中二とシスコンの魔法少女戦記   作:ゆーま@疲れたよ…

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第三者視点から秀也視点へ変更。
「」内はほとんど変えてないのでところどころ文章がおかしいかもです。


動き出した僕の物語

 

 

 時は変わり放課後。

 僕、なのちゃん、アリサちゃん、すずか姫ちゃんで下校。

 タナッティーとゴンちゃんは学校に残って他の子達とサッカーをするらしく今日は別々。

 

「秀也君はサッカーに混ざらなくてよかったの?」

 

 途中すずかちゃんに尋ねられた。

 

「うん、今日はなのちゃん家に行かないとだからね」

「ああ、そういえばアンタなのはの家で剣術習ってるんだっけ?」

「うん、そうだよ~」

 

 なのちゃんの家の隣には大きな道場があって、そこで僕はなのちゃんのお兄さん、恭也さん達から剣術を習っている。

 

「秀也君なんだか嬉しそうだね」

「あ、わかる? 今日は久しぶりに士郎さんが稽古つけてくれるからね。もう楽しみで楽しみで」

 

 士郎さんはいつもお仕事でなかなか道場には顔を出せないけど、今日は珍しく稽古をつけてくれる約束をしていたのだ。

 

「今日お父さんも稽古するんだ。今日が塾の日じゃなかったら見にいったのに」

「そんなになのはちゃんのお父さんって強いの?」

「うん、お父さんすごく強いんだよ。それにシュウ君と打ち合ってるとほとんど見えないもん」

「え、秀也って強かったの?」

 

 アリサちゃんが驚愕の目を向けてくる。

 失礼な、これでも毎日鍛錬してるんだからある程度は戦えるよ。

 

「お姉ちゃんと同じくらい、なのかな?」

「ふぅ~ん、強さの基準とかわからないけどなかなか強いんだ。あ、こっちの道から帰ったほうが近いわよ」

 

 そう言ってアリサちゃんは林の茂った獣道を指す。

 

「え、ここ通るの? うわ、さすが野生児アリサ・チャーン」

「誰が野生児か、ってなのはどうかした?」

 

 なのちゃんは獣道を見つめたままぼーっとしている。

 

「……声が」

「なのはちゃん?」

「声が聞こえるの……こっち!」

「なのはどうしたの!?」

 

 突然なのちゃんが獣道を道なりに走り出した。追いかけるように僕らも走り出す。

 あ、すぐに追いついた。なのちゃん足遅っ。

 

「声が聞こえたの! あ、あそこ!」

 

 走り出して少しばかり行った所、なのちゃんの駆けつけた場所には一匹のベージュの毛色の細長い生き物が横たわっていた。

 

「これは……マギー○司の小道具?」

「いや、明らかに息してるし違うでしょ……」

「フェレット……じゃないかな」

「大変! この子怪我してるよ」

 

 なのちゃんの言うとおり、よくよくみると出血しているのか辺りに血が点々と飛び散っていた。

 

「たしかここを抜けた所に動物病院あったよね? そこにつれていこう」

 

 すずかちゃんがそう言うとなのちゃんは弱った小さな動物を優しく拾い上げ、僕らは公園の林を走り抜けた。

 

 

    ◆

    ◆

    ◆

 

 

 場所は変わり、公園の林を抜けた先に建つ槙原動物病院にやってきていた。

 手当が終わり、手術台の上に横たわった小動物の周りに集まっていると洗面台の方から白衣を着た女の人がゆっくりと歩いてきた。

 この動物病院の院長である槙原先生だ。

 

「院長先生、この子はどうでしたか?」

「少し衰弱してるみたいだけど、安心して怪我は浅かったから命に別状はないわ」

 

 なのちゃんの質問に槙原先生がにっこりとわらって答えると、なのちゃんは安心し胸をなでおろした。

 

「よかった……院長先生ありがとうございました」

「「「ありがとうございました」」」

 

 なのちゃんのお礼に僕らも続いてお礼。

 それにしても気になることがひとつ。

 

「ところで院長さん、この動物の種類って何? マギーシ○ジノコドウグ?」

「アンタはどんだけマギー○司引っぱるのよ!」

「あはは……んーと、多分フェレットなんじゃないかしら。見たことない種類だけど……。それと、これはなにかしら? 宝石……なのかな?」

 

 フェレットの首には首輪があり、その首輪には丸い宝石のようなものが取り付けられていた。

 少し色は違うけど、大きさといいどう見てもうちのクリムと同じデバイスにしか見えない。

 

「とりあえずまだ安静にしたほうがよさそうだから明日までこっちで預かっておこうか?」

「あ、はい! よろしくお願いします」

「じゃあ、またあした様子を見に来てくれるかな」

「わかりました」

 

 話が一段落ついたところでアリサちゃんが院内にかけられた時計を見てはっと声を張り上げた。

 

「あ、なのは、すずか、もう塾の時間!」

「そうだね急がなくちゃ、なのはちゃん行こ」

「うん、院長先生、本当にありがとうございました」

「あ、僕もなのちゃん家に急がなきゃ、先生ありがとう!」

「はいはい、気をつけて帰ってね」

 

 手をひらひらと振る槇原先生に見送られながら、なのちゃん、アリサちゃん、すずかちゃんは塾へ、僕は反対方向のなのちゃんの家の方へと走っていった。

 

 

     ◆

     ◆

     ◆

 

 

「はぁー、今日も疲れたぁ」

『一日お疲れ様です、秀也。お母様の晩御飯は美味しかったですか?』

「うん、とっても」

 

 晩御飯を食べ終わり、勉強机に突っ伏しながらクリムとお話をする。

 日課の、クリムに今日一日の報告。

 

「そういえばクリムって分身とかできるの?」

『いえ、できませんよ? なぜですか?』

「いやー、今日なのちゃんがマギー……いや、フェレット拾ってさ、そのフェレットの首輪にクリムみたいなのがついてたんだよね」

『フェレット……にですか。もしかしたら……いえ、多分思い違いでしょう。私に似た宝石が付けられていたのでは?』

 

 クリムは一度なにか考える素振りを見せたけど、その考えに何故か否定的。

 クリムには珍しくなんだかはっきりとしない態度だ。

 

「クリム、今日どうかしたの? 今朝といいなんだか変だよ」

『……いえ、私がどうかしたわけじゃなく、少し気になる点が』

「気になる点? それってどんな

――けて

え? クリムなんか言った?」

『言ってませんがこれは……』

 

 クリムと話していると突然、頭に響くような不思議な声が聞こえた。

 

 ――助けて

 

 やっぱり聞こえる!

 どこから聞こえるかもわからないけど、声の主がいる方向だけが僕にはわかった。

 

「助けてって言ってる、行かなくちゃ!」

 

 僕は椅子から立ち上がり、おもちゃ箱に入っていた野球用の金属バットを引っ張り出して部屋から飛び出そうとする。

 

『待ってください、秀也』

 

 しかし、そこでクリムに呼び止められた。

 

『本当に行ってしまうのですか? 誰が言っているのかもわからないのに』

「行ってしまうのって……行くに決まってるよ。助けを求められたら助けないと」

『……行ってしまったらもう後戻りはできなくなりますよ?』

 

 クリムは一体何を言っているんだろう。

 後には戻れない? どういうことなんだろう。

 ……でもここで迷ってる暇なんてきっとない。

 なんとなくだけど行かなきゃいけない気がするんだ。

 

「クリム、それでも僕は困っている人がいても助けたい。クリムは行って欲しくないのかもしれないけど、きっと僕は行かなきゃ後悔すると思うんだ」

『……そうですか、やはりあなたはいい子ですね。では行ってらっしゃい。秀也、後悔ないように』

「うん、ありがとう。クリム。行ってきます!」

 

 行く先に何があるのかわからないけど、僕は助けを求める声のもとへ駆け出した。

 背中にかけられたクリムの『お気をつけて』という言葉を心に留めて。

 

 

     ◆

     ◆

     ◆

 

 

 声が聞こえた場所、昼間の動物病院につくとそこは色のない、全体灰色の世界になっていた。

 

「なんじゃこりゃあ」

 

 それに何故か病院の敷地がめちゃくちゃになっていた。

 太い木が幹のあたりからくの字に折れて、病院の壁は大きな穴が一つ、地面はなにか重たいものが 空から降ってきたのかクレーターがいくつか出来ていた。

 まるで異世界にでも迷い込んだような錯覚さえ感じる異様な雰囲気を醸し出している。

 

「ホントに何があったんだろう」

 

 恐る恐る敷地へと足を踏み入れると同時に遠くの方から獣の雄叫びのような声。

 この方角は……なのちゃんたちと初めて会った公園だ!

 助けを求める声はこの雄叫びの主に襲われてるのかもしれない。

 急がなくちゃ!

 

 

     ◆

     ◆

     ◆

 

 

 公園に着くと、そこにいたのは見たこともない化物だった。

 血のように赤い瞳、うねうねと動く2本の触手、その毛むくじゃらのソレはいかにも化物らしい姿をしていた。

 化物に襲われていたのは一人の女の子。

 あの見慣れた後ろ姿は間違いない、なのちゃんだ。

 化物がなのちゃん向かって突進してきている。

 なのちゃんは腰を抜かしたのかその場にへたりこんで動かない。

 

「危ない!」

 

 僕は咄嗟に駆け出した。

 普通に走ったんじゃ間に合わない。

 だけど僕なら間に合う。今までずっと鍛えてきたのだから。

 

「神速!」

 

 頭の中の何かが外れる感覚がし、走る景色がスローになる。

 時間が止まって見える。

 動いているのは僕だけだ。

 

「でぇりゃぁぁぁあああああ!!」

 

 止まった景色の中、全力で化物まで近づき、体の勢いを殺さぬまま思いっきりバットをフルスイングした。

 バットが化物を捉えると同時に世界は時間を取り戻した。

 

「!?」

 

 突然現れた僕の姿を捉えた化物は吹っ飛びながらも驚愕に目を見開いていた。

 ……どうやらダメージはかなり薄いようだ。

 

「金属製バットの英霊、クラスはシュウヤー。問おう、貴方が僕のマスターか」

「え、えぇぇ……?」

 

 軽くへこんだバットを持つ手がジンジンしびれ、急な運動に体が痛むけど、そこは女の子の前だ、何でもないふりをしていつもの冗談を口にする。

 吹っ飛ばされた化物は僕を警戒してか、動く様子はない。

 

「それで、これどんな状況なの? なのちゃん」

「それはぼくから説明するよ」

「うん、よろしく頼むよっていうかしゃべったぁぁぁあああ!?」

「なかなかいいリアクションだね」

 

 仕方がないじゃないか。フェレットが急に喋ったら誰でも驚くよ。

 

 

 

 喋るフェレット、ユーノ君から説明を受けた。

 要約すると

 

「なるほど、ユーノベータ、略してUべぇと鹿目なのはが契約して魔法少女になってよ! って事なのか」

「うん、そういうことだよ」

「明らかになにか違うよね!? というかなんでもう通じ合ってるの!?」

「まあまあ、そこは異文化コミニュケーションってやつだよ」

 

 ツッコミが入る。けどそこにツッコミを入れるのは無粋と言うしかないよ、なのちゃん。

 それはそうと、一つどうしても聞いとかなきゃいけないことがある。

 

「ところでユーノ君、魔導師になったら何か悪いこと……デメリットって何かあるの?」

 

 出来れば協力してあげたいけど、もしなのちゃんに被害が及ぶならここで止めないといけない。

 

「……もしかしたら怪我をさせてしまうかもしれない。……だけど――!」

 

 その心配はなかったようだ。

 最後まで聞かなくてもわかる。

 ユーノ君の目は真剣そのもので、迷惑をかけることに責任を感じている。そんな目をしてたから。

 

「うん、大丈夫そうだね。なのちゃん、僕も手伝うからユーノ君に協力してあげられないかな?」

「え? シュウ君? …………うん、わかった。シュウ君昔から言いだしたら止まらないから。ユーノ君、わたしにできることなんて限られるけど、できる限りお手伝いしてみるよ」

 

 僕からもお願いしてみると、なのちゃんも以外にあっさりと了承してくれた。

 やっぱり持つべきものは幼馴染だね。

 

「え、そんなに簡単に!? いいのかい? もしかしたらすごく危険かも知れないんだよ!?」

「大丈夫大丈夫、怪我なんて慣れてるし…………。それに君もなのちゃんが危なくなったら助けてくれるんでしょ?」

 

 僕たちがあっさりと協力を申し出たことにユーノ君はとても驚いていた。

 けどユーノ君は真摯な態度でなのちゃんの安全を気にしてくれている。

 彼にならなのちゃんを任せてもいいと思えたから協力を了承したんだ、驚くことでもないんじゃないかな。

 

「うん、もちろんだよ! じゃあなのはちゃん」

「なのはでいいよ、ユーノ君」

「じゃあ、僕も秀也でいいよ」

「……うん、よろしくなのは、秀也。なのは、これを」

 

 なのちゃんに渡されたのはユーノ君の首輪についていた赤い宝石。

 

「これは?」

「これは魔法を使うために必要なデバイス、レイジングハート。それを握ってぼくの後に続いて呪文を言って」

「! オオオォォォオオオオオ!!」

 

 デバイスがなのちゃんの手に渡ったと同時に化物が再動し、なのちゃん向かって突進してきた。

 

「だやぁああああああ!」

「ガァ!?」

 

 それを僕は遮るように、化物の側面を殴りつけて突撃コースを無理やり変える。

 化物は勢い余って砂埃を立てながら盛大に転がるが、相変わらずダメージは浅いようだ。

 

「グルルルル! ……ガァ!!」

 

 近づくと不利だと思ったのか化物は触手を伸ばし、僕向けて殴打してきた。

 

「ッつぅ! 触手っ! とかッ!」

「シュウ君!」

 

 触手は3度振るわれたけどなんとかバットで防ぐ。

 けど一発一発が重くてそう長くは持たなそうだ。

 だけど無用な心配はかけたくない。

 

「こっちは気にしないで! なのちゃんはユーノ君の言うとおりに!」

「……うん! ユーノ君」

「わかった。行くよなのは。我使命を受けし者なり」

「我使命を受けし者なり」

 

 なのちゃんは一度こくりと頷くとユーノの言葉の後に続いた。

 すると握った宝石が淡く光り出す。

 

「ハアァァァアアア!」

 

 詠唱を邪魔されちゃいけない。

 僕は次々と襲いかかる触手を叩き落とす。

 

「契約の元、その力を解き放て」

「え、えと、契約の元、その力を解き放て」

「てりゃあああ!」

 

 触手を弾くバットがどんどんへこみ、形を変えていく。

 

「風は空に、星は天に」

「セイ! んなろぉおおお!」

 

 バットを持つ両手がしびれて感覚がなくなりそうだけど、擦り切れていくグリップを握り直し、触手を弾き続ける。

 

「風は空ってうるさいの!!」

「え!? ご、ごめん?! ってうわ!」

 

 思わずなのちゃんの声に驚いて、化物から注意をそらしてしまう。

 その隙に触手がバットを強打して、バットはひしゃげて折れてしまった。

 

「やばい! バット折れた!」

「あと少しで終わる! なのは、続けて!」

 

 幸い触手は僕を狙い続けている。

 触れたら骨折じゃすまない触手を転がって砂まみれになりながらもなんとか回避する。

 だけどもう少しで終わるなら頑張って避け続けてやる。

 

「えとえと、風は空に、星は天に?」

「うん! そして不屈の心は」

「そして不屈の心は」

「「この胸に!」」

「「この手に魔法を、レイジングハート、セットアーップ!」」

 

 なのちゃんとユーノ君のが同時に呪文を言い終えるとデバイスが一層強く輝き出す。

 

『Stand by ready set up』

 

 デバイスから、クリムとはまた違った女性の声を模した機械音が発せられるとなのちゃんの体はとても大きな桃色の光に包まれた。

 

「うおっ、まぶしっ」

「なんて魔力だ……」

 

 徐々に光が収まってくると、なのちゃんは学校の制服をベースにしたような白い服と長めのスカートに、魔法使いと呼ぶには少し近代的すぎるデザインの杖を持って現れた。

 

「なのちゃんすげぇ! マジで変身した!」

「ッ!! グオォォオオオオオォオオオオ!!」

 

 化物は変身したなのちゃんの登場に、充血したように真っ赤な瞳を見開いた。

 そして今までより強く吠えると高く飛び上がり、なのちゃん向かって一直線に急降下してきた。

 

「って、バカの一つ覚えみたいに! 神速!」

 

 再び景色が時を止める。

 近くにあった木を蹴って僕も高く飛び上がり、化物の眉間あたりに踵落としを食らわせて地面へと蹴落とした。

 

「ありがとう、シュウ君! ユーノ君、次はどうすればいいの!?」

「魔法は強く精神に依存するんだ。心を澄ませれば呪文が浮かび上がるはず!」

 

 なのちゃんはユーノ君の言ったとおり、目を閉じ自分の心に集中する。

 そうしているうちにも化物は体制を立て直し、なんとかなのちゃんに近づこうと突進を繰り出す。

 だけど僕はまだ空中にいて身動きがとれない。

 

「ユーノ君! なのちゃんを任せた!」

「うん! 少しきついけど……チェーンバインド!」

「グガァ!?」

 

 化物の足元に魔法陣が現れ、陣の中から数本の鎖が飛び出し化物の体を絡めとって身動きを封じた。

 

「みんな離れて! リリカルマジカル、封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード封印!」

『Sealinng Mode set up』

 

 杖がなのちゃんの呪文に答えると光る翼を生やし、桃色の帯を化物に伸ばして

 

「グ、グオオオォォォ……!!」

 

 化物を拘束して締め付ける。すると化物の額のあたりにローマ数字だろうかXXIと文字が現れた。

 

『Stand by ready』

「リリカルマジカルジュエルシードシリアルXXI、封印!」

『Sealing』

 

 呪文を唱え終わると化物の体が光り出す。

 

「ォォォ……」

 

 そして一瞬辺りが見えなくなるほど強く輝くと光の粒子になって存在ごと姿を消した。

 

 

 よくみると化物のいたあたりに何かチカチカと光るものが落ちている。

 

「もしかしてこれがユーノ君の集めてるってやつ?」

 

 指さしながらユーノ君に問う。落ちていたのはXXIと書かれた菱形の宝石。

 

「はい、そうです。なのは、それに杖を向けて」

「う、うん」

 

 なのちゃんが杖を向けると青い宝石は杖の宝石部分に吸い込まれていった。

 

「おかげで助かりました。ありがとうございました」

 

 どうやらこれで終わりのようだ。

 ユーノ君がなのちゃんと僕にぺこりとお辞儀をしお礼を言った。

 いつの間にか灰色の世界は色を取り戻し、いつもの満月が僕たちを見下ろしていた。

 

「終わった……んだ。ふぅー、なのちゃんお疲れ様」

「うん、シュウ君もお疲れ様」

 

 なのちゃんは初めて魔法を使ったことにより少しお疲れのようだ。

 かくいう僕も、脳のリミッターを一時的に外す神速を連続で使ったことによる反動で体中が痛いし、少し気だるいけど、まだやらなきゃいけないことがある。

 

「それじゃ、ここから逃げよっか」

「え? 終わったのになんで逃げるの?」

 

 なのちゃんとユーノ君は目を丸くしてキョトンとしたけど、今自分たちがいる公園の現状をみて納得してくれたようだ。

 化物が落下したことによる地面のクレーター、触手に叩かれ折れた木々など、さっきの動物病院みたいなひどい有様だ。

 

「……ユーノ君、ここを元に戻す魔法とかないのかな?」

「……ごめんなさい、ないです」

「ということで逃げようか」

 

 僕たちはもうどうすることもできないので、人に見つからないうちにそそくさと自宅へ帰ることにした。

 

 

 だけどその時、その光景を見つめる影がいたことを、僕たちが気づくことはなかった。

 

 

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