【凍結】Infinite Stratos ~ The Accomplice of Black   作:餌屋

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お待たせしました。



第7話: それぞれの決意

 

 

それは一夏が参加申請に職員室を訪れる数時間前。

 

 

学園校舎屋上スペース。

 

 

 

「「一夏!」」

 

 

放課後にトーナメント参加受付開始を控えた昼休み、いつものメンバーで昼食を取っていた時。

 

「な、なんだよ二人とも」

 

突然の事で呆気に取られているセシリア、シャルロット、ラウラを尻目に一夏へ詰め寄る箒と鈴の姿があった。

 

「次のトーナメント私とタッグを組むんだ!」

「次のトーナメントあたしとタッグ組みなさいよ!」

 

全く同時に同じ台詞を口にした二人はお互いにらみ合いながら一夏争奪戦を繰り広げる。

 

 

(…本当は僕も一夏とタッグが良いんだけど…言い出せる雰囲気じゃないよね)

 

 

そんな光景を見ながらシャルロットが一人残念そうな顔をしている事は幸か不幸か誰も気づいていなかった。

 

「お、おいいきなり言われても…」

「なんでよ!まだタッグ相手決めてないならあたしで良いじゃない!」

「それとも何だ!?私とタッグを組むのは不都合なのか!?」

「誰もそんな事言ってないだろ!?」

 

「「じゃあ良いじゃない!」」

 

 

(ここでタッグ組んで二人きりの時間を作れば流石の一夏もあたしの気持ちに気づくでしょ!絶対箒には負けられないわ!)

 

(湊さんに言われて分かった。私は『あの事件』があってからもう何も失わないように力を求めだし、いつからか道を外してしまった。でも今度は間違えない!このタッグで一夏の隣に立てるような自分になってみせる!)

 

(湊兄が言ってたな…『あり得ないと思っている事が正解かも』って。まさか二人は俺の事…いやでもなあ…)

 

 

「悪いけど、俺シャルと組みたいって思ってるんだ」

 

「!?!?!?!?」

 

「…へ?」

 

箒と鈴、そしてシャルが驚きのあまり固まってしまう。

 

「だって、俺箒や鈴とタッグ練習とか全くと言っていい程してないし、この中じゃシャルが一番サポート戦闘に精通してると思う。絶対優勝するならこの組み合わせが一番勝ち上がれると思うんだ。勿論俺も頑張るけどさ」

「まあ、確かにシャルロットは一夏とタッグ相性は良いと思うぞ」

 

とここまで発言の無かったラウラが口を開く。

 

「箒は刀剣による近接戦闘において高い実力があるが専用機が無いからどうしてもIS性能差で一夏との差が出てしまう。必ずしもそれだけが勝負を決める訳ではないが、タッグにおいて最も重要なのは二人の息と足並みを合わせる事。なるべく避けたいデメリットだ。専用機抜きで考えたとしても近接同士のタッグだと相手が遠距離戦を仕掛けてきた場合、圧倒的に不利になるしな」

「くっ…」

「鈴は近中距離戦が得意だが、戦闘スタイルが前衛寄りで武装もサポートに適しているかと言われれば怪しいな」

「そんな…!」

「安心しろ二人とも。勿論それだけが全てじゃ無い事は分かっている。圧倒的な力で押し込んだり、上手く連携を取り合って相手のペースに持ち込ませないようにするのは近接同士でも可能だ。だが今の一夏の戦い方は一撃必殺、悪く言えば猪突猛進と言える。本気で勝ち上がるなら今の状態では難しいと言わざるを得ないだろう」

「……」

「まあこの辺りの知識は軍の経験と父様から教わった事が殆どなんだがな」

「まあ…確かにお二人と比べると遠距離戦に心得がある私やシャルロットさんの方が相性は良いかもしれませんわね」

 

セシリアにまでそう言われてしまうと二人は何も言えなくなってしまう。

 

「…悔しいけど仕方ないわね」

「………」

 

「それにしても一夏さん、やけに優勝を狙っているように思えたのですが…どうかなさったのですか?」

「え、ああ…実はさ、トーナメントで優勝したら湊兄に模擬戦の相手をして貰おうと思って」

 

 

 

 

「………え?」

 

 

 

***

 

 

 

「…まさか本当に湊さんに勝負を挑むとはな」

「ホント、言われた時は冗談かと思ったのに」

「というかわたくし達職員室を覗き見るような事していて良いのでしょうか…」

「嫌な予感がする…父様があの笑顔でこっちを見下ろすような気がする…」

 

時は戻って放課後、一夏が湊に模擬戦を申し込んだ同時刻。

箒、鈴、セシリア、ラウラは職員室での一部始終をを扉とは反対側の窓から覗き見していた。

 

「それにしてもあんた『納得できない~』みたいな顔してた割にはあっさり引いたわよね?」

「それはお前も同じだろう、鈴」

「まーね…あんな顔であんな事言われれば一夏の判断を尊重するしかないでしょうよ」

 

一同の脳裏に昼間の一夏が蘇る。

 

『俺は強くなりたい。強くなって今度こそ自分の大事な物を守り抜きたい。その為には目標とする強さを持ってる湊兄と戦ってみるのが一番だと思うんだ』

 

 

一夏はずっと考えていた。

 

 

 

『あの日』、自分にもっと力があれば大事な家族に辛い道を歩ませる必要はなかったのではないか。

 

 

IS学園に来て、ここで頑張っていこうと決心して、そして周りとの実力差に不甲斐なさを感じた。

 

 

 

 

黒崎湊。

 

篠ノ之道場からの付き合いで、自分が『本当の強さ』を持っていると思っている姉と並び立つ存在。

 

そして同じ『男』。

 

子供心に湊の強さを理解してからずっと慕い続けてきた兄弟子。

 

そこに近づくために、一歩足を出してみたい。

 

 

 

 

その決意を箒と鈴は目の当たりにし、その意志を尊重すると決めた。

 

「でも、さ」

「ああ、それでもな」

 

それでも簡単に諦めるわけにはいかない。

 

「このまま引き下がる訳にはいかないわよね」

「ああ、それに…」

 

それに一夏には知ってもらわないといけない事があるのだ。

 

「あたしだって強くなりたいんだもの」

「私も一夏と共に歩きたいのだから」

 

二人はお互いの顔を見合わす。それだけで相手の考えてる事が自分と同じだと理解できた。

 

 

過程は違えど

 

立ち位置は違えど

 

例えライバルだとしても

 

 

目指す場所は同じだから。

 

 

「タッグ組むわよ」

「ああ、望むところだ」

 

 

***

 

 

「ふむ…二人とも覚悟を決めたようだな」

「ええ、なんとなく予想はしていましたが」

 

一方、流石にこれ以上覗き見るのはと思い少し離れた場所から箒達を見守っていたセシリアとラウラ。

 

「さて…中々面白い戦闘が見れそうだ。しかしそうなると私はどうするか」

「あら?ラウラさんはまだパートナーがいないんですの?」

「ああ、最初はシャルロットに頼もうかと思ったのだが…」

「でしたらわたくしと組んでいただけませんか?」

「セシリアと?お前もまだ相手がいなかったのか」

「ええ、というか今日初告知ですぐにパートナーを決めるというのも中々ないですわよ?」

「それもそうか…なら頼みたい」

「ええ。湊さんに成長を見せる絶好の機会ですわね!」

「ああ!」

 

 

 

 

こうしてそれぞれの道は重なる。

 

学年別トーナメントまで、後1週間 ―――

 











毎度毎度更新遅れまして本当に申し訳ありません!!



実は今回の話、元は東京滞在中に書き上げたのですが投稿する暇がなく時間が過ぎ、いざ投稿しようとした時に「なんか違うな」となって書き直してたら1か月過ぎていました!

学習しておりません。情けない…

いつの間にかお気に入り140件超えているし…
本当ありがとうございます…感謝です。



そういえば東京ですが楽しかったです。
また夏コミではハーメルンで読ませていただいてる好きな作家さんのブースにも足を運び、本買わせていただいたりしました。
初対面で数回感想書いただけなのに何か記憶に残っていらしたのか、いやもうええ人だった…



さて、遂に他メンバーの組み合わせも決まりました。

次回よりトーナメント開始です。

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