万年ドベは隊長様   作:落ち葉崩し

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3話 面倒なお願い

「失礼するってばよ」

 

あー、何言われんだろ。この姿で呼び出されるなんて初めてだし」

 

火影の前に立ち頭の後ろで腕を組むナルトを見て火影は笑う。

 

「久しぶりじゃのぉ、ナルトよ」

 

そんなことを言うために呼んだんじゃないことくらいはわかっている。

 

だが火影は自分の育ての親である。そんな人からのその言葉に反応しないわけがなかった。

 

 

「まぁそうだね、じぃちゃんも俺も忙しいからな」

 

俺も笑う。じぃちゃんや里の一部の人間が教えてくれた笑顔で。

 

「確かに最近は少し忙しくなってしまったのぅ。で、今日はお前にお願いがあって呼んだわけだが、頼めるか?」

 

いつもなら内容を言われるだけでこちらに拒否権はない。まぁ断るつもりもないのだが。

 

だが今回お願いと言ったということは任務以外なのだろうと推測する。

 

「じっちゃんがお願い事って珍しいね?内容によるけど」

 

まぁよっぽどのことがない限り断りはしないが一応内容の確認は怠らない。

 

「うむ、頼みというのは他でもない。サスケのことなんじゃがの、あやつの潜在能力を引き出して欲しいのじゃが」

 

「は?サスケの?」

 

火影の言葉に俺は首をかしげる。確かに今年下忍になったやつの中ではズバ抜けた強さがある。それにうちは一族であることも要因の一つではあるが写輪眼が不安定ながらもたまに発動することもある。

 

「そうじゃ。うちはサスケ、やつの潜在能力は高い。そしてそれがやつ自身の身を守ることにもなる。」

 

「うちはイタチを知っているな?やつは抜け忍として今は暮らしているがやつがしでかした事件は全て里のため。そしてサスケのためにやったこと。そしてその条件としてサスケを里の忍として成長させること。そしてダンゾウや、うちはの血を欲する者たちから守ることじゃ。そのためにもサスケには中忍試験までに少しでも強くなって欲しいのじゃ」

 

ナルトはイタチの名を聞いた時驚きを隠せなかった。

2年前に一族を皆殺しにし里を抜けた男。

 

そして帝に敵わないまでも少しだけ傷をつけることができた男だ。

 

いつも任務の時にはその判断力と強さを発揮しそして成功に導いていた男だ。

 

そんな男が残したのがサスケだということか?あんな甘ちゃんのうちはの中でも俺から言わせればザコのサスケを?

 

少しだけ興味が湧いてくる話ではある。

 

「で、サスケの潜在能力、そして力をどの程度まで底上げすればいいんだ?正直この落ちこぼれのナルトが何をしようが素直に聞くようなやつじゃねーぞ?」

 

俺は頭をかきながら尋ねる。サスケを鍛えるだけなら帝として呼べばよかったはずなのだ。それをこの姿のナルトとして呼んだ真相を探るべく言葉を選んだ。

 

「確かにサスケは少々傲慢なたちがある。だがお前の言葉だからこそだ。中忍試験のため。そして、今のままでは力不足。それを自覚させ、お前と競い合わせるように仕組むのじゃ。よいか?ナルト」

 

俺はその火影の言葉に対し意図は理解したがそれこそ謎な部分。

 

「じっちゃん、言いたいことはわかったけどそれなら俺に…帝に命令すればいいのになんで俺に言ったの?もし断られたらどうするつもりだったんだ?」

 

俺の言葉に火影は微笑む。優しい目だ、俺を化け物ではなくナルトとしてみてくれる。

 

「お前なら受け入れてくれると思ったからじゃ。ダメだったらその時になってから考えたさ。それに」

 

それに?なんなんだよ…

 

「サスケは孤独、お前と同じなんじゃ。立場は違うがな、だからお前たち2人にはできれば友達になってもらいたいとも思っている」

 

サスケが孤独なのは知っている。

 

だがサスケの周りにはいつも人が集まる。あいつは人気者。

 

それに対し俺は周りに人が寄ってこない、そして化け物扱い。

 

俺があいつと友達に?ありえない、あいつは俺のことを認めていない。そんなやつと心を交わせるわけがない。

 

「じっちゃん、そのお願いは引き受けるけど友達になるのは無理だ。俺はあいつと馴れ合う気はない」

 

そのまま振り返り歩き始める俺の体にぶつかる声。

 

「ナルト!仲間を作れ。友を作れ。それがお前の両親からの最後の言葉だった。2人のためにも、少しでいい。信じられるものを作って欲しい。頼む」

 

火影からの言葉に足が止まる。

 

両親の最後の言葉。死んだ両親が最後に俺に残した言葉。それが心に突き刺さった。だがそれにまだナルトは気づかない。そして止めていた足を前に進め部屋を出る。

 

火影が部屋で少し悲しそうにしているのを俺は知らなかった。

 

 

 

その日俺は任務がなかったため暗部の修練場で汗を流す。

だが普段と違いキレはない。

 

新入りに俺はギリギリ負けないレベルに合わせながら闘う。それを周りは不思議そうに見つめている。

 

そして新入りが伸びたところで顔の横に水が差し出される。

 

「ありがとう、漆」

 

この漆はヤマトという土遁、そして水遁の忍術を得意とし、現在では唯一木遁忍術を扱える人間だ。

 

「いえ、それより隊長、なんで今日はあんなに手を抜いてたんです?何かの任務の練習ですか?」

 

こいつは俺の本来の姿も知っており、班構成なども知られている。

 

それゆえに少しの言葉で理解をすると決めつけ言葉を繰り出す。

 

「サスケの修行することになった。あいつの力に合わせて」

それに対し漆は頷くと納得したような表情になり口を開く。

 

「なるほど、それは大変だ。5%位ですかね?」

 

その言葉に俺は少し笑うと首を振る。

 

「さっきまでので10%くらいか?だったらサスケは2%ってとこだ」

 

その言葉に漆は少しため息をついて去っていく。

 

俺は水を口に含み喉に流し込む。その後ろ伸びていた新入りからうめきが上がる。

 

「今日は起きるの早いな。お前の力は最初より大分上がってるよ」

 

その言葉に後ろの新入りは仰向けに大の字になりながら言う。

 

「今の俺の力に合わせて戦った時。隊長に汗ひとつかかせらんなかった。俺はまだまだだ。もっと強くなりてぇ、本当の自分を出せる場所をやっと見つけたんだ」

 

新入りは言う。俺はこいつが誰かは知っているが確かに普段のこいつはこんなやつじゃない。無気力で、やる気がなくて、めんどくせぇ。そんなやつだと思っていたが今は違う。あれは自分の周りのレベルの低さに愕然としているのだった。そして本当の自分を隠している。

 

「関、いや、シカマル。お前は上を目指す志、それに伸びも著しい。だがまだ今のままじゃやられる。初任務までには俺に1撃喰らわせられるようになれ、じゃねーとお前の友達に全部バラす」

 

「できるもんならやってみろ、だったら俺もあんたの周りに全部バラしてやるよ」

 

シカマルの言葉は十中八九ハッタリだと俺は考えた。

 

そして真実はその通りでありハッタリだった。

 

だがこいつならいつかは気づくと確信している。それは近い未来に実現するのだった。

 

 

「おい、明日から俺は少しの間ここに来れない。だからお前は漆に鍛えてもらえ。あいつがいる日はな。いなかったら他の隊の演習に組み込んでもらえ。いいな」

 

俺の問いに返事をしたのを確認すると俺は着替えもせずにそこから飛び出る。

 

そして闇の中に消える。表の世界とのトンネルを通るために。

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