【凍結】Infinite Stratos ~ The Accomplice of Black   作:餌屋

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※1/5誤植等修正


第1章
第1話: 春は再会の季節


 

「ふあぁぁ・・・やっと終わった・・・」

 

長い退屈な入学式を終え、俺は教室への廊下を歩きながら大きなあくびを一つつく。

 

「だらしがないぞ、黒崎先生」

 

隣では厳しい眼で俺を睨む千冬。これからは形式上俺の上司となる。

 

「千冬~良いじゃねえかよ、あのお飾りババアの話退屈だったんだから。あくびの一つや二つついたって」

「駄目だ。事情はどうであれIS学園と教師を名乗るならその辺りは気をつけて貰わなければならない。そして名前で呼ぶなと何回言えば分かる」

「・・・退屈だったことは否定しないんだな」

 

何で校長先生のありがたいお話的な奴って退屈で長くなるんだろうか。

 

「それより、もうすぐ着くぞ」

「お・・・ここか」

 

俺達は地味に長い廊下を歩き目的地の教室へ着く。

中から聞こえてくる声からして今は新学期恒例自己紹介の時間らしい。

 

「・・・お、あいつの番だぞ千冬」

「だから名前で呼ぶな・・・といってもお前は聞かないんだろうな。どれ」

 

2人揃って前のドアからこっそり中を除くと、真ん中最前列で立ち上がり追い詰められた顔をする男子の姿があった。

 

「・・・一夏の奴、完全にテンパってやがるな」

「・・・はぁぁぁ、馬鹿者め」

 

千冬は眉を寄せ、頭を押さえて大きなため息をつく。

今教室の中で他のクラスメイトほぼ全員から視線を向けられているのが織斑 一夏。

『世界で初めて確認されたISを動かせる男子』であり千冬の弟だ。

 

何故追い詰められているかというとそれは勿論クラスメイトが一夏以外全員女子だからだ。

というか生徒全員一夏以外女子な訳だ。

女の園に男が一人。

これをハーレムと羨ましがるかどうかは人によるだろうが、今の一夏は珍獣を見るかのような目線を四方から受けているのだ。

 

まあ、緊張もするだろうけどな。

 

と、千冬が教室に入っていった。

 

「・・・以上です!」

 

突然自己紹介を終えた一夏に何人かのクラスメイトがずっこける。

もっと詳しい事を期待されてる所で何故終了という答えが出てくるのだろうか。

 

バアンッ!と凄まじい音を立てて一夏の頭が叩かれる。

 

「いっ―!?げぇっ、関羽!?」

「誰が三國志の英雄か、馬鹿者」

 

その手に持つ出席簿を容赦なく再び振り下ろす鬼斑・・・いや織斑千冬。

 

「あ、織斑先生。もう打ち合わせは終わられたんですか?」

「ああ、山田君。この後の段取りを確認するだけで済んでな。クラスへの挨拶を押しつけて済まなかった」

「い、いえっ。副担任ですしこれくらいは・・・」

 

と照れた様子で応える巨乳副担任が山田 真耶ちゃんだ。

ほんわかした雰囲気でとても可愛い。

そんな事を考えていると千冬に突然睨まれた。

にやけていたのがバレたか。

 

「諸君、私が織斑千冬だ。諸君ら新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことは良く聴き、良く理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠15歳を16歳までに鍛え抜くことだ。逆らっても構わん。だが私の言うことは聞け。いいな」

 

結論、頑張っていれば助けてやるから逆らうな。

一見、暴力宣言に聞こえるがきちんと理解すれば優しさに満ちあふれた発言なのだ。

 

 

まあ。

 

 

「キャーーーーーー!!本物の千冬様よ!」

「ずっとファンでした!」

「私お姉様の為なら死ねます!」

 

黄色い声援を響かせる彼女達は理解していないだろうが。

 

「・・・毎年よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。ええいっ!静まれ!まだ紹介する者が一人いるんだ!」

 

千冬が一喝するとそれまで沸き立っていた教室がシンと静まりかえる。

 

「さて、このクラスは担任である私と副担任である山田君が主に授業を担当するが、更にもう一人教師が参加する事になる。入ってくれ」

 

ようやく出番だ。俺は一夏と違うっていう年長者の良い所をしっかり見せつけてやろう。

俺が一歩教室内に足を踏み入れると教室内に驚きが走るのが分かった。

その中でも一夏と窓際に座るポニーテールの女生徒、そして奥に座る金髪ロングの女生徒3人の驚き具合は尋常では無い。

皆久しぶりの再会だからな。

 

「諸君らも入学式で説明を受けただろうが、今年からIS学園専属エンジニア兼IS専門講座を担当する黒崎 湊先生だ。まずは挨拶を」

「えー、初めまして。今年よりこの学園の教師となった黒崎 湊だ。趣味は読書と料理。得意な事はIS弄りだ。どうか仲良くしてくれ」

 

俺が柔らかい笑みを浮かべながら自己紹介すると、先ほどの千冬ほどでは無いが黄色い声援が上がりだした。

 

「あのISの産みの親と並び立つ技術者が教師って聞いた時はまさかと思ったけど・・・」

「本当だったんだ!」

「やったぁ!貴重な男性2人もゲット!千冬様が担任だしこのクラスで本当良かったぁ~」

「・・・格好いい。織斑君も爽やか系で良いけど黒崎先生は大人な感じが超アダルティね・・・」

 

そんなに歳変わらないんだけど、喜んで良いのかな?

老けてるって意味じゃ無いと信じたい。

 

そんな声が上がる中、1人の女子生徒が手を上げた。

 

「ん?何か質問?」

「はい!1年はIS専門講座の授業は無いと思うんですけど黒崎先生はどんな授業をしてくれるんですか!」

「ああ、それは・・・」

 

と俺は千冬に目線を送る。

 

「彼の本格的な授業はまだ先だがIS戦術理論の授業を私と共に行って貰う。また、このクラスのメンタルサポーターも担当する」

「めんたるサポーター?」

「この1組には今年特殊な事情により男子生徒が参加している。勿論、何も問題が無ければ御の字だが万が一何か日常生活、学園生活で男女の差として困ったことや悩むことがあれば彼に遠慮無く相談しろ。あいにくこの学園にカウンセリングの心得があり男性目線の考え方を理解している教師が今までいなかった。その分彼にいつでも行くように」

「それ以外にも何か悩み事や相談があればいつでも来てくれて構わない。研究中の事も多いが、必ず時間を取る」

 

更に手があがる。

 

「あのー、戦術理論の授業をされると仰りましたが・・・」

「・・・『ISを動かせないのに戦術理論が分かるのか』と言いたいんだな?」

「そ、そこまで言うつもりはないんですけど・・・」

 

台詞の先を言い当てられ、慌てた口調で取り繕う彼女。

 

「まあ、疑問に思うのも無理はない。しかし俺はこれまで各国の軍や国家代表に仕事を依頼され様々なプロジェクトに大小はあるが関わってきた。また新装備や新装甲などの研究開発も行っているし幾つかは既にロールアウトしている。それだけの経験があれば不足は無いだろう。それに一から考える場合もISを動かさなくとも戦術理論を考えることはいくらでも出来る。協力者さえいれば実戦訓練も容易に可能だ」

「は、はい・・・」

「それにここだけの話だが・・・」

 

と、声の音量を落とし内緒話をするように前屈みになって顔を皆に近づける。

 

「昔良く千冬との組み手をしていたんだが大体勝率が俺・・・ぐほぉっ!!」

 

突然俺の後ろから出席簿が振り下ろされ、俺の頭は教卓にめり込む。

 

「さあ、これ以上は時間が惜しい!早速授業を始める!山田君、後は頼んだ」

「は、はい・・・」

 

頭から煙が出ている気がする。

そんな俺の首根っこを引っ掴んで引きずりながら千冬は俺と一緒に教室を後にした。

 

 

***

 

 

2人が教室から出て行き、山田先生が何とか場の空気を落ち着けて授業を始めようと声をあげている。

私はそんな中、1人思案にふけっていた。

 

 

まさか、ここで一夏以外に千冬さんや湊さんに出会うとは・・・

特に湊さんと話す機会があれば必ず聞かなければならない。

 

 

姉さんの事を・・・

 

 

***

 

 

私は、織斑先生達が出て行った後もずっとさっきまでいらっしゃった方のお顔が頭から離れませんでした。

 

「・・・湊さん」

 

まさかこんな所で再会するとは夢にも思っていませんでした。

しかし、これは絶好の機会。あの時の・・・

 

 

彼からの問いに対する私なりの解答を伝えなくてはなりませんから。

 

 




ワンサマー「今日はやけに久しぶりに会う人が多いな~」


はい、第1章第1話となります。
ようやく原作突入。
説明回チックになってしまいましたが、仕方なかったんや・・・!
まあ、最後辺りには1巻分展開や今後に関するあからさまな伏線を張っているわけでして・・・
早めにその辺り書ければ良いなと思います。

それではまた次回、お楽しみに。
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