゴンちゃんの順番でバスに乗ると、バスの奥には女の子が三人、その内一人の女の子がこっちこっちと手を振っていた。

 手を振っていたのは栗色の髪をツインテールでまとめた女の子、幼馴染の高町なのは、僕はなのちゃんと呼んでる。

 

「おはよう、なのちゃん。今日もかわいいねぇ」

「おはよう、シュウくん。ありがとね」

 

 いつも通りの少し冗談じみた挨拶。最初の頃は顔を赤くして恥ずかしがっていたけど今では耐性ができたのか、にっこりと笑顔で返されるようになった。

 

「高町、おっす。そして! すずか姫おはようございます! いやー、今日もお美しい」

「3人ともおはよう。ぼくもなにかお世辞言ったほうがいいのかな?」

 

 すずか、というのは紫のかかった髪の、おしとやかそうな女の子。

 そしてすずか姫というのはすずかちゃんが男子から人気がありすぎていつの間にかついたあだ名、みたいなものだ。

 二人が挨拶するとなのちゃんとすずかちゃんはちょっと困ったような顔をし、挨拶を返す。

が、二人とは違った反応の女の子が一人。

 金色の髪をツーサイドアップにした、気の強そうな女の子、アリサ・バニングスちゃんだ。

 

「相変わらずね3バカは」

 

 呆れるような顔でため息をつきながらそんな事をいった。

 だが僕としてはそれは少し心外だ。

 

「おはよう、アリサちゃん。ゴンちゃんはいいとしてタナッティーと一緒にするのはやめてもらおうか」

「おい」

「ごめんなさい、確かにタローと一緒にするのはかわいそうかもね」

「ちくしょう、黙って聞いてればくぎゅうくぎゅう言いやがって! いおりんかお前は!」

 

 タローと呼ばれたのはもちろんタナッティーの事。

 タナッティーが変なことを口走るのは、彼の頭の仕様です。

 

「言ってないわよ! っていうかいおりんって誰よバカタロー!」

「まあまあ、二人共落ち着いてよ」

 

 タナッティーが怒り、アリサちゃんが喧嘩腰になるとゴンちゃんが仲裁に入ってくる。

 今日も割といつもどおりのパターン。

 そこでふと疑問に思ったことをなのちゃんにぶつけてみる。

 

「なのちゃん」

「なに? シュウ君」

「バカタローとキダタローってなんか似てるよね」

「……そうだね」

 

 なのちゃんにすごく微妙そうな顔をされた。なぜだ。

 

 

    ◆

    ◆

    ◆

 

 

 学校につき、今は昼前の4限目の授業。

 授業は僕たちが住む鳴海町のお店を調べて、働く人のようすを見たり聞いたりして将来やりたい仕事を見つけるというものだった。

 将来やりたいことかぁ。

 この世界でやりたいこと、というより使命に近いんだろうけど僕は『異物』とやらを倒さなきゃいけないらしい。

 そのための戦う力、相変わらず魔法を使おうと思ってもてんでダメだけど、剣術ならなのちゃんのお兄さんたちに習ってる。

 う~んだけどそれはやりたいことじゃないよなぁ。

 じゃあ『異物』を倒してお父さんたちを生き返らせて、生前お父さんたちが営業してた喫茶店を継ぐのかな?

 将来やりたいことと言えばそうなんだろけど、この世界関係ないよなぁ。

 と考えてるうちに段々とまぶたが重くなっていって思わず机に突っ伏し……。

 先生が近づいて来るのにも気づかず意識は夢の中へ落ちていく。

 

「秀也くんは将来どんなふうになりたいのかな?」

 

 そんな先生の問いは既に僕の耳には入っていなかった。

 

――――――

――――

――

 

『少佐! ここはもダメです! 後退しましょう!』

『……ああ、そうだな。この砦ももうすぐ落ちる』

『ですから早く逃げないと!』

『俺は残る。だが、秀也、お前は裏から脱出しろ』

『なぜです、少佐! ここに残っても死ぬだけです!』

『そうだな、ここに残れば数多くの戦場を切り抜けてきた俺でも流石に死ぬだろう』

『なら何故!』

『何故、か。理由なんて至って単純だ。俺がここに残らねば追撃されて二人共お陀仏だ。しかし、俺が残ればお前は生き残ることができるだろう。……だから、俺の分まで生きろ』

『……少佐ぁ!』

『さぁ、行け! 秀也! 強くなって俺を超えて見せろ!』

『クッソォォォ!!』

 

 そして僕は駆け出した。迫り来る純白の逆台形の旗を背に。

 後ろで轟音がしたが振り向かずとにかく走った。

 逃げ切った先で振り返ると、遠くに見える砦は煌々と赤く燃え盛っていた。

 その光景を目に、少佐の最後の言葉、僕の決意を口にする。

 

『……少佐。僕は、立派な――』

 

――

――――

――――――

 

「立派な、ボクサーパンツになってみせますっ……」

「パンツ宣言!?」

 

 

    ◆

    ◆

    ◆

 

 

 退屈な授業が終わり、目を覚まし顔を上げるとクラスメイトから残念なものをみるような目で見られた。一体なにがあったんだろう?

 とりあえず昼休みだ。

 みんなを誘って屋上で談笑しながらお弁当タイム。

 僕が弁当箱いっぱいに詰まった白米を口に掻き込んでいる時、ゴンちゃんが不意に思い出したようにみんなに尋ねた。

 

「そういえば、さっきの時間の続きだけどみんなは将来の事とか考えてる?」

 

 その話題になのちゃんも食いついたのか、箸を止めて明らかに、私気になりますって顔をしてる。

 

「さっきの時間? ああ、さっきの授業そんなことやってたのか。……で、どうです? すずか姫」

 

 この反応からしてタナッティーも寝てたらしい。全く、授業はちゃんと受けないと。

 

「え、わたし? わたしは機械とか好きだから工学系の仕事につきたいなー、なんて思ってるよ。アリサちゃんは?」

 

 あ、そこはタナッティーに返さないんだ。

 返されなかった本人は捨てられた子犬みたいな顔してるし。うん、キモい。

 スルーしたすずかちゃんを流石というか、それともスルーされたタナッティーを流石というべきか。

 まぁ、どうせこいつの将来なんて分かりきってるからいいけど。

 

「あたしは親の会社を継ぐことになるかな。それで――」

「はいはいはーい! 俺のもきけぇー!」

「……はいはい、タローは?」

「ふふふ、聞いて驚け! 俺は――」

「どうせ八百屋の店主でしょ。八百屋の息子」

 

 途中で横から口を出してやるとタナッティーは拳を突き上げるポーズのままフリーズした。

 このテンションの時はろくなことを言わない。大方、海賊王になるとでも言おうとしてたんだろう。

 このポーズからすると『我が人生に一片の悔いなし』だけど。

 

「ふ、ふふふ。そうか、それは宣戦布告ということだな秀也ァ! 表にでろぉ!」

「落ち着いて太郎君、ここもう表だよ!?」

 

 いつものノリが始まった。

 ゴンちゃんには悪いけど面白くなりそうだからノってやる。

 弁当箱を置きつつ立ち上がり、大げさな手振りで大見得を切った。

 

「ふはははは、貴様ごときがこの私に勝てると思うてか! 我が地獄の炎で焼き尽くしてくれよう!」

「ちょっ、秀也君!?」

「畜生! 高町の仇ィィィ!」

「え! わたし死んでるの!?」

 

 ツッコミ係二人係でも僕らのボケはとどまる事を知らない。

 タナッティーが突っ込んできたからお留守な足元に足払いをかけつつ腕を取り十字固めをかけてやった。

 

「闇の炎に抱かれて消えろ! 一昨日見たそこらへんの道端の小石の恨みィィィ!!」

「うわあああぁぁぁ! 心底どうでもぃぃぃ!!」

 

 とりあえず勝負が一瞬でついたので十字固めをかけたまま、なのちゃんに話の続きで聞いてみる。

 必死にタップを繰り返すバカはほっといて。

 

「なのちゃんはこの話題に興味あるみたいだけどなりたい職業とかあるの?」

「え!? なんでわかったの? というかその状態で聞くの!?」

「そりゃあ幼なじみだからわかるさ。でお答えは?」

 

 まぁ、幼なじみ関係なく、なのちゃんが分かりやすいだけですけどね。

 

「ぁ、あう……えとね? やりたいことがあるとかじゃなくてみんなどんなことを考えてるか聞きたくて」

「なのはは喫茶翠屋の二代目になるんじゃないの?」

 

 気になる点があるらしくアリサちゃんが横から口を挟んだ。

 喫茶翠屋とはなのちゃんのお父さん、士郎さんとお母さんの桃子さんの経営する喫茶店。シュークリームが物凄く美味しいお店。まさに天国(ヘヴン)、いや、桃源郷。

 

「う~ん、それもあるんだけどなんだか別の何かをやりたい気がして……。そ、そういえばシュウ君はどうなの?」

「僕? 僕は喫茶店的なところの店主かな」

 

 前の世界では親が喫茶店営業してたから戻って願いを叶えたら店を継ぐ、そんな意味合いで言ったのだけれど。

 

「わぁ」

「あ、あんたそれって」

「うわぁー、秀也君ダイタンだねー」

 

 すずかちゃんは口元を手で覆い頬を赤らめ、アリサちゃんは驚きを隠せないといった顔で動きを止め、口をパクパクとしている。金魚みたいだ。

 ゴンちゃんはいつもの、いや、いつもに増してにこやかな顔で笑っている。その笑顔の裏になにか黒いものが見える気がするのはきっと気のせい。

 まさに三者三様の反応。なんか違う意味で捉えられたようだ。

 

「シュウ君が喫茶店の店長かー。翠屋のライバルになっちゃうのかな」

 

 流石なのちゃん、僕はこんな感じの反応が欲しかった。というより想像していた。

 

「いたたたた、痛い痛い! タップタァップ!!」

 

 コイツは論外。

 とりあえず、

 

「そこの三姉妹は何を勘違いしてるんだい?」

 

 そこの三姉妹というのは、すずかちゃん、アリサちゃん、ゴンちゃんの三人。もちろん長女、次女、三女の順で。

 

「ちょっ、ちょっと! そこはぼくが男だから三姉妹じゃなくて三兄妹とかじゃないの!?」

「あたしはあんたがなのはと結婚してそれで翠屋の店長になるのとばかり……」

「わたしもそう思ったんだけど」

「違うってただ単純に喫茶店を営業したいのであって、そこになのちゃんは一切関係ありません」

「あれ? もしかしてぼくスルーされてる?」

 

 ゴンちゃんは割と男の娘で通ってたりするからあながち三姉妹でも間違ってないと思う。

 

「それならそうと言いなさいよ」

 

 そうは言ってもアリサちゃん? 勝手に勘違いしたのは貴方たちですヨ?

 

「ところでシュウ君、そろそろタロー君離してあげたら?」

 

 タナッティーは僕に十字固めをかけられながらも必死にもがきながらいまだ地面をタップし続けている。

 

「う~ん、そうだね。じゃあ、そろそろ折るよ」

「折っちゃダメだよ!?」

「そーだそーだ、暴力反対! って折っちゃらめぇぇぇぇぇぇ! アッー!!」

 

 なんかイラっときたからひと思いに殺った。

 

 




 一人称視点は書きやすかった。
 でもどうしたらいいのかわからなくなってきて結局あまり手は入れてません。
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