【凍結】Infinite Stratos ~ The Accomplice of Black 作:餌屋
「箒はどうしたいんだ?」
湊さんが私に問いかける。
その目は真剣かつ、とても優しく見える。
つい先ほどまでとは打って変わった印象に私は戸惑いを覚えていた。
「私は・・・一夏の側にいたいんです」
「一夏の事が好きなんだな」
湊さんの直接的な表現に顔が熱くなりながらも私は首を小さく縦に振った。
「じゃあどういった立場で一夏の側にいたいんだ?」
「・・・どういった立場?」
「いや質問が悪かったな。箒は一夏とどうなりたいんだ?」
私はどうなりたいのか。
そんなの決まってる。
私は一夏と・・・こ・・・恋人同士に・・・
「ただ恋人同士になりたいなら何故力を求めるんだ?」
え?
「恋人同士になりたいならただ良くドラマや映画でもあるようにアタックしていけば良いだけだ。
いくら恥ずかしいからって頑張りゃあの朴念仁でも流石に気づくし、彼女くらいになれるだろ。
何故弱けりゃ一夏の側にいられないんだ?」
「それは・・・」
言われてみれば・・・確かに何故私は弱くては駄目だと思ったのだろう。
冷静になってみて思う。
いつから私は強さを求めるようになったのだろう。
「まさか一夏よりも上に立つ事でしか側にいる事が、恋人になる事ができないなんて思ってないだろ。」
「そんな!当たり前です!」
「お前が何をきっかけで強さを求めるようになったのかは知らん。
だがこの間のお前は、俺が一夏のコーチを始めた日のお前は、一夏を鍛える先生役でしか一夏と共にいる時間は手に入らないと思っていなかったか?」
「っ!!!」
「それはただの手段でしか無い。お前は手段を目的にしていた。お前の目的はそうじゃないだろう。
強くなりたいという想い自体は間違いじゃ無い。
だが一夏との関係性においては別に良いじゃ無いか。
共に並び立つでも、一夏の後ろを支えていくでも。
安心しろ。
学園生活は後3年あるんだ。
その間焦らず、ゆっくり歩いて行け。
必ず、お前の強さを求める悩みにも、一夏への想いも・・・
答えはみつかるさ」
***
「流石はカウンセラー、だな。中々サマになっていたぞ」
「・・・からかうなよ」
話が終わり、箒が帰って行った後。
俺は千冬と飲み続けていた。
正直、自分でも何言ってんだって感じだった。
もう少し上手く話が出来たんじゃないだろうか。
変な方向に熱くなっていた気がする。
あれだ。酒のせいだ酒の。
「いやあ、私には真似できそうに無いな。はっはっはっ」
「絶対『ガキは嫌いだ』とか言ってぶん殴りそう・・・何でもない」
言い返してやろうと思ったが、一瞬世界最凶の目を向けてきたので止める事にした。
「そういえばあまり詳しくないのだが自分のカウンセリングとか分析も出来たりするものなのか?」
「いやそれカウンセリングじゃなくてただの自己解決だからな。
まあ・・・あえて分析するなら・・・
悪い大人、かな」
「ぴったりじゃ無いか」
「うるせえなあ!!」
こうして俺達の夜は更けていった・・・
***
5月に入り、クラス対抗戦を明日に控えトーナメント表が発表された。
第1回戦 第1試合
織斑一夏 対 凰鈴音
お待たせしました。
後編です。
活動報告もちょいちょい更新しておりますのでそちらもよろしければ。
それではまた。
次回、一夏VS鈴。