【凍結】Infinite Stratos ~ The Accomplice of Black 作:餌屋
広々とした部屋。
深紅のカーペットが敷かれ、高級そうなソファーとこれまた高級そうなテーブルを挟んで置かれている。
ここは世界中からISについて学ぶため生徒が集まってくる学校、IS学園の応接室。
そこに俺は通され、悠々とコーヒーを啜っていた。
・・・うん。やはりコーヒーは豆から挽くに限る。
「・・・それで?」
と、俺の目の前に座り同じくコーヒーを啜っていた千冬が痺れを気にしたように口を開いた。
「で、何故突然現れたのか、そろそろ説明してくれるんだろうなぁ?」
「あ、あっれ~千冬さ~ん?もしかして怒ってます~?」
良く見ればこめかみをピクピク震わせながら、無理に笑顔を作っているのが分かる。
俺は冷や汗をかくのを感じながら、どこが爆発するか見当のつかない地雷原に一歩足を踏み入れた。
「当たり前だ!!」
一歩目で踏み抜いた。
「連絡も無しに突然やって来て、用件もろくに伝えず守衛と口論!挙げ句の果てに駆けつけた教員と取っ組み合い寸前!お前、自分の立場を理解しているのか!?」
「だって、あいつら端っから俺を怪しい目で見てくるんだぜー?失礼だろ!!」
「・・・束に並んで行方知らずの最重要人物なお前が突然現れたらそりゃ警戒もする」
「えー、束よりかマシだと思うけどなー」
「お前は絶望的にタチが悪い」
「酷え!」
なんて言いぐさだ!
こんなんが世界最強か!!昔から変わらずドSだよな本当!
「誰がドSか」
「心読んでんじゃねえ!」
「ふん・・・まあ冗談はこの辺りにしよう。それで?」
と千冬は俺に鋭い視線を浴びせてくる。
「はあ・・・頼みたいことがあってな」
「頼みたいこと?お前が?」
「ああ。会わせて欲しい人がいるんだよ」
「・・・誰だ?」
「この学校の一番偉い人。ああ、お飾りじゃない方な」
俺の言葉に千冬の雰囲気が更にきつくなる。
「湊・・・何を企んでいる?」
「お前本当失礼だな!別に企みとかねえから!・・・まあ、もうわざわざ紹介して貰う必要はなくなったんだけど」
「は?」
「ねえ、そこで盗み聞きしていないで入ってきてくださいよ」
俺は扉の向こうに声をかける。
すると、ゆっくりと扉が開き壮年の男性が入ってきた。
「いやあ、流石黒崎君といった所でしょうか。バレないように気をつけていたつもりだったんですがねえ・・・」
「十蔵さん、お久しぶりです」
そう、この温和そうなおじいs・・・男性こそ、IS学園実質的トップの轡木 十蔵。
男性でありながら、巧みな話術と慧眼でIS学園をここまで成長させた人だ。
・・・あの身内以外の他人に全く興味を示さない束でも一目置いている節がある事からその凄さと恐ろしさは理解できるだろう。
「いやあ2年前に委員会本部の廊下ですれ違った時以来ですか?」
「ああ、あの時はお互い急いでたからろくに話も出来ず」
「いえいえ・・・それより、私に何かご用なのですか?」
「ああ、頼みたいことがあるんでよ」
「・・・というと?」
「俺をIS学園の教員として雇ってくれませんか」
その言葉に十蔵さんは一瞬眉をピクッとさせ、千冬は動揺で勢いよく立ち上がった。
「な!お前突然何を!」
「・・・」
「最近今の生活に飽きてきてな・・・あちこちからのスカウトもいい加減面倒くさいしここならまだ良いかなって」
「・・・はぁぁ」
千冬が深い、とても深いため息をつく。
あきれ果てて何も言えないといった感じだ。
「・・・こちらのメリットは?」
「IS学園専属技術者の確保と、最新技術の優先提供。そして不確定要素への切り札です」
「切り札・・・なるほど。良いでしょう、黒崎君をIS学園の教師として招きます」
「な!轡木さん!」
十蔵さんの決定に千冬が異を唱える。
「まあ、良いじゃないですか。こちらのリスクは今のところなさそうですし織斑先生は知らない仲じゃないでしょう?そんなに信用できませんか?」
「いや、それは・・・」
「就職に関しての細々としたことはこちらで処理しておきますので織斑先生は黒崎先生の住む場所など、よろしくお願いしますね」
「・・・分かりました」
「ああ、後地下の区画どこか貸して貰えるとありがたいです。専用ラボが欲しくて」
「良いでしょう。用意が出来たら伝えますよ」
「どうも」
こうして、俺はIS学園に教師として就職することがめでたく決定したのだった。
三が日連続更新2日目。
第2話でした。如何でしたでしょうか。
プロローグは後もう1話続きます。
それではまた明日の更新でお会いしましょう。
感想お待ちしております。