【凍結】Infinite Stratos ~ The Accomplice of Black   作:餌屋

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第4話: 本当のキモチ

 

 

 

「断る」

 

 

 

僕は間髪入れず告げられたその一言に一瞬何を言われたのか分からなくなった。

 

依頼を断られた。

ここで黒崎博士とのコネクションを繋げることができたら僕の『任務』も必要なくなるし、連絡役など何らかの形で関わることが出来るかもしれない。

そうすれば一夏達とずっと…

 

 

「考えが甘いな」

 

………え?

 

「お前をここに送り込んだ奴が、その程度の手土産でお前を使い続けると思うか?」

「な、何を言って…」

「そうだろう?『シャルロット・デュノア』ちゃん?」

「!!!」

 

バレている!?

そんな!なんで!?

 

「デュノア社はIS学園を甘く見たんだろうな。怪しすぎるタイミングで転校してきた怪しすぎる男性操縦者なんて身元を調べるに決まってるだろう」

「そんな…じゃあ僕は…」

「ま、泳がされていたって訳だ。何か怪しい動きがあればすぐ捕縛して交渉材料に出来るように」

「交渉…材料…?」

 

淡々と、それでいてどこか楽し気に話す黒崎博士の姿に、僕は血の気が引いていくのを感じた。

そして思い知らされる。

 

「フランスに対しての『弱味』って奴だな。何かあった時にこちらの手駒として動かすための大事な人質だ」

 

ここは既に、怪物の胃の中だと。

 

「そんな…」

「大体よ、俺がそんな下心見え見えの依頼受けると本気で思ったのか?」

「……」

 

段々目の前が暗くなってきた気がする。

じゃあもう僕は・・・

 

「…事情は全て知っている。お前をここに送り込んだのはデュノア社社長夫人、シルヴィア・デュノアだな?」

「…はい」

 

嘘を許さないかの如く固い声色に僕は素直に答えるしか出来なかった。

 

「今デュノア社は社長であり技術者でもあるエドワード・デュノアがシルヴィアの傀儡となっており、独裁的な状態だ。さらに開発部もシルヴィアの言いなりとなっている三流技術者しかおらず、有能な人材は社長と一緒に隅に追いやられてしまっていると」

「そうです…」

「そして、お前の母は…」

「…亡くなりました。お父さんの使用人だったそうです」

 

もうどうでも良くなった僕は全て博士に話した。

 

今のデュノア社の実情。シルヴィア・デュノアの悪行。

お母さんとお父さんの話。お父さんの政略結婚。僕がここに送り込まれる事になった理由。

 

「それで?お前は抗わなかったと」

「出来るわけないじゃないですか…相手はシルヴィア・デュノア。政府要人にまでコネを持っているんですよ?相手が悪すぎます」

「……はぁ。じゃあお前はもうあきらめるのか。」

「……僕は犯罪者ですから。強制送還になって刑務所送りじゃないだけまだマシ…」

 

 

「甘ったれるな!!」

 

 

 

「っ!」

 

突然怒りを露わにする博士。

その怒号は…不思議と胸を締め付けた。

 

「何が相手が悪いだ。何が刑務所送りじゃないだけまだマシだ。それで何になる!お前はいつ解放されるんだ!」

 

理由はなんとなく分かった。

今、本当に僕の事を怒っているんだ。叱られているんだ。

 

まるで本当の親みたいに…

 

「お前は逃げただけだ。周りを取り巻く理不尽に抗おうとせず、自分の未来を自ら閉ざそうとしている。そんなの許せるか!」

「…でも!僕の末路はもう決まってしまった!僕はスパイとしてこの学園に潜り込んだ!そして捕まってしまった!もうどう足掻こうと…」

「誰がスパイで誰が捕まったって言ったんだ?」

「……へ?」

 

この人は何を言っているんだろうか。

 

 

「俺は一言も『お前はスパイだ』なんて言ってないし、見た所スパイ行為を働いた様子もない。

怪しい行動をしていないんだから捕まえる理由もない。

万が一罪に問われてもここに送り込まれた状況を考えれば情状酌量の余地は十二分にある。だろ?」

「……」

 

そういえば…確かに博士…いや先生は一言も言っていないし、人質にする件に関しても確かに計画としての話しかしていない。

 

「改めて聞こう。シャルロット・デュノア」

 

そして先生は、とても優しい笑顔で僕に話しかける。

 

「お前の本当の気持ちを教えてくれ」

 

 

 

 

 

「…けて…」

 

ダメだ。

 

涙が止まらない。

 

「…助けてください。僕は…ここにいたいんです。一夏達と…幸せな時間を…」

「…それが聞きたかった。千冬!会長!」

 

と、突然先生が名前を呼ぶと、空間ディスプレイが呼び出されそこには織斑先生と知らない女の人が映し出されていた。

 

「先生…それに…」

『初めまして~シャルちゃん。私は更識楯無、この学園の生徒会長よ』

『ふん…まあなんだ。一週間前よりかマシな顔つきになったな?デュノア』

 

そう、生徒会長さんと織斑先生はにこやかな笑顔で話しかけてくる。

 

「どうして二人が…」

「この二人はまあ、学園上層部の人間でな。俺の特別授業の見届け人って訳だ」

「特別授業…」

「お前が俺に話があるって連絡してきた時、内容は想像がついていた。そこで俺が一芝居打って、シャルロット・デュノアを見極めようという事になったんだよ」

『結果はこの通り。シャルちゃんは本当はとっても優しい女の子だった。なら私たちはあなたを受け入れる』

『そして学園としては生徒の問題は解決してやるべきと判断した』

『全く、こわ~い顔してこんな良い子を虐めるなんてホント酷い人よね~』

『全くだな、はっはっは』

「お前らな・・・」

 

何だ…

 

「全部先生の計画だったんですか…良かった…」

「ふっ、まあそういう訳だ。早速動き出してくれ」

『分かった』

『了解でーす』

 

そして通信がきれ、空間ウインドウが消えていく。

早速僕の為に動いてくれるのだろう。本当感謝してもしきれない。

 

「…安心しろ。俺たちが必ずお前と父親、それにデュノア社を助けてやる」

「はい。お願いします」

「それと…一夏には本当の事言っておけよ」

「はい…これ以上嘘を吐きたくないですから。反応が怖いですけど…」

「何で?」

「だって、『僕は一夏をスパイしに来ました』なんて言われたら…」

 

 

 

 

「えっ…スパイ…?」

 

 

 

 

「「!?」」

 

「っ!やべ…」

 

今の声…まさか!

 

「おいおいマジかよ都合よすぎるだろ…シャルロット、今すぐ追いかけろ!」

「は、はい!」

 

僕は走り去った相手を追いかける。

 

 

 

「一夏…!」

 

 




今年夏コミ初参戦が決定しました餌屋です。
二日目のみと思われますが。

あ、FateGOあの後何とか頼光引き当てました。
急いで最終再臨させましたが強いですね。
ダメの量に笑いました。

さて、お風呂上がり目撃イベント回避した一夏。
果たしてどうなる。
いよいよ次回は第3章前編ラストです。
お楽しみに。

次回も来週水曜日更新です。
是非次回もよろしくお願いします。

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