織斑一夏はプロデューサー   作:めっさん

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#5 夢、そして現実

あんたはうちの子じゃない、この人殺し―――それが、俺が物心つき始めたころに親から言われた言葉だった。

 

小学三年のころ、初めて人を殺した。目の前で近所の女の子が大人――最近近くで有名になっている誘拐犯―――に連れていかれそうになったとき、理屈よりも先に体が動き、同時に自分の体の中で何かがはじける感覚があった。

 

そのとき、違和感があった。どうして『女の子を助けなきゃ』じゃなくて、『あの大人を倒さなきゃ』と心で思ったのかを。

 

俺は真っ先に大人の腹部へと殴りにかかった。その大人も、子供だからとなめていたのだろう、特にガードすることもなく、薄ら笑みを浮かべてこちらを向いた。

 

次の瞬間自分の手が光を帯びて、そのまま大人のおなかに吸い込まれ、殴った感触が伝わったとき同時に大人の体に稲妻がみえた。

 

何が起こったのかわからなかったが、これで女の子は助かったことだけは理解できた。

 

案の定、誘拐犯はその場で死亡、女の子の親からは感謝され、警察も小学生であることと正当防衛であることから殺人のほうには踏み込まなかった。

しかし、代償―――と言わんばかりに、俺は家族を間接的に失った。

 

行く当てがなくなった―――とはならなかったのだ。幸いにも俺は拾われたのだ。物好きなひとりの男によって――――――

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

アイドルを解散させてから、俺たち裏方の会話が始まる。

 

「まずは舞音さん、五反田さん、御手洗さん。急な伝達申し訳ありません。この事は昨日の会議で決定したので……」

 

武内先輩が首に手をあてながら話し出す。

 

「あの……武内先輩、改めて俺たちはどういう立場になるんですか?」

 

「はい。基本的には今まで通りではあります。しかし、書類確認の仕事は確実になくなります。撮影関係の方々やステージ運営の方々への挨拶回りも私が行います。そのため、あなた方には本格的にアイドル達のサポートに回ってください。」

 

「それはやっぱり、自分がIS学園に籍を置いたから……というのが理由ですか?」

 

「はい。ですが、アイドル達が今まで以上に快く活動できるためでもありますので、そう気を落とすことはありませんよ。」

 

あれ、俺そんなに暗い顔してた?

 

 

 

 

「あの~、それで私はなんで残されたのかにゃ?」

 

「はい、非常に申し訳ないのですが、前川さんにはIS学園から転校していただきたいのです。」

 

まぁ、そう来るとは思っていた。実際あそこは完全寮制度だからアイドルがいくような場所ではないと思う。

 

すると、みくが俺の予想通り、なんだがある意味凄い事を言い出した。

 

「別にいいにゃ。だってIS学園に行きたい訳じゃなかったし。」

 

――――――は?

 

「親が無理矢理IS学園に行けって言ったんだにゃ。そうしたらアイドルになるなんてバカな夢も捨てるだろ―――だってさ。だから問題ないにゃ。そもそも私はアイドルになりたいから東京に来たのに、いつの間にか親が勝手に進学の書類出しちゃって。私の気持ちも知らないで―――――――――」

 

ふざけた話だな、それ。親からしたら、まぁアイドルなんて将来不確定すぎる職に就かせたくないのはわかる。だがバカな夢だと? まるで今頑張ってるアイドルを全部否定して、無駄なものだと考えてんのか?

 

気がつくと俺はみくの手を強く握っていた。

 

「任せろ。」

 

「ど、どうしたんだにゃ? 刹那君?」

 

「ここにはみくの夢を応援するやつしかいない。武内先輩が仕事をとってくるし、俺たちは全力でサポートする。……見返してやろうぜ、な?」

 

みくは、驚いたような、でもどこか嬉しそうにはにかんで

 

「ありがとう、刹那君、それに皆さん……」

 

 

 

 

 

(……はっ、肉親から、周りから、世界から見捨てられたからこそ、刹那は誰よりもそういうことに敏感で、真摯に対応する。完全サポートってのは大正解かもな。まー、そういうとこは俺も一緒か。)

 

 

 

 

 

 

 

「さ、て。刹那、そろそろ情報について話しておこう。」

 

弾がいつになく真面目な顔で話し出す。

 

「あぁ頼む。」

 

「まず、セシリア・オルコットについてだが、イギリスの代表候補生、専用機は第三世代ブルー・ティアーズだ。BT兵器を使った、遠距離銃撃戦スタイルになっている。そのために接近戦に持ち込めれば余裕だろう。でもあんたは……」

 

「同じ土俵で戦う。だから当日は学園にあるラファールを使うつもりだ。」

 

「言うと思った。……だが、ひとつ間違ってるな。専用機の目処がたった。だから、要望通りの機体を使ってもらうからな。」

 

みくがおずおずと手をあげる。

 

「あの~、刹那君? 質問いいかにゃ?」

 

「別にいいぞ。あと、その猫語似合ってないぞ。」

 

「んにゃっ!? これはキャラだにゃ! ……学園で用意されるやつじゃダメだったの?」

 

まぁ、普通はそうだろうな。

 

「なぁ、みく。俺が入学してすぐの挨拶、覚えているか?」

 

みくは首をかしげている。覚えていないか、そこにヒントがあるのを理解していないだろう。

 

「俺は確かにあの日、『346プロダクション所属』と言った。346プロは確かにアイドル事務所としてのイメージが強いと思う。だがそれは一般論だ。実際は346グループのひとつで、グループ内では様々な事業がある。ISの研究をしているところもあるしな、実際は。……まぁ、IS自体は開発してないけど……そしてここで、ISの教科書六ページ目の一部分が関わってくる。こっちは覚えてるか?」

 

「う、うん。確か、『篠ノ之博士はコアを一定数以上作成することを拒んで、各国家・企業・組織・機関ではそれぞれ割り振られたコアを用いて研究、開発、訓練を行っている』……だったっけ?」

 

――――――まさか、ここまできれいに覚えているとは思わなかった。うん。

 

弾や数馬、武内先輩が『おいまじかよ』みたいな目で抗議してくる。

 

前川みく……恐ろしい子!

 

「あぁ、その通りだ。良くできたな~偉いぞ~。」

 

頭撫でとこ。

 

「な、撫でるにゃあ!」

 

赤面して憤怒してる。たいして怖くないし、むしろry

 

「……企業ごとにコアが割り振られている、ということは346グループの一部分も例外じゃない。つまり、『舞音刹那が既に専用機を持っている』という可能性がそのときあったわけだ。実際346はコアを1個持ってる。だが、その可能性を無視して俺に専用機を薦めてくるのはおかしくないか? 普通なら確認のひとつはとるはずだ。そこで俺と弾が導き出した予想が、『学園が用意するのは、専用機。しかしそれは完全にデータを、しかも俺個人のものを回収するための、道具』だ。」

 

これが学園での専用機を使わない理由だ。

 

続けて弾が補足する。

 

「俺個人の情報によると、実際それは当たりで、しかも開発元は倉持技研だけならまだしも―――篠ノ之 束が手を加えている。さらに悪趣味なのは、それを着けたときに、搭乗者に微量ながらナノマシンが体内に組み込まれるシステムが政府の要望で付けられてることだ。―――政府もゴミみたいな対応してくんぜ。」

 

本格的に日本政府は人間を人間として見ないらしい。しかし、今の自分ではなにもすることはできない(弾に頼んだら解決しそうだが、できる限り平和的にしておきたいし)。

 

 

 

 

 

「さて、刹那。このあと時間あるか?」

 

 

 

 

 

 




久々投稿。なんかみくにゃん頭良さすぎになってるけど、別にいいよね……とりあえず、ここまでの動き(内容?)をポイントで押さえると、

・IS学園には346のアイドルはいない
・刹那はIS学園に籍をおいているが、あくまでも身を守るための対策であり、まともに通うことは考えていない。なお、実質的学園長である轡木十蔵に交渉済。
・弾はバグキャラ

ですかね。
ではまた次回

遅くなりました閲覧ありがとうございます!
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