【凍結】Infinite Stratos ~ The Accomplice of Black   作:餌屋

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第5話: 僕は君が

それは『偶然』だった。

 

 

『偶然』朝食の時からシャルルの姿が見えなくなった事に気づき。

 

『偶然』シャルルが地下に向かっていったという話を聞き。

 

『偶然』地下への入室権限を俺が持っていて。

 

『偶然』湊兄と良く会っているミーティングルームを覗いたら湊兄がシャルルを助けると言うのを耳にした。まあ訳が分からなかった。

 

そして。

 

『偶然』シャルルが俺を探りに来たスパイだと知ってしまった。

 

 

 

確かに動揺した。

 

あんなに仲良くしていたのは全て嘘だったのか?と不安になった。

 

だけど、シャルルは本当は良い奴だとも信じていた。

 

だから話をちゃんと聞こうと思った。

 

 

……盗み聞ぎしていたのがバレたのに焦って逃げ出してしまったのが誤算だったが。

 

 

 

 

***

 

 

「やっちまった…」

 

走り続けた俺は校舎の屋上にたどり着いた。

周りを囲む柵に寄りかかり、息を吐く。

 

 

「逃げるつもりなんて本当は無かったのに…シャルル、傷つけちまったかな」

 

恐らくシャルルは、スパイだという事を知った俺が怒ったのだと思っただろう。

どうしてものか…

 

そう思っていると。

 

「一夏!!」

 

俺を呼ぶ声に振り向くとそこには俺を追ってきたであろうシャルルの姿があった。

 

「しゃ、シャルル…」

「一夏…お願い…話を聞いて…」

「……」

 

そうしてシャルルは全て話してくれた。

 

自分の生い立ち、デュノア社の事、学園にやって来た理由。

 

「…なんだよ、それ」

「一夏…」

「シャルルの気持ちはどうなるんだよ…親が子供を道具みたいに使うなんて、あって良い訳ないだろ!」

 

俺は自分を情けなく思った。

最初少しでもシャルルの事を疑ってしまった自分を。

 

「一夏…そこだよ」

「え?」

「僕はそんな優しい一夏の事が好きなんだ」

「シャルル…」

 

シャルルは優しげな笑みを浮かべている。

とても幸せそうに。

 

「初めて学園に来た時から、一夏はずっと僕に良くしてくれた。例え、同じ男子だと思っていたからだとしても・・・僕はとても嬉しかった」

「そんな事・・・」

「分かってる。この一週間、側で一夏を見てきて他の女の子達とも凄く楽しそうに過ごしていて・・・とても幸せだった」

 

一体シャルルはこれまでどれだけの重荷をその小さな身体に背負ってきたんだろう。

想像もつかないような辛い日々だった事は明らかだ。

 

「だから、だから僕はずっとここに、学園にいたい!一夏達と一緒にこれからも過ごしていきたい!でも、僕だけの力じゃどうしようもなかった…」

「そうか…だから」

 

「そういう事だ」

 

屋上の扉が再び開いたと思うと、そこには湊兄に千冬姉、それに…確か入学式に見かけた生徒会長さんがいた。

 

「やっと一夏君見つけたよ~心配したんだからねっ。ああ、初めましてだっけ。更識楯無、よろしくね。」

「は、はい。お願いします…じゃなくて、どうして皆ここに!?」

「阿呆。突然走って逃げた大馬鹿者を心配してきたに決まっているだろう」

「ったく…どうせ盗み聞きがバレて思わず逃げちまったんだろうけど…」

「ご、ごめんなさい…」

 

うぅ…二人の視線が痛え…

 

「ま、とにかく一件落着だな」

「ええ、後はシャルちゃんを助けるだけね」

「そっちも早めに片をつけるか」

 

ん?そういえば何か…

 

 

 

 

「シャルル…いやシャルロット?」

「ん?何一夏?」

「えーっと…つまりシャルロットは…女?」

「うん…そうだけど…」

 

 

 

 

 

「ええええええええええええええええ!?!?!?」

 

 

完全にスルーしてた!マジか!

 

「い、今驚くの!?」

「いやすげえ自然に流してしまったからさ!?マジか!じゃあ俺本名の方で呼ぶべきだよな!?」

「な、何か堅苦しい気もするし呼びやすい方で良いよ?」

「よし!じゃあ何かあだ名とかつけよう!シャルってのはどうだ!?どっちもシャルって付いてるし何か可愛い感じだし!」

「シャル…あだ名…うん、すごく良い!すごく良いよ!」

「よし決まりだ!これからもよろしくなシャル!」

「うん!」

 

 

 

「青春ねえ…」

「そうか?」

「全く…早めに部屋替えをしないとな」

「だから俺と一夏が一緒に住めばいいだろ?」

「ダメだ」

「何で」

「ダメと言ったらダメだ!」

「あ~もしかして俺と離れるのが寂し」

「ふんっ!」

「ぐおっ…鳩尾はダメだろ…」

 

 

「お二人も青春してますね…妬けるわぁ…」

 

 

***

 

 

結局、シャルロットは全て片がつくまでこれまで通り男子として学園に通うことになった。

 

セシリア達いつものメンバーに本当の事を話すかは、二人に任せる事にした。まあ、言ってしまうと箒や鈴が殺意の波動に目覚めるであろう事は充分想像がついたが・・・あえてその事は一夏に伝えなかった。

 

南無。

 

そして翌日。学校に現れたシャルロットの顔は…どこか晴れやかであった事は言うまでもない。

 

 

 

 

そして、学園は次のイベントへ動き出す。

 

学年別トーナメント。

 

 

 

そこであんな事態になるなんて、今の俺たちには想像できなかった。




というわけでシャルに関しては一旦一段落という事で。

どうも、最近時系列表の見直しと訂正をしたらあまりにも話がでかく、何年かかるんだとか思い出しました。餌屋です。
完結まで頑張るぞい。

次回からは学年別トーナメント。

原作とは多少違った戦いになる事はまちがいありません。
だってラウラが既に白いですし。

次回も来週水曜日にお会いしましょう。
お楽しみに。
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