「いぇーーい、みんな盛り上がってるかい?」
真っ暗で小さなライブ会場で歌っている女性が、ステージの上に一人いた。その娘(こ)は、ゴスロリと呼ばれる種類の衣装を着用している。
30人ほどしか入らない小さな会場に、人が溢れそうな位入っていた。男女比は若干男性が多い程度で、ファン層は偏っていない。
ステージ上の女性に、皆が声援を送っている。
「みんな、声援ありがとう。次がラストの一曲になるわ、アンコールは大人な都合で無理だよ~~」
「ウオォーーりかちゃん最高クーール」
会場内が異常なほど盛上がり、一斉に同じ掛け声を送る。
「それじゃ、聴いてください。恋は魔術で爆発だ☆」
彼女の歌声と躍りに、会場は大いに盛り上がった。
一種のカリスマ性すら感じさせる。どうやらファンの間では、教祖様と呼ぶ者もいるぐらい熱狂させていた。人身掌握や魅了とでも表現しても問題がない。
それもひとえに、遠坂莉華には魔術師としての素養があっての事かもしれない。
彼女の魔術回路は、恐らく現代の魔術師では圧倒的に優れている。彼女の祖母は遠坂凛、祖父は衛宮士郎との記録が残っていた。
この両名は、第五次聖杯戦争で協力関係にあり、聖杯を破壊する事を選択肢し見事に達成した魔術師とされている。
その魔術師達の力を集約されたのが、遠坂莉華であるのは一目瞭然だ。しかし、彼女はアイドル活動をしている。滅びかけた魔術教会とは一切の関わりがないと報告書にも書いてあった。
ライブは終わり、会場から人々が退去し始めるなか私は控え室へ向かった。
向かう途中、誰とも遭遇していない。普通はスタッフや警備員が少なくとも数名いるのが当たり前だ。
「ふん……貴方は魔術師なの?」
私の背後から女性が声をかけてきた。
「私が何故、魔術師だと判断したのかね?」
動揺を隠し返答したつもりだったが、どうやら彼女には無駄になりそうだ。ニヤニヤと笑っている。あからさまに馬鹿にしている表情をしていた。
「あら、そう……。理由なんて説明しないと駄目かしら?」
「出来れば頼む。私は魔術師としてはいささか知識も実力も不足しているのだ」
「まぁ、そうよね。ここが魔術工房であるのに気付ける優秀な魔術師は、ずかずか入り込もうと思えないもの。警戒してひとまず撤退するのが当たり前。そうだ何故魔術師か分かった理由を教えないと……」
彼女はそう言って、中指と親指でパチンと音が鳴るよに弾く。すると、一匹の蝙蝠が彼女の肩に止まった。
「私の使い魔よ。この子で貴方の手に令呪を確認出来たの」
「手袋で隠していたつもりだったが」