【凍結】Infinite Stratos ~ The Accomplice of Black   作:餌屋

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第6話: 全てを焼き尽くす黒き炎

 

 

 

アリーナに悲鳴が木霊する。

 

とんでもない事が起きた。

 

一夏と鈴の試合中、突如アリーナ天井のシールドを突き破り、未確認ISが乱入。

一夏、鈴と戦闘を開始した。

その余波は観客席まで及ぶ。

 

未確認機、アンノウンと呼ぼうか。奴が打ち出す高火力ビームが観客席側のシールドに当たり衝撃を与え、いつシールドが破られるか分かったもんじゃ無い。

 

更に。

 

「開けてよ!!ねえ!!」

「なんでロックがかかってるの!?」

 

観客席の出入り口が全てロックされ、解除不能になっている。

 

「ここも駄目ですわ!」

「こっちもだ!」

「やっぱりか・・・」

 

俺と、一緒にいたセシリアと箒もピットから出る事ができないか試してみたが通常のアクセスでは開ける事が出来なくなっている。

 

と、通信が入った。

俺は右手首のブレスレットを操作し空間モニター通信を呼び出した。

 

「なっ!」

「み、湊さん!何ですのそのブレスレット!」

「ん?俺特製のびっくりドッキリアイテム。千冬、俺だ」

 

通信相手は千冬だ。

 

『湊、今どこにいる』

「一夏側のピットで観戦してた。セシリアと箒も一緒だ。状況は?」

『最悪だ。アリーナ周辺のドアが外部からのハッキングで完全に封じられた。生徒達の避難も出来ず、教師陣のIS部隊を送り込めない。今三年の精鋭がシステムクラックを試みているが時間が掛かる』

「あーやっぱりそうか」

 

俺の頭の中で、この騒ぎの犯人は見当がついている。

仮にも重要施設であるIS学園のセキュリティを破り、ハッキングを仕掛ける事が出来る人物。

更にアリーナに現れたアンノウン。あれは俺が二月に『あいつ』に渡したデータを使って生み出される予定だった物。

 

 

 

マジでよっぽどの事起こしやがったな・・・

 

『やっぱり、だと?湊・・・この事態は』

「詳しい話は後だ。取りあえずそっちは任せた。俺はあのアンノウンをやる」

『どうするつもりだ』

「悪いけど後始末は頼むぞ。一応顔は隠すが外にバレりゃ色々面倒になる」

『・・・まさか、良いのか?』

「・・・仕方ねえだろ。頼んだぞ」

『・・・よし分かった。教師陣と生徒にはこちらから学内箝口令を敷く・・・すまんな。頼む』

「構わんよ」

 

話は済んだので通信を切り、俺は防護シャッターが下りたままのピット入り口へ歩を進める。

 

「一体何を・・・」

「湊さん!今の話は一体!」

「二人とも」

 

問い詰めてくる二人の方に顔を向けず制す。

 

「悪いけど今から見る事は他言無用で頼む。あ、後どっか物陰に隠れとけよ」

「???」

 

俺はゆっくり左手を上げ、前に突き出す。

 

その中指には。指輪。

 

 

「―――― 来い」

 

 

そしてピット内に黒い閃光が煌めいた。

 

 

***

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・くそっ!」

 

鈴との試合中に乱入してきた謎のISと戦いはじめてどれくらい経ったろうか。

実際は10分も経っていないと思うが体感的にはもうずっと戦い続けている気がする。

 

乱入したISはとにかく異様だった。

 

異常なほど長い手を含めると2メートルを超える巨体。

全身至る所にあるスラスター口。

そして何より『全身装甲』というのがその異常さを物語っていた。

 

「一夏、危ない!」

「うおっと!」

 

俺が気を抜いているとそこに向けて容赦なくビームが放たれる。

 

と、そこで何かが引っかかった。

 

(何だ・・・あいつの行動に違和感が・・・)

 

俺はこれまでの戦闘を思い返す。

 

 

俺達が周囲を旋回しつつ近づく隙を狙っていれば牽制でビームを数発打ってきてその後、本命を一発打たれる。

運良く潜り込めそうな時は、長い腕を振り回しながらビームを乱射してこちらの行く手を阻む。

鈴が衝撃砲を打ち込めば、その装甲と腕で砲弾を叩き落としてくる。

 

・・・待てよ。

 

 

「なあ、鈴・・・あいつさっきから」

「一夏も気づいた?あいつの攻撃、パターンがある。その隙をつけば何とか」

「いや、それはそうなんだが・・・」

「何よ?」

 

確かに鈴の言うとおりパターンがある。だが・・・

 

「あまりにもパターンが一定過ぎやしないか?まるで・・・人じゃ無くて機械が動かしているというか・・・」

 

そう、ロボットがプログラムによって決められた動きしかしないかのように。

 

「確かに言われてみれば・・・いやでもそんな筈ないわ。無人機なんてあり得ない。ISは人が乗らないと絶対に動かないのよ」

 

それは俺も知っている。しかし・・・本当に無人機の技術は存在しないのだろうか?

 

「仮に・・・仮に無人機だったらどうだ?」

「え?」

「無人機なら気にせず全力で攻撃して止められるか?」

「・・・あり得ないけど、仮に無人機だとするなら。あんたのそれと合わせて突破できるかも」

「よし・・・やってみるか」

 

作戦は決まった。後は・・・

 

ドガアアアアァァァンッ!!!

 

 

「なっ!」

「何だあ!?」

 

突然爆音がしたので音の方向を向くと、ピットのシャッターが爆破されたのか粉々に吹き飛ばされ、そこから一機のISが出てくる瞬間を目撃した。

 

「あれは・・・」

「まさか、ここに来て新手だって言うんじゃ無いでしょうね!!」

 

そのISは真っ黒な装甲に真紅のラインがあしらわれており、その大きめな左腕はかぎ爪のように異様な形をしていた。

操縦者の顔には上半分を覆い隠すようにバイザーが展開されており・・・その体つきは女性とは思えない程筋肉が引き締まっていて・・・っていや明らかに女性じゃない・・・

 

「ってまさか!!」

「いよう、頑張ったな二人とも」

 

黒いISはゆっくりと俺達2人の方に近づいてきた。

その声には聞き覚えがある。

いや、間違えるはずが無い。

 

「湊さん!?」

「湊兄!?」

「おう。黒崎湊お兄さんの登場だ」

 

そう、いつものように軽い口調で正体をバラしてきた。

 

「な、何で湊兄がIS乗ってんだよ!!」

 

俺は驚きのあまり思わずISを纏った湊兄に詰め寄る。

ちなみに鈴はあまりにもの衝撃に口をあんぐりと開けたまま言葉を失っている。

 

「何って・・・俺も動かせるからに決まってんだろ」

「俺が初めてISを動かしたんじゃないのか!?」

「確かに一夏は『世界で初めて確認されたISを動かせる男』だぜ?だけど『世界で初めてISを動かした男』は俺だって事さ」

「・・・はぁ!?」

 

訳が分からない。

つまりあれか?俺がISを動かすよりずっと前から湊兄はISを動かしていたって事か?

何故?そしてどうしてそれを黙っていた?

 

「『何で黙っていたんだ』って顔だな・・・んなの面倒な事になるって分かりきってたからに決まってんだろ。念のために言っとくがこの事知ってるのはさっきバラしたセシリアと箒、後は千冬と限られた学園の人間だけだ。他言無用だかんな・・・そこで惚けてる鈴もだぞ」

「はっ!・・・わ、分かってるわよ。その代わり後できちんと説明しなさいよね!!」

「・・・まあ黙ってても引いてはくれないだろうしな。良いぜ・・・このデカブツをぶっ壊した後でな」

 

湊兄はそう言って一歩前に出る。

 

「ちょ、ちょっと湊兄!あいつを倒すつもりなのか!?」

「当たり前だろ?じゃなきゃ出てきてねえよ」

「とは言ってもさ!何か作戦でもあるのかよ?」

「別に?」

「~~~!!じゃあ今あいつについて分かってる事を」

「要らない」

「じゃあせめて俺達も手伝って」

「必要ない」

「なっ・・・」

 

俺はあんまりな言い方に完全に言葉を失う。

 

「一夏、お前が気にしてくれるのは分かった。でも大丈夫だ。俺なら・・・この俺のISなら・・・」

 

 

 

全て燃やし尽くして終わりだ

 

 

 

そう言い放った湊兄の顔は・・・

 

 

 

 

恐ろしいくらいに真顔だった。

 

 

***

 

 

俺の目の前では『あいつ』お手製のアンノウン・・・無人機がジッとこちらの行動を待ち続けている。

別におかしい事は無い。

あれはそういう風に俺がプログラムを作ったんだ。

 

全く・・・あの野郎・・・

 

 

 

 

「ひっさしぶりに俺をキレさせてくれたな」

 

そして俺は瞬時加速を用いてアンノウンに肉薄する。

アンノウンはプログラム通り反撃しようとするが、間に合わない。

こいつはまだ試作無人機だ。

その為プログラムの反応速度はどうしても理想より低め。

 

一定以上の実力を持ったIS乗りなら超えられる。

 

「こいつはまだお前と同じプロトタイプだが・・・」

 

俺はアンノウンの繰り出すビームの雨を『個別』瞬時加速でかいくぐり・・・

 

「『黒炎』の名を付けた限り、てめえの様な雑魚に負けるわけがねえんだよ」

 

 

黒炎・・・全てを焼き尽くす黒き炎。

 

中二病だって笑われそうだが、俺はこの名に文字通り『全て』を詰め込むのだ。

 

不本意な形の初陣となったが。

 

 

ここで負けるなんてあり得ない。

 

 

 

俺は相手が機械だと知りつつ言葉を続ける。

 

「これで終わりだよ、『ゴーレム』」

 

そして、目の前に辿り着いた。

俺はその左手でゴーレムに触れる。

 

「燃え上がれ」

 

黒と真紅に彩られた閃光が走り、爆音と共にゴーレムに向けて輻射波動を打ち込む。

 

そしてボコボコと膨張した世界初の無人機IS『ゴーレム』は、爆炎を上げながら倒れ沈黙した。

 

 

「ま、取りあえず束は後でしばき倒すか」

 




『ゴーレム』戦、終了です。

遂に主人公専用機のオリジナル機体『黒炎』初陣です。
実は元々の予定だと初陣はもう少し先だったのですが、前倒しにさせて頂きました。
本当お待たせしました・・・

さて次回は第2章最終回。

色々フラグ立てまくった第2章も終わりです。

・・・信じられるかい?ようやく原作1巻終了なんだぜ・・・


それではまた次回。
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