【凍結】Infinite Stratos ~ The Accomplice of Black 作:餌屋
さあやって参りましたクラス対抗戦。
その第1試合はなんとびっくり一夏VS鈴。
絶賛喧嘩中である幼馴染み二人の激突という事は既に周知の事実(どうやら新聞部がデマを混ぜて紹介したようだ)で会場は熱気に包まれている。
ちなみに余談ではあるが勝敗予想で賭けを取り仕切っていた2年の女子は千冬に文字通り制裁されて連行された。南無。
さて。
今俺は鈴が待機しているピットに来ている。
一夏のコーチをしている俺だが、あいつには既に今たたき込める事はたたき込んだ。
それよりも・・・
「さぁ・・・一夏ぁ・・・私が完膚なきまでに叩きのめしてあげる時がきたわよぉ・・・」
この俺の目の前の憎悪の炎で燃え上がった鈴をどうにか落ち着かせる事が先決だ。
このままじゃまともな勝負にならねえ。
「そうは言うけど鈴、勝てる自信あるのかよ?」
「はっ!何言ってんの。私は国・家・代・表・候・補・生。聞いた話じゃISまともに乗ったのは入学してからっていうじゃない。そんな一ヶ月そこらの奴に負ける訳が無いじゃない!!」
まあ、その思考は間違いではない。普通なら。
「いっとくがあいつはセシリアに勝った事あるぞ?」
だがあいつは普通とは少し違う。
「・・・セシリアに?」
ちなみに鈴は転校初日に持ち前のフレンドリーさを活かして、セシリアと友人になったらしい。
仲が良い事は先生も嬉しいぞ。うんうん。
「何だ知らなかったのか。まああの時はセシリアも多少油断があったからな。でも勝ちは勝ちだ。それに俺も鍛えてやってるからな・・・そんじょそこらの奴とは比べない方が良い」
「へえ・・・」
俺がそう言うと鈴はニヤリと口の端を吊り上げ笑みを浮かべる。
「なら、思った以上に楽しめそうね」
その目には先ほどまでとは違う、『本気』が宿っていた。
そして、選手入場のアナウンスが入る。
***
大歓声に包まれるアリーナ。
俺の視線の先では鈴とそのIS『甲龍』が試合開始の合図を静かに待っている。
『両者、規定ラインまで移動してください』
アナウンスに促され、俺と鈴は空中で向かい合った。
そこでオープンチャンネルが入る。
「一夏、今謝るなら少しくらい手加減してあげても良いわよ」
「馬鹿言え。俺がそういうの嫌いだっての知ってるだろ。構わねえ、全力で来い」
強がりでもなんでもない。
例えこれが千冬姉相手でも俺は同じ事を言っただろう。
その言葉に鈴がため息を吐いた。
「はぁ・・・ま、そう言うと思ってたけどね。ま、良いわ。そっちの方が都合良いし・・・湊さんから聞いたけどあんた相当特訓してるようじゃない。セシリアにも勝ったとか」
「それがどうした?」
「素直に褒めてあげてるのよ。いくら相手が油断してても代表候補生に勝った事は事実。だから・・・」
私も本気を出してあげる
『それでは、試合開始!』
ビーッと試合開始のブザーが鳴り響く。
瞬間、鈴が猛スピードで二本の青竜刀を構えてこちらに突っ込んでくる。
俺は急いで展開した雪片で何とかその攻撃を受け止めた。
「へえ、取りあえず初撃は防ぐか。ならこれはどう?」
鈴は青竜刀を一本に繋ぎバトンでも振り回すかのように角度を変えつつ連続で切り込んでくる。
高速回転している分、さばくのが一苦労だ。
(くっ・・・やっぱりリーチもあるしきついな。一度距離を取ってから・・・)
「させる訳ないでしょ!」
と距離を取ろうとしたのを読んだのか突然甲龍の肩のアーマーがスライドして開き、中心の球体が光る。
と、俺は見えない拳に殴り飛ばされた。
「ジャブの次は?」
ボクシングと同じ。ジャブの次は・・・ストレート。
ドガンッ!!
「ぐはっ!」
続けて放たれた更に威力のある見えない拳に殴られ、俺は地面に叩きつけられた。
「これが甲龍の第三世代型兵器・・・」
***
「『衝撃砲』。空間自体に圧力をかけて砲身を生成、余剰で生じる衝撃を砲弾化して打ち出す・・・これが甲龍の第三世代型兵器だ」
一人でいるのもなんだったので俺は一夏のピット側に行き箒、セシリアと一緒にリアルタイムモニターを見ていた。
「まあ単純に見えない大砲に狙われるって考えれば良い。そしてあれはアーマーの全方向に砲身を作り出せる。青竜刀による攻撃を含めて擬似的に死角を無くしているって訳だ」
「・・・改めて考えると非常に強力ですわね」
セシリアは真剣な眼差しでモニターに視線を向けながらそう感想を漏らした。
「一夏・・・」
箒は既にこちらの話は聞こえておらず、不安そうな様子でモニターを見つめ続けている。
「ハイパーセンサーで空間の歪みや大気の流れを探り発射の兆候を読む事はできるがそれだと遅い。一夏が気づけるかどうかだな」
「どういう事ですの?」
俺の言葉が理解できずセシリアが問いかけてくる。
「言っただろう?あれは要するに見えない大砲だって。ポイントはそこだ」
***
本当にまずい。じり貧だ。
全方向に展開できる衝撃砲に近接武器。
正直、攻めあぐねている。
近距離から中距離まで対応できる万能機になすすべが無く、俺は必死にハイパーセンサーを頼って衝撃砲を避け続ける。
しかし、どうにも間に合わず直撃は避けているが何度か食らってしまっている。
「さあどうしたの一夏?逃げてばっかりでその剣は飾りかしら?」
くそ・・・悔しいが流石候補生。鈴はすげえ強い。
きっと俺には想像も付かないくらい努力したんだろう。
だが、俺にも意地がある。どうにかしたい。
とにかくあの衝撃砲を避けれるようにならなきゃ・・・
でもどうすりゃ良いんだ?見えない大砲をどうやって・・・
・・・大砲?
そうか。もし俺の予想が正しければ・・・
「へっ、この程度大したことねえぜ。大体最初の不意打ち以外一回も直撃してないじゃねえか。お前こそコントロール大丈夫か?」
俺はその場に立ち止まって鈴を挑発する。
「なっ・・・馬鹿言ってんじゃないわよ!あたしを誰だと思ってんの!上等じゃ無い!次はバッチリ当ててやろうじゃない!後悔しても遅いわよ!」
案の定鈴は怒りに燃え、衝撃砲を展開・・・こちらに照準を合わせてくる。
「食らいなさい!!」
そして球体がきらめいた。
・・・ここだ!!
ドガンッ!!
「なっ!?」
球体がきらめくと同時に俺は最大機動で地面を直線上に移動し、砲弾を今度こそ完璧に避ける。
「ほーら見ろ」
「こんのぉ!!」
その後も鈴は俺に向けて衝撃砲を打ち出してくるがそれを全て避けていく。
いくら視認できないとは言え、大砲は大砲。
誘導弾じゃない。
砲弾は直線的にしか撃ち出せない。
なら、真っ向から撃ってくる限り着弾地点から動けば避けるのも不可能じゃ無い。
・・・勿論種がバレれば対策されて終わりだし、既に結構シビアで冷や冷やなんだけどな。
「な、なんで・・・」
しかしこれで良い。
隙は作れた。
「ここだ!」
ISにはいくつものテクニックが存在する。
その中でも一番ポピュラーで、かつ非常に難易度が高いが一番習得しやすいテクニック。
直線的にしか動けないが、爆発的な機動力で一瞬のうちに距離を詰める事の出来る移動技法。
瞬時加速、イグニッション・ブースト。
湊兄とセシリアに叩き込まれたそれを使って、俺は鈴の眼前に踏み込んだ。
「なっ・・・」
一瞬で目の前に現れた俺に動揺する鈴。
ここしかない。
俺は雪片を振り上げ『零落白夜』を展開。
そのまま振り下ろし勝負を決めてやる。
しかし邪魔が入った。
ズドオオオォォォォンッ!!
「「!?」」
俺の雪片による物でもない、鈴の衝撃砲による物でもない、突然大きな衝撃がアリーナ全体に走った。
お待たせしました。第5話です。
衝撃砲を攻略しようとしたらこんな感じになりました。
大体の方が考えつく感じになりました。
さて次回はゴーレム戦。
そしていよいよ出番がやってきます。
次回、「全てを焼き尽くす黒き炎」。
お楽しみに。
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