ワタクシはどうして、ここにいるんでしょう?
フワフワと浮く右手に連れられながら、カービィは男から離れた。
「もしかして君って、シークの手?」
フワフワと浮く右手は、小さく頷く様なしぐさを見せると、辺りを警戒した。
「何処に行ったのかなぁ~?」
男の声がした。
まだ遠かったが…油断は出来なかった。
「…ねぇ、なんで君は襲ってこないの?」
カービィが右手に聞いた。
右手はちょっとだけ困った様な動きをした後、地面に文字を書いた。
『私にも分からない…でも…もし本体の方が襲ってきたら…』
そこで僅かに、右手は止まったが…意を決した様に書き始めた。
『存在を消すつもりで戦ってくれ!』
「そんな!?僕……そんなの……」
カービィは俯くが、右手は書き続けた。
『そうしないと、私は君の仲間も』
「みぃーつけた!」
右手の文字は、全てを書く前に掻き消された。
驚いているカービィを右手が引っ張った。
カービィがよろけると、つい先ほどまでいた所に剣があった。
男は再び剣を振り上げた。
そこへ、シークが走り込んできた。
何かを探すように、辺りを見回している。
男は静かに剣をしまうと、シークに語りかけた。
「兄さん、早くやっつけちゃって!」
シークは僅かに、首をかしげたが…剣を持って向かってきた。
「目を覚ましてよ!」
カービィはソードをコピーし、その剣を受けた。
シークは茫然とした様に何かを呟いている。
「……弟……いや、彼はしん……だがあれは誰だ……義父さん…」
カチカチと、小刻みに刃が震えていた。
混乱している……と思う。
カービィは呼びかけた。
「ねぇ、なんで僕等は戦ってるの!?君は、助けてほしかっただけなんでしょ!?」
シークが、僅かに反応した。
「……………」
「お願い、目を覚まして!」
必死の声と共に、浮いていた右手が元の場所へと戻った。
暗い光がともっていた目の部分に、少し何かが見えた気がした。
「……カー………ビィ…?」
カチカチと刃を震わせながら、ユックリと離れていった。
「………ちぇ、駄目か。」
男は笑い声を響かせながら、カービィのすぐ後ろに姿を現した。
「やっぱり……駄目ですよね、これでは。……ヒーローは先に消さないと」
そう言いながら、目に負えない程の早さで剣を振り下ろした。
カービィは既に避けられない位置だった。
だから剣で迎え撃とうとした。
だが弾かれる。
剣が遠くへ飛ぶ。
全てがスローモーションだ。
カービィは思わず目を閉じた。
だが、一向に衝撃は来なかった。
薄く眼を開けると、シークの右腕の部分の影が剣をとらえようとしていた。
だが剣はかいくぐってシークの胴体部分をつきさす。
何も存在しなかった筈のその場所を刺され、僅かに血を吐きだした。
だが左手は仮面をとらえていた。
仮面が、割れた。
「…や…っぱり……君…か……」
息も絶え絶えに、シークが言った。
偽物と本物はいつ入れ替わったのか。
それはボクは分からない。