Fate/lyrical ~白銀の少女と魔法少女の紡ぐ物語~ 作:紅鷲
尚、この第二話に至ってはいきなりご都合主義というか
そんな設定を採用していますので、ご注意ください。
心地良い風が吹き抜けるのを感じて、少女 高町なのはは目を覚ました。
「う……う~ん、……ここは?」
太陽が沈みかけている所から、時刻は夕方だろう。
体を起こして周囲一帯を見渡しても、目に映るのは木々ばかり。
どうしてこんな所で寝ていたのか思い出そうとして……
「あ、そっか。ここが並行世界の海鳴市なんだ」
唐突に思い出した。
並行世界の狭間とか言う空間で、ゼルレッチと名乗る老人と出会った事。
この世界についての説明、注意事項等を教えてもらった。
ふと、隣を見てみれば投げ渡された黒いトランクケースが転がっている。
とりあえず、トランクケースを確認しようと立ち上がった所で気付いた。
「あれ……? 随分と視線が低い様な」
嫌な予感がして、自分の体を見て……思わずそのままたっぷりと
数十秒固まってしまった。
「嘘……」
縮んでいた。
それはもう、見事な位にまで縮んでいた。
さっきまで16歳の相応しい姿だったのに、今はもうどう見ても
9歳前後にしか見えなかった。
「にゃ! 如何して縮んでるの~??」
理解不能な事態に混乱するなのはだが、ふとゼルレッチの言葉
が頭の中を過ぎり、混乱を収めた。
―――その場合、若干お主に何らかの軽い修正が働くじゃろうが
「もしかして、これがゼルレッチさんが言っていた世界の修正なのかな?
それとも別の……だめ、考えても分からないの。
とりあえず、私に今出来ることをしてみよう」
そう、結論付けるとなのははゼルレッチより投げ渡された
黒いトランクケースを開けて見る。
「……うわぁ、すごい」
中身を見て、思わずなのはは驚きの声を上げた。
強力な魔力が篭められているであろうモノから、換金用と
思われる様々な種類の宝石、貴金属、当面の保存食。
これから絶対に必要になるであろう様々な物が入っていた。
「ゼルレッチさんには、本当に感謝だね。
今度会ったらお礼言っておかないと」
一通り、中身を確認してから……ふと、なのはは思い出した。
「あ、そう言えば……」
―――うむ、向こうに着いたらこのメモに書いている事を行うと良い。
その言葉を思い出し、なのはは意識を失う前、咄嗟にポケットに
入れていたメモを取り出すと、それを広げ内容に目を通す。
「えっと……、魔法陣の書き方と何かの呪文?」
そのメモに記されていたのはその二つの内容だけだった。
しかも、そのメモの魔法陣と呪文はなのはのが全く知らない
未知の術式である。
未知の術式を使うのは少し抵抗があるが、不思議とやめよう
とは、なのはは思わなかった。
「んと、とりあえず……」
メモに記されている通りに、まずはトランクケースから
幾つかの宝石を取り出した。そして、トランクをしっかり閉じ
メモ通りに宝石を配置すると、指を噛み切る。
「―――ッ!」
流れ出る血を宝石に付け、それを使ってメモ通りに魔法陣を地面に刻んで行く。
約十数分掛けて魔法陣を刻んだ後、仕上げに蒼い宝石を陣の中心に置いた。
「………うん、よし! ちゃんとメモ通りに書けた」
自分が作った魔法陣が、メモに記されているのと同じ様に出来ているのを確認
すると、なのはは一息つく。
そして―――
「準備はこれで良しっと、後は……この呪文だけみたいだね」
メモを片手に魔法陣の前に立つ。無論、何が起こるか分からないので
念の為の結界は、事前に配置済みだ。
そして、一度大きく深呼吸をしてから、メモに書かれた呪文の詠唱を始めた。
「え~っと―――祖に銀と鉄。礎に石と契約の大公。
祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、
王国に至る三叉路は循環せよ」
魔力が魔法陣を囲う様に走り出す。
そして、呪文に反応するかの様に魔法陣が赤い光を放ち出す。
「
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
その凄まじい魔力に、一瞬続けるか躊躇うが……何故だろう?
なのはには先程と同じく、直ぐにやめるという選択肢等浮かばなかった。
「――――――告げる」
「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
魔法陣の放つ光が見る見る内に強くなっていき、同時に
魔力が渦巻く風となって、辺り一面を駆け巡る。
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ……
天秤の守り手よ――!!」
その呪文と共に、一滴の血を魔法陣の中心に落とした。
すると、突如魔法陣が今までより遥かに強烈な光を
放ち、同時に渦巻いていた魔力の風がまるで嵐の様に
吹き荒れる。
「キャ!!」
思わずなのはは、その閃光と魔力の嵐から身を守る様に身構え
眼を瞑った。
それと同時に、自分の魔力がごっそりと何かに持って行かれて
左手の甲に焼ける様な痛みが走る。
やがて、そのまま数秒が経過した頃だろうか?
徐々に魔力の嵐と閃光が収まって行っているのを感じて、なのはは
ゆっくりと瞼を開いて行く。
魔法陣は先程までとは真逆で、一切の光を放っておらず
また、先程までの魔力による嵐は嘘の様に止んでいる。
「にゃ!?」
そして、魔法陣の中央には一人の少女が立っていた。
年齢は下の自分より少し上……、恐らく19歳前後だろうか?
欧州系の整った顔立ち、長く美しい銀色の髪は腰辺りまで
伸びており、悪戯めいた輝きを宿す赤い双眸。
出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいる。
正しく、それは完成されたスタイルと誇っていると言える。
そんな肢体を白い軽鎧と純白の外套で身を包む。
10人中10人が間違いなく美少女と断言するだろう。
同性であるなのはでさえ、一瞬見惚れてしまう程の美少女がそこに居た。
ただの少女で無い事は一目瞭然だった。
だって、なのはの魔力量を遥かに超える凄まじい魔力を嫌でも感じるから。
少女は辺りをキョロキョロ見渡してから、なのはを見つけると
クスリと笑みを浮かべなのはの傍へと歩いてくる。
そして、半ば呆然としているなのはの前に立つと、笑みを浮かべたまま
まるで友人と話すかの様な気楽さで、なのはに声をかけた。
「問うわ。貴女が私を呼び出したマスターなのかしら?」
この日、高町なのはは銀色の少女と出会った。
この出会いが後に二人に、この世界に何を齎すか……今は誰も知らない。
されど、運命の歯車は少しずつ、確実に回り始める。
~To be continued~
というわけで、第二話でした。
なのはが召喚したサーヴァントについては次話で明らかに!
ついでに、次話投下と同時にタグを一つ追加します。
では、また次話お会いしましょう。