(あと主人公の名前とか設定とか特に決めて)ないです
▽月△日
初カキコ...ども...。
とあるイベントを見に東京へ行ったらガタイの良い兄ちゃんに名刺をもらい、アイドルにスカウトされたので今日から日記を書く事にした。
どうせ俺の事だから、日記なんざ毎日続くワケが無い。何かしら大きなイベントがあったり、ふらっと気が向いたら書くだろう。芸能人の手記や日記は金になると風の噂で聞いたのでなるべく続けていけ、俺。
……というか、俺の顔は合コンで『褒める所は無いが貶す所も無い』と言った無難な顔立ちだと評された事があるのだが、しかもメガネなのだが、どうしてアイドルにスカウトされたのか意味が分からない。
ここに来て怪しさが増してきたので、渡された名刺に書かれていた事務所の『美城』をググった。どうやら、多くの役者や俳優を抱えており、ドラマや映画の制作もしてはいるらしいが、アイドルに関する情報は殆ど無かった。そういえばテレビドラマのエンドロールで美城の名前見たかも。
2chでアイドル部署を立ち上げる噂が広がってる位なもんか。
まぁ普通に考えて、男がアイドルになろうとしたら最大手の315プロがあるしなぁ……。
明日電話をして確認する事にしよう。名刺を渡した自称プロデューサーが偽物だった場合この日記は爆破する。
▽月○日
バイトを終わらして名刺の電話番号に電話をかけたら、女性社員が出てマジな事務対応されてビビる。
名刺に書かれたプロデューサーの名前を出して、アイドル担当の人に電話を替わってもらい、kwsk話を聞いていくと、マジで俺をアイドル枠にスカウトしたらしい。
本当にアイドルとしてやっていけるのか、顔立ちとか体格とか自分の外見などなど、色々聞く。
そもそも、男の俺をアイドルとしてスカウトしたのはなぜかと聞いたら、興味を惹かれる解答をされた。
なんとなんと、あの315プロに対抗する為らしい。
などと書くと俺をスカウトした美城プロ側が悪役みたいに見えてしまうが、実際は芸能界のバランスを取るためなんだと。
男のアイドルは昔からいたが、今や男アイドルをテレビや雑誌などのメディアで見るのは315プロだけだ。このまま行けば、男アイドルを他の芸能事務所が売り出すのは難しくなり、新規が参入し辛くなって芸能界の活気が薄れてヤバイ、そこで先陣を切るという意味合いも含めて、美城プロが男アイドルを使うことに決めたらしい。
5~6時間前に電話で聞いた内容だからうろ覚えだが、概ねこれで合っているはずだ。
正直な話、これって会社の機密事項に当たる事案な気がするんだが、現段階で部外者の俺に話すってことは、もう俺がアイドルになる事前提みたいじゃん。これでアイドルになりませんと言うのも面白そうだが、電話してた時の俺はそこまで頭が回っていなかったので仕方がない。すげー事しようとしてんなーって感じだったね。
あとクソのついでみたいな感じになるけど、俺をアイドルに誘った一番の決め手は人柄って言われたのも覚えてる。
イベントに行ったあの日、隣にいた子供がゲロ吐いて、それを俺が掃除したのを見ていたと。
褒められて嬉しい反面、あの時のゲロを思い出して気分が悪くなってきた。
もう少し踏み込んで詳しい話をしたいのであれば、直接事務所に行って顔を合わせて話してみてはどうかと提案される。明日はバイトが休みだったし快く了承、打ち合わせの時刻を決めて通話は終わった。
▽月×日
昨日も聞いたが、改めてリアルの状態で立ち会って、顔立ちや体格は今のままで平気か、新規の男アイドルは世間に受け入れられるのか、そもそもアイドル部署自体新設らしいが大丈夫なのか、とまぁ色々聞いたが、結果から言えばアイドルになる事にした。
あの三白眼長身長強面のプロデューサーは、一つ一つの質問を誤魔化すこと無く真摯に受け止めて答えてくれたし、人としてよく出来ている上に熱意に溢れている、そんな人間にスカウトされたんだ、やってみたくもなる。
お金の話をして、方向性の話をして、必要な書類にサインをして、この日は終わり。
あと引っ越しの手続きも面倒くさかった。
アイドル寮は現在建設中だと聞いたが、男アイドルは一人しかスカウトする気が無かったらしく、女子寮しか建てていないんだとさ。今住んでるアパートから事務所までは、電車バスを乗り継いでもで2~3時間はかかるし、物件探しに精を出さねばならぬ。
▽月♪日
引っ越しはどうにかなってしまった。事務所の計らいでとんとん拍子に事が進み、午前中に事務所に近いマンションへの引っ越しが終わる。
金に関しては、事務所から有る程度支給される分と、バイトで貯めた金と合わせて向こう一年はなんとかやって行けそうだ。
バイトも明日で最後のシフトにした。
バイト先の店長に理由を話したら、笑いながら「有名になったら宣伝よろしくな」とあっさり手放してくれた。かなり急な話だったし、人手不足もあるだろうが、渋る所か背中を押してくれた店長には感謝している。俺が厄介者だった……とは思いたくないが、まぁ俺が有名になる事で恩を返したい。
で、だ、午後からはアイドルのレッスンが始まった。なんかアイドルになったんだなぁって実感が沸く。っつーか、今日改めて日記に書き起こしてるけど忙しすぎだろjk。
初日という事で、アイドルに必要な力量を簡単に測るだけだったのだがそこそこきつい。
まずダンスレッスンだが、これは肉体労働系のバイトをやってたから、一般人以上の体力に自信があったし、簡単な振り付けを曲に合わせて踊って終了。
ボイスレッスンも、歌は好きだし、友達やネットの知り合いとカラオケに行ってるからこれも音合わせは即終了、あと声出しのコツを少し勉強した。
一番精神的にきつかったのがビジュアルレッスン。喜怒哀楽の表情を作っていくのだが、どうにも意識しながらやるのは恥ずかしく、表情が強ばって硬くなってしまう。
人前に立つ仕事上、少しずつでいいから羞恥心を捨てていきましょうとトレーナーさんに言われて締められる。
▽月ν日
引っ越しのダンボールの片付けを終え、ようやく部屋がスッキリ。
それよりも、俺に同期生がいた事が今日一番のニュースだっただろうな。レッスンに行ったら見慣れない女の子居たんだよ。
アイドル部門を新設したとは聞いていたが、アイドルの女子寮はまだ未完成で1ヶ月はかかるはずだったし、俺以外の男アイドルはいないとも聞いていたからなぁ。
同期生の子は、『橘ありす』『村上巴』『三村かな子』の三人。全員学生?うせやろ?はぁー(クソデカ溜息)
全員若い、恐ろしく怖い、俺も24だから世間一般から見れば若い部類に入るんだろうけど、それにしたって橘が小6ってそれ干支一つ分離れてる計算になる。というか、名前が漢字じゃない子って生で初めて見た気がする。
「ここにいる全員、今日から本格的なレッスンだから同期生だ」とトレーナーさんが言っていたが、同期生って言われたってどうやって彼女達と打ち解けていいのか分かんない。俺一番年上で男だし。
三村はそこそこフレンドリーだったが、橘は中々達観した視点を持っているし、村上は中学生が放っちゃアカンオーラ出してるし、どういう立ち位置で接すればいいのかサッパリ分からん。
同じ事務所に所属する以上不仲は避けたい、彼女達と仲良く……いや仲良くしすぎると後で問題になるから、そこそこ仲良くなるのが今後の課題だなぁ。
▽月∀日
今日も今日とてレッスンだったが、三村が手作りクッキーを持ってきてくれた。趣味がお菓子作りなんだってさ。
レッスンが終わってからみんなで軽くお茶にした、これには橘と村上もニッコリ。昨日よりも空気が穏やかになったしナイスファインプレーだ三村。ワンポインツ。
と言った所で、話す内容も無いし質問タイムになった。まずは俺に関して、三人とも俺がアイドルになろうと思ったかが気になっていたらしい。いやそりゃ、取り立てて褒める場所がない顔だけどもさぁ……。
詳しい所を省き、イベント会場で偶々プロデューサーにスカウトされてその熱意に絆されたのだと説明すると、釈然としてなそうだがそこそこ納得してもらえた。
村上の住まいはどうしているのかを聞いたりもした。どう聞いたって村上が話すのバリバリの広島弁なんだもん、わざわざ実家からここまで来るかっつったらそんなワケにもいかんだろうし。
と聞いたら、住所や個人名までは明かせないが、寮が出来るまで親戚の家にお世話になっているんだと。その親戚の子もアイドルをやっているらしく、今ではそこそこ売れてきたとも言っていた。
後はみんなどうしてアイドルになろうとしたのかとか、休日はどうやって過ごすのかとか、当たり障りの無い日常会話をして終了。
しかし、橘の音楽へのこだわりには驚かされる、クールっぽく見える癖に音楽に関してだけはパッションなキャラだったのか。その情熱に痛く感心するばかりで、彼女のアイドルへの覚悟という点では、俺の一歩先を歩んでいるのかもしれない。