織斑一夏はプロデューサー   作:めっさん

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#7 捨てられない過去と今を造った過去

あの日から俺は、自分が人間の域を越えていることに気づいた。絶対に死なない、生身でISと戦える。

 

その日から俺は、数々の戦場に向かっては、当たらない銃弾を撃ち込まれ、無力な敵を潰す日々が続いた。

 

そんな中、1つの依頼が社長のところに届いた。内容は『亡国企業に誘拐された織斑 千冬の弟、織斑一夏の保護、回収』。この依頼には社長だけでなく俺も違和感を覚えた。―――何故織斑 千冬本人が助けにいかない?

 

社長に聞いたところ、織斑千冬はモンデグロッソの決勝戦に出ているとのこと、つまるとこ弟を見捨てた、ということだ。

 

しかも、極秘情報なのだが、織斑 一夏には兄がいて、その兄も数日前に行方不明になっているとのこと。実際に織斑一夏を助ける人間など、ほとんどゼロに近いということだ。

 

 

 

 

結局その依頼を受け、アメリカ、ニューヨークへと向かう。はじめは護送用のヘリを用意してくれるとのことだったが、織斑一夏の重要人物性や他の懸念事項から、今回は俺個人で行くことにした。

 

目標の場所につき、素手で壁を壊し中にはいると、縄で柱に縛り付けられていた、おそらく織斑一夏であろう人と、ラファール・リヴァイヴ2機、そしてローブを被った人間二人がいた。

 

亡国企業四人のうち一人が俺の存在に気づくが、もう遅い。すでに俺はリヴァイヴの1機に蹴りを入れていた。金属と金属がぶつかり合う音が聞こえ、相手の胸部装甲にヒビが入る。

 

俺の異常さに怖じ気づいたのか、もう1機のリヴァイヴ使いがライフルを乱射し始めた。俺は必死で避けるが、すぐに織斑一夏の保護に回らなければならないことに気づく。

 

もう遅かったか……? と思ったが、ローブ男の一人が織斑一夏を守っていた。何故亡国企業が織斑一夏を保護しているのか不思議に感じた。

 

「なぁ、あんたは誰だ?」

 

答えてくれるかもわからないのに俺は問いかける。

 

既に他の3人は撤退の準備をしていて、このコンテナ内には俺と目の前のローブ男、そして織斑一夏しかいない。

 

ローブ男が近づき、耳元でささやく。

 

「俺は――――――――。」

 

その名を聞いた瞬間、俺の戦意は完全に消えた。

 

 

 

 

 

三角座りで顔を埋めている織斑一夏に近づいた。

 

「なぁ、織斑一夏、あんた――――――」

 

「僕は、生きているんですか……?」

 

……?

 

「あぁ、お前は生きている。」

 

「お願いです。――――僕を鍛えてください。」

 

「……理由を聞いていいか?」

 

織斑一夏は、ポツリポツリと話し始めた。

 

 

「……僕には、兄さんがいるんです。姉さんがいるんです。姉さんは天才なんです。――ほんとになんでもできる天才です。――兄さんは秀才です。姉さんにはとどかなくても。それに、僕のことをよく面倒見てくれました。――――でも、姉さんも兄さんも……それだけじゃなく、皆、僕を見捨てました。」

 

目の前の少年の声は小さいけど力強い。

 

「でも、仕方のないことだったんです。僕には何もない。姉さんみたいに強くなければ、兄さんみたいに頭もよくない。だから……僕を鍛えてください、強くしてください。そうすれば、皆僕に気づいてくれます、兄さんに追い付いて、兄さんのほんとの気持ちがわかるんです。」

 

そうか、こいつは俺と同じで、親や近くの人間から愛されなかったのか――いや、俺以上にひどい、誰からもみてくれなかったのか……

 

「あんたは強いな。」

 

「……僕が? ……僕には何もない、空っぽな箱だ。」

 

「あんたは俺にはない強さがある。それがある限り、死ぬことはないし、俺が死なせはしないから。」

 

気付いてみれば、一夏の頬には一筋の涙が流れていた。

 

 

 

 

 

 

「……一夏、でいいか?」

 

「うん。君は……?」

 

「俺は五反田 弾、弾でいいし、タメでいいよ。多分同じ年だろうから。とりあえずここから離れよう、そろそろ警察が来て、それこそ特訓どころじゃなくなる。」

 

こうして俺たち二人、世の中に抗うコンビが誕生した。

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

 

「にしても、玄道先輩が引き継いでくれるのか。すごいありがたい。」

 

玄道 凱亜。俺と弾、数馬が入社したときの教育係として迎え入れてくれたのが玄道先輩だった。見た目が世紀末な上にかなり厳しく、たぶん元自衛隊とか、元軍隊とか言っても怪しまれないと思う。

 

顔のいかつさだと武内先輩と同等だと思う。……にもかかわらず玄道先輩に職質が来たことはないのは不思議だけど。

 

ただ自分にも厳しかったり、若干アイドルに弱かったりと、様々な一面があるので、何人かには好意を持たれてたり。

 

「……? 玄道さんのことしってるの? 刹那君。」

 

「あぁ。俺達の教育係だったからな。見た目はあれだけど、頼れるから安心していいぞ。」

 

「で、でも……その~、わ、私は、刹那君に見ててほしい、かな……なんて~。」

 

頬を染めて、もじもじしている。

 

「……トイレか?」

 

たぶん違ったのだろう。先程とは違う意味で顔を赤くして、

 

「バカぁぁぁ!」

 

平手打ちをかました。

 

 

 

 

 

 

「……全く、素直に好意を受け取りゃいいのに、なんでわざわざ唐変木なふりするかね。」

 

「判っててきいてんだろ? 弾。俺と加蓮は立場上そういったことになりゃまずい。アイドルとプロデューサー、この言葉の重さはわかってるだろ?」

 

「だからこそだよ。せめて気付いてやれ、そんでもって、その事を言えばいいのに。」

 

それができたら俺もこんなめんどくさい真似なんてしない。人を好きになって、その先のビジョンが見えない……いや、人を好きになる感情すらわからない俺は、ある意味恋するのが怖いんだろうな……

 

「………ほんっと、恋愛ってムズいな……」

 

そんな声は、窓の向こうへと消え去った。

 

 

 

 

 

「……では、このようなものでよろしいでしょうか。」

 

「はい、では明日からお願いします……というよりも、武内先輩、せめて俺らには敬語やめません? 聞いてて気持ち悪いんですけど……」

 

「はぁ、ですが、癖なので……」

 

首にてをあてて、うなだれている。

 

無事にシンデレラプロジェクトの紹介をするムービーの方向性とかもろもろを設定し終えた僕と武内先輩は、部屋で資料をまとめている。

 

自分は刹那や弾よりは……というか一般人よりは動画作成、編集は上手な方なので、今までMVの編集とかも手伝ってきた。から今回も手伝ってんだけど……

 

やっぱ、自分は敬語で話されるの、やだな……

 

「二人とも頑張ってるねぇー、杏は頑張らないけどね~。ほらほら、頑張れ数坊~。」

 

「双葉さんも、いずれは仕事してもらいますけど……」

 

「いや、杏姉いつまでいるのさ、帰んないの?」

 

この話し方でわかるかもしれないが、僕と双葉 杏はいわゆる『幼馴染み』である。年齢は違うけど、小さい頃はよく面倒を見て…………あげてた。

 

「だって、杏が自分一人で帰ると思う?」

 

思わない。ずっと俺の自転車の後ろに乗ったり、背中に乗ったりしてたから……いや、さすがに毎日じゃないよ?

 

ちなみに、背負っていても大半の人からはあやしまれなかった。まぁ、杏姉身長があれだから。

 

「はぁ……武内先輩、自分が送りますので、先輩は他に仕事あるんでしょう? そっちの方を頼みます。」

 

「はい、ではまた明日。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、あの杏姉がアイドルなんて、想像もできなかったな……」

 

「どういうことさ、それ。」

 

「そのまんまの意味だよ。」

 

杏姉を送っている帰り道。そこまで事務所から遠いわけではないので、歩いて帰っている。

 

さすがに背負うわけにはいかないので、横並びで歩む。

 

「まぁ、CDデビューして、印税入ったらすぐ辞めるつもり……だったんだけど、数坊がいるんなら、もうちょいしてもいいかな。」

 

「アハハ……それはどうも。というか、僕がここで働いてるのって、言ってなかったっけ?」

 

「聞いてないよっ。杏に無断で勝手にどっか行って……その上働いてるなんて。これは罰としてなにかおごってもらおっかな~。」

 

「おごるのはあれだけど、簡単なお菓子ならつくってあげよっか。」

 

「ほんと? わーい。」

 

……その見た目なんだから、もうちょい言葉選ばないと…………マジで幼く見えるわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――クラス代表決定戦は明後日にまで近づいている。

 

 

 

 




前回投稿から一ヶ月以上は経ったか、お久し振りですめっさんです。最近友人も小説投稿しはじめて、それに感化されたのか、またメモ帳を開け執筆を始めました。(じゃあ今まで何してたんだよ)

今回は過去の話多目になってます(カウントしてないけど多分)

ではまた……
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