【凍結】Infinite Stratos ~ The Accomplice of Black   作:餌屋

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第2章
第1話: それぞれの思惑


 

 

「転校生?」

 

1組のクラス代表決定戦から3日後。

朝の職員会議で突然通達された転校生の報告に周りでざわめきが起こる。

 

「そうだ。名は凰 鈴音。専用機持ちの中国代表候補生だ。事情があり入学式に間に合わなかったらしい」

(何だ鈴か・・・一夏周りが面倒になるかもなあ。箒いるし)

 

鈴は箒と入れ違いで一夏と出会った2人目の幼馴染だ。

そして彼女もまた一夏に惚れた口である。

 

「突然ですまないが、明日から2組に編入する事になっている。皆は生徒が騒ぎすぎて問題を起こさないよう気をつけておいて貰いたい」

「「「了解しました」」」

「では解散」

 

千冬の鶴の一声で各教師が授業に散らばっていく。

しかし千冬は何やら眉間に皺を寄せながら俺に近づいてきた。

 

「ん?どうした」

「いや・・・良ければ凰の事を気にかけておいてくれないか?」

「一夏の事だな?」

「ああ、このタイミングで中国政府が送り込んできたのがどうも引っかかってな。あいつの事だ。まさかそんな事は無いと思うが・・・」

「まあ中国も探り入れたいのは当然だと思うが、意外と鈴が一夏に会いたいだけで無理矢理ねじ込ませたんじゃないか?」

「ははっ・・・ありそうだな」

「・・・ああ、面倒くさい事になりそうだな」

 

そして俺と千冬は仲良くため息をついた。

 

願わくば、何事も起きない事を。

 

 

 

まあ、無理だと思うがな・・・

 

 

***

 

 

その日、私はずっと頭を悩ませ続けていた。

いや、私はあの日から・・・湊さんと初めて剣道場で立ち会った時から悩み続けている。

 

私は内心面白くなかった。

一夏が私に相談する前に湊さんの所へ行った事を。

剣道を辞めた湊さんが一夏を湊さんのやり方で鍛えようとした事を。

 

私なら・・・鍛えてきた私の力なら一夏を強くする事が出来る。

そうしていれば一夏と一緒にいる事が出来る、と。

都合の悪い事から目を背けて、湊さんに勝負を挑んだ私。

 

結果は、散々なものだった。

 

湊さんは強かった。

剣の道を外れ、剣術という戦う為の技術に走った湊さん。

だが、その剣は私とは比べ物にならないほど気高く強かった。

 

 

私は弱かった。

 

強くなるにはどうしたら良いのだろう。

どうすれば一夏の側に入れるのだろう。

剣の道は捨てたくない。

剣の道には誇りも思い出も詰まっている。

だがそれだけでは駄目なのか?

 

代表決定戦の時の一夏は強かった。

 

これからどんどん強くなって行くだろう。

 

 

私は置いていかれるのか?

 

 

私の脳裏にあの日の出来事が思い浮かぶ。

 

 

 

 

 

嫌だ。

 

もう離れ離れは嫌だ。

一人は嫌だ。

 

 

 

 

どうすれば良いのだろう。

 

悩みが行き着く先は、まだまだ見えていない。

 

 

***

 

 

「よーし、それじゃあ今日はこの辺りにしておく。お疲れ」

 

学園ISアリーナ。

俺の号令に、ISを纏った一夏とセシリアが反応し近くに降りてくる。

ちなみにここに箒はいない。

最近稽古に参加することなく1人になっている事が多いようだ。

・・・全く。

 

 

「くっそぉ・・・また負けた・・・」

「私も代表候補生ですしそうそう負けっぱなしではいけませんからね。それでも非常にやり難いのは確かですが」

「動きを読みきって狙撃直撃当ててきてるのに、よく言うぜ・・・」

「多少柔軟に動けるようにはなってるがまだまだ直線的だからな。それにこういうのは、回数を重ねれば重ねるほどお互いのやろうとする事が見えてくるようになるもんだ」

 

結局何事も慣れなのである。

 

「しっかし自分で作っておいてなんだがやっぱ燃費悪いな、それ」

「本当作った本人が言う事じゃないだろ・・・」

「零落白夜・・・これを使いこなすというのはやはり織斑先生の実力は桁外れという事でしょうか」

 

一夏の白式を以前俺は『やれる事なんて限られている、特に白式は』と言った。

その理由が一夏が今右手に持っている剣にある。

 

雪片弐型。

 

その一本の刀剣が白式唯一の武装にして切り札なのだ。

 

その理由が雪片が持つ単一仕様能力『零落白夜』である。

自らのシールドエネルギーと引き換えに対象のエネルギーを消滅させる能力を持ち、エネルギー兵器を無効化したり対象のシールドバリアを突破しエネルギーに直接ダメージを与える事が出来るIS殺しの能力。

 

お分かりいただけただろうか。

 

要は燃費が物凄く悪い諸刃の剣なのである。

そして白式自体のエネルギー運用効率も低く、高めな加速性能も拍車をかけている。

 

これが、実は千冬のISにも搭載されていた事があり当時現役の国家代表として大会に出ていた頃完璧に使いこなしていたのだ。

 

「まあ何て言っても世界最強だからなあいつは」

「千冬姉のISも確か・・・」

「俺が作った、けど何で白式にも零落白夜が発現したのかはわからんな。基本的に単一仕様能力はその名の通り、2つと存在しない筈だからな」

「嘘っぽいな・・・」

「嘘っぽいですわね・・・」

「お前らが俺の事どう思っているかはよ〜く分かった」

 

まあ確かに分からないってのは嘘なんだが。

 

「まあ取り敢えず零落白夜は決め技として置いておけ。ずっと出しっぱは最低でも止めろ」

「頑張る・・・」

「大体ずっと最高スピード飛ばすのもどうな」

「・・・あら?」

 

俺が内心の動揺を隠し一夏に檄を飛ばしているとセシリアが何かに気づき俺に近寄ってくる。

 

「ん?どうした?」

「いえ・・・この間までそのような指輪されていたかと思いまして」

「え、ああこれか...偶々だよ」

「あ、それってまさか...」

 

俺の左手の中指に嵌まっているシンプルな指輪に気づいたセシリアはどこかムスッとした顔で聞いてくる。

 

と、一夏が更に何かに気づき口を開きかけるが。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

「た、他言無用でしたね...す、すみませんでしたあああああああ!!」

「い、一夏さん!?」

 

俺が殺気を混ぜたプレッシャーを放つと一夏はすぐに口を閉ざし土下座してきた。

 

「一体何を隠しておりますの・・・水臭いですわよ!」

「うるせえ!何もねえ!気にしたら負けだ!」

 

その後アリーナには閉まる時間まで言い争いの声が響く事になった・・・

 

 

***

 

 

ある日の夜。東京都心部にある高層マンションの一室に2人の女性がいた。

 

1人は腕に怪我を負っており、もう1人が介抱している。

 

「ちっくしょうあの野郎・・・」

「また現れたわね・・・一体どこから聞きつけてくるのやら」

「いつもいつも邪魔しやがって!何なんだよあいつは!」

「落ち着いて。それにしても貴女が無事で本当に良かったわ。あの子とやり合って切り傷一つだけなんて奇跡よ」

 

怪我をしている方の女性は血管が切れるのではという勢いで怒り狂っている。

それをどこか呆れたようなしかし優しい目で見つめるもう1人の女性。

 

「でもこれからどうするんだよスコール。このままじゃ仕事が」

「そうねえ。どうせ長老達も煩く言ってくるだろうし・・・何とかしたいのは山々なんだけど」

 

 

 

 

「取り敢えずはその件含め、『彼女』に色々聞く事にしましょうか」

 




大変お待たせ致しました!
遂に第2章開幕です。

さて、箒が歩いていく先は一体どこなのか!
二人の女性は一体どこの亡国機業なのか!
スコールと呼ばれた女性の最後の台詞に出てきた彼女とは一体!!




次回、少しだけ動きがあります。
ご期待ください。


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