【凍結】Infinite Stratos ~ The Accomplice of Black   作:餌屋

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第3話: 嵐、巻き起こる(前編)

 

 

 

次の日、昼休み。

 

 

俺は生活指導室を借りて鈴と話をしていた。

これでも学校所属のカウンセラー。生徒のお悩み相談所なのだ。

 

「ひっどいと思わない!?」

「・・・いや、お前あいつの唐変木っぷり忘れたのかよ」

 

机をバンッ!と叩き怒りに燃える鈴。

 

 

 

実は昨日の夜、一夏の部屋でちょっとしたいざこざが起きたようなのだ。

 

一夏と箒がルームメイトという事に鈴が激怒。

持ち前のフットワークの軽さで箒と部屋を交換しようと鈴が一夏達の部屋にやって来て箒と少し争ってしまう。

 

その後、鈴が一夏に昔の話を覚えているかという話になり・・・あろうことか一夏はその約束を間違って覚えていたらしい。

 

 

実は鈴、両親が離婚している。

 

一夏とようやく仲が深まってきたという頃に突然の離婚で中国に渡ることになった鈴。

想い人である一夏と離ればなれになってしまう事に悲しむ鈴。

そして鈴は中国に引っ越す前日、一夏に勇気を振り絞ってこう言ったのだ。

 

 

『料理が上手くなったら毎日あたしの酢豚を食べてくれる?』

 

 

 

 

普通に考えてだ。

 

『毎日味噌汁を~』的な事なのだろう。

何で酢豚なんだという突っ込みは置いておく。

 

しかし一夏はどう勘違いしたのか・・・

 

 

『ああ、タダ飯食わせてくれるんだろう?(ニコッ』

 

 

昔からだが唐変木にも程がある。

 

 

 

「でも・・・でもいくら何でもありえないでしょ!!」

「そのありえない事をやってのけるのがあいつだろう・・・そうじゃなきゃ今頃お前ら付き合ってるよ・・・」

「うぅ・・・」

 

頭を抱える鈴。

 

・・・何だろう。本当可哀想になってきた。

一夏は基本的に良い奴なんだが恋愛ごとになるとこれだからな・・・

 

「んで、どうすんだよ。多分あいつ何で怒られたのかも良く分かってないと思うぞ」

「そんなの謝ってくるまで絶対口聞いてやんない!」

「・・・何年かかるか分からんぞ」

 

 

・・・取りあえず一夏からも話を聞くか。

 

 

***

 

 

放課後。

 

 

「いやもう本当何がなんだか・・・」

「お前マジで馬に蹴られて死んでこい」

 

案の定、一夏は何も分かってなかった。

 

「だって・・・」

「だってもくそもあるか・・・何でタダ飯食わせてくれるって考えたんだ?」

「鈴の手料理の味見を何度もしていたし、鈴の家中華料理屋だったし・・・店を継いだらとかそういう事かと・・・」

 

 

・・・

 

 

誰か、酒もってこい。

呑まなきゃやってられん。

 

 

「なあ・・・湊兄はどういう意味だったのか分かるのか?」

「・・・教えても良いんだがなあ、自分で気づかんと意味ないと思うぞ・・・」

「そうか・・・」

 

頭を抱える一夏。

 

「取りあえずお前はもう一度良く考えてみろ。意外とお前の中でありえない、って考えてる事が正解かもしれんぞ」

「・・・ありえないと思ってる事、か」

 

一夏は馬鹿では無い。

よく考えれば分かるはずだ。

 

 

「・・・それと、箒と鈴のいざこざについて詳しく聞かせてくれるか」

「え、ああ・・・あれな・・・」

 

 

 

***

 

 

その晩。

 

 

「乾杯」

「ああ、乾杯」

 

俺は千冬と部屋で静かな酒宴を開いていた。

 

 

コンコン

 

 

そこにノックの音が聞こえてくる。

 

 

「入って良いぞ」

「・・・失礼します」

 

 

俺の返事に反応したのは箒だった。

 

実は俺が呼び出していた。

 

「まあ座れ、ジュースくらいならあるから」

「ありがとうございます・・・」

 

千冬は静かに目を閉じ酒を飲んでいる。

基本的に俺に任せてくれるようだ。

 

「さて、呼ばれた理由は分かるか」

「・・・」

 

黙ったままの箒。

その様子から理解していると判断し話を続ける。

 

「鈴に竹刀を向けたらしいな。それもかなり本気の速度で」

 

 

実は強引に部屋を変えるよう詰め寄ってきた鈴にキレた箒は側にあった竹刀を鈴に向け、本気の速度で振り下ろしたのだ。

まあ、そこは代表候補生。

普通では反応できないスピードに追いつき、腕だけISを部分展開させ防いだようだが。

 

「まあ、お前の様子を見てて悔やんでいるという事は分かる」

「・・・が・・・」

「ん?」

 

 

 

 

「何が分かるって言うんですか!!」

 

箒は突然俺に怒鳴り声を上げる。

その目からは大粒の涙がこぼれ落ちていた。

 

 

 

私は一夏が好きで、側にいたい

 

でも一夏はどんどん強くなっていき、私とはどんどん差が付いていく

 

どれだけ頑張っても一夏の成長には着いていけない

 

湊さんには完膚なきに負けてしまうくらい私は弱いと思い知らされる

 

弱ければ一夏の側にはいられないんじゃないのか

 

 

新しい幼馴染み?私の他にいたのか

 

私と部屋を交換?

 

離ればなれ?

 

 

 

嫌だ

 

嫌だ嫌だ

 

 

嫌だ!!

 

 

 

 

「なるほどな・・・」

 

箒の話を聞き終わり、事情がようやく全て理解できた。

思った以上に箒の精神状態は悪くなっていたようだ。

 

もう少し考えて動くべきだったか?

もしずっと後まで放っておいたら取り返しのつかない事になっていたかもしれない。

 

「・・・私は、どうすれば良いんですか・・・」

「・・・取りあえず色々落ち着いた方が良いと思うぞ」

 

箒は缶ジュースを一旦口にし、ようやく多少の落ち着きを取り戻す。

 

「・・・さて、箒は色々勘違いしているようだから一つずつ訂正していくぞ?」

 

 

 





お待たせしました。
次回に続きます。
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