次からは頑張ろう……。
それから題名を変更&内容を詰め込みました。ですので3話の辺りから内容が新しくなっています。
それでもあまり長さが変わってない等の感想は心の中にしまっていただくとありがたいです。
それではやっとの4話です。見ていただきありがとうございます。
「お兄さんこっちよ~でっておいで~♪ なんてね」
木々が鬱蒼と林立し生い茂る中をマジックは少しスキップ気味に歩き回る。
いや、正確に言えば探し回っていた。
「こっちかな~? いやこっちだ───ッと、危ない危ない」
木々の間を覗いているとマジックめがけクナイが襲い掛かる。マジックは軽く後ろに跳び、先ほどまでマジックがいた位置にクナイが突き刺さる。
「結構良い反応するじゃないか」
その声はマジックの真上───正確には大木の枝の上にいるダークから発せられた。
「いえいえ、お兄さんだって気配がまったくないじゃないですか。 さすが[金色のシノビ]ですね」
「懐かしいものを知ってるね~。うれしいよ」
ダークは乾いた微笑みを作りながらマジックを鋭い双眸でとらえる。
[金色のシノビ]
いわずもがなゴールデン・ダークのいわゆる二つ名、通称である。
このブレインバーストのバーストリンカーの中でも少しは名の知れたリンカーになると異名がつけられる事が多々ある。
6大レギオンの長、純色の王たちを筆頭に様々な名リンカーに付けられてきた。
[不動要塞(イモータル・フォートレス) スカーレット・レイン] [絶対防御(インバルナラブル) グリーン・グランデ]などがいい例だ。
「千の手段で音もなく相手を仕留める加速世界一派手な忍者……僕は派手な時点で忍者失格だとおもってたんだけど、なかなかどうして」
「そこまで知ってるならフルコースをご馳走しないとね~、──ホラよっ!」
ダークは木の枝から静かに落ちる。それと共に幾つものクナイが弾けるようにダークから撃たれ、マジックを穿たんと突き進む。
マジックは今にも射殺さんとするクナイ群を手に持ったステッキで弾き、全てを捌く。
「でもこの程度じゃ! ───いない!?」
「蹴りのお返しだ」
「しま───っ!」
背後からの奇襲に対応できるわけもなく、マジックはダークが振り下ろすクナイに背中を裂かれた。
「痛───ッ! 全くもって面倒なお兄さんだね」
「甘いが面倒どころじゃすまないぞっと!」
一体どこから出てくるのか、尚も無数のクナイがマジックに飛来する。
「甘いのはお兄さんだよ、《マジック・ミラーワールド》!」
クナイがマジックの肢体に突き刺さる瞬間、マジックはそう叫んだ。
そして───、砕けた。
マジックはクナイが触れた途端にバラバラに砕け散り、粉砕された。
「うん───? どういうことだ?」
その目にあわせたダーク本人が訝しげな表情を見せる。これは明らかにおかしいと。
「やった……のか? とりあえずレックスの元に向かうか」
ダークは踵を返し遠くで聞こえる破壊音の方へ向かおうとすると───
「───のぁ!? って~、て俺がいる!?」
歩き出して数歩、いきなり何かに衝突したかと思うと目の前にいるのは自分だった。
「意味ワカンネーー! ……って鏡!?」
目前の自分がパントマイムのように同じ動きをするので、それは虚像の分身と気づくことができた。
「ここ原始林だよな? なんで鏡なんかが……」
まじまじと鏡を覗きこみ、似非ものの自身とにらめっこをしている。
すると、あるはずもないが鏡が波打ったようにみえ、ダークは「んん?」と目をこする。
もう一度よく見た鏡には、体はそのままで顔だけ先ほど倒したハズのマジックとなったアンバランスな虚像が写っている。
マジックが口角をつりあげた瞬間、ゾクリと背筋が凍ったようにつめたいなにかを感じ、ダークは反射的に体をそらす。
半瞬遅れ、一帯に破砕音が響き、鏡が粉々になった。その中からマジックのステッキが突き出されていた。
「まさか避けちゃうなんてね、お兄さんはスゴイスゴイ」
手に持ったステッキを腕にかけ、空いた両手で拍手をしながら心のこもっていない賛辞を贈るマジック。
「でも、次はそうはいかないよ」
返礼とばかりにその言葉に返されたのは一本のクナイ。そのクナイを中心に世界にヒビが入り、空間が砕けたように見えた。
「さぁ、かくれんぼの続きだね」
「厄介だな」
ダークは即座に逃げる───ことが出来なかった。
いつの間にか張り巡らされた鏡の迷路。
走るたびに鏡にぶつかり、忍者と揶揄されたバーストリンカーは方向感覚さえも朦朧としだしていた。
「どっちかな? どっちだろうね?」
マジックの声は四方八方から響き、場所の特定ができない。
それも相まってダークのストレスゲージを否応なく満タンにさせる。
「ああぁぁぁぁぁぁあああ! もうまどろっこしい!」
足を止め、咆哮するダークは鉄製の紐のような長細いものを手にしていた。両端には円柱の重りと三日月のように鋭く尖った刃。
───鎖鎌。
「しゃらくせぇぇぇ!」
ダークは鎖鎌を遠心力にものを言わせ、円を描きながら薙いだ。
辺りで鏡が割れ、その破片が飛び散り木漏れ日に輝く。
「まったく強引な手にでたね。でも隙だらけだよ!」
その破片の中からマジックが現れ、がら空きとなったダークの体にステッキを突き立てる。
「舐めるなよ、《技泥棒【トリックスティール】》!」
スティックは金色に輝きだしたダークの右胸に突き刺さる。それに対してダークの反撃は左の拳がマジックの体をかすめるだけだった。
マジックは短く息を吐き出しステッキを抜く。そしてまたもや鏡の森の中へと霞のように消えていった。
「危ない危ない。今のは技ですよね? 当たっていたらどうなっていたやら」
その挑発めいた言葉にダークはただ右胸を抑えているだけだった。
「流石は金と言ったところかな、柔らかい。もう残り5割ですね」
ダークのHPはたったの2撃で半分しか残っておらず、対するマジックは9割も残している。
「さて、これがトドメだよ!」
マジックは木と木の間から姿を現し一瞬でダークとの距離を詰めた。そしてダークの眉間にステッキを突き立てる。
しかし、それでもダークの残りのHP5割を削ることはできなかった。
───否、そもそも1割1分とて奪うことができていなかった。
変わりにダークとその周りがバラバラに砕け、そのあとからダークだけが消えた景色が見えるだけだった。
「───ッ!? 鏡……だって!?」
本来自分の手札であるはずの鏡。その鏡が自分に仇をなしたなど考えられる訳がなく、数秒の間放心状態となってしまった。
そのたった数秒。
それがこの勝負の分かれ目となってしまった。
喉元に冷たく鬼気迫るような感触。
変化に気付いたマジック、その口角は吊り上り冷や汗がながれる。
「ははっ……。完全に一本取られたよ。 一つ良いかな、あの鏡はどこから?」
「死ぬ者には語るのが忍者ってね。あれが俺の技、一度見た相手の必殺技をコピーするのさ」
「なるほど……。合点がいったよ」
「《一閃・頸狩り》」
ダークの体がまたも輝きを放ち、マジックの体力は一瞬で消えた。
ダーク「俺大活躍ジャン!」
レックス「ちなみによくわからない人がいてはいけないので解説お願い」
ダーク「はいはい~! 俺の技《技泥棒【トリックスティール】》は相手の技を奪うのではなくコピーする技で、条件は 1・一度見たことがある。 2・コピーする際に相手に触れなければならない」
レックス「便利だね」
ダーク「そうだね。でも泥棒っていう割には奪うわけじゃないんだよね。それだとダスク・テイ……」
レックス「───それ以上はダメだ」