“オトウト”が“まだいた”時の事。
何故だろうか、辺りが眩しいなぁ…
バサバサと布の音がする。
カービィはいつの間にか、暗い天井を見つめている事に気付いた。
足元では、まだバサバサと聞こえる。
「…アンタも相当お人よしだね、兄さん。」
冷たい男の声と、何かを蹴る音…そして、微かに吐き出された吐息が聞こえた。
カービィは慌てて起き上がる。
丁度真横辺りに、布の塊が転がって来た。
恐る恐る見ると、それはシークだった。
「シーク!大丈夫!?」
カービィが声をかけると、シークは起き上がった。
無傷に見えた。
……だが、右手が無い。
「まさか…剣を受けたの!?」
「………」
こくりと、頷いた。
「ホント……ばかばかしいよ…」
男が仄暗い声で嗤う。
シークは少し睨んでいた、ように見える。
「何、兄さん?まだやるつもりなの?…双剣使いが、片手になってさ。」
アルティーが嗤いながら、シークへと駆けだした。
シークも片手で剣を持ち、応戦をした。
カービィも付いて行こうとしたが、小さな声で止まった。
「おね……い……」
――兄さんが攻めに徹するのならば、ボクは防御だ。
笑いながら言っていた弟は、もういない。
シークは片手で、燃え盛る剣を構えた。
「そんな体で戦うの?赤の他人の為に。ボクを殺そうとしておいて!」
男は悲痛に聞こえる声で言う。
響くかどうかわからない音量で。
その言葉に硬直した隙を見逃さず、男はシークの左足を消した。
「……!?」
シークはふらついた…。
そこへ、男は追撃をかけようとして………斬れなかった。
男はほんの一瞬、驚いたように動きを止め…すぐさま離れた。
勘が叫んでいたからだ。
[ヤツから離れろ]
[何かがくる]
そして離れた瞬間……男が先程までいた場所に、黒いモノが突き刺さった。
「…何で――何で、今更覚醒するんだ!!??」
男に襲いかかったモノの正体は…黒いモヤだった。
“それ”はウネウネとうごめきながら縮まり、シークの元へと戻って行った。
モヤはシークの周りにグルグルと渦を巻き……やがて、右手と左足の部分に収まった。
それを目撃していたカービィは、唖然としていた。
「凄い…!あんな力、見た事無い……!」
だが、一番驚いていたのは他でもない…シーク自身だった。
モヤが覚醒したと同時に……記憶もよみがえったからだ。
忘れていた部分の記憶が。
一方の男は、予想していなかった展開に驚愕を隠しきれない。
そしてカービィの方を見て、更に驚く事になるのだった。
「何で…アイツがここに……!」
男の視線の先には、あの紫のワドルドゥがいた。
…更に最悪な事に、彼等も到着したのだ。
「やぁ~っと着いたぁ!」
呑気そうに言ったのはウィズ。
「無事か、カービィ!」
翼を広げて優雅に降りたのは、メタナイト。
「よ、よくもボク達を騙したな!」
怯えながらも勇ましく言ったのは、ワドルディ。
「傷が治った今ならば、いつでも駆けつける!」
フワフワと浮いているのは、クラッコ。
「よくも鏡の国を……許さないぞ!!」
怒った様に言ったのは、シャドウ。
「……貴様は…許さん!」
静かな闘志をたたえているのは…ダークメタナイト。
今まで出会った仲間が、敵だった者達が、集まっていた。
勿論…
「絶対に、許さん!」
デデデ大王も一緒だ。
「皆…!」
「……シャドウ達から話は聞いた。」
メタナイトが静かに言う。
本当に少しだけ和やかな時間が流れる中…シークはある事に気付いていた。
本来ならここにいる筈のない“モノ”の気配…そのありかを…。
男はやや茫然としたままだったが…急に笑い出した。
「…狂ったか?」
ダークメタナイトが冷静に言う。
「いやいや……君等は大したもんだ!まさかあそこを抜け出すなんてさ!」
酷く、おかしいことを聞いた、とでもいう様に笑って…嗤って、いる。
「……あのワドルディ達も、悲しんでいた。」
「悲しむ?彼等には心なんて無いよ。」
男は静かに言いながら、剣を構える。
切っ先はシャドウに向いていた。
アルティーが駆けだそうとした時、静かな声が遮った。
「―――やっぱり、違うね。」
誰が発言したのか分からない多数に対して…
「…まさか…」
「この声って……!」
二人は、声の方を見つめた。
その一人は、ユックリと立ちあがって…言った。
「もう自由にはさせないよ。」
声を取り戻したシークが、静かに剣を構えた。
反撃――――――開始?