【パンツマスタースカさん】
遂に娘と正面から対峙することになったスカさん。果たして修羅と化した娘を宥めることができるのか?
五体満足で独房に帰還できるのか?
頑張れスカさん!負けるなスカさん!
スカさんの勇気が全世界の下着ドロを救うと信じて──応援ありがとうございました!
『タイプ・フロスト』を発動したタイガは、間髪入れず右手に『氷結変換』した魔力を込める。
「
凝縮された魔力が冷凍光線と化し、なのはの不意をついた。
だが彼女は冷静に対処し、シールドで受け止めて防いでみせる。
が、そこで彼女の表情が変わった。
理由は簡単、砲撃は防いだものの、シールドの攻撃を受け止めた面の表面が白く凍りついていったのだ。
「すごいなぁ」
言いながらシールドを解除し、流れるようにレイジングハートから砲撃を放つ。
当然避けると思っていたなのはの予測に反し、タイガは模擬戦が開始してから初めての防御魔法を発動した。
現れたのは魔力シールドではなく、氷の壁。それは砲撃を受け止めると、そのまま後退もせずに防ぎ続ける。
タイプ・フロストの特性の一つ、シールド強化。平時ではそこまで強いとは言えないタイガの防御を、強固な氷で補強することで爆発的にその防御力を高めることが可能となっている。
しかし、なのはの砲撃は強力だ。数十秒なら耐え切れるが、これが何分も続けばやがて押し負けるのは見えきっている。
「よし、ゼロ!」
だからこそ、ディセクターが役に立つ。
壁に守られながら、タイガはゼロからディセクターを展開、すぐさま二本同時に投げ、コントロールしてなのはに向かわせる。
「おっと!」
猛回転して迫るブーメランを避けるためになのはは砲撃を中断し、無数の魔力弾で迎撃に移った。
実体を持ち、常時回転しているため魔力弾一撃くらいは簡単に斬り裂けるディセクターも、一度に大量の魔力弾に撃たれてはバランスを保つことができず、どうしようもないため、接近しては離れるの繰り返しになってしまう。これではダメージを与えることは不可能だ。
──だが忘れてはいけない。タイガの目的はあくまで『逃げる』ことだということを。
(──今!)
今のなのはは戦闘態勢。『タイガを逃がさない』のが目的だったさっきまでと比べれば、これ以上ないチャンスだといえる。
それ以前に、ディセクターの『仕掛け』──すなわち、自由飛行に用いるための内包魔力の残量を考えると、ディセクターでの自動攻撃にも限界が近づいてくる頃だ。
タイガは魔力を周囲に放出、そして氷結変換して凝縮させ、氷のディセクターを作り出した。
それも、一つではない。
「絶招
氷のディセクターは合図と同時に一斉に飛び出し、マルチタスクによる個別コントロールによってそれぞれが意思を持つように自在に飛び回り、なのはを襲う。
「うわっ、何この数!?」
氷のディセクターは本物のディセクターと入れ替わるように弾幕へ飛び込むと、次々と魔力弾を破壊した。破壊された魔力弾は次々と炸裂し、遂になのはの視界を塞いだ。
「ぃよしっ!」
ディセクターを回収し、ここぞとばかりになのはに背を向けると高速魔法で姿を消すタイガ。
ある程度の距離なら絶招天蒼牙のコントロールは有効なため、十分な距離を稼ぐことが可能なはずだ。
飛ぶ。自分の出せる最大の速度で空を駆け、やがてタイガはなのはの射程圏内から離脱した。
「あと、少し……!」
既に絶招天蒼牙のコントロールは切れている。タイガは建造物の影に隠れながら、更に逃げる。
はっきり言って、かなり苦しい計画だ。
まず、ディセクターでの近接戦闘を行って、なのはの「近接封じの必勝パターン」を誘い出す。もしもここで彼女がそれをしなければ、その時点で詰んでいた。
そうして
その後はディセクターで時間を稼ぎ、絶招天翔牙で視界と注意を奪って、その隙に逃走する。
そしてディセクターの魔力を補充しつつ参加者が減るのを待てばいい、タイガはビル群を突き抜け──
「覇王断空拳!」
──横から凄まじい威力でぶん殴られた。
「へぶあっ!?」
やべえ油断した、そう思った直後に視界が混沌の渦へと変わり、なんだか数分前にも同じ目にあった気もしながら何かの建造物の壁を破壊し、墜落。
ライフゲージが出現する。
『タイガ・ウェズリー
LIFE 302/3000
こうかは ばつぐんだ!』
「そうそう、こおりタイプにはかくとうが相性いいよねってふざけんな!」
ザッと足音が聞こえ、咄嗟にシールドを展開するのと同時に衝撃。
虹彩異色の瞳と目が合った。
「さっきの断空拳で落とすつもりだったのですが……」
「通りで強い」
死ぬかと思った。
タイプ・フロストは素の防御力もそれなりに高い。それに加えてライフポイント制だったのが幸いした。
もしクラッシュエミュレート適応下でこれだけのダメージを受けてたら、恐らく気を失っていた。
まあ何が言いたいかって、
「はあっ!」
「ぬ」
再び拳がシールドに襲いかかり、タイガは飛行で後方に数メートル飛び退る。案の定シールドは砕け散り、先ほどまで頭があった場所を拳が通り過ぎた。
アインハルトは止まらない。
一歩踏み出す──タイガがそう思った瞬間、彼女はタイガの目の前にいた。
「──!」
放たれた拳を、彼女の腕を横から弾くことで軌道を逸らす。
発生した風圧に前髪が揺れた。
すぐさま逃げようとするが、更に逆の拳を構えるのを見て間に合わないことを悟る。
──ならば。
「『虎咆』!」
「っ!?」
下げようとした足を逆に踏み込み、両手を虎の
事案が発生しないように最大限に配慮した一撃は見事腹に命中し、アインハルトを怯ませ後退させることに成功した。微々たるものながら、確かにダメージも入っている。
だが、彼女はやはり並ではない。
「──っ!」
「ぐほっ!?」
体勢を崩されながらも脚を振り上げ、脇に強烈な蹴りが入る。虎咆を放った直後で受け流すこともできず、もろに受けたダメージに思わずたたらを踏む。
それでもなんとか脚を動かし、アインハルトが体勢を整える前に距離を置くことはできた。
すかさず全身に炎を纏わせる。
『Type burst』
「紅蓮拳!」
再び赤い姿『タイプ・バースト』にチェンジし、間髪入れず右拳から高火力の炎熱砲撃をアインハルトめがけて放った。格闘の技術で渡り合おうとしては確実に負ける。いくら防御力の高いタイプ・フロストでもジリ貧は免れない。その点、攻撃力と砲撃をどちらも強化するタイプ・バーストの方がこの場を凌ぐのに有利だった。
だがアインハルトも既にタイガの攻撃パターンを見切っていた。その場から飛び上がって紅蓮拳を避けると、空破断をタイガに撃つ。
タイガもなんとか飛行でそれを避け、ある程度の魔力チャージが完了したディセクターを一つ投げ放つ。が、
「ハァァッ!」
「嘘ぉっ!?」
なんと魔力を纏わせた拳の振り下ろしでディセクターが叩き落とされ、そのまま地面にめり込んだ。
──どんな動体視力だよ!
「覇王──」
そのままの勢いで迫るアインハルト。構えと魔力充填量からみて『覇王断空拳』と見て間違いないだろう。
この状況を覆す手段がないわけではない。だが、次に繋げる余裕がない。
俺ってこんなに鈍ってたのか、と思わず悲観するタイガだが──この男は少々性格が悪かった。
この状況で考えたのは、負けるにしても道連れにできるんじゃね、と。
運が良ければ倒せるんじゃね、と。
実にひん曲がった考えであった。
直後、必殺の拳を構えたアインハルトが感じたのは地響き。目に飛び込んだのは──地面に腕をめり込ませているタイガの姿。
「龍王──」
タイガは残る魔力の約半分を右手に込める。
そしてそのまま腕を引き抜き──
それは春光拳の中でも単純にして、かなり頭がおかしい技だった。
「──破山墜ッ! でえやぁぁぁっ!」
龍王破山墜──それは、『力を振り絞って地面を持ち上げ相手にぶん投げる』というそこまで技巧を凝らすタイプではない技。
リオもそうだが、今現在タイガの自慢できる要素は単純に『怪力』である。
男女の差でリオをも上回るそれは、ただし使えば筋肉痛に襲われるという運動不足特有のリスクを孕んでいた。
が、もう考えることをやめた
「っ!?」
流石のアインハルトも予想をはるかに超える事態に表情を変えるが、すぐさま断空拳を放つ。
岩塊が砕け散る。開けた景色の中に、アインハルトは灼熱の炎を目にした。
「絶招、
持てる魔力の全てを炎と化して右脚に注ぎ込み、凄まじいまでの熱量を放ちながら
激突する力。
やがてそれは、二人を飲み込み──
◇
なんてことはなかった。
「か、体が、動かん……」
「お兄ちゃん張り切ってたねー」
結局、だいぶダメージを受けた身体で全力のキックなど大した威力は出ず、そのまま弾き飛ばされゲームオーバーになってしまった。
現在は第二ラウンド、筋肉痛との戦いである。こればっかりは治癒魔法無しの自然回復を待つほかない。
草原の上でぶっ倒れている男の絵面はなかなかに面白いものであった。ちなみに三回戦には出れそうになかった。
今は休憩時間中、リオと並んで寝転んでいる。
「それにしても、思ったより動けたな。まあ一般人としては十分すぎるレベルだよな!」
「春光拳を習ってきた人としてはかなりダメな方だけどね」
「ぐっ」
ちょっと悪戯げな笑みを見せるリオに唸る。
「やっぱりお兄ちゃん、鍛えなおさなきゃね!」
「……お前最初からそう言うつもりで模擬戦誘ったな?」
「さあねー」
つーんとそっぽを向くリオに、ため息をこぼすしかなかった。
思ったよりもなのはさんが書きにくかった。しょうがないんや!だってあの人書いてたら千文字いかないで終わるんやもん!
《おまけ》二分……いや三分?ぐらいで分かるタイガ・ウェズリー(ふまじめ)
リオの兄。運動不足のデバイスマイスター。デバイス関連では割と有名。
デバイスであるゼロは作者がよく設定を凝らすまで一切話をしなかった。
ディセクターはゼロスラッガーである。ググってね!
リオと同様、魔力変換資質を二つ保持しているものの、炎熱と氷結という絶望的に相性の悪い属性であるためにいまいち役に立たない。そのためタイプチェンジで切り替えているが、理由は作者がウルトラマン好きだからとかではない。氷結でミラクルゼロスラッガーとか炎熱でウルトラゼロキックとか使ってるが作者が一番好きなのはゼロではなくコスモスである。フューチャーモードかっこいい。
タイプバーストは炎熱を使うためのタイプ。ポケモンでいえばこうげきととくこうが高くなる。
タイプフロストは氷結を使うためのタイプ。ポケモンでいえばぼうぎょととくぼうが高くなる。
あと弱い。
次回はチビっ子組の誰かの回。誰にするかはまだ決めてない。