Fate/lyrical ~白銀の少女と魔法少女の紡ぐ物語~   作:紅鷲

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遅くなりましたが、第三話の投下です。
今回はほぼ誤字脱字修正のみとなっていますのでご注意を


第三話 ~現状把握~

 

 

 

「えっと、マスターって?」

 

「あら? そうじゃないの? ラインも貴方と繋がってるみたいだし。

 

 他に誰も居ないみたいだから、貴女が私を召喚したマスターでしょ?」

 

 

 なのはが、見当違いの返事をした為だろうか?

 

 少女が呆れた様に言うが、だがそれよりも……

 

 なのはの思考は今までに無い位の驚きが殆どを占めていた。

 

 

「ええっ!? さっきの術式は貴女を呼び出す為の物だったの!?」

 

 

 なのはが、驚くのも無理は無いだろう。

 

 何せ、まさか人が……それも、これほど規格外の魔力を持つ

 

 少女が出てくるなんて夢にも思わなかったのだ。

 

 

「呼び出すも何も……こうして私が召喚されて、現界している以上

 

 貴女が行った儀式は十中八九、サーヴァント召喚の儀式。

 

 周囲の大源と貴女の魔力がごっそりと減っているのが何よりの証拠よ。

 

 ……まさか貴女―――」

 

 

 そこまで少女は言いかけて、ふと何かに気付いた様に言葉を止めた。 

 

 

「……おかしいわね、この大気に満ちる大源の濃さと貴女の保有する

 

 その魔力量からすれば、聖杯等のバックアップ無しでも

 

 召喚可能でしょうけど……。

 

 世界から与えられた知識には、魔術基盤は存在しているけど

 

 この世界には魔術師が存在しておらず、また【魔術】関連も

 

 人々に認識すらされてないとあるわ。

 なのにどうして貴女(マスター)は正規の手順……

 

 それも、冬木のサーヴァントシステムを用いて私を召喚出来たの?」

 

  

 先程までのとは違う、鋭い視線がなのはを貫く。

 

 しかし、ゼルレッチという規格外を見た後の影響か、あるいは

 

 過去の経験の為か分からないが、なのははその視線に怯むことなく

 

 落ち着いていた。

 

 

「えっと、実は―――」

 

 

 この少女が何者か、なのはにはまだ分からない。

 

 普通ならば、目の前のこの少女を警戒すべきだろうが

 

 彼女を警戒する必要は無いと、なのはの本能が判断していた。

 

 だからだろうか? 

 

 なのはは、正直に先程までの事を話した。

 

 自分の記憶が混乱している事、宝石翁と出会い、この世界に

 

 飛ばされた事、その宝石翁に渡されたメモ通りに儀式を実行

 

 すると、貴女が現れたという事。

 

 なのはの話を聞き終えた銀の少女は、深い溜息を付く。

 

 

「なるほどね、かの宝石翁の手引き……か。

 

 あの翁なら冬木のサーヴァントシステムも知っているでしょうし。

 

 ……十分に納得したわ」

 

「かのって……ええ!? あの、ゼルレッチさんを知っているんですが?」

 

 

 うんざりした様な表情で呟いた銀の少女の言葉に、思わず反応する。

 

 それはそうだろう、なにせあの空間から自分を助けてくれた人なのに

 

 なのはは、名前しか知らないのだ。

 

 

「ええ、もちろん。有名だし、生前何度か会っているわ」

 

 ―――生前?

 

 その言葉になのはは変な違和感を覚えるが、そんな考えをさせる

 

 間も無く、少女の話は続く。 

 

 

「キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。

 

 死徒二十七祖第四位にして、魔道元帥・宝石翁・万華鏡(カレイドスコープ)

  

 等の異名を持ち、悪に義憤に善を笑う。現存する4人の『魔法使い』の1人」

 

「ちょ、ちょっと待ってください! 魔法使い……? 魔導師じゃなくて?」

 

 

 銀の少女の口から放たれる全く聞き覚えの無い数々の単語。

 

 もはや、なのはには少女が何を言っているのか分からなかった。

 

 そのなのはの様子を見た少女は一瞬苦笑いを浮かべる。

 

 

「そうね。話を聞く限り、どうやら貴女は何も知らずに私を召喚した様だし……

 私の事も含め、説明は後回しにするとして……ねえ、貴女(マスター)

 

 名前を聞かせてくれない?」

 

「あ、そうですね。私高町なのはって言います!」

 

「高町なのは、じゃあナノハって呼んでも良い?」

 

「もちろんです! あの、それで……貴女のお名前は聞かせて貰えませんか?」

 

 

 なのはの問い掛けに、少女は視線をなのはから外し考える様な仕草をする。

 

 

「ん~、本来ならクラス名で名乗るべきなんだけど……どうも、今回の召喚は

 

 聖杯が無い為か、クラスが無いサーヴァントとして呼ばれてるみたいだし。

 

 此処は並行世界だし、他に誰も居ないし大丈夫かな」

 

 

 そして、考えが纏まったのか再び視線をなのはに向けた。

 

「私の名前はイリヤよ、よろしくねマスター(ナノハ)

 

「イリヤさん、こちらこそよろしくね!」

 

 

 お互いに自己紹介を交わし、軽く握手を交わす。

 

 それから、本題に入る事にした。

 

 

「それで、あのイリヤさん。色々と聞きたい事があるけど……いいかな?」

 

「ええ、もちろん。聞いた所ナノハは何も知らないみたいだし、私が知っている

 

 この事なら可能な限り教えるわ。

 

 マスターに色々教えるのもサーヴァントの役目だと思うし」

 

 

 快く了承する、イリヤと名乗る少女。

 

 

「ありがとう! それじゃ、早速だけど……私がマスターってどういう事かな?」

 

 

 了承を得られた事で、なのははまず一番気になっていたことを聞く事にした。

 

 すなわち、何故自分のことをマスターと呼ぶのだろうという事を。

 

 

「ああ、その事? それなら理由は簡単。貴女が私と言うサーヴァントを呼び出した

 

 召喚主だからよ。だから、マスターって訳ね」

 

「サーヴァント……?」

 

 

 また、聞き慣れない言葉を発するイリヤ。

 

 

「サーヴァントって言うのは……そうね、こっちの世界観で

 

 分かりやすく言うと、最上級の使い魔の事よ」

 

 

 イリヤのこの言葉に一瞬なのはは耳を疑う。

 

 目の前の、この少女が自分のことを使い魔と言ったのだ。

 

 どう見ても、人にしか見えないこの少女が……。

 

 

「……それっておかしいよ。だって、イリヤさんは人でしょ?

 

 なのに、どうして使い魔なの?」

 

 

 なのはの疑問は当然だろう。人を使い魔にするなんて、彼女の

 

 常識……いや、一般常識や道徳的にもおかしい事である。

 

 そんななのはの疑問に対しての、イリヤの返答は予想を

 

 遥かに上回るものだった。

 

 

「ああ、それは違うわ。

 

 私は人間では無く英霊と呼ばれる存在よ」

 

「英霊……ですか?」

 

 

 復唱するなのはに、イリヤは頷いて話を続ける。

 

 

「そう……、生前偉大な功績をあげた英雄が、死後に信仰対象

 

 として祭り上げられ、輪廻の輪やあらゆる時間軸から外れた存在……。

 

 嘗ては人間でありながら死後に霊格を昇華させ、精霊・聖霊と

 

 同格になった者……それが英霊よ」

 

「……えっと、難しい話みたいだけど。つまり、イリヤさんは

 

 過去に英雄と呼ばれたすごい人って事なの?」

 

「まあ、大まかに言えばそうね。ついでに補足すれば、私は英霊

 

 って言っても【守護者】って言う信仰の薄い英霊だからね。

 

 有名な英雄たちみたいな上等な英霊じゃないわ」

 

 

 少し、悲しげな表情を浮かべそう語るイリヤ。

 

 

「……でも! それなら尚更おかしいよ、過去の英雄の人を

 

 使い魔にするなんて!」

 

 

 必死にイリヤの事を思ってか、語り掛けてくるなのはに

 

 内心好感を感じつつも、イリヤは説明を続ける。

 

 

「ああ、その辺りに付いては大丈夫よ。

 

 英霊と言うのは、ありとあらゆる時間軸、世界から切り離された

 

 『英霊の座』と言う場所に本体があって、現界する時はその

 

 座から複製体を作り出されるのよ。

 

 だから今ナノハの前にいるのは、その座から召喚された本体の

 

 複製体だし、気にする必要は全く無いわよ?」

 

「そう……、でも、それでも!」

 

 

 イリヤに本体じゃないから気にする必要は無い。

 

 そう説明されても、なのはは表情は晴れなかった。

 

 恐らく知らなかったとはいえ、人を使い魔として、召喚した事を

 

 後悔しているのだろう。いくら英霊とはいえ、元は人なのだから。

 

 

「そんなに気に病む必要ないのに、むしろナノハには感謝してる

 

 位なんだから」

 

「……感謝ですか?」

 

 

 想像もしてなかったイリヤの感謝に、なのはは思わず目を瞠る。

 

 その表情から、なんで感謝されるの? と思っていることは容易に分かった。

 

 

「そうよ。……英霊はね、英霊になった瞬間に意識を剥奪されるのよ」

 

「……意識を……剥奪!? 本当なんですか!?」

 

 

 イリヤの口から放たれるとんでもない事実に心を痛めるなのは。

 

 

「ええ……でも、サーヴァントとして召喚されると、英霊は

 

 生前の人間性を取り戻す事が出来るの。

 

 だからこそナノハ、貴女が気にする必要なんて全く無いのよ」

 

「でも―――!」

 

 

 そう感謝の言葉をなのはに言うと、なのはの言葉を遮る

 

 様に、この話はおしまい! と手を叩くイリヤ。

 

 さっきの事についてまだ話し合いたかったなのはであったが、

 

 彼女の態度を見て、もうこれ以上この事について話す気はないと

 

 判断したのか、なのははだったらっと言葉を紡ぐ。

 

 

「だったら、イリヤさん……ううん、イリヤちゃん。

 

 私はイリヤちゃんを使い魔としてなんて扱いたくないから……、

 

 お友達として、接します!

 

 だから、イリヤちゃんも私をマスターとしてじゃなくて

 

 お友達として接してほしいの!」

 

 

 この、なのはの言葉にイリヤは思わず目を見開き、一瞬だが

 

 驚きの表情を浮かべる。

 

 

「……ふふ、まさか自分が呼び出したサーヴァントを使い魔として

 

 扱う事を嫌がって、対等に接したいなんて言うマスターが

 

 現れるなんて……それも“友達”として……か、ふふふ」

 

 

 そう独り言を溢すと、微笑みながらなのはに答えた。

 

 

「……ありがとう、貴女の申し出喜んで受けさせてもらうわ。

 

 改めて、これからよろしくね? マスター……いえ、ナノハ」

 

「イリヤちゃん……うん、こちらこそ!」

 

 

 そう言葉を交わし、二人は確りと握手を交わす。 

 

 

「さて、じゃあ今からサーヴァントについて説明しようと思うけど

 

 ……かまわないわね?」

 

「うん、お願い!」

 

「よろしい。それじゃ、説明を始めるわね。

 

 まず知っておいて欲しいのが、サーヴァントの本性は

 

 実体無き魂……所謂、霊体と言う事。

 

 故に、この体は魔力で編まれているの、だからこういう風に―――」

 

 

 言葉の途中で、イリヤの姿が音も無く消える。

 

 

「にゃ!? イリヤちゃん!? 何処に行ったの?」

 

 

 いきなり姿を消したイリヤに驚いて周囲を見渡す。

 

 しかし見えるのは景色だけであり、イリヤの姿は一切なかった。

 

 いきなりの事に慌てるなのはだが、そんななのはを落ち着かせるかの様に

 

 

『ふふふ、そんなに慌てなくても大丈夫よ』

 

 

 そんなイリヤの声が、直接なのはの頭の中に響いた。

 

 同時に先程と同じ様に、何の前触れも無く目の前にイリヤが現れる。

 

 

「わっ!? びっくりしたぁ……もう! 驚かさないでよ!」

 

「あはは! びっくりした?」

 

 

 行き成り消えて現れてと、驚かされたなのはが胸を押さえて抗議し 

 

 イリヤが、その様子を見てごめ~んっと悪戯っぽい笑みを浮かべ謝罪する。

 

 

「今のは霊体化って言ってね、さっき実行した様に、可視不可能な

 

 魔力のみの状態になれるの。

 

 隠密行動には最適だけど、現実への干渉力が落ちるのが欠点ね」

 

「あ、そっか。確かに霊体じゃ物に触れないもんね」

 

 

 なるほどっと納得するなのは。

 

 それと同時に、見た目は本当に欧州系の美少女にしか見えない

 

 のに、本当に人間じゃ無いんだと再認識する。

 

 

「さて、次だけどナノハ、私と貴女との間にライン……じゃ分からないか。

 

 そうね……、目に見えない繋がりみたいなものがあるけれど分かる?」

 

 

 そう聞かれ、なのはは目を瞑って、イリヤの言う繋がりと探してみる。

 

 

「え~っと、……うん、わかるよ。

 

 なんかこの繋がりから、私の魔力がイリヤちゃんへと流れてるみたいだね」

 

 

 目を瞑りながら、そう答えるなのは。

 

 

「それが私の言った繋がり……ラインという物よ。

 

 さっきも言った通り、今の私の体は魔力で編まれているわ。

 

 故に私はマスターから供給される魔力を必要とするの。

 

 ごめんね。多分、そのせいでナノハの魔力行使がかなり制限される筈よ」

 

「ううん、大丈夫! そういう理由なら仕方無いよイリヤちゃん」

 

 

 申し訳なさそうに謝るイリヤに、なのはは両手を振って

 

 大丈夫だと告げる。

 

 

「ありがとナノハ」

 

 

 そんななのはの心遣いにイリヤは感謝し、ふと思う。

 

 本当に良いマスターに召喚されたと。

 

 そんな思いを胸に、イリヤは最後の説明へと入ることにした。

 

 

「さてと、最後にひとつ大事な事の説明をするわ」

 

 

 真剣な表情を浮かべるイリヤ。

 

 そんな彼女に合わせるかの様に、なのはも気を引き締める。

 

 

「ナノハ、私を召喚した時に身体の何処かに、焼ける様な痛みが

 

 走らなかった?」

 

「あ、そういえば!」

 

 

 言われて、直ぐに思い出した。

 

 確か召喚した時、左手の甲に焼ける様な痛みが走っていた。

 

 ただ、その後色々あった為にすっかり忘れていたが。

 

 そして、急いで左手の甲を確認する。

 

 すると其処には、なにやら見た事もない刻印が刻まれていた。

 

 

「なるほど、左手に刻まれたのね。

 

 その上リンと同じ秩序・調和・安定を表す令呪とは驚きね」

 

「イリヤちゃん、これ何か知ってるの?」

 

 

 うんうんと頷くイリヤに、この刻印について尋ねるなのは。

 

 

「当然よ、大事な事だからよく聞いておきなさい。

 

 その刻印の名前は『令呪』、ナノハが私のマスターだと言う証にして

 

 3度だけ使える絶対命令権よ」

 

「絶対命令権……? どうして、そんなものが」

 

 

 使い魔に対する絶対命令権なんてもの、なのはは聞いたことも無かった。

 

 

「本来、英霊は人間に御しうる存在じゃないわ。

 

 下手をすれば、呼び出したマスターが気に入らない人間だった場合

 

 簡単にそのマスターを殺してしまう英霊もいる位なのよ」

 

「そんな……」

 

 

 当たり前の様に告げられたイリヤの言葉に驚愕を隠せないなのは。

 

 

「まあ、私はそんな事しないから安心しなさいナノハ。

 

 で、簡単に言えば令呪はそんな英霊から身を護り、律する為のものよ」

 

「……なるほど、確かにイリヤちゃんの言う通りなら必要なのは分かるよ。

 

 悲しいけど」

 

 

 殺されては元も子も無い、だからこその処置なんだと言う事はなのはに

 

 も分かる。

 

 

「さて、ここからが本題。

 

 その令呪はね、なにも英霊に逆らわせない為だけの物じゃないの」

 

「んーと、どういうこと?」

 

 

 イリヤの物言いに意味が分からないと、なのはは首を傾げる。

 

 

「令呪はね、元々サーヴァントに能力以上の奇跡を起こす為のものなのよ。

 

 だから、肉体の限界を超える事でも令呪を以ってすれば、魔力が届く範囲で

 

 実行を可能とするわ。

 

 ただし注意してほしいのは、いくら令呪とはいえ曖昧で効果が広く長い命令は

 

 効き目が弱くなるという事と、どんな命令でも実行できるわけでは無いと言う事ね」

 

「曖昧な命令かぁ、例えばどんなの?」

 

「そうね、『私に絶対服従!』とか『仲間を全員助けろ!』とかそう言う命令ね。

 

 逆に『絶対に勝て!』とか『全力を出せ!』っていう命令なら、ブーストとして

 

 令呪が発動して、本来を超える力を発揮できるし、移動系ならどれだけの距離が

 

 離れていても、ラインが繋がっているなら空間転移でナノハの元に移動可能よ」

 

「なるほど、そういう使い方が出来るんだコレ」

 

 

 そう呟き、なのはは改めて左手の甲に刻まれた令呪を眺める。

 

 

「そういう事、だから令呪は余程のことが無い限り使わないほうがいいわ。

 

 いざと言う時の切り札として取って置くべきね」 

 

「そうだね。うん、分かったよイリヤちゃん」

 

 

 聞いた限り、この令呪は確かに切り札と呼ぶに相応しい物だと分かる。

 

 そして、なのはがこれまで話した事を理解したと悟ると、一通り説明を

 

 終えたのかイリヤはふうっと一息ついた。

 

 

「ふう、私からの説明はこの位かな」

 

「分かりやすい説明ありがと、イリヤちゃん」

 

「どういたしまして。さてと、次にマスターの情報……主にこれからの方針や

 

 ナノハの使う「魔法」とやらについて説明してほしいけど―――」

 

 

 そこで言葉を切って、イリヤはなのはに視線を向け、告げる。

 

 

「―――それはまた今度にでもしましょ」

 

「え? なんで? 今すぐにでも―――」

 

 

 お話出来るよ。そう言おうとして……、唐突になのはの体に異変が発生した。

 

 

「にゃ? なんだか、急に……眠…く……」

 

 

 急に立ったままでいる事ですら、困難な眠気になのはは抗らう事が出来ずに

 

 ふらっと後ろに倒れそうになるが……その寸前に、いつの間にか

 

 後ろに回ったイリヤに支えられた。

 

 

「本来なら聖杯等の強力なアーティファクトの後押しがあって、初めて行う

 

 サーヴァント召喚を、何の後押しも無しに行なったんだもの。

 

 嘗ての私の様な例外ならともかく、いくら大気中の大源が濃密で、膨大な

 

 魔力を保有しているとはいっても、普通の人間であるナノハなら

 

 こうなるのは当然……いえ、むしろ今まで眠らずに済んだ事が驚きだわ。

 

 仮に普通の魔術師が同じ事をしていたら、確実に一生

 

 目覚めない眠りに着くでしょうね」

 

 

 なのはを抱き止めながら、やれやれといった感じで呟くイリヤ。

 

 

「イリヤ……ちゃん?」

 

「今は眠って十分に休むといいわ。話の続きは、また明日にでもしましょ」

 

 

 薄れ行く意識の中、安心させる様なそんな声を聞いて、なのはは睡魔に

 

 抗う事をやめて、心地良いまどろみに身を任せ意識を手放した。

 

 そして、眠ったなのはをイリヤは背中に背負うと、街へと歩き出した。

 

 

 

 

 ~To be continued~




遅くなりましたが、何とか三月中に投下できました。
修正版第三話をお送りします。
今回で、なのはが召喚したサーヴァントが明らかとなりました。
もちろん、この本SSのイリヤはオリジナル設定満載なので
その辺りはご了承をお願いします。
次は設定編を投下予定です。
この設定編では、本SSのイリヤのステータスはもちろん、少しだけ
どんな過去を歩んできたのか書いています。
もちろん、見なくてもまったく問題ないので御安心ください。
なんとか三月中に投下出来る様にしたいですね。
では、また次回~

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